東方閻鬼録   作:狛犬太郎

42 / 42
こんにちは!狛犬太郎です!
半年ぶりですかね?一応生きてます。
長らく書いていませんでしたのでちょっとおかしな所もあるかもしれません。申し訳ないです。
遂に華扇の記憶が語られ、酒呑童子の伝説について真実が語られる。

宜しければお気に入り登録よろしくお願いします!

では「東方閻鬼録」四十二話目見て頂ければ嬉しいです!(^^)


酒呑童子の伝説「真」

それは噂が流れ始めてから暫くした、風の強い日の事だった。

華扇「………親方様。」

 

酒吞童子「………華扇か、何用だ?」

 

妖怪の山に建てられた屋敷の最上階でその方は酒の注がれた盃を片手に外を眺めていた。

 

身長は二メートル近く、がっしりとした体格で凛々しい顔立ち。

 

これが全国の妖怪をまとめ上げた、大妖怪の酒吞童子である。

 

華扇「警備の白狼天狗からの知らせによると山に侵入者が現れたようです………。」

 

酒吞童子「………反乱妖怪の残りか?」

 

酒吞童子は警戒する様に声のトーンを低くして聞き返す。

 

ここの所、両面宿儺率いる反乱妖怪達の行動が活発になってきているのだ。普段であれば侵入者など警備の白狼天狗が追い返すだけで終わるのだが、状況が状況だ。

 

幹部級の耳に入る内容という事はそれなりの事態が起こっているという事となる。

 

しかし華扇は少し迷っていた。この事を言うべきかどうかを。

 

華扇「それが………。」

 

酒吞童子「どうした?侵入者は何者なんだ?」

 

ここまで言ったのに言わないのも不敬だと思い、華扇は口を開いた。

 

華扇「…………人間です。」

 

酒吞童子は「ほう………。」少し驚いた様な顔をした。

 

酒吞童子「山に入ってすぐに白狼天狗に追い返されなかったという事はそこそこの手練という事か…………………華扇、その人間は今どの辺りにいる?」

 

華扇「報告によれば山の中腹、九天の滝に到達した様です。それと、その人間が親方様に話があると山に侵入したようで………。」

 

この言葉に酒吞童子は面白いと笑う。

 

華扇「烏天狗、青坊主、土蜘蛛も投入して追い払いますか?」

 

酒吞童子「いや、良い。ただ話に来たというのにそれを無下にするのも良くない。それに、少しその人間に興味を持った。ここまで案内してやれ。」

 

華扇「両面宿儺からの刺客かも知れませんが、」

 

しかし酒吞童子は手でそれを制する。

 

酒吞童子「大丈夫だ。奴ならもっと小癪な事をしてくる。それに、仮にもその人間が奴の刺客だとしても返り討ちにしてくれよう。」

 

華扇「…………はぁ、分かりました。では暫しお待ちを。」

 

これ以上主に何を言っても無駄だろう。華扇はそう察した。まぁここの所、山の防衛を固めたり、敵との戦闘が何度か起ったりと緊迫した状況が続いていたから娯楽を求める親方様の興味を引いてしまったのだろう。

 

まぁ、かく言う私もその人間に少し興味があったのだ。単身で正面から堂々と攻め込んできた。しかも妖怪を殺さず、無力化してだ。

 

これが本当に両面宿儺の刺客であれば、無力化などせず、殺してくるはずだ。その辺りを考えると刺客である可能性は低い。

 

しかし、これはただの陽動であり、実際には敵が接近しているかも知れないという可能性もある。警備を増員させて置かなければ………。

 

部屋を出ると華扇は近くに控えていた妖怪に「先程の人間を親方様のお部屋まで案内しなさい。」と指示を出す。

 

廊下を歩きながら配置や部隊編成等を考えていると横合いから声をかけられた。

 

勇儀「おー華扇、随分と忙しそうじゃないか。」

 

華扇「そう思っているなら、少しは仕事しなさい。」

 

萃香「まぁまぁ、堅いこと言わない、言わない。華扇も少しは休みなよ。ほら酒。」

 

華扇「貴女達が仕事しないから私が忙しくなってるの!!ほら、仕事よ。これから警備強化するから部隊編成と配置の指揮とって。」

萃香「えぇーー!!めんどくさい!!勇儀、よろしく〜。」

 

しかし勇儀はひらひらと手を振る。

 

勇儀「残念、これから私は地底に視察に行かなきゃいけないんだよ。悪いが萃香、これはあんたの仕事だ。」

 

華扇「ほら、仕事無いの貴女だけなんだから早いとこ片付けちゃいなさいよ。終われば、好きにしてていいから。」

 

「ちぇ〜めんど〜」と萃香は渋々立ち上がるとふらふらとした足取りで部屋を出ていった。

 

華扇「はぁ、あの子ももう少し次期当主って言う自覚を持って欲しいわよねぇ。」

 

勇儀「まぁ、そう言うなよ。あいつはあいつなりに良くやってるさ。ああ見えても部下からの信頼は厚いんだぜ?」

 

それは華扇もよく分かっている。ああやってぐうたら酒を飲んでいると思えば、影ながら動いていたりしているのも彼女だ。

 

「そう言えば………」と勇儀は持っていた杯を煽る。

 

勇儀「山に人間が入ってきたらしいじゃないか?そいつは一体?」

 

華扇「さぁ?ただ親方様に話があるって。」

 

勇儀「そいつもう滝のあたりまで来てるんだろう?そんなに強いならちょっと見てみたいもんだねぇ……。少し見てから地底にいこうかな?」

 

華扇「駄目よ、地底への視察は重要な案件なんだから。領地拡大とか諸々あるんだし。」

 

勇儀「はいはい、こっちもさっさと終らせて飲み直すとするかなぁ。」

 

そう言って勇儀は酒を煽る。

 

華扇「…………終わらせるも何も、あんた達現在進行形で飲んでるじゃない。」

溜息一つ吐くとまた横合いから声をかけられた。

忙しい事だ。

 

夜叉丸「おや、華扇。溜息等吐いて一体どうした?」

 

同僚の夜叉丸だった。

 

華扇「あぁ、夜叉丸。いや、何でもない。ちょっと面倒くさがりな鬼二名をどうやったらちゃんと働いてくれるか考えてただけよ。」

 

夜叉丸「ハハハ、まぁ戦闘職の彼女達に机仕事は似合わんだろう。ああいう手前は勝手にやらせる方が良い結果をだすんだ。」

 

華扇「う〜ん、そう言われるとそうなのよねぇ。まぁやる時はやってくれるんだけど、こう、なんて言うのかしら?報告書とかでも「敵を見つけたからぶん殴って追い返した。」とか「資源見つけたよ〜。回収したら帰るから、酒の準備のよろしく〜。あ、あの高いヤツね。」とかそれは分かったから具体的にもう少し示して欲しいというか?敵が居たなら、警備増やした方がいいとか。てか宴会の準備なんてあんた達でやりなさいよ!あんた達の酒代馬鹿にならないんだから!!!全くあの子達ったら………」

 

夜叉丸「ガサツ、大雑把、適当、自己中心的。」

 

華扇「そうそれ!!」

 

夜叉丸「まぁ落ち着け華扇。途中から愚痴になってるぞ。」

 

ハッと我に返る。少し恥ずかしくなってきた。

 

華扇「………ごめんなさい。」

 

夜叉丸「何、気にするな。愚痴ぐらい今度聞いてやるさ。」

 

夜叉丸は男気があり気さくな妖怪だったので、部下からも評判が高く、華扇も夜叉丸のそういう所が結構気に入っていた。

 

華扇「ありがと、夜叉丸。」

 

夜叉丸は少し微笑む。

 

夜叉丸「さて、俺も山の警備に行ってくるかな。萃香はどこへ?」

 

華扇「今正面の警備が結構崩れたから防衛の指揮に行かせたわ。本当にとんでもない人間が来たものよ。」

 

夜叉丸「あぁ、あれだけの強さがあるなら人間でもウチの大将に仕えてほしいものだな。」

華扇「冗談でしょ?って言いたいところだけど、実際戦力が減ってきてるのは見過ごせない課題なのよねぇ。前回の戦闘で結構被害がでたし………。まぁ、無理だと思うわよ。報告だと妖怪専門の退治屋らしいから。」

 

夜叉丸「まぁ、言ってみただけだよ。最も、両面宿儺が人里に被害出して俺らに罪を擦り付けるから心象は最悪だ。多分あの退治屋、大将にその件で話付けに来たんだろうよ。」

 

華扇「こんな忙しい時に………。」

 

夜叉丸「華扇、大将の言葉を思い出せ。『人間と共存出来る世を創る』そうだろ?」

 

華扇「………そうね。」

 

夜叉丸「よし、じゃあ俺は裏を攻められるといかんし、裏の警備に付くとするかな。なんかあったら伝えてくれ。」

 

華扇「ちょっと待った!そう言えば貴方、前回の戦闘で怪我してたんじゃなかったっけ?」

 

夜叉丸「あんなかすり傷程度大丈夫だ。今は手が足りない。こんな所で休んでる訳にはいかないさ。」

 

華扇はこの時、再び不安を感じたが気のせいだと思うことに努めた。

 

華扇「………分かったわ。でも危なくなったら引きなさいよ?」

 

夜叉丸「了解。まだ俺は大将が新たな目標を掲げて、それを達成したのをまだ見てないのに死ぬ訳にはいかんからな!じゃあまた後でな。」

華扇「えぇ、また後で。」

 

この不安が本当に気のせいであればいいのだけれども…………。

 

***少女祈祷中……………

 

そして程なくして山に侵入してきた退治屋の人間が案内に連れられやって来た。背丈は百八十位あるだろう。普通の人間に比べればかなり大きい。

 

華扇「この部屋で親方様がお待ちです。しかし、その前に刀を預からせてもらいます。いくら来る時に仲間を殺さなかったからと言っても攻撃したことには変わりはありません。」

 

退治屋は「承知した。」と一言いうと腰から鞘ごと刀を抜き華扇に手渡した。

 

渡された刀はずっしりとした重さがあった。ただの重さだけではなく、刀自体に迫力が感じられた。

 

妖刀だ。華扇そこではっきりと理解した。

 

禍々しい妖気が鞘に収まりきらず溢れ出している。これをこの人間が扱っていたのなら確かに山への侵入も出来るだろう。

 

しかし気になるのはそこでは無い。何故この人間はこの刀を持っていられるのかという事だ。

 

下手な者に妖刀等使わせれば、妖力に魅せられ狂ってしまうだろう。

 

相当強い精神力の持ち主なのだろう。でなければこんなものを使える筈もない。

 

輝政「………済まないが、案内してもらえるか?」

 

退治屋に声をかけられ我に返った。

 

華扇「失礼します。先程の人間を連れてきました。」

 

短く「通せ。」という声が聞こえたので襖を開ける。

 

酒呑童子「お前が儂に話があるという人間か………。名を何と申す?」

 

輝政「鬼道流創始、鬼道輝政。」

 

酒呑童子は退治屋の顔をただ見つめた。鋭くは無いが全てを見通す様な目だった。

 

酒呑童子「ふむ、なるほどな………。鬼道よ、まぁ座れ。それと華扇、刀を返してやれ。後お前は下がれ。」

 

華扇「親方様!?しかし、」

 

酒呑童子は片手で華扇を諌める。

 

酒呑童子「案ずるでない。こやつは儂と話をしに来たのだ。殺しに来たのではない。それと、裏の山道が怪しい。少し見てきてくれ。儂のカンが正しければ奴らは近い。」

 

すると輝政が提案してきた。

 

輝政「酒呑童子が心配なのだろう?私は話をしに来ただけだ。信じてくれと言っても無理だろうが信じてくれると助かる。何だったら刀を其方の親方の前に置いておいても構わない。それならいいか?」

はぁ……。変わった人間だ。

 

華扇は刀を輝政に返した。

 

輝政「宜しいのか?」

 

輝政も不思議なものを見るような目でこちらを見返してきた。

 

華扇「親方様が仮に襲われても人間にやられる訳が無い。それに私は刀を返せと命令を受けた。ただそれだけよ。」

 

輝政は「かたじけない。」と言うと刀を受け取り、自分の横に置いた。

華扇「では親方様、少し裏を見てきます。何かありましたら、部屋の前にいる兵に申し付け下さい。」

 

そして華扇は部屋を後にした。

 

親方様が心配なのも当然なのだが………

 

華扇「裏の山道、夜叉丸に何も無ければいいのだけど………。」

 

***少女移動中…………

 

時刻は夜五十四刻半。日が見えていればもうそろそろ日が落ちる頃である。

 

裏山道に行くと先程まで吹いていた風がパッタリと止んでおり妙な静けさだった。

 

風の変わりに霧が辺りを覆い、少し不気味な雰囲気を醸し出している。

 

夜叉丸を少し探してみるが見つからない。

 

仕方なく門番をしている妖怪に声を掛けた。

 

華扇「ちょっと貴方、夜叉丸見なかった?」

 

門番は畏まり、頭を下げる。

 

門番「はっ!夜叉丸様なら一刻前程に下を見てくると十名ほど連れて出発なさいました。」

 

なんですって!?下に行った!?

 

華扇「急いで兵を準備させなさい!!夜叉丸達と敵が交戦しているかもしれない!!!」

 

門番が動き出す前に高台から見張りをしていた烏天狗から声を掛けられた。

 

烏天狗「華扇様、夜叉丸様がお帰りになりました!」

 

華扇「門を開けなさい!」

 

門番に門を開けさせ、夜叉丸に駆け寄る。

 

華扇「夜叉丸!!なんで一人で出歩いてるのよ!」

 

あれ?一人?さっき門番は兵を十名連れて行ったって………。

 

まさか全員やられて!!

 

華扇「夜叉丸!他の兵たちは!?………夜叉丸?」

 

夜叉丸の様子がおかしい。呼びかけても反応がない。

 

華扇「夜叉、ぐぁっ!!!」

 

再び声をかけようとしたその時、凄まじい衝撃と共に私は吹っ飛ばされた。

華扇「夜叉………丸、なん………で………?」

 

右腕が熱い。気持ち悪い。夜叉丸はなんで…………。

 

裏門が破壊され、そこから敵がぞろぞろと入り込んで来るのが見えた。

それを最後に視界が暗転した。

 

***少女祈祷中………………

 

「…………せ………!……………せん!………おい!華扇!しっかりしろ!!」

 

………誰かに揺すられている。身体の節々が痛むがゆっくりと目を開ける。

 

勇儀「起きたか!ゆっくりでいい!起き上がれるか?」

 

勇儀の助けを借りながら起き上がる。

 

華扇「勇儀?ここは…………?」

 

勇儀「哨戒の休憩所だ。それより華扇、聞いても驚くなと言っても無理かもしれないが……自分の右腕を見てくれ。」

 

勇儀は少し言いずらそうに伝えるが言いたいことはもう分かっている。切られた時にそんな感じがしていた。

 

華扇「…………勇儀、私の右腕、無いんでしょう?止血してくれありがとう。」

 

勇儀「すまん………お前をここまで連れてくるので精一杯で腕の場所までは分からなかった。」

 

華扇「いや、それより今どうなってるの?親方様は…………?」

 

勇儀「分からない…………まだ屋敷の中にいるかもしれない……。」

 

そしてその瞬間屋敷の方から凄まじい爆音が辺りに響き渡った。

 

華扇「親方様っ!!」

 

いても立っても居られず私は屋敷に向かって走り出していた。

 

勇儀「ばかっ!!止まれ!!華扇!!」

 

木々を片手で掻き分けて進む。暫くすると屋敷の正面に出た。

 

そこで華扇が目にしたのは轟々と音をたてて燃える自分達の屋敷だった。

 

華扇は 燃えているのなどお構い無しに屋敷に飛び込み、自分の主の部屋へ向かう。

 

そして辿りいた主の部屋で見たのは夜叉丸が酒呑童子に凶刃を突き立てるところだった。

 

華扇「親方様!!親方様ーーーっ!!!」

 

夜叉丸は刀を引き抜くと襖を蹴破り外へ姿を消した。

 

ヨロヨロと酒呑童子に歩み寄る。

 

華扇「親………方、様……………。」

 

ヒュー、ヒューと苦しげな呼吸、出血を少しでも止めようと左手で傷口を圧迫するが傷口が大きく、止まらない。

 

その時、薄らと酒呑童子の目が開いた。

 

酒呑童子「そこに、居るのは……華扇、か?」

 

華扇「親方様っ!!動かないで下さい!!今すぐ手当の者を!!」

 

立ち上がり救護を呼ぼうとするが腕を掴まれた。

 

酒呑童子「華扇、よい。もう、間に合わん。」

 

華扇「いけません!!親方様にはまだまだやる事が残っています!!両面宿儺だって、」

 

酒呑童子「両面宿儺は………退治屋、いや、輝政が命と引換に、倒した。」

 

酒呑童子が指差す方には先程見たあの妖刀が畳に刺さっていた。

 

酒呑童子「華扇、聞いてくれ。儂からの最後の命令だ。この出来事の必要以上に語るな。人里には偽の噂を流せ。そして極力後世に伝えるな。」

 

私はただ泣きながら頷く。

 

酒呑童子「そして、これは命令ではなく、共に肩を並べてきた仲間としての、頼みだ。人間と妖怪が共存していける、世の中を創ってくれ。」

 

華扇「親方様ぁ!!私達にはまだ親方様が必要です!!その願いを叶える時は親方様も一緒です!!」

 

子供の様に泣きじゃくる華扇の頬に優しく手が触れた。

 

酒呑童子「いいかげん、親離れせんといかんな。お前と初めて会った時は小生意気な子娘だったが、今は立派に成長した。儂が居なくても、お前達なら出来る。さぁ、華扇、巣立ちの時だ!後は、任せた、ぞ………。」

 

頬に触れていた親方様の腕から力が抜けていく。

 

華扇「親方様!!親方様ぁぁぁ!!いけません!!目を開けて下さい!!!親方様ぁぁぁ!!!」

 

…………………………………………………………………

 

華扇「そこからは私もあまりよく覚えてはいません。覚えてるのはその後直ぐに勇儀が私を見つけて、外に連れ出してくれました。」

 

魔理沙はこの話に耳を傾けた。文も最初書いていた筆を止め、ただ聞いていた。

 

華扇「その後、夜が明けると火も収まり、人間がまたこちらに向かって来ていると言う話があり、私達鬼は親方様の亡骸を回収し、感謝の手紙と刀を残して地底に。………これがこの話の真実って訳ね。」

魔理沙「で、決着を付けなくてはいけない奴ってのがその夜叉丸って奴な訳だな?」

華扇「まぁ、そうですね。夜叉丸には聞きたいことが色々あるの。」

 

どうして私達を、親方様を裏切り手にかけたのか……。

 

私はそれを知るためにも夜叉丸の行方を探してきた。そしてようやくその機会が巡ってきた。

 

この機会を逃すわけにはいかない。

 

すると背中にばしーん!と強い衝撃。

 

ひっぱたかれたようだ。

 

華扇「いったぁ!!何するのよ魔理沙!!」

 

魔理沙はおどけた表情で華扇の前に躍り出る。

 

魔理沙「いつも辛気臭い顔してるから、魔理沙さんからのプレゼントだ!背筋がピシッとするだろ?アンタ今日随分としけた顔してるから不安だな!しょうがないから、異変解決のプロであるこの私が直々に手伝ってやるぜ!!報酬は華扇家にある魚石でいいぜ〜!!」

 

ぴゅーっと先に行ってしまう魔理沙を追いかけようとする華扇を文が呼び止めた。

 

文「あやや、華扇さん、魔理沙さんは不器用ですけどああやってこの場を盛り上げようとしての行動出すのでどうか起こらないで上げて下さいな。」

 

華扇「はぁ、あの子が不器用なのは私もよく知ってるわ。そして不器用さの中に優しさを持っている事も……。」

 

文「そしてこれは今現在、山で暮らす者として伝えせて頂きます。真実を教えて下さり、ありがとうございます。今、私がここに居られるのも貴女方のお陰です。」

 

華扇「………どうなのかしらね。私達がもっとしっかりしていれば今この問題は起こらなかったはず。」

 

文「そんなことはありません。貴女達が山を守ってくれたからこそ今の山がある。もしその時に両面宿儺に攻め滅ぼされているなら私はここにはいない。」

 

華扇「この話はおしまいよ。せっかく魔理沙が盛り上げてくれたのにまた辛気臭い雰囲気にさせるの?」

 

文「………では華扇さん、最後にお願いなのですが、この異変が解決されたら先代の、酒呑童子様のお墓参りにお伺いさせてもらっても宜しいですか?」

 

華扇「………ええ、きっとあの方も喜ぶわ。」

 

その瞬間眩い光が視界を覆った。

 

文「あやややや!!!異変解決後仙人様のご自宅密着取材、決定的写真、言質共に頂きました!!!こうしていられませんね!!早く異変解決しなければ!!!」

 

真面目な雰囲気から一変、手のひらを返したように文は騒ぎ立てる。

 

華扇「文!!貴女それが目的で!!」

 

捕まえようとする手をするりとすり抜け、ぴゅーっと飛んでいく。

魔理沙「二人共何やってんだーーー!!!置いてっちまうぞーーー!!!」

 

文「華扇さーん!早く行きましょー!謎に包まれていた山の仙人のご自宅を密着取材!!!これだけのスクープにありつけるとは記者冥利に尽きますなぁ!!今年の新聞大会はこの文々。新聞、射命丸文が頂きましたよーーー!!!」

親方様、この幻想郷は私達が目指していたモノなのではないかと思います。

 

人間、妖怪がこうして種族の壁を超えて手を取り合い協力し、何かを成し遂げようとしている。

 

親方様、私はまだ親方様から巣立てていなかったみたいです。ですが私もようやく決心がつきました。どうか、見守っていて下さい。

 

すると竪穴に風が吹き込んできた。まるで私の背中を押すように………。

 

…………さぁ、行こう。巣立ちの時だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。