「すまないが、今から言うことは依頼というよりは命令なんだ。大人しく協力してくれよ」
そう言うや否や、メルエムはカルトの背後に回り、小さな円を展開した。
「ああ、うわああああああああああ!!!!!」
円の中で絶叫するカルト。そしてひざまずく。メルエムのオーラはやはり怖いらしい。
一度叫んだカルトは、それが終わると逆に静かになった。捕食者に見つからない様に息を殺しているという感じだ。
このオーラを当てるという行為。手っ取り早く立場を分からせる脅しとしては十分機能したが、いささか効き過ぎたようだ。メルエムはそう思った。
「危害を加えるつもりは全くないから安心してくれ。ただ教えてくれたらそれでいい。蜘蛛達の居場所をね。報酬も、ほしければ何かあげよう。お金は50億ジェニーくらいならすぐに用意できる。蜘蛛に入っていた理由が彼らの宝を盗むことならば、それに協力してもいい」
メルエムは明るく、おだやかに、カルトを安心させるように意識して話しかけた。
しかし、カルトは未だに怯えている。返事が無い。
「幻影旅団の居場所を教えてもらいたいのだけれど。聞こえてる?」
メルエムは少しからかうように笑顔でそう言った。
ビクビクしているカルトがかわいいのだ。
「わ、わ、分かった。言う通りにしよう。だから、こ、殺さないでくれ、ください」
カルトはガチガチに震えている。
メルエムはとうにオーラを引っ込めているのだが、カルトはまだひざまずいたままだ。
10分ほどして、ようやく落ち着いたらしいカルトはどんどん旅団員の居場所を特定して行った。
しかし、オーラが切れたようで、5人特定するのが限界だった。
「とりあえず、今日見つけた分は始末しに行こうか。と言ってもフランケンシュタインは遠いから、あいつを追いかける時間は無いがな。まあとりあえず残りの4人は逝っとくか。もちろん一番初めはクソソで」
クソみたいな組織(幻影旅団)の開祖。略してクソソ。クロロのことだ。
「そうですね。エサの違和感に気付かれて変に対策を練られる前に、早めに狩っていくのがいいでしょうね」
「と言っても、もうエサは用済みのようだけどな。場所が特定できるからおびき寄せる必要が無い」
言ってメルエムはシズクを見る。
そして、今から処分するつもりなのか、手にオーラを込めた。
「ま、待ってくれ。もう少しだけ使いたい。処分するのは……」
すると、カメレオンが慌てて止めに入った。
よほど溜まっているらしい。
「言っておくが、完全に支配できているわけではないからな。何かの拍子に意識が戻ることはある。下手したらお前殺されるぞ」
パームのように、完全にアリになっても意識を取り戻すこともあるのだ。このシズクだっていつ正気に戻るかは分からない。
「わ、分かってるけど……」
名残惜しそうにシズクの方を見るカメレオンは、ふとカルトの視線に気付いた。
「うっ……」
息を詰まらせるカメレオン。
10歳前後の美少女にこんな姿を晒すのは恥ずかしかった。とうに捨てていた羞恥がふつふつと沸いてきた。
「くっ、どうにでもしやがれ! ちくしょうっ!」
カメレオンはすねてしまった。
メルエムはそんなカメレオンを見てにやりと笑う。
そして、サッと真面目な顔になってシズクの下に近づき、一思いに心臓を抜き取った。そして食べた。
そして、シズクを殺してから2分もしないころ。旅団員を一人殺したという感慨にふける間もなく、メルエム達はクロロの下に向かった。
移動しているメンバーは円で調査していた人達に、カルトが追加されている。
移動方法はメルエムの飛行。カルトとピトーは脇に抱えて、プフは尻尾にしがみついている。
30分ほどで、カルトが指示した場所に着いた。完全な位置はつかめないが、大まかに言えばこのあたりにいるらしい。
場所は街中で、人が大勢いた。ビルも立ち並んでおり、当然その中にもたくさん人がいる。普通の人ならこの中で一人を見つけるのは至難だろう。
しかし、メルエムの円なら半径1キロは覆い尽くせる。大まかな位置さえ分かれば、人、特に念能力者などはすぐに見つけられるのだ。
「カルトちゃん、見ていなさい。おじさんが本気の円を見せてあげるよ」
などとのたまうのは単に自慢したいからだけでなく、急に莫大なオーラに当てるとカルトがびっくりしてしまうからだ。
メルエムはカルトに微笑むと、真剣な顔になって一つ息を吐いた。
そしていつものごとく目いっぱい息を吸い、目を見開くと同時に円を展開した。
「くうっ」
うめくカルト。分かってはいたが、それにしても莫大過ぎるオーラ量なのだ。思わず声が出てしまった。
ちなみに、シズクを食べてパワーアップしたのと、クロロを殺せる喜びとで、今回の円はいつも以上に強大だった。
「くっくっく、そこか。クソソめ」
メルエムは円を閉じると、クロロ目がけて、目いっぱい跳んだ。
コーヒーブレイク中だったクロロはとあるカフェの中にいた。
だから、メルエムもひとっ跳びでクロロの目の前に行くことはできず、一度入口まで行ってドアを開き、そこからクロロを目指した。
異常なオーラに当てられたクロロは額に汗を浮かべながらも、さすがというべきか、冷静だった。
メルエムが店内に入ってくる様子もジッと見ていたし、メルエムを敵と判断して戦闘態勢にも入っていた。
しかし、そこまでだ。
クロロはメルエムを見失った。そして同時に、両腕を失った。
「あっはっはっはっはっは!!!!」
愉快気に笑うこの男は、実は芸が無いのかもしれない。魔人ブウだったころと行動パターンがほぼ同じだった。
しかし、今回は一応、足は残してある。逃げる様を見て楽しもうとか、そんな理由からだ。
と言ってもここは街中。クロロが暴れて一般市民に被害が出ては困るので、元気に逃げさせる気は無い。
「あふぁっ!」
変な声を出すクロロ。
メルエムはまず、男の大事なところを蹴ってつぶした。
悶絶するクロロ。両腕の切断面からは血も流れている。
「ぐう、むむむ」
と、ここでメルエムはクロロの頭をつかむと、タオルを無理矢理口に突っ込んだ。舌を切って自殺されないためだ。
「むー! むー!」
そして、足の指を一つ一つ、丁寧につぶして行く。叫ぶこともできないクロロは目から涙を流すばかりだ。
「むーーーーー!!!!!」
足の指をつぶし終わったメルエムは、今度はスネと膝を粉砕した。
クロロは痛みに耐えかねてビクビクと痙攣し始めた。
「ふーー」
などと言っているメルエムはやっと落ち着いたらしい。
いや、まだ満足していないようだ。あらぬ方向に曲がったクロロの足をつかんむと、ずるずると引きずりながら店を出た。
大勢の注目を集めながら、メルエムはクロロを引きずって歩く。クロロの顔が地面に当たるようにしながら。
異様な光景に、思わず道を開けて行く民衆。メルエムはかまわず進む。そして、人が一番多そうな場所に行くと、そこで立ち止まり、クロロを仰向けにした。
「ぐうっ! むむむっ!」
足で下腹部を執拗に攻めるメルエム。狙いは失禁だろう。やはり芸が無いらしい。
20発ほど蹴ったところで、クロロは失禁した。
「よし!」
などと言っているメルエム。やはり失禁が狙いだったらしい。
人迷惑なS趣味のせいで周囲に異臭が漂う。偶然通りがかった人たちは眉をひそめる。
「そこの君! 何をやってるんだ!」
と、ここでようやく警察が現れた。
メルエムはもう十分満足していたし、こういう厄介事はごめんだった。
だから、あっさりとクロロの心臓を引き抜いて食べると、その場を離れた。
こんな調子でたっぷり痛めつけながら、メルエムは旅団員を狩って行った。
3日で全員狩り終えた。
やはり女性に甘いらしく、マチはおしりぺんぺんだけで、その後一思いに殺した。
害悪でしか無いという理由から、属さない男も殺した。