入院している合間なので不定期、亀更新になります。
目覚め 前編
夢を見ていた。
それはとても強烈なもの。
なんたって目の前に裸の女の子がいたのだから―――――
あれはいつのことだっただろうか。
私がまだまだ未熟な子供の頃のことだ。
知り合いが異国へ行くというものだから興味本位でついていった。
その日は確か異国へ着いた初日。
私は早くもその場へ行ったことを後悔していた記憶がある。
慣れない土地で慣れない言葉。
気がつけば周りは木々ばかり。
近くに人の気配は全く感じない。
異国にある様々なものに興味をもち、歩き回っていると街の外れまで出てしまったのだったかな。
それでイライラして、こんなとこに来るんじゃなかったと木に八つ当たりをしていた気がする。
今思うと馬鹿なことをしていたよ。
それで、イライラしながらも周りに木しかない道を歩いていたら建物を見つけたんだ。
故郷では見たこともないような広さだった。
ああ、まさしくバカデカイの言葉に尽きていると思ったな。
その建物を見つけたときはしばらく唖然としていたが、こんだけでかいんだから何かあるんだろうと見学させてもらうために中に入ったんだ−−−
「ごめんくださーい」
返事が無い。
誰もいないのかな。
「ご め ん く だ さ ー い」
もう一度、今度は先程よりも大きめな声で。
あ?お前が挨拶とかありえないって?
この頃は私も素直だったんだよ。
そんなことより続きだな。
「…」
それでもなお、返事が帰ってくる様子はない。
(まあ、いいか。資料館か何かなら後で入場料でも払えば問題ないか)
思い立ったが行動。
一度中を見たいと思ってしまったため、ここで帰るなんて選択肢はない。
そう思い、中へと入っていった。
(あれ、なんだろうここ。資料館ってわけでも無いし、美術…なんて言葉の欠片も見当たらないよな)
建物の中は資料館や美術館の様な"見学可能な場所"とは程遠い雰囲気が出ていた。
機械のようなものも数多くあるため工場なのかな、と思いもしたが稼働状況からしてもそうではないみたいだ。
ならば廃工場かと考えていたが、その考えはすぐに中止される。
「来ちゃ行けないとこに来ちゃったかなー」
中を歩き回っていると一室だけ微かに明かりが漏れている部屋があったため、私はその部屋へ入った。
部屋の中はシンプルな作りとなっておりそこまで広くはなかった。置物は少なく部屋の隅のほうに机と椅子、机の上には本などの書類が置かれていた。
ここまではいい、至って普通の部屋である。問題は部屋の中央にある手術室を髣髴させるような器具の山とその奥にある寝台。そして、その寝台に"寝かされている"私が最も頭を痛くする要因となった全裸の女の子。
あちゃー、と額に手を当てながら私は異国の地へと来たことを改めて後悔していた。
「これはどうするべきなんだろうなぁ」
山奥にあるとても大きな建物の中の一室で、素っ裸の状態で寝ている女の子。
不自然過ぎる。
「どう考えても関わらない方がいいよなぁ」
と思いつつも子どもの好奇心を刺激するには十分すぎる状況で、私が何もせずに帰るなんて有り得ない。
取り敢えず寝ている女の子に近づいてみたのだが、
シンニュウシャハッケン
シンニュウシャハッケン
タダチニトラエ、ヒツヨウデアラバマッサツセヨ
ブー、ブー、というアラーム音と一緒に建物の中に放送が流れ始めた。
「うぇ!?」
突然鳴り始めたアラームに驚き、反射的に女の子を連れて建物から脱出した。
今思ってもなぜ女の子を連れて出たのかは自分でも良く分からない。
強いて言うならばやはり興味が湧いていたからだろう。
「うぅ…ん…」
「お、気がついたか?」
そんなこんなで必死で逃げていると抱えている女の子に意識が戻ったようだった。
「大丈夫か?」
「…?」
目は覚めたようだがまだ焦点がおさまっていない。
「んぅ…!?」
「おっと、あんま暴れんなよ」
女の子は完全に目覚めたようで、見知らぬ人が自分を抱えて走っていると言う状況に驚いている様子だった。
まあ、普通の反応だよな。
「何…?誰…?」
「あー、その話はあとだな。後ろ見てみろ」
私がそう言うと女の子は首を後ろに向けた。
「ちょっ、何あれ!?」
そこには何十と言った魔法師らしい人達がいた。
どうやら追いかけられているようだ。
「私にもわからん。ただあのバカでかい建物の中でお前を見つけて気になって見てたらこうなった」
女の子からしたら全く持って意味がわからないであろう。
すると女の子はあっ、と何かを思い出したように言った。
「誰だか分かんないけどはやく逃げて!」
もとよりそのつもりである。
先程聴いた放送では抹殺なんて聞きたくもない単語が聞こえたからな。
「とりあえず、しっかり掴まっておけよ」
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「ここまで来れば安心だろ」
あれから暫くして追手を撒いた私はこの国に来た時に予約をしていたホテルにいた。
街中であるため、あいつらも派手なことはしないであろう。
「それで?お前何者なの?」
ホテルについて一息つくやいなや、目の前に居る女の子に問いかけた。
「私は真夜…四葉真夜。真夜でいいわ。とりあえず礼は言っておく」
女の子…真夜はそう言うと淡々と話を始めた。
自分は用があってこの国に来たこと。だけどその途中で見知らぬやつらに連れ去られたこと。そこで意識は奪われ、目が覚めたら貴方が私を抱えていた、と。
何故裸だったのか聞くと真夜は慌てて服はないかと聞いてきた。
自分が裸だったのは今の今まで気がつかなかったようだ。
「それであなたは誰?」
色々あったんだなと言いながら私が渡した服を着ながら真夜は聞いてきた。
「私は神威。拾われの身だから苗字は無い、と言うか分からん。名前は拾ってくれたおっさんが付けてくれた」
そう言うと真夜はバツが悪そうな顔をしていた。
「あー、気にするな。私も気にしてないから」
それと、あんたを見つけたのはたまたまだから礼はいらない。
「わかったわ。でもお礼だけはさせてもらうわ。どんな形であれ神威は私を助けてくれた」
ーーー改めて言わせてもらうわ、助けてくれてありがとう。
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