ムイシキデイリー   作:失敗次郎

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赤き制裁、死色の真紅、疾風怒濤、砂漠の鷹、仙人殺し、一騎当千――――

人類最強の請負人。

哀川潤。


VS哀川潤

「――――とりあえず挨拶か。初めまして」

 

 気さくにその赤い人は声をかけてきた。

 私はどうしたものだろう、とフランに視線を投げるが、フランはというと臨戦態勢に入ってる。まあこの状況、どこからどうみてもこの人があやしいもんね。紅魔館崩壊事件。

 けどあやしいからといって、喧嘩を吹っかけても勝てる気がしないのは何でだろう。

 ここは相手に合わせるべきか。

 

「どもどもー。初めまして」

「気安く声かけんな」

 

 どうしろというのか。

 私が戸惑っていると、赤い人は何が面白いのかククッと笑いをこぼした。

 

「自己紹介しようぜ。あたしもお前らの名前は知ってるつもりだけど、人違いだったら恥ずかしいし。…………まずあたしからだな。

 

 あたしは哀川潤だ。

 

 哀しい川が潤うって書く。かっけえだろ?」

 

 ……………………。

 ……………………哀川、潤?

 哀川潤!?

 それっていーちゃんが言ってた、あの人類最強の請負人って奴じゃ――――。

 

「いーたんから聞いてんのか。あいつも嬉しいことしてくれるじゃねーか。あたしの名を妖怪の国にまで広めてくれるなんて」

 

 あれ、私は何も口にしてないよね?

 ということは――――心が?

 

「わかるんですか? 相手の心」

「読心術はあたしにとって呼吸と同じだ。んなことより、ほれ、名を名乗れ」

「…………古明地こいしです。フランも、ね?」

「フランドール・スカーレット。ねえ、一つ聞いていい?」

「何だ? あたしに答えられることなら何でも答えちゃうぜ?」

「紅魔館を壊したのは誰?」

「あたしだ」

「中の皆は?」

「一人ずつぶん殴ってやった」

 

 やばい気がする。

 私はフランを何とか抑えようと思ったが――――遅かった。

 フランは私が瞬きする間に哀川さんの目の前に移動していた。そして勢いのままに、殴りかかる。

 

「――――そうこなくっちゃな」

 

 が、外れる。私からしたら見えないフランの攻撃は、哀川さんに掠めることもなく空を切る。

 そして空ぶった腕を掴まれ、私のいるところへと投げ返される。

 フランは起き上がると、すぐさま哀川さんの前まで戻ろうとするが、私がそれと止めた。

 

「こいし! 邪魔しないで!」

「…………邪魔はしないよ。ただ、応援が来たから、さ」

 

 私が言い終わると同時に遅れてきた三人が到着した。

 秦こころ、封獣ぬえ、古明地さとり。

 私は戦闘に関しては素人も同然だけど、さっきのだけで一対一じゃ勝てそうにないのはわかる。だから少しでも勝率を上げるために、皆の存在は不可欠だ。

 これで五対一。数の上では圧倒的優位に立ったわけだ。

 

「こいし、これどういう状況?」

 

 こころちゃんが当然ともいえる反応をしてくれた。話を促してくれるとこっちもありがたい。

 …………どういう状況、か。ふむ。

 

「あの赤い人が敵。殺さずに生け捕りにしよう」

「わかった」

 

 お面をいくつか自分の周囲に展開し、両手で薙刀を持つ。

 ぬえっちは無言で頷き、その手に槍を出現させ、構える。

 お姉ちゃんはというと「え、私もやるの?」みたいに目を丸くしていたが、諦めたように戦闘態勢をとる。

 フランはさっきからずっと殺る気満々。

 そして私も覚悟は十分。

 

「――――行くよ」

 

 五人同時に動き出す。

 私とフランが真正面から。右からこころちゃんが、左からぬえっちが。そしてお姉ちゃんが後方から弾幕を張って援護してくれる。…………私達に当てないでね?

 そして私達が動くのを確認してから、哀川さんもまた動き出した。

 直進してきた。

 

「え」

 

 私が疑問を口にする前に、まず吹っ飛ばされた。哀川さんが腕を薙いだだけ、それで私はこの戦場から離された。フランが遅れてそれに反応するも、哀川さんの攻撃の方が早い。蹴りが腹に直撃して、その場に蹲っている。

 そこでようやくお姉ちゃんの弾幕が哀川さんに届く。…………届こうとしていた。

 全部かわされた。元々弾幕なんて言うのはお遊び用のものだ、攻撃するためのものじゃない。だからかわされるのなんてある意味当然の結果だ。一対一なら。

 私達をいなした後にこの動きだ。おかしい、何かがおかしい。

 こころちゃんとぬえっちが弾幕をかいくぐった哀川さんを挟撃する――――痛っ。ああ、ようやく地に落ちたんだ。結構飛ばされた。何とか戦場の様子が見えるくらいの距離。たった一撃でこれ…………ええ?

 あ、こころちゃんとぬえっちもやられてる。

 参ったな、どうしようもない気がする。

 

「こいし、大丈夫!?」

「あ、お姉ちゃん。…………うん、大丈夫だよ」

「怪我してるじゃない! その腕、本当に大丈夫なの?」

「これは地霊殿でワニに噛まれたの」

「……………………」

「……………………」

「作戦が必要ね」

 

 流された。

 自分のペットでしょーが。

 

「あの三人に戦ってもらって時間稼ぐとして…………あんたはどれくらい無意識を意識下で操れる?」

「百パーセント」

「よく言ったわ。それで哀川さんをかく乱して。私は封獣ぬえと合流して、それからまたあんたに指示する」

「フランとこころちゃんは?」

「前衛を任せる」

 

 了解、と口にする時間も惜しい。

 私は全速力で戦場に戻り、触手を伸ばす。

 

「む――――戻ってきたか」

 

 嬉しそうなところ悪いけど、私はまともに戦うつもりは毛頭ないんですよね。

 ハートの弾幕をいくつも適当に飛ばし、無意識で哀川さんの意識から逃れる。今の彼女には弾幕しか見えてない。私はそこらの石ころと同じだ。

 彼女が弾幕をかわすのを見たが、それから追撃はない。私は攻めあぐねているぬえっちの近くで小声で伝える。

 

「お姉ちゃんが呼んでる。行って」

「ここは任せるよ」

「うん」

 

 ぬえっちが移動する。

 次に私はスペルカード、無意識「弾幕のロールシャッハ」を放ち、再び哀川さんを牽制。

 

「はっ。またこういう奴か。あたしも使えりゃよかったんだけど――――なぁ!」

 

 あ、完全にバレてる。

 哀川さんは当然のように私の弾幕をぎりぎりのところで回避し、まっすぐにこっちに向かってくる。

 やられる、と思ったが、忘れてた。私は一人じゃないんだった。

 

「――――レーヴァテイン!」

 

 視界を覆い尽くすほどの炎が広がる。流石の哀川さんもそれを後ろに飛んで回避する。

 その炎の出処を見れば、この場で一番頼りになる紅白の服が見えた。

 

「フラン!」

「ねえこいし。あいつ、壊しちゃダメなの?」

 

 壊す。

 殺す。

 フランからしたらそうしたいのはわかる。大事な家族の敵だ。むしろ今までよく我慢してくれたと思う。

 けどやっぱり、それは許可できない。何せあの人は、いーちゃんの憧れの人だ。殺すことなんて出来ない。

 …………かといってこのままじゃ勝てそうにないんだよなあ。お姉ちゃんが何だか作戦を練ってくれてるみたいだけど、それも通用するかわからない。仕方ない、か。

 

「わかった。けどフラン、殺さないようにね。一部だけなら壊していい」

「失敗したらごめん」

「大丈夫だよ。フランのこと、信じて!」

「その言葉があれば何だって出来る!」

 

 フランがレーヴァテインを消し、右手を広げる。私には見えないけど、恐らくその手の中には目と呼ばれる、対象の弱点が移動しているはずだ。

 私のすることは一つ、それを邪魔させないこと。

 それが出来るのは――――これだ。

 

「本能「イドの解放」。いくよ!」

 

 弾幕を広範囲に飛ばし、相手を寄せ付けない私のスペルカード。哀川さん相手にどれだけ通じるかはわからないけど、出来ることなんてこれぐらいしかない。

 で、やっぱり通じないと。むしろ弾幕を素手で弾きながら高速でこっちに来る。怖っ! 哀川潤、怖っ!

 けどどうすることも出来ないからそのまま弾幕を放ち続ける。何にしてもフランの邪魔はさせない!

 

「なるほどな――――本命はあっちのフランドールか」

 

 っ! 読心術!? しまった!

 哀川さんは私から方向転換し、フランに向けて一直線に進む。その時に視界に入ったフランの様子だが、手を握り締めるコンマ秒前だ。だが何があるのかわからないのが哀川さんという怪物だ。

 私は――――私は。

 無意識を操った。

 哀川潤の無意識を操り、誰しもが持つ恐怖に対する怯えを呼び覚ます。その時、一瞬だが動きは止まる。

 それと同時にこころちゃんも加勢してくれる。面をいくつか飛ばし、哀川さんを襲う。

 もっとも、その前にフランが哀川さんの身体の一部を破壊するだろうけどね! ごめんいーちゃん!

 

「――――痛っ!」

 

 が、フランの動きが止まった。

 今にも握りしめられそうだった手が何かに弾かれ、能力の発動に失敗したようだ。

 その何かとは。

 私の弾幕だった。

 この為に、避けずに弾いてきたの!?

 そしてこころちゃんの飛ばした面は適当に落ちている石を投げて相殺、一瞬、戦場が静寂に包まれる。

 

「あっぶねー。悪いが、フランドールとこいしの能力は知ってるんだ。フランドールはお姉さんから、こいしはいーたんから、な。いやー悪い悪い」

 

 知られてる。

 それはつまり――――こういうことになるね。

 フランの能力を使うためには、もっと強固な守りを作らなきゃいけないってことだ。

 

「どうするの、こいし」

 

 こころちゃんが私の傍に来る。どうするって言ったってねえ…………参ったな―こりゃ。

 私の能力で勝つことは不可能、ただのその場しのぎだけ。フランの能力を使うことが勝利条件になるんだろうけど、それはまず許してくれないだろう。

 じゃあどうするか。

 どうしたらいいんだろう。

 まあ、何でかわからないけど作戦会議中は哀川さんが仕掛けてこないから、時間だけはあるんだけど。出来ることならフランが全力を出せるよう、夜中まで待ってくれたらいいのになー。

 悩んでる私の元にフランが戻ってきて、更にそこにぬえっちとお姉ちゃんが合流してくれた。

 

「何かいい作戦ある? お姉ちゃん」

「何とかするしかないんでしょ?」

「じゃあお願いね」

「はいはい。作戦を説明するわよ」

 

 お姉ちゃんを中心に私達が囲む。その間も哀川さんに注意を払い続ける。今のところは待ってくれてるけど、ずっとそうしてるとは限らない。気が変わったとか言って攻撃してくるかもしれない。

 第一、これは向こうが宣戦布告してきた殺し合いだ。ルール無用の死合だ。何時何処で誰が何をしても文句なんてつけれるはずもない。

 さて、お姉ちゃんはどんな作戦を思いついたんだろう。

 

「基本的には、私とこいしで彼女――――哀川潤を乱し続けるわ。そしてその為にぬえさん、あなたの力を借ります」

「さっきの通りね? 了解了解、任せて」

「で、フランドールさんは前衛をお願いします。こころちゃんは基本前衛、呼んだら私の方に。あ、こいしも守ってあげてね」

「わかった」

「私の負担大きくないか?」

「じゃあ――――そういうことで。あ、こいしは適当に弾幕張って哀川潤の記憶を弄っといて」

「あー、そういうこと。りょーかい」

 

 私達は同時に動き出した。

 フランとこころちゃんは前に、私は少し遅れて二人の後につく。ぬえっちは更に遅れて後ろからくる。そしてお姉ちゃんが弾幕を張る。言ってしまえば最初と変わらない布陣だ。だが決定的に違うところがある。

 全員、本気だということ。

 

「行くわ。想起「イドの解放」」

 

 私の弾幕がお姉ちゃんを中心に放たれる。誰の記憶から想起したかなんてのはどうでもいいことだ。言ってしまえばここにいる誰もが記憶に新しいだろうから。

 私は哀川さんの記憶に入り込み無意識を操る。記憶の居場所なんてのは意識じゃなくて私の領分、多少ならいじくれる。だから、「イドの解放」の記憶をちょっと変えさせてもらう。

 忘れてしまえ。

 そうなれば、こっちのものだ。

 

「んあ? こいつは…………どういうことだ?」

 

 一体何が見えてるんだろうね、哀川さんには。

 正体不明の種を植え付けられた弾幕、あなたの目には何に写ってる?

 後はお姉ちゃんの仕事、私は私でもうちょい厄介にさせてもらう。

 哀川さんの後ろに回って、スペルカードを使用。

 

「抑制「スーパーエゴ」」

 

 これは私のスペルカードの一つ、「イドの解放」から放たれた弾幕を私の周囲に集めるというもの。

 「イドの解放」の対になってるスペルカードだ。

 つまり。

 お姉ちゃんの放った「イドの解放」、その弾幕を私の周りに集める。

 それも、私はちょこちょこ動きながら。たまに哀川さんの無意識を操って不意に後ろに現れたりもしてみようかな?

 さあ、この縦横無尽の弾幕にどう対処する? 言ってしまえば自機狙い弾になったりする広範囲弾幕にすぎないけどさ。さっきみたいに弾ける? 何に見えてるかわからないけどさ。

 その上で、フランの能力を捌けるかな?

 もちろんこれで終わったりはしないけど。

 

「さあ、私と最強の称号を賭けて闘え!」

 

 こころちゃんが薙刀を振い哀川さんに襲い掛かる。

 それをかわしたところで、フランの襲撃が待っている。片手が使えないとはいえ、吸血鬼の力で拳でも脚でも当たれば一発KOだろう。能力がなくても吸血鬼としての身体能力というだけで十分な脅威だ。

 見れば、ぬえっちも能力を使ってから前衛の応援に来ている。私もそっちに参加しようかな。手数は多い方が良い。

 触手を伸ばして、哀川さんの方に飛ばす。縛りつけてやればいいだろう。もちろんすぐに離されるとは思うけど、ほんの少しでも時間を稼げればいい。後は皆が仕留めてくれる。

 よーし、一気に畳みかける。

 

「――――面白くなってきやがった」

 

 が、それで止まる哀川潤ではなかった。

 彼女はとりあえず感覚でお面と薙刀によって攻撃するこころちゃんを退け、次いで向かってくるフランを片手でさばきながら、私とお姉ちゃんの弾幕をかわし、弾き、ノーダメージのまま戦闘を続行する。ぬえっちが槍を突き出せばそれをそのまま返し、私の触手は哀川さんが戦いながらも身体をずらし、フランを盾にするかのように立ち回るためまったく当たらない。

 …………どうすればいいんだろう、ホント。

 

「こいし」

 

 ふと気づけば後ろにお姉ちゃんが立っていた。

 どうしたんだろう?

 

「今哀川潤の心を見てきたわ。この弾幕が何に見えてるのか、とかね」

「弱点は?」

「こころちゃんに任せるわ。狐の面を付けさせて。フランドールさんはその援護に回す」

「了解。私はどうしたらいい?」

「無意識で私達を動かして。そうね、あっちの方角に。ここじゃフランドールさんの心が乱れるばかりだわ」

「わかったよ」

 

 広範囲に意識的にやるのは初めてだけど、そうも言ってられない。お姉ちゃんが指示した方向は確か、博麗神社の方だ。最悪、あの巫女さんに任せるってわけね。

 お姉ちゃんが皆が戦っている危険地帯に行くわけもないし、私が伝達に行かなきゃいけなさそう。ま、やるけど。

 私は頬を叩いて気合を入れなおすと、適当に弾幕を張りながら接近する。もちろん誰にも当たりはしないけど、弾幕はあるだけである程度相手の行動範囲を狭めることが出来る。それだけで十分。

 まずはちょっと吹き飛ばされて哀川さんと距離のあるこころちゃんのところに行く。

 

「こころちゃんこころちゃん」

「ん? 作戦?」

「まあね。狐のお面あるじゃない? あれ付けて戦えって」

「わかった」

 

 こころちゃんは数ある面の中から狐を模ったものを被り、再び哀川さんの元へと飛ぶ。これに何の意味があるのかはわからないけど、お姉ちゃんが言うんだから大丈夫だろう。

 次にフランのところに――――いや、あのまま戦わせておいた方が良いかな。やりたいようにやらせよう。多分だけど、その方がフランもやりやすいと思う。

 後はぬえっちか。特に指示はないけど…………個人的にお願いしたいことが出来た。

 

「やっほ。元気してる?」

「元気に見える? あー痛い」

「元気そうだね。私に正体不明の種、いくつかちょーだい」

「あいよ。こころに何か言ってたみたいだけど、何?」

「応援してきた。ぬえっちはある程度距離を置いて戦ってて、どっちかが戦線から離れたら参加して。常に二対一の状況を作る」

「任せといて」

 

 さて、後はお姉ちゃんに頼まれた通りに皆を少しずつ動かしていこうかな。

 急激に動かすことは出来ない。あくまでも、その方向に向かわせたくなる程度のものだ。けどそれは心の底にまで染み込む。表面には出なくても、向かわなきゃいけないっていう使命感のようなものから逃げることは出来ない。

 よーし、やることやったし私も参戦だ!

 再びお姉ちゃんとアイコンタクトでイドエゴ戦法を始める。

 哀川さんに石を投げられて止められた。まるで槍で肩を貫かれたみたいに痛い。石だよね、これ。こいしだけに小石を当てたってことかな?

 何でもないです。

 さて、早速ぬえっちから貰った正体不明の種でも使わせてもらおうかな。

 私はこれを、自分自身に仕込んだ。

 そして哀川さんに接近。能力を生かして気付かれないように。

 途中、フランが吹き飛ばされたりしてるのを助けながら何とか哀川さんの背後に立つ。

 そして、声をかける。

 堂々と。

 

「哀川さん」

「名字で呼ぶんじゃねえ。名前で呼べっつってんだろ、いーたん。…………ああいや、違うな。こいしか?」

「どうでしょう?」

 

 ふうん。

 いーちゃんに見えるんだ、やっぱり。

 お姉ちゃんに言われた通り、おそらく私はいーちゃんになろうとしていただけなのだろう。無為式なんてないし、戯言遣いでもない。だからすぐにバレちゃった。

 けど、本質は同じなのだから――――かぶって見えても仕方がないことなんだろう。まあ、無意識に干渉してちょちょいといーたんを連想させるようにしてるのは私なんだけど、ちゃんと効果が出てるようで助かった。

 おかげで突然殴られて吹っ飛ばされることもない。

 目的はここじゃないんだけどね?

 哀川さんが一瞬目を逸らしたところを、こころちゃんが薙刀を振う。それを避けようとした哀川さんの動きが一瞬止まったのを私は見逃さなかった。

 とはいえ私は戦闘の素人だ。一瞬だけじゃ何をすることも出来ず、こころちゃんの薙刀に巻き込まれないようにここから戦線離脱しただけだった。

 私は更にぬえっちが追い打ちをかけているのを視界の端に捉えながら、お姉ちゃんと視線を合わせる。お姉ちゃんが視線で私にこっちに来い、と言ってる気がしたからそこまで戻る。

 

「どうだった?」

「上々。ちゃんと皆動かしてくれてるみたいだしね」

「狐がウィークポイント?」

「ええ。動揺が目に見えるわ」

「私にも見れたらよかったのになー」

「大丈夫よ。ちゃんと見えるようになるわ。見えたんでしょう?」

「外の世界では、ね。今はわからない」

「少しずつでいいから、頑張りなさい」

「はーい」

 

 ちょっとした雑談の後、私もまた適当に弾幕を張って皆を援護する。近づいても出来ることないしね、私。

 いや待てよ。オカルトごっこしてた時の感覚で昇竜打てば大丈夫なんじゃないだろうか。1F無敵のフィゲッティスナッチャーの出番だ。起き攻めを重ねられても潰してスぺカまで持って行けた昇竜に不可能はない。

 よし、行ってみよう!

 

「オラァ!」

 

 最強には勝てなかったよ。

 姑息にも後ろから接近して無言で攻撃を仕掛けたけど、ノーダメージの哀川さんにボディブローを叩きこまれて回し蹴りで飛ばされた。いちいち相手を飛ばすのは流石に同時に相手するのは厳しいってことの表れなんだろうけど、だから何だって話だ。

 ううむ、それに躊躇なく蹴り飛ばされたところを見ると、もう正体不明が効かないってことなのかな。それかいーちゃんが日常的に哀川さんにボコられてるか。流石にそれはないか。いくら不幸そうな顔してるいーちゃんだからって、挨拶代わりに殴られたり蹴られたり、スタンガン浴びせられたりみたいなことはないだろう。

 それからも私は何かしておこうと思って無謀な挑戦を繰り返してはカウンターを喰らうを繰り返していた。

 唯一哀川さんと張り合えているのがこころちゃんだけだった。あの狐の面をつけてからだ。哀川さんにとってあれはやっぱり大切なものか何かなのかもしれない。大事なのはそこじゃないけど。

 とにかく、こころちゃん相手には明らかに攻撃の手が緩まっている。おかげでこころちゃんが常に哀川さんに張り付けている。そこにフランやぬえっちが挟撃するっていうのが今の基本戦術になってるけど、二人は容赦なく反撃されている。

 あ、博麗神社が見えてきた。じゃあすることは一つ。

 私は正体不明の種付きの「サブタレイニアンローズ」を放つ。

 皆巻き添えで。

 

「ん?」

「うわ!?」

「おっと」

「危なっ!」

「痛っ!?」

 

 お姉ちゃん以外の皆には避けられた。そりゃそうだ。突然撃ったとはいっても、皆戦闘中、良い感じの緊張感と警戒心があるんだから私程度の弾幕は当たってなんてくれない。お姉ちゃん以外は。

 けどね、この薔薇、こころちゃん以外には見せてないんだよね。

 で、何に見えてるのかな?

 あ、そうだ。お姉ちゃんを拾っとかないと。

 触手を伸ばし、ダウンしているお姉ちゃんを引きずってくる。

 

「痛い痛い痛い! 助けるにしても、もっと方法が――――」

「わかんなーい。さて、私達は先に神社に向かってよっか?」

「…………気付いてたの?」

「うん。フランの心が乱れるわけないもん。それに哀川さんがあそこにいたことを考えれば、ね」

「探偵業、やっていけるんじゃない?」

「生憎の探偵殺しだからね」

 

 軽口を叩きながら、お姉ちゃんを背負って博麗神社に向けて歩き出す。

 後ろで凄い音が聞こえるけど、大丈夫。誰も死にはしないだろうし。私は皆を信頼してるからね。

 こころちゃんもフランもぬえっちも、もちろん哀川さんも。

 あ、さっきの薔薇が何に見えたのか、後でフランに聞いておこう。私の中では、これが何よりも大事なことだからね。唯一の目的。

 そういえば、お姉ちゃんとこうして外を歩くなんて、何年振りだろ?

 何だか嬉しい。

 

 

 ※

 

 

 陽が落ちてきた。太陽が隠れた今、フランも全力を出せていることだろう。それは良いことなのやら、はたまたダメなことなのやら。

 陽と陰、か。

 いーちゃんはどうしてるだろうか。あの青い人と仲良くやれてるだろうか。背負ってたものを下して幸せになってるだろうか。ちゃんと光になれてるのだろうか。

 なーんて、心配することもないかな。私なんかよりもずっといーちゃんは強い。それはいーちゃんが強いってことでもあるし、支えてくれる人もたくさんいるって意味でもある。

 ずっと私はいーちゃんを尊敬していた。上に見上げていた。…………けど、私もいーちゃんみたいになれたよ。いーちゃんになるのは諦めたけど、いーちゃんに近づけた。

 私もいーちゃんの隣に立てるかな?

 今度会った時、隣で手を繋げるかな?

 …………自問自答しても答えはない。

 けど、それでいいのかもしれない。

 わからないのは、私が私である証拠だから。

 例え私が第三の眼で見たとしても、心が読めたとしても。私は私であり続ける。皆が好きだと言ってくれるのが私だって、やっとわかったから。

 ……………………。

 いつまでモノローグやってたらいいんだろう。

 私達が博麗神社で長々と待っていると、石段を上がってくる足音が聞こえた。…………最初にここに着いたのはやはりと言うべきか、哀川さんだった。

 ここの光景を見てニヤリと口元を歪め、それから私の頭を叩いた。

 

「あう」

「お前なあ…………こんなのいーたんでもやらねーぞ?」

「いーちゃんは責任感が強いからね。私はいーちゃんから卒業するために、あえてやったんだよ」

「それはただの逃げだ。いーたんから卒業っつーんなら、いーたんに出来ないことをやれ」

「はーい。で、皆は?」

 

 哀川さんは指で後ろを示すことで応えてくれた。

 それから間もなく、三人が飛んで来た。飛んで来て――――目を丸くした。

 うん、そうだよね。何となくわかってた私も、哀川さんの心を読んで事を把握していたお姉ちゃんも驚いたんだから。

 

 幻想郷の至る所から集められた人、妖怪問わずの皆で宴会やってる。

 

 その数、数え切れない。今も増え続けてるぐらいだ。…………あ、よく見たら入りきらず転げ落ちてる妖精がいる。誰か気づいてあげて、助けてあげて。

 ポカンと口を開けてる三人に、私は声をかける。

 

「駆けつけ三杯って知ってる?」

「…………どういうこと、これ」

「宴会だよ。主賓は哀川さん」

「名字で呼ぶんじゃねえ」

 

 脳天チョップ。割れるかと思った。

 とりあえずあまりに意味不明な事態に哀川さんとへの殺意も薄れているようだ。そんなことより、これは何? っていうのが強いようだ。

 まあ、そりゃそうか。どこから説明したものかな――――。

 

「――――私から言うわ、こいし」

 

 後ろからカリスマっぽい声が聞こえてきた。

 水色っぽい青髪に紅い瞳、ピンクの服と帽子を身に着け、カッコいい羽を生やしたその姿。

 レミリア・スカーレットだ。

 

「え…………? お姉、様?」

「元気そうねフラン。うっかり陽に焼かれてないかって心配だったのよ?」

「な、何で。え? だって、あれ?」

「落ち着きなさい。ちゃんと全部話すから」

 

 フランを宥めるその姿は正しく姉、って感じだ。まったく、うちのお姉ちゃんも見習ってほしいよ。

 

「こいし? さっきまで私、ものすっごいお姉さんやってたと思うんだけど?」

「記憶にございません」

「おいこら」

 

 脳天チョップ。痛くも痒くもない。

 レミリアさんの来た方をチラッと見てみれば、他の紅魔館のメンバーも揃っていた。咲夜さんなんかはレミリアさんに常に付き添ってるものだと思ってたけど、向こうで他のメンバーと飲み食いしてる。

 ああ、話を聞かれたくないからか。

 

「さて、貴方達は紅魔館の惨状を見てきたのでしょう? とりあえずはそこから話すわね」

 

 紅魔館。

 見るも無残な姿になっていたレミリアさんの城。

 

「まず、あれをやったのは哀川潤よ」

「悪いな」

 

 悪びれた様子を全く見せずに言葉だけで謝る。これ、個人的に謝らないよりもむかつく。

 

「で、私達は場所を追われてここまで逃げて来たのよ」

「…………お姉様、ダサっ」

「冗談よ。外を知ってもそういうところは変わらないのね」

「うるさい。それで? 本当のところは?」

「えーと、哀川潤に襲撃されて、仮にも人類最強っていうんだから、一方的に殺しても何だか申し訳ないでしょ? だからしょうがなく引き分けにして、代わりに貴方達をここまで連れてこさせたのよ」

 

 等とレミリアさんは供述しており。

 おっと、ここで現場のお姉ちゃんに繋がったようです。お姉ちゃーん。

 

「はい、現場の古明地さとりです。先程のレミリア・スカーレットの言ですが、今しがた私の能力を使ったとこ、まったくの嘘であることが判明しました。真相の究明のために心を読ませてもらいます」

「え、ちょ、やめて! そういうのプライバシーに関わると思う!」

「覚妖怪に何をおっしゃるのやら。…………あら、あらあら。大変な思いをされていたんですねえ」

「…………いくらだ。いくら欲しい?」

「そうですね、哀川さんにボコられた過程を詳しく」

「言うなぁ!」

 

 ボコられたことが判明。

 それからも詳細にお姉ちゃんがフルボッコの様子を聞かせてくれた。レミリアさん、咲夜さん、パチュリーさん、その他紅魔館の下僕達、それに加えて八雲紫も参戦して、完敗。…………んん? 哀川さん、本当に人間? 何でこの連中を相手に出来るの?

 で、哀川さんにこき使われてここの会場設営っと。ふむ、最初にレミリアさんが言ってたことは何も間違ってなかったんだ。ダサい。

 

「ちなみに彼女はここに来るまでにも霊夢や魔理沙、その他諸々と戦り合ってるわ」

 

 どこからともなく――――つまりはいつも通りに、八雲紫が現れて言った。

 え? この人そんなリアルチートなの? いや戦ってみて明らかにおかしいとは思ったけど、そこまで?

 この人、幻想郷を支配できるんじゃないだろうか。力ひとつで。

 

「んなことやんねーよ。つまんねえ」

「それは良かったです」

 

 幻想郷の平和は守られた。

 良かったねえ良かったねえ。

 

「…………ところで、何で哀川はここに来たの?」

「おいおい仮面の子。あたしを名字で呼ばない方が良いぜ。それはあたしの敵ってことだ。いいな?」

「敵じゃなかったのか」

「河原で殴り合えば友達だし、戦場で出会えば戦友だ。仲良くしようじゃないか」

「敵にしたら怖いしね。よろしく…………えーと」

「潤だ。哀川潤。よろしくな」

「秦こころ。よろしく潤」

 

 こころちゃんが恐る恐る哀川さんと握手する。それはとても微笑ましく思える光景だ。

 けど哀川さんの理論は共感できない。私はそれでフランに殺されかけたからね。友達は友達と思った瞬間から友達で、戦友は戦場で出来た友人のことだよ。多分。

 私は傍にあった水をグイッと飲む。あー温い。喉を潤せた代わりに妙な気持ち悪さが残る。

 

「それで、潤は何をしにここに?」

「あたしより強い奴に会いに来た、なんてな。…………そうだな、とっとと用を済ませるか。こいし」

「はいはい?」

「ちょっと面貸せ」

「はーい」

 

 面を貸しに行ってきます。

 私は哀川さんと博麗神社を出てそこらの木々の中に入っていく。どこまで行くのかなーと思っていたらそんな離れることもなく哀川さんは足を止めた。ここから宴会の様子が見えるぐらいの場所だ。

 

「まずはこいし。サンキューな。いーたんと玖渚ちんを幸せにしてくれて」

「どういたしまして」

「あいつら、どうにも自分から動こうとしねーんだよな…………果報は寝て待つってか? そんなんじゃ遅すぎるっつーの」

「そうですね」

「向こうから来るのを待つより迎えに行った方が早いに決まってんだろ。何だ、遠慮してんのかあいつらは」

「…………そうですね」

 

 この人は、何もわかってないのだろうか。

 いーちゃんがどれだけ傷ついていたのか。どれだけ苦悩していたのか。それを知らずにこんなことを言っているのだろうか。

 何だかむかついてきた。これはただ自分の好き勝手を押し付けてるだけだ。

 

「そうじゃねーよ。全然そんなんじゃない。お前だって知ってるだろ? いーたんがどれだけすげえのか」

「それは…………わかりますけど」

「こんなとこでまで手ぇ抜いてっから叱ってやんなきゃいけねーんだよ。それとも、あたしに構ってほしいのか? だったら他の方法を取れっつーの。そうだな、あたしの敵になるなんてどうだ?」

「誰も好き好んで哀川さんの敵に何てなりませんよ」

「お前はその誰もに含まれないんだな?」

 

 好戦的な目で見られた。怖い。これは獲物を見つけた肉食動物の眼だ、狩りの眼だ。

 私としては名字で呼んでしまったけどそんなつもりは全くない。ただのうっかりですよぉ。

 

「ラバーソール並に白々しいな。いーたん越えたなこりゃ。…………あたしからの用は以上だ」

「え?」

「こころに聞かれたことをお前に答えてやろう。あたしはこの幻想郷に、お前に礼を言いに来た」

 

 ……………………。

 礼を言う、そのためだけに?

 たったそのためだけに幻想郷に来たっていうの?

 

「だから来た目的は達成したし、後は酒飲むだけなんだが――――気が変わった。お前の問題を解決してやる」

「…………どういうこと?」

「あたしはな、終わった物語を更に終わらせることに楽しみを覚えつつある。癖になるんだよな、これ」

「どういうことー?」

 

 何を言ってるのかはわからないが、お悩み相談みたいなものだろうか。それはちょっと前にお姉ちゃんにしてもらったから間に合ってるんだけど…………。

 ……………………いや、一つあった。私が前に進むための第一歩。

 

「覚妖怪のこと、知ってます?」

「ああ。だからさっきもお前の姉貴に心読ませてやったんだろうが」

 

 さっきというのはいつのことだろう。

 まさか戦闘中というわけじゃないよね。それに読ませてやったって…………まるで妨げることも出来るかのような。

 

「多分出来る。あたしは前にも心を読まれたことがあったからな。思い出したくねーけど」

「あれですか、覚えたぞっていう」

「アヌビス神だな。何だ、ジョジョ読んでるのか? こっちにもあんの?」

「外の世界に行った時に読みましたよ。六部が好きでした」

「全部が好きだ。で、覚妖怪が何だ」

「私が心を読めないってことも、ご存知です?」

「知ってる。ゆかりんに全部聞いてるからな」

 

「心を読めるようになりたいんですけど、どうしたらいいですか?」

 

「読まなくてもいいんじゃねーの?」

 

 全部否定されてしまった。

 うそん。

 

「何でも解決してくれるって言ったじゃないですかーやだー」

「いや、そもそも心読むのが嫌だったからやめたんじゃなかったの?」

「それはそうですけど…………いつまでも自分から逃げてちゃダメじゃないですか」

 

 私が無意識になったのも。

 私が無為式になろうとしたのも。

 全部私から逃げるため――――私をやめるため。自分の能力が嫌で見えるものが怖くて感じるものが辛い、そんな世界から逃げるためのものだった。

 けど今の私は違う。全部受け止めてやる。もう一人じゃない、皆がいる。皆と一緒なら大丈夫。

 皆を愛して、自分も愛する。そうしなきゃ皆と向き合えない。

 

「自分から逃げない、か。それはいいんだけどな…………お前、壊れたものが直ると思うか?」

「欠けたものは直りませんけど、壊れたものなら直せますよ」

「いーたんみたいなこと言うけどな、見た目は一緒でも中身は全然違うんだよ。一旦変わったものってのは二度と元通りにはならない。どっかしら違うもんなんだよ」

「歪でもいいんです。私は私でありたい。少しずつでも私に戻りたいんです」

「…………もう大丈夫だろ」

「え?」

「無意識でも無為式でもないお前がそこにいんだろ。じゃあ大丈夫だって言ったんだよ」

 

 …………。

 ……………………?

 ……………………あ。

 

「なるほど。そういうことですか」

「わざわざ読心に拘る必要はないだろ?」

「確かに私じゃない私がいないならここにる私は私ですけど…………だけど」

 

 第三の眼は私とお姉ちゃんが姉妹である証拠だから。繋がってる証だから。

 それがなくてもちゃんとわかりあってる、通じ合ってるのはわかるけど、それでもこれは、大事にしたい。

 

「…………わかった。あたしに出来る限りで協力しよう」

「本当ですか!?」

「ただし」

 

 哀川さんは指を立て、私が興奮を抑えるのを待ってから続きを言う。

 

「あたしは別に相手の能力を開花させるだとかそういうことは出来ない。ひょっとしたら出来るかもしれないが、出来ないとする。だから教えるのはあくまでも読心だけだ」

「…………どういうことです?」

「能力じゃなくて技術を教えるってことだよ。心を読む能力じゃなくて、あたしがやってる読心術」

「ああ、哀川さんは能力じゃなかったんですか」

「上で呼ぶな下で呼べ。んな特別なもん持ってねーよ」

 

 しかして心を読めるのは十分に特別なのではないだろうか。

 この人にとっては普通ってことかな?

 

「それよりかは、発達した科学は魔法と区別つかないってやつだな」

「で、その読心術はどうやるんですか?」

「やる気満々だな。いいのか? 閉じちまってる第三の眼が開くわけでもねーのに」

「それでも、お姉ちゃんと一緒になれますから」

「…………ま、いっか。いいか、読心術ってのは相手の表情や仕草から心の中を考えるもんだ」

 

 それから哀川さんの読心術講座が始まった。

 読心術は正確には相手の心を読むものではなく、あくまでも推察するものであるということ、つまりは知るのではなく考えること。考える材料を集めるのが読心術だということ。言ってしまえば私がやった探偵ごっこみたいなものだ。その場にあるものから推理するだけ。的中するようになるのはただの慣れだということ。

 ……………………以上が講座の主な内容である。

 時間にして十分しないぐらい。

 

「はいお終い」

「…………何だか、詐欺にでもあったような気分」

「嘘吐きが何言いやがる」

 

 別に犯罪者が他の犯罪者を犯罪者だというぐらいは許されると思う。それで自分を正当化するのはどうかと思うけどさ。

 

「さて、宴会の場に戻るか」

「あ、ちょっと待ってください」

「何だ? 講座の受講料はいらねーよ」

「払う気がありませんけど。えっと、一つだけ聞いていいですか?」

「一つでいいのか? どんだけでも答えてやるけど」

「一個でいいですよ。どんちゃん騒ぎに入らなきゃいけないんで。…………どうして哀川さんはそんなに強いんですか?」

 

「あたしだからだ」

 

「ありがとうございました」

 

 強さが何なのか。わかったような気がした。

 私はどこかスッキリした気持ちで皆の待つ博麗神社に戻った。

 

 

 ※

 

 

 地獄絵図だった。

 夏草や 兵どもが 夢の跡

 

「夏草が見えねーよ」

「ですね」

 

 足場が見えない。どこを見ても倒れてる皆さんがいる。

 辛うじて生き残ってる者もいるようだが、大半はノックダウンしている。どうしてこうなったんだろうか。

 

「こいし。推理対決しようぜ。どっちが先にこの酔いつぶれ事件を解決出来るか」

「白旗上げます」

「よっしゃ勝った」

 

 何だこの会話。

 足場がないので私はふわふわ飛んでこの惨状を上から見る。

 辛うじて生き残ってる連中も意識があるのか怪しいものだ。ふらついている。…………あ、また一人倒れた。医者を呼んでこなきゃいけないかな…………って永遠亭の皆さんもいるじゃん。潰れてるじゃん。じゃんじゃん。

 うーむ、何が皆をこうさせてしまったのか。哀川さんに解決してもらうしかないようだ。

 と思ってたところに誰かがこの博麗神社にやってきた。遅刻組だろうかと思えば、それはフランだった。

 手にはスケッチブックとクレヨン。

 

「フラン。それどうしたの?」

「お姉様に貰ったの。ほら、前の奴燃えちゃったでしょ?」

「あー…………そうだったね」

「そもそも、この宴会も私へのサプライズパーティだったみたい! お姉様が考えてくれたんだって!」

「良かったね」

 

 今明かされる衝撃の真実。

 …………なるほど。フランと私に、かな。

 サプライズの真相はレミリアさんがフランの成長を見て何かしたいと思った。そこに八雲紫がせっかくだから皆で祝おう、宴会をしようと提案した。八雲紫にしてみれば私にも何かしたいって思ったんだろうね。何だかんだでフランの問題を解決したり人里の事件を終わらせたし。何より、私と彼女は友達になったんだし。

 そんな優しい思惑で進んだサプライズは、哀川さんの登場で色々と台無しになったんだろうなあ。

 そこのところはよくわからないけどさ。

 

「そういえば、潤さんはどうして紅魔館に?」

 

 フランが未だに険しい目つきで哀川さんに尋ねる。そりゃ家壊されて笑顔じゃいられないだろうけど、もうちょっと愛想よくしてほしいものだ。

 哀川さんが紅魔館に。確かにその疑問は私も感じていた。ひょっとしたら私を探していろんなところに聞いて回ってたのを、何かの誤解から戦闘になったりしたのかも――――。

 

「赤くていいなーって思った。で、中が気になって入ったら不法侵入ってんでバトってた」

「……………………」

「……………………」

 

 予想の斜め上を行く回答とはこのことか。

 十割哀川さんが悪いじゃないか。

 

「安心しろよフランドール。あれはちゃんとあたしが直しとくからよ。流石に今日中は難しいからどっか泊めてもらえ」

「明日には直るの?」

「直すさ。請け負った以上はあたしの仕事だ」

 

 やばいカッコいい。

 やってることはただの自分のやったことの後始末だけどね。

 そして色々と納得した。この宴会のこと。

 まず、紅魔館の戦闘で勝った哀川さんに八雲紫あたりが交渉したのだろう。何かを条件に暴れないことを。哀川さんからしたら暴れてる自覚はなかったから要求を呑んだ。そしてその条件というのが、この宴会だ。面白きこともなき世を面白く、を地でいってそうな哀川さんのことだ、せっかく幻想郷に来たんだから何かしよーぜ、感覚だったんだろう。で、それは八雲紫とレミリアさんにとっては自分達のしたいことと一致してたから是非もなくオーケーしたんだろうね。それでこうなったと。人数が明らかにおかしいのは、オーケーを聞いた後で哀川さんが条件を加えたんじゃないかな。「人数は多い方が良い」なんて。

 酔いつぶれの原因? 酒飲んだことないからわかんないなー。

 

「さて、皆してぶっ倒れてる中で飲んでても楽しくもねえ。あたしはとっとと紅魔館直してくるわ」

「もう行っちゃうんですか?」

「寂しそうに言うなよ。直したらまた戻ってくるさ――――いや待てよ。そういや変わった依頼が来てたな。四国が大変なことになってるとか…………悪い。直すもん直したら次の依頼があるんだった。期限付きなもんでな」

「それは残念。…………哀川さん」

「名前で呼べ。で、何だ?」

「次に会う時は、いーちゃんも一緒にお願いしますね」

 

 哀川さんはどこか呆れた様子で、

 

「てめえがこっちに来い」

 

 と言い残して石段を下りて行った。石段の上に転がってる皆さんを踏みつけながら。

 哀川さんは次第に夜の闇に消えていった。

 

「――――疲れた」

 

 フランがぽつりと呟いた。全くの同感だ。

 いーちゃんが尊敬するっていう哀川潤。どんな人だろうと思ったら、何だろう。最強っていうのもわかるんだけど、それ以上に。

 人間だなあって思った。

 私の理想とする人間。昔見ていたクズのような人間とは全く違う、綺麗な人。

 言いたいことを言って、やりたいことをやって。それなのにどうしてだろう。凄く楽しい。ちょっと前まで殺し合ってたはずの私が笑顔になってしまう。

 フランは違うみたいだけど。

 何だろう、私の持っていないものを持ってるっていうのかな。私の知らない世界にいるっていうのかな。何というか、全然違う。その違うっていうところに魅力を感じる。

 ああ、そうか。いーちゃんが憧れるのも無理ない。あの人は、哀川潤は。

 

 ――――正しく人類最強だ。

 

 力が強いとかじゃない。そういう強さもあるかもしれないけど、あの人の本質はそこじゃない。

 そう、想いとか意志とか、そういうものが人一倍強いんだ。

 誰よりも心が強い。だからこその最強。

 私もそうありたい。哀川潤になるんじゃなくて、最強でありたい。

 哀川さんを見習って、強い心を持っていたい。いや、持ってみせる。

 私はそう、心に誓った。

 …………ここ数日でいったいいくつのことを誓ってきたんだろう?

 以前の私からは考えられないことだ。何も考えず何も感じず、そして何もなかった私は何かを誓うことなんて出来なかった。成長している。前に進んでいる。それを実感出来る。

 私をここまで変えてくれたのは誰だろう。

 いーちゃん? フラン? お姉ちゃん? それとも私が私を変えた?

 なんてね。答え何て最初から決まっている。

 皆が変えてくれた。私のかけがえのない友達が、私を変えてくれた。

 それに私が返せることは何?

 そんなの――――友達であり続けることしかないじゃない。

 これが私の最後の誓い。これ以上誓うことなんてない。

 私からの皆への恩返し。私が人類最強に近づくための第一歩。私がいーちゃんと肩を並べるための約束。

 

 友情は永遠だ。

 

 いつまでも、どこまでも。

 

「――――さてフラン。皆をここで寝かせるわけにもいかないし…………」

「どうするの?」

「布団でも掛けておいてあげよっか」

「…………こいしって、どこかずれてるよね」

 

 そうかな?

 そうかも。

 とにかく私は布団を持って来ようとしたけど、ここからどこまで行けば毛布が置いてあるんだろう。それもこれだけの数の人に掛ける布団だ。…………どこにあるんだろう。

 けど放っておくわけにもいかないしな…………布団じゃなくても、夜を凌げるようにするためには…………。

 

「そうか。暖まれればいいんだ」

「んん? 何だか嫌な予感が…………」

「レーヴァテイン使えばいいんだよ」

「こいしが壊れたー! 誰か助けてー!」

 

 焦った様子のフランが、とりあえずそこに転がってたレミリアさんを起こしにかかった。けど酔っ払い相手に胸元掴んで前後に揺らすのはどうなんだろう。私のイメージ(体験談)によると、酔っ払いは嘔吐をよくするんだけど…………ああっと、レミリアさんが吐きそうだ。しかしここで吐いてしまっては完全にカリスマブレイク! どうするんだ、レミリア・スカーレット!

 あ、フランの方が察して手を離した。そして違う人に助けを求めに行く。…………良かったね、レミリアさん。

 さてさて。フランが皆を起こしにまわってるからそれは良しとして。

 …………これからどうしよっかな。

 したいことはわかった。やるべきことがあるのはわかったけど、具体的に何をしたらいいのかわからない。

 方向性しか決まってないっていうのかな。何から手を付ければいいのかわからないっていうのかな。とにかく、することがわからない。自分で決めなきゃいけないことだとは思うけど、どこかにヒントでも落ちてないだろうか。

 …………あった。私が何をすればいいのかのヒント。

 そもそも友情っていうのは何なのか。私は繋がりだと思う。友達っていうのは自分がそうだと決めた時点で友達になるけど、友情はその友達との間にある想い、友達であるという想いが繋がりを結ぶ、そういうことなんじゃないかって思う。

 友達になれば自然と心が通い合うだろうし、繋がりが増える。そして逆に繋がりがあればいずれは友達になれる。友達という言葉と切って離せないのがこの友情。

 そして私はこの友情、繋がりをたくさん持っていきたい。そのためにすることは?

 いろんな人と関わって、知り合って、解り合う。解り合う一番の方法は話し合いだけど、それ以外でも解り合うことは出来る。

 例えば花屋さんで誰かと会ったとする。花屋さんで会ったんだから相手は花が好きなんだろうというのがわかる。ひょっとしたら何か事情があるのかもしれないけど、まあ、それはそれ。

 つまり私がいろんなところでやったみたいに本音をぶつけ合ったり殺し合ったり、そんなことをしなくても他愛のないことで人を知ることが出来るわけだ。とりあえずは他人と関わって、後は自ずとわかるってところかな。

 そこで私は閃いた。人と関わることを仕事にしちゃえばいいんだ。仕事とか、そういうやらなきゃいけないことに設定すればいいんだよ。それで私は人と関わって、友情を育んでいくんだ。

 具体的にどんな仕事をするのか。真似事になっちゃうけど…………まあ、今更だよね。

 

 請負人。

 

 哀川さんがやってることで、私が以前にいーちゃんに勧めた覚えのあるこの職業だ。人の代わりになるって、結局私のやってることが以前の私と変わらない気がするけど、大事なのは外面じゃなくて内面だ。私の心は大きく成長している、だから前みたいに呑まれたりはしない。

 むしろ、変われてることの証明のためなのかもしれない。前と同じことをやって、それでも大丈夫だって私自身が知りたいのかもしれない。それか皆に私は大丈夫ですよーって伝えるためか。

 …………理由は別にいっか。更に言うなら言い訳もいらないね。

 実際のところ、ただやってみたくなっただけだ。哀川さんの見ている世界を私も見たい。面白そう。ただこれだけだ。

 何でも言い訳しちゃうところ、まだいーちゃんが抜けてないなあ。

 思わず苦笑する。そう簡単には変われない、か。

 

「ま、いっか」

 

 簡単には変われなくても、いずれは変われる。変わらないものなんてない。

 そもそも私自身がいーちゃんに変えられた存在だ。それからもころころと自分を変え続けてきた。変われないはずがないだろう。だから後は時間の問題。時の流れが何とかしてくれることだ。自分でも行動しなきゃいけないのはわかるけど、焦っていても仕方ないことだしね。

 少しずつ、少しずつ進んでいこう。

 

「…………フラーン! 皆起きた―?」

 

 私が声をかけるとフランはどこかホッとした様子で胸ぐらを掴んでいた相手を放ってこっちに飛んで来た。

 

「寝かせといた。こいし、もう大丈夫なの? 変なこと言わない?」

「私は正気に戻った!」

「そっかそっか」

 

 無邪気にも信じてくれた。人を疑うことを知らないフランにどこか危機感を覚えてしまう。詐欺師とか戯言遣いに引っかからないことを祈るばかりだ。

 それにしても私の言葉は変なことだったのか。レーヴァテインって炎でしょ? 暖かいんじゃない?

 まあいいや。ダメならダメで、違う方法がある。

 

「ねえねえフラン。私に良い考えがある」

「ほう。どんな?」

「まず、何故布団が必要なのかを考えてみよう」

「うーんと、寒いからだよね? 風邪ひいちゃうし」

「そのとーり。つまり! 風邪をひかなければいいんだよ!」

「…………まあ、そうね」

 

 何か言いたそうにしてるけどスルー。

 

「そこで私は考えた――――地底なら地熱があるじゃないかと!」

「やらせないよ?」

 

 あ、バレました?

 私にやりたいこと、バレました?

 フランも何となく察してるようだけど、私の言いたいことはこの辺りに穴を掘って地底に繋げようという、それだけだ。そして皆を地底にシュート。勿論底が浅いと意味がないから、地熱が直に感じられるぐらいまで穴を掘ろうと思うよ。

 私一人の力じゃ出来ない。協力が必要だ。

 なのに。

 

「何でダメなの? このままじゃ皆が風邪を引いちゃう」

「それよりも酷いことになるのが目に見えてるからね」

「ぐぬぬ。…………もしかしてフラン。私がただ風邪予防のためだけにやろうと思ってる?」

「それ以外にないでしょ」

「ところがどっこい。私はね、地底と地上で二分されている今を変えたいと思うの」

「はいはい戯言戯言」

 

 聞いてもらえなきゃ戯言も形無しだ。

 流石は破壊する能力、戯言殺しもお手の物だ。

 しかしなあ。他に方法となると考える気も起きない。

 というわけで。

 

「じゃ、帰ろっか。地霊殿に泊まってく?」

「いいの? 皆をここに置いといて」

「レミリアさんはこのままだと日に当たっちゃうから日陰に動かしとこ。後は、まあ、何とかは風邪を引かないっていうし」

「…………ま、いっか」

「そうそう。いいの」

 

 私達はこのままだとマズい人達をちょっと移動させて、後は念の為に私の触手でシェルターのようなものを作っておいた。ただの日除けにしかならないとは思うけど、ないよりはマシでしょ。ちなみに伸ばした触手を引っ張っていくわけにもいかないから切って離した。勝手に再生するだろうし。

 それと、フランは身体のほんの一部を蝙蝠にしてシェルター内に忍ばせていた。何かあった時にすぐに気付けるようにと。心配性だなあと思わなくもなかったけど、心配するっていうことをフランが学んでくれていたことにちょっと嬉しく思った。

 

「あ、そういえばフラン」

「はいはい?」

「私が逃げる前に撃った弾幕あったでしょ?」

「無差別だった奴? あの誰にも当たらなかった」

 

 お姉ちゃんだけ見事に喰らってたけど、それは黙っておこう。

 

「あれ、何に見えた?」

「何って――――あ、ひょっとしてあれ、ぬえっちの能力で?」

「うん。どうだった?」

「ハート弾に見えたけど…………本当は何だったの?」

「薔薇」

「あちゃー。ニアピンね」

「せいぜいブービー賞だよ」

「厳しい」

 

 薔薇とハート、どこが近しいんだろうか。何一つ似てないじゃない。無理やりこじつけるなら、そうだね。

 綺麗ってところかな。

 あと、どちらも私がよく使う弾幕ではあるね。

 ということは?

 

「もしかしてフラン、あれ私が撃ったって気づいてた?」

「全然。哀川潤しか見てなかったから」

「そっか」

 

 無意識にものを見る時、大体が実際のものとは違うものを見る。

 それは自分の知識に当て嵌めて置き換えるということ。何でそんなことをするのかといえば、無意識である時は何も意識できないからだ。だからその見えるものに意識が出来ない。意識せずにものを見るなんて、はっきり言って無意味だ。誰もが何かを見る時は意識する。見るということにかも知れないし、対象にかもしれない。けど見るという動作には必ず意識が必要になる。

 じゃあ意識せずにものを見るということはどういうことなのか。

 何も見てないんだよ。けど何かあるのはわかる。無意識でも、死んでるわけじゃないから。ぼんやりしたものがある、ということだけわかってる状態。そういう時、脳は勝手に自分の知識にあるものをそこに置くんだ。誰もが不明というものを恐れる。わからないことが怖い、だから何かに置き換えてものを見ることになる。

 ぬえっちの能力はそういうことだ。例えば鵺といえば猿の顔だとか狸の胴体だとか色々言われてるけど、それにしたって同じこと。わからないから、知ってるものに置き換えている。まあ何でそんなキメラチックになったのかはわからないけど。

 人間の想像力って怖い。

 そして置き換える対象の話。適当なものが出てくるわけじゃない。歩いてくるものにバナナを置き換えるような脳はどこを探してもないだろう。それっぽいものに置き換えることが大体だ。

 あるいは自分の望むもの。

 前者はあれだ、正体不明の飛行物体をUFOであると認識するということ。美味しい匂いがしたらカレーだとか、足元を何か黒いものが動いたらゴキブリだとか、そういうこと。ぬえっちの能力は大体こっちが表れる。

 そして後者。こっちはむしろ私の本分だけど。

 無意識に思い描いているものを映し出す、ということ。見たいものを見る、妄想の産物。よく映画とか漫画でもあるけど、何日も砂漠を飲み食いせずにいると目の前にオアシスが広がったりするやつ、それがこれだ。極限状態に陥れば陥るほどそれは表れる。無意識の具現化――――いや可視化かな。いーちゃんみたいに上手く言えないなあ。

 で、フランが見えたものはハートだった。

 これ、どっちなんだろうね?

 後者だといいなあ。




いやあ投稿が遅れました。
これも全部艦これってやつのせいなんですよ。
「僕は悪くない」
突然のネタバレ。実は私、何も考えずに書いてるんですよ。
後々辻褄合わせが大変だったり。
実際、思い描いてたものとは大分形変わってきてますしね。やりたいことを何個か切ってますし。
これから物書きになりたいと思ってるあなた、もう書いてるってあなた。
気を付けてくださいね。

さて。次で最終話、ですかね。
とはいっても後日談になると思いますが。ほら、戯言シリーズの終わりの部分的な感じ。最初あれ見たときは「夢落ちかよぉ!」って思いましたよ。
ちなみにここまで来て何も考えてません。次で終わらないかもしれません。マジで夢落ちかもしれません。

そういえば東方で好きなキャラこいしちゃんだけだったんですけど、書いてる内にフランドールにも愛着が湧いてきました。
ロリコンじゃないと主張しておきます。艦これの嫁艦は瑞鶴と島風とВерныйです。

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