旅団狩りRPG   作:GGアライグマ

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娘のターン ナニカに憑依

 やがて男はあらゆる国を解体して、人間の世界を統一した。特に富の独占を徹底的に叩き、できうる限り機会が平等となるよう法制度を固め、それを実行できるよう弟子達を軍または警察組織の指導者に組み込んだ。

 子はなさなかったが、多くの弟子達は子や孫のようなもので、また彼等の子や孫達が数世代にわたって、旅団のような凶悪な集団が生まれない安定した社会を維持していくだろう。それも永遠ではないだろうが、さすがに死の何百年も後を保証するのは難しい。

 

 とかく、男は大満足で73歳の生涯を終えた。護衛達は後をおい、クラピカらも歳をとっていたので数年後には亡くなった。

 

 

 男が気分よく一生を終えたことで、男の念は現世を離れてしまった。

 しかし念能力“旅団狩りRPG“はなくならず、新たな形で発動する。

 

 旅団に徹底的に蹂躙され、あらゆる苦痛の中で意識を失うことも許されず、ただ死にたい、解放されたいと思っていた娘は、突然眠りから覚めたような感覚を味わった。

 

「ここは……?」

「お、おいアルカ。どうしたんだ?」

 

 目の前に、猫のような目をした3歳くらいの銀髪の男の子がいて、こちらを向いて驚いている。

 

「誰? 私はアルカじゃないよ」

『ちょっと、だれよあなた。どうなってるの? どうしてあたしの体に知らない人が……』

「え? 誰……?」

「お、おい! お前は誰だ!? アルカを返せ!」

 

 娘はアルカの中のナニカになっていた。

 

 しばらくして、誰かの願いを叶えると元の人格の主アルカに戻ること。お願いの対価を求めようとすると娘の人格が表に出ること。対価を3つもらうと目が真っ黒にぼやけて娘の人格が表に出て、再びお願いを叶えられるようになることが分かった。

 娘は名前を覚えていなかったので、キルアの言うナニカを名前として受け入れた。

 さらにしばらくして、アルカとナニカが意思を合わせると、お願いと無関係に人格を入れかえたり、命令という形で対価なしで願いを叶えたりできると分かった。

 

 当のナニカの願いは、苦しみからの解放だった。それは箱庭でかごの中の鳥のように暮らせば達成できたが、一度達成できると別の欲が沸くもので、昔の家族に会いたくなったので、アルカの兄キルアに能力を使ってくれと頼んだ。

 キルアはナニカの願いを聞き入れ「俺をつれてナニカの昔の家族のもとに瞬間移動しろ」と命令する。ナニカは命令を受け入れ、キルアを連れて飛んだ。

 

 目の前には仲睦まじそうな4人の家族。突然現れたキルア達を警戒しているが、ナニカは涙を流して喜んだ。

 

「お母さん、お父さん、お兄ちゃん……」

 

 が、突然膝をつき、前のめりに倒れてしまう。

 

「ナニカっ!」

 

 キルアはぎょっとして地面にぶつかる寸前で受け止め、意識を確かめる。が、眠っているだけだった。力を使い過ぎたらしい。

 

 キルアはナニカが寝ている間にナニカを目の前の家族に紹介した。家族は怪訝そうな視線を向けたが、キルアもナニカも5つにもならないほど幼かったので、拘束も何もせず、ナニカの目覚めを待った。

 起きたナニカは再び涙し、私だよ、娘だよとアピールした。そのしぐさがすぐそこの娘そっくりで、家族は狼狽して、本当の名前でよばれている方の娘はいぶかしがったが、他の3人は不思議なこともあるものだ、と言ってある程度受け入れた。

 

 村長は「わけの分からん娘を入れることはできん」と渋ったが、「いずれくるだろう蜘蛛の刺繍がある集団をやっつければ認めてくれるか」とキルアが尋ねた時、どうせ無理だろうと思った村長は「幻影旅団のことを言っているなら、やっつければ認めてやる」と口約束した。

 

 

 ナニカは涙ながらにゾルディック家に戻った。それから兄は殺し屋としての本格的な教育を受け始め、アルカもそれなりの鍛練がなされるようになった。ナニカはゾルディック家ではキルア以外に姿を見せなかったので、彼がいないと退屈で、よくアルカに愚痴をこぼした。アルカの方もたまらず返事をするから、独り言が多いと見られるようになり、肉体的素養もいまいちだったので、すぐに期待されなくなった。

 が、殺し屋になりたくないアルカやナニカにとっては願ったり叶ったりだった。

 

 数年後、ナニカの能力で予想した旅団襲撃の日が近づいてきた。

 キルアとナニカは再び瞬間移動でナニカの故郷近くに移動して、そこでまたナニカは眠ってしまう。しばらくしてナニカが目覚めると、キルアが「俺を旅団全員に勝てるようなスーパーマンにしろ」と命令し、ナニカが叶えた。

 キルアは一瞬で、髪がバカ長い大人に変身した。謎のポーズで謎の威圧感を出しながら、英語で決め台詞。

 

First comes my sister. (妹第一)

 

 キルアはとんでもなく身体能力が上がっただけでなく、謎の電気を発したり、物を固く鋭利に強化したりと、魔法のようなことができるようになっていた。「おそろいだね」とナニカは喜び、キルアも「これなら家の外でもバレないぜ。自由になれるならもう元の姿に戻らなくていいや」と笑ったくらいだった。

 

 キルアは威圧感たっぷりに2キロもある円で村の外を警戒し始めた。ナニカは人殺しを嫌っているので、キルアは戦わないならそれに越したことはないと思っていた。のだが、予想通り戦闘狂のイカれた集団だったので、叶わなかった。

 嬉々として円に触れる、1匹の獣。キルアは直ぐ様そこに向かう。円により、他の団員達が捕捉される。

 念入りに、彼等の外回りをグルリと回ったりするが、他に反応はなし。そこで、ようやく獲物に狙いを定める。その間、誰も“電光石火“を発動したキルアを捉えることはできない。

 

「ひゃっはっはっは! かかってきやがれ!」

「無茶だぜウヴォー!」

「ああん? 俺の獲物の邪魔は……はっ?」

 

 しゃべっている途中、バリっという音がしたかと思うと、ウヴォーは首以下の感覚を無くした。チラと下に視線を向けると、首と胴体が離れている。

 

「な、はdyhtっdっsー」

「ウヴォぉぉぉー! ぐっ、かはっ」

「あがべっ」

「な、何が起きてるんだ!」

「ちっ、厄介な念だぜ。ぐふっ」

 

 相手を知覚することができず、バリっという静電気音と発光が見えるだけ。いや、土煙や足跡も見える。だのに足音はなく、気付いたときには心臓を抜かれ、または首をもがれ、または頭をつぶされていた。

 

「くっ、一旦引くぞ! 四方に逃げろ!」

「なんだって!? 仇もとら……ず…………」

 

 団長が指示を出すが、時既に遅し。気づくと立っているのは自分一人になっていた。

 

「クソッ。姿を表せ臆病、も、……の…………」

 

 その団長も突然めまいがして、崩れ落ちる。理由が分からず、ただ胸に違和感あるので触ってみると、何もなかったので空を切った。蜘蛛の頭はそのまま意識を失い、亡くなった。

 

 キルアは旅団討伐をナニカと村長に伝えた。村長はキルアの風貌、念の膨大さに恐れ驚き、きっと旅団討伐も真実だと悟り、彼を怒らせるのは得策でないからと、ナニカとキルアを村の一員として認めた。

 

 それからしばらくは穏やかに過ごした。が、キルアは飽きっぽいのですぐに田舎の生活に不満が出始め、止める力もないからと村長は外出を許可した。ついでにアルカも出ていった。村の家族にはまたいつでも会えるからと、今は大好きな兄と共に暮らすことを望んで。

 

 それから、天空闘技場で金儲けしたり、そこで目をつけてられて襲ってきた変態ピエロを殺したり、ハンター試験でイルミに正体がバレてアルカが拐わたり、ゾルディック家に乗り込んでアルカを救出したり、ヨークシンでギャンブルを楽しんだり、グリードアイランドというゲームを楽しんだり、キメラアントの王との戦いでキルアが苦戦して、ナニカが初めて能力で人のような知能を持つ生物を殺したり、暗黒大陸と呼ばれる人間界の外の世界でナニカと似た生物に出会ったりした。

 とかく、キルアと共に世界を遊び回り、キルアが不摂生により58の若さで亡くなると、アルカとナニカも後を追うように1年後亡くなった。が、娘には大満足の生涯だった。

 

 娘の魂は念能力から解放され、また新たな人格が能力を牽引する。

 次は息子で、憑依対象は先程の銀髪の少年、キルアだった。

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