旅団狩りRPG   作:GGアライグマ

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さすがに書かないと分からないだろうと思い、一つ前の話にメルエムが答えを見出せなかった理由を追加しました。

『自分で当たり前と言ったことだが、メルエムは蜘蛛を憎む』から『ピトーにやさしく微笑む。』までです。


天空闘技場

 出発の日。

 

 メルエム達は荷物のチェックを終えると、約1か月間過ごした地下の仮屋を埋め始めた。

 作業は静かに淡々と行われ、ここに居たという証拠の隠滅も徹底的に行ったが、特に感慨も無く30分ほどで終わった。

 準備万端、もういつでも出発できる。

 それぞれ変装しているが、タコとトンボはどうしようもないため大きなアタッシュケースに入っている。

 移動方法はメルエムとプフとユピーによる飛行。メルエムがヒナとピトーを、プフがカメレオンを、ユピーがタコとトンボの入ったアタッシュケースを担いだ。生活用品はヒナとピトーが担いでいる。

 というわけで、天空闘技場を目指して出発。

 

 移動中に見える景色は、青空と、時折見える雲と、一面の海。

 強い日差しも苦ではなく、飛行に抗うように吹く風が心地いい。

 とは言え、あまり変わり映えしない景色は退屈でもあるため、メルエム達は楽しくおしゃべりしながらの移動である。

 

 数時間経ち、大陸が見えて来た。

 見つからない様に雲の上まで高度を上げる。寒くなるので、メルエムは女の子2人をギュッと抱きしめたりする。女の子の方もキャーなんて言って抱きつき返す。完全に役得である。カメレオンはメルエムに羨ましそうな視線を送る。

 そんなこんなで時たま雲の下に出て現在地を確認しながら、山を超え、谷を超える。

 

 しばらくして、天空闘技場が見えて来た。

 とは言え、いきなり闘技場前に着地するわけではない。まずは人目に付かないように闘技場に一番近い山に着地し、羽をしまう。プフは小型化する。それから軽く走って山を下り、歩いて闘技場のある街を目指す。

 

 闘技場のある街に到着。予約しておいたホテルへ行き荷物を降ろす。

 食事を取ったり少し休憩したりしてから、タコとトンボをホテルに残して闘技場へ出発。

 

 闘技場に到着。予定通りメルエムとユピーは選手登録の長い列に並ぶ。

 カメレオンとヒナは適当にぷらぷらするらしい。

 ピトーとプフはやや離れて、怪しい人間がいないかそれとなく探る。ハンター協会が本腰を入れてアリの王を探している場合、「手っ取り早く金が手に入るここにアリ達が来るかもしれない」と予想して偵察部隊を送ってきている可能性もあるからだ。

 とは言え、もし偵察部隊がいたとしても、それで即立ち去るというわけでもない。

 ここほど簡単にお金が手に入る場所は無いと言っていい。メルエム陣営としても簡単に諦めたくはない。

 メルエムとユピーはどこからどう見ても人間であり、自白でもされない限りアリだとは分からない。

 それに、偵察部隊を逆にメルエム側が偵察し、相手の情報を盗むことができれば、どこが危険でどこが安全か分かるし、アリ対策にどれくらい力を入れているかも分かる。そうすると今後より安全により活発に活動することもできる。

 ということで、メルエム達が200階を目指すこと自体はほぼ決定しているのだ。

 

 しかし、ここで一つメルエムには気になることがあった。

 

「ランランルーさん。不自然なので、僕の周りを警戒するのは控えた方がいいかもしれませんよ」

 

 ランランルーとはユピーの偽名である。ちなみに、メルエムの偽名はトガーシだ。

 

「あ、は、はい」

「いえいえ、そう丁寧に返答していただく必要はありません。僕は見た目中学生なのですから、大人のユピーさんは変に気を使わず気楽にしてください」

「あ、そうでした。いや、そうだな」

 

 形だけつくろっているが、やはりぎこちないユピー。

 メルエムに体を食べさせたために体の大きさはプフより少し小さいくらいになっているが、それでもメルエムよりは大きく、年もいくつか上に見える。顔も例によって怖い。これでメルエムに敬語を使ったり変におどおどしていては不審がられるに決まっている。

 

「ランランルーさん。一度ホテルに戻って話し合いませんか?」

「え、あ、うん。そうですな?」

 

 ユピーは完全に挙動不審になっている。

 ユピーは護衛団の中でも特に本能に忠実だ。王を敬えという命令が脳の奥深くまで浸透しており、簡単には変えられない。それに、ランランルーと呼ばれることへの違和感もあって反応がにぶかった。

 

 

 

「というわけで、やはりユピーには無理だ。俺一人でやった方が逆に安全だ」

 

 メルエムがそう宣言するが、護衛団達は納得しない。

 

「王、さすがにそれを認めるわけにはいきません。危険すぎます。王が一人でやるくらいならユピーに一人でやらせます。その場合でも王とユピーとの面会による不自然さの問題は解消できますから」

「僕もそれがいいと思うにゃ」

「すいません王。私がふがいないばっかりに」

 

 本当に申し訳なさそうなユピー。ピトーとプフは引こうとしない。

 メルエムとしては自分一人が出るのが一番いいと思っているのだが、ここで意見を押し通すのは何か気分が悪い。

 

「ちゃんとした理由もある。俺はクルタ族出身でそのころの記憶もあるから、出自を質問されてもちゃんと答えられる。しかし、ユピーは強面無口キャラで質問を回避する以外に方法が無いと言うではないか。やはり俺の方が安全だろう」

 

 正直なところ、メルエムとしては単に闘技場で戦ってみたいからという理由もあったのだが、それは伏せておいた。逆効果に決まっているからだ。

 

「しかし、クルタ族は全員死亡したことになっているので、あまり踏み込まれるとまずいことには違い無いでしょう」

「そうだにゃ。それにもともと王が出る必要は無いのにゃ」

 

 しかし、やはり護衛団は引かない。

 

 

 最終的に、一度ユピーが一人で200階まで行き、安全なようならメルエムが一人で200階まで行くことになった。

 しかし、ユピーはできる限りゆっくり登るらしく、メルエムの出番はあるとしても当分先となった。

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