今回で三十九話目になります。攫われた映姫、尚樹はどうやって救出する!?
そして夜叉丸の真の狙いとは!?
お知らせで一応書いておきましたが初期のころから見て下さっている方、申し訳ありません。敵キャラの夜叉の名前が変更になり夜叉丸になりました。面倒ですがご理解お願いしますm(_ _)m
では「東方閻鬼録」三十九話見ていってくだされば嬉しいです!(^^)
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現在尚樹は、荒れ果てた居酒屋の地べたに正座していた。
目の前には綺麗な黒髪と紅白の巫女服が特徴的な女の子が椅子に腰掛け腕を組み、鋭い目つきで尚樹を見下ろしている。
『少しでも動けばどうなるかわかるわよね?』
と言った感じだ。
霊夢「……………で?何か言い分はある?」
尚樹「独断で行動してすいませんでしたぁぁぁ!!」
やべぇ………何だこのプレッシャーは………。
映姫様と違った恐怖………年下の女の子なのにこの圧力…………。流石は博麗の巫女なのだろうか。
霊夢「そうねぇ、単独行動するのは止めようと言った矢先の独断で行動」
ワンコンボ!!
霊夢「仲間の静止を振り切ってどこに行くのかと思えば怨霊の大群に突っ込んで大暴れ」
ツーコンボ!!
「連れて帰って来たが鈴仙達だけならまだしも音を聞き付けた怨霊まで連れて来て」
スリー!!
「挙句の果てに妖力切れで私達に怨霊の大群の相手をバトンタッチ…………とことん迷惑かけてくれるわねぇ?」
KO!!!
尚樹「ぐぁぁぁぁぁ!!!!」
こ、心が痛い!!!迷惑かけているのはわかっていたけど改めて言われるととっても辛い!!!
鈴仙「霊夢!やめてあげて!尚樹の残機はもうゼロよ!!!」
鈴仙さんや、それは本気で止めてくれているのか、それともネタなのか………?
霊夢「止めないで鈴仙!こういう奴は1回ガツンと言わないといけないのよ!!」
勇儀「まぁまぁ、霊夢ほら、これ飲んで落ち着けって。」
そう言って勇儀さんは霊夢に向かって湯のみを渡す。
霊夢「あら?アンタにしては気がきくじゃなブハッ!!」
勇儀「あぁ〜!もったいないことするねぇ!!」
霊夢「ちょっと!!これお酒じゃない!!しかもキツイ!!!私は異変解決するまではお酒は取っておくの!勝利の美酒は格別だからね!!」
霊夢さんには霊夢さんなりのポリシーがあるようです。
霊夢「ってこんなことしてる場合じゃないわ!ともかく尚樹!今アンタに倒れられると後々面倒だし、迷惑だから単独行動はしない事!!いいわね!!」
そう言うと霊夢は「妖夢〜水〜」と言って店の奥へと消えていった。
勇儀「まぁあれだ、尚樹のことだから分かってるとは思うけどこの異変を1人で解決するのは困難だろう。お前でもあの霊夢でもね。」
勇儀さんの言う通りこの状況を一人でどうにかできる程俺は凄い奴じゃ無い。むしろ今までだって色んな人達に助けられて何とかやってこれたのだ。今も妖夢さん、小町さん、パルスィさん、霊夢さん、鈴仙、そして目の前の勇儀さん、他にも多くの人達が力を貸してくれている。
勇儀「さっき、あのウサギを助けに行った時も有象無象の怨霊だけで本当に良かったよ……。もしこれが罠だったとしたら、野郎本人がそこに居たらお前さんは死んでたかもしれない…………。」
手に持った器に酒を注ぎながら勇儀さんは尚樹に語りかける。
勇儀「確かにお前は初めて会った時よりも強くなったよ。でも恐らく今のお前の力じゃ夜叉丸には勝てない。」
「 勝てない………。」その一言が尚樹に重くのしかかる。確かに夜叉丸は強い。奴と対峙した時に生半可ではないどす黒い妖力を感じ取れた。
勇儀さんは勝てないと言われ、少し意気消沈している
尚樹の背中を引っぱたく。
尚樹「痛ってぇぇぇぇぇ!!!ちょっ!!何するんですか!?」
あまりの痛みに悶絶して転げ回る尚樹を見て大笑いしている勇儀さん。
勇儀「あっはっはっは!!!軽く叩いたつもりだったんだけどねぇ!!」
軽くやった(本人いわく)という事らしいが、感覚的にはトラックが背中に突っ込んできたみたいだ。流石鬼である。
勇儀「何落ち込んでんだい!私はあくまでもお前一人じゃ勝てないって言ったんだ。周り見てみろ?普通の異変解決じゃあこいつら全員集まらないぞ?」
……………確かにそうだ。基本的に異変は霊夢か魔理沙さんで解決してる。後は偶々そこで遭遇してしまったか、本人の気まぐれで行われる。
勇儀「そんな奴らがお前を助ける為に地上から、冥界から、地底から、地獄からも強い奴が来た。これを見てどう思う?そんな奴らがいてもお前は不安か?」
本当にその通りだ。夜叉丸は強い、しかし俺には今これだけの仲間がいる。それを考えれば不安になんてならない。
勇儀「それに、閻魔を助けるんだろ?私達はお前の手伝いをする為にここにいるんだ。お前の頼みなら力を貸すぜ?」
勇儀さん………。この人には色々お世話になったなぁ。
手合わせから飲みまで。
霊夢「元々私の仕事の内だしね。アンタには結構お賽銭もらってるから手ぐらい貸してあげるわ。」
素っ気ない態度をとる霊夢さんだがこうして助けてくれる。
鈴仙「たった今助けて貰ったし、と言うかそもそも手伝う為にここに来たんだから今更帰れって言われても帰らないわよ?」
尚樹「そんな事言うわけないだろ?ありがとうな、鈴仙。」
ちょっとおっちょこちょいなところもあるけれどわざわざ地底まで来て手を貸してくれる。そんな彼女の優しさに感謝だ。
妖夢「尚樹さんには色々お世話になりましたから。今度白玉楼に来たら外の世界のお料理教えて下さいね?」
「勿論!」と一言。妖夢さんには蜻蛉との戦いで命を救ってもらったのにまた助けてもらえるとは本当に有難い。
パルスィ「私は初めてあった時に助けてもらったお礼もあるしね。助けるのは当然よ。あの閻魔様とも色々決着つけないといけないし………。」
映姫様とは何の勝負をしてたのかはわからないが、いつも手を貸してくれたのは彼女だ。 感謝してもしきれない。
小町「あたいは新人君の先輩だからね!先輩が後輩を助けるのは当たり前の事じゃないか!」
「普段から仕事でもこれぐらい頼りがいのある先輩だったら良かったんですけどね………。」と苦笑いすると小町さんは心外だ!!と言わんばかりの表情だ。
小町「失敬な!!新人君のくせに生意気だぞー!!私はいつでも地獄の為、四季様の為に身を粉にして働いているのに!!!」
霊夢「でもアンタ、私が三途の川を通りかかる時見るけどいっつも寝てるじゃない?ねぇ、みんな?」
妖夢「花の異変の時に行きましたけど私が近くに来るまでは船の近くで休んでましたね。」
鈴仙「それっぽい事してた時って言ったら天人が異変起こした時ぐらいかなぁ………?」
パルスィ「逆に仕事をしている時を見た事の方が少ないかも…………。」
勇儀「偶に是非曲直庁の近くを通るけどいつも閻魔に叱られてたな。」
尚樹「まぁ、そう言う事です。」
小町「私に味方は居ないのかっ!?」
まぁ仕方ないと言えば仕方ない事である。実際のところみんなが見ている通りであるから…………。
お燐「ただいま戻りました〜!」
お空「ただいまーーー!!!」
ちょうどその時地霊殿で取り残された動物達を救出していたお燐達が戻ってきた。怨霊に追われて一緒にここまで来たが、彼女達にも目的があったので何かあったら逃げるように伝え、地霊殿に向かわせた。
尚樹「大丈夫だったか?」
お燐「えぇ、あたい達は勿論、取り残された子達も安全な所に避難させておきました。ただ何匹かは怪我してる子達がいたのでその子達だけ連れてきたんだ。鈴仙が薬を持ってるといいんだけど………。」
見ればお空に抱えられた動物達が傷の痛みを訴えるように鳴き声をあげていた。
鈴仙「傷薬?持ってるわよ?じゃあその子達をちょっとこっちに連れて来て。」
鈴仙は手早く処置を施していく。やはりこういう事は普段からやっているので手馴れているようだ。そしてここで思った事がもう一つ。おそらくここにいる鈴仙以外の人は思っているだろう。
鈴仙「…………これでよしっと!じゃあこの子達をお願いね。」
お燐「じゃああたい達はこの子達を安全な所に避難させて来ますのでもう一度行ってきますね。お空、行くよ。」
お空「はーい!行ってきますーーー!!!」
鈴仙「気を付けなさいよー!!!」
スッと椅子から立ち上がる霊夢さん、多分俺達の思っている事を言ってくれるだろう。
霊夢「アンタさ?」
鈴仙「はい?なんでしょう?」
霊夢「傷薬持ってるならもっと先に言いなさいよね!?」
***少年少女治療中……………
霊夢「本当におっちょこちょいなんだから…………。」
妖夢「まぁまぁ霊夢さん、こうして手当てして頂いたんですからいいじゃないですか………。」
霊夢さんの厳しいお言葉に妖夢さんがフォローを入れてくれていた。
鈴仙「うぅ…………。妖夢さん、ありがとうございます。じゃあ忘れないうちにこれを皆さんに渡しておきますね。」
そう言うと鈴仙は全員に小さな瓶に入った液体を手渡した。
小町「こりゃなんだい?」
鈴仙「師匠特製の新薬です、何でも怪我だろうが妖力、魔力、霊力切れだろうがよく効くという万能薬らしいです。」
勇儀「薬かぁ、私どうも苦手なんだよなぁ、こういうのも酒の味とかになりゃいいのにねぇ。」
ポツリと勇儀がつぶやく。確かに薬独特の苦味が好きな人はそうそういないだろうと思う。
霊夢「むしろアンタの師匠の新薬ってどうなの?本当に大丈夫なの?また実験とかされてるんじゃないでしょうね?」
一番そこが気になるんだよなぁ………。不安が的中しなければいいが………。
鈴仙「一応試験薬ではなく効果は確認済みだということなので多分大丈夫だと思います。聞いた限りでも特に副作用で害になるような事は無いと言ってなかったので。」
その言葉を聞いて少し安心する一同であった。
後で永琳に聞いた話だがこの新薬を開発するのに一匹のイタズラ兎が多大な貢献をしてくれたとかなんとか(実験体として)
一方その頃地上では……………
魔理沙「はぁ〜、こりゃまた凄い数の怨霊だなぁ。」
早苗「ちょっと魔理沙さ〜ん!!他人事の様に言わないで手伝って下さいよ〜!!」
魔理沙「だって私にはこいつら祓える訳じゃないし、その結界の維持も出来る訳ではないからなぁ………。」
現在地上では怨霊が漏れ出さないように守矢一家が地底に繋がる道に結界を張りながら少しずつ除霊している。
気がついた時には霊夢が神社裏にある道を封じ、一人異変解決に行ってしまった。結界を解けばそこに溜まった怨霊が一気に溢れ出てしまう。今回の異変で魔理沙が参加出来ないのはそれが理由だ。
神奈子「ほら早苗、結界が緩んできてるよ!!もっと気合い入れなさい!!」
早苗「ちくしょーーーー!!!!!」
早苗も大変だなぁ………。まぁ私がこの役目を担える訳では無いから出来ることと言ったら応援することぐらいかな?
諏訪子「んじゃ私は残党狩りと行きますか。頑張れ早苗ー。」
手順としては早苗が結界を張り、神奈子が除霊、諏訪子が今までに漏れだした怨霊の処理を行っている。まぁ漏れだした怨霊が人里に行ったとしてもあそこには命蓮寺の僧侶やら聖徳太子やらがいるのでそんなに被害が出る事も無いだろう。
文「どーも、清く正しい文々。新聞の射命丸です〜。どうです魔理沙さん、今回の異変は?」
さっきから木の影で写真を撮っていたので気がついてはいたがわざわざこっちから呼ぶほどではないので放って置いた。
魔理沙「ん?あぁ、ブンヤか。見た通りだよ、結界張って怨霊出さないようにするだけさ。下の様子はわからんね。」
文「あやや、ですよねぇ〜。射命丸文、一生の不覚ですよ!こんなビックスクープを撮れなかったなんて!」
結構ガチで落ち込んでる烏天狗の記者。確かにこいつにとってこんなにおいしい話はそうそう転がって来ないだろう。
魔理沙「はぁ〜、まぁ仕方ない、今回は霊夢においしいところをくれてやるか。」
文「はぁ〜、この怨霊をどうにか出来たらいいんですがねぇ………。」
そんな時、新たな人影が現れた。
魔理沙「誰かと思えば華扇か、どうしたんだぜ?」
華扇「久しぶりね、魔理沙。でもごめんなさい、今日は地底に用があるから貴女に構ってる暇がないの。」
魔理沙「おいおい、何の為に早苗達が結界張って怨霊を外に出さないようにしてるんだ?あれを開放したらどうなるかなんて一目瞭然だろうが。」
華扇「大丈夫です。」
魔理沙「お、おい!!ちょっと!!!」
魔理沙の制止を振り切り、彼女は結界に近づいていく。
華扇「ごめんなさい早苗さん、その結界を一回解いてくれる?」
早苗「山の仙人様!?そんな事言われてもこの結界をといたら怨霊があふれでてきますよ!」
予想もしなかった言葉に困惑する早苗。それもそのはずだ。今私が言った通り、あの結界を解いたらあそこに溜まっている怨霊は確実に溢れ出す。それをしてくれと言われてはい、と言う奴はいない。
神奈子「………そこの者、 何故そこまでして地底に行きたい?」
神奈子の質問に一呼吸置き、華扇は答える。
華扇「…………向こうに、私達が決着をつけなくてはならない者がいます。私は今回起こった異変の関係者、それを無関係と見過ごす事は出来ないからです。」
神奈子「………ほう、なるほどねぇ。」
普段、神奈子は誰にでも結構フレンドリーに話しかけるのだが、今は神様としての威厳に満ちているのがよくわかる。そしてその威圧に対して全く臆さない華扇。彼女がそれだけの覚悟を持ってここにいるのは明白だ。
お?と言うかこの流れ、地底に行ける感じか!?
神奈子「………早苗、結界を解いてあげなさい。」
華扇「ご好意感謝致します。」
早苗「えぇ!?本気ですか!?だってそんな事すれば!!!」
神奈子「いいから、私に任せなさい。」
神奈子にそう言われた早苗はそれ以上何も言わず霊力を緩めはじめた。
早苗「神奈子様!!行きます!!」
その瞬間、穴を覆っていた結界がフッと消える。それと同時に神奈子のスペルカードが炸裂した。
神奈子「 神祭《エクスパンデッド・オンバシラ》!!」
まるで柱のような弾幕が怨霊を巻き込み、穴に吸いこまれていく。そして眩い光が収まる頃には付近に怨霊の姿は見えなくなっていた。
神奈子「…………さぁ、怨霊が来ないうちに早く行きなさい!!」
華扇「このご恩は後ほどお返しします!」
そう言うと華扇は穴に飛び込み、姿は見えなくなった。
神奈子「………さて、怨霊はまだ来ないだろうけど一応結界張っておこうか早苗。いやー、今すごく神様っぽい事したな〜。」
早苗「わかりました。…………はいっと!!」
掛け声と共にドーム状の結界が再び展開される。
そして二人はふと思った。『あれ?なんかさっきまで騒いでたのが急に静かになったな?』と………。
早苗「あ、魔理沙さんちょっといいですか?」
魔理沙「ん?どうした?」
幻想郷でも騒がしい奴トップクラスの二人を確認しようと振り返ったがそこに魔理沙の姿は無かった。声は聞こえたのに………?
早苗「え?魔理沙さん?」
魔理沙「ん?こっちだよ、こっち!」
まさかそんな筈は……………。
声のする方へ振り向いてみる。そこは……………
早苗「ちょっと二人共!!なんで結界の向こうにいるんですか!!」
騒がしい二人組は地底へ繋がる道からひょっこり顔を覗かせていた。
文「あやや、目の前にネタが転がっているのを逃す私ではありませんから!ここは行かせてもらいますよ!」
魔理沙「霊夢達だけ異変解決なんてつまらない話だぜ!!つー訳だ!!早苗、後は任せたぜー!!」
早苗「ちょっとーーー!!!私達の護衛はどうなるんですかぁぁぁ!!!」
幻想郷に響き渡る早苗の声は虚しくも魔理沙達には届かないのであった。
……………。
…………………………………。
ここは………あぁ、なるほど。こいつらの目的はそういう事だったのね…………。
少し辺りを見渡してその場所がすぐに分かった。
私の手には手枷が足には重りが付けられさらにその手枷にはお札が貼られている。おそらく私の能力を封じているのだろう。
そして目の前には………
夜叉丸「目が覚めたようだな閻魔様。」
映姫「………残念です、目覚めたら尚樹か小町の顔が見れたら良かったんですが、代わりに胸糞悪い顔を見てしまいました。」
夜叉丸「おいおい、閻魔がそんな言葉遣いでいいのか?」
ふざけた口調で戯言を抜かすがそんな事はどうでもいい。
映姫「…………とんでもない事しようとしますねあなた。アレの力を使って地上を滅ぼすつもりですか?」
夜叉丸「流石、理解が早くて助かる。」
旧地獄最深部、ここには大昔、地上に災厄をもたらしたバケモノが封じられていると言われている。
夜叉丸「閻魔様には儀式を手伝って貰おうと思ってな。その為にお連れしたんだよ。そう、邪竜のな!!」
一方、尚樹達…………
パルスィ「うわ、凄い………。妖力が一気に回復した。」
薬を飲んで数分でその効果が見えてきた。体が楽になり、尽きていた妖力も全快している。流石永琳さんの薬と言ったところだ。(かなり不安はあったが……。)
妖夢「ともかくこれで全員万全の状態ですね!」
勇儀「よっしゃ!夜叉丸の糞野郎の所に一発ぶち込みに行こうじゃないか!!」
とりあえず夜叉丸の居場所を突き止めなければならない。尚樹はポケットから導きの鈴を取り出す。
おそらく、夜叉丸は映姫様を連れているだろう。映姫様を指定して探し出せば奴にもつながる筈だ。
鈴の指し示す方向は北東。
尚樹「こっちです!行きましょう皆!!」