現代の戦女神   作:A:suna

8 / 10
何事に置いても学ぶってことは凄い大事ですよね。
いきなり何言ってんだお前とか思うかもしれないですけど。

書いててボキャブラリーの無さを痛感します。


騒動

入学してから二日目、葵は学校には向かわず上田の下へと足を運んでいた。

昨日の出来事を上田に話し、なんとかならないかと聞くと

 

「なんじゃそんなこと。二年前神威殿が寝とったところがあるじゃろ?あそこで半日もあれば調整出来るぞい」

 

とのこと。

私の二年間とはなんだったのだろうか。

嗚呼、殴り飛ばしたい。

 

閑話休題

 

そんなこんなで半日ほどかけて以前の様に元通りになり、万全の体調で学校へと向かっていた。

無論上田への報復はした。

最近頭が少し寂しくなりだし悩みがあるようで発毛剤と育毛剤を使っているらしい。

ならばその悩みを私が消しさってやろうとそれぞれの容器の中身を脱毛剤(?)と入れ替えておいた。

髪が全てなくなれば悩みもなくなるだろう。

うん、いいことをした。

今はとても清々しい気分だ。

 

 

そろそろ日も傾いてきていて、授業はもう終わっている頃だろうか。

そんな時間に登校して何をするのかと聞かれれば答えることはできないが、学校には摩利や真由美達がいる。

特にやることもない為会いに行こうかなと、かなりの重役出勤。

昨日は少しだけではあったが摩利達と話ができて楽しい時間が過ごせた。

それだけでも葵を学校に向かわせるには十分な理由になるのかもしれない。

 

(早く行かないとみんな帰っちゃうかな)

 

まだ学校まで距離がある。

葵は少し急ぎ足で向かった。

 

 

正門の近くまで来ると何処かで聞いたことがあるような男の声が聞こえた。

 

「この魔法科高校は実力主義なんだ!実力が劣る雑草ごときが僕たちに口出しするな!」

 

こいつも服部と似たようなやつなのか。

第一高校にはそういった一科と二科で差別するようなやつが多いと聞いていたがまだあまり人と接していないにも関わらず二人目。

本当に多いんだね。

 

「今の時点であなたたちがどれだけ優れているっていうんですか!」

 

今度は女の人の声。

これは喧嘩なのだろうか、興味本位で覗きに行く。

 

姿が見えたのは正門までたどり着いてからだった。

ここまで来て気づいたが人数が多い。

どうやら集団での言い争いだったみたいだ。

驚いたのがその集団の中に達也がいたこと。

争いごとを好みそうになかったが巻き込まれているのだろうか。

なんてことを考えていると一人の男子生徒が拳銃型のCADを向かい側にいる生徒に向け起動式を展開させていた。

 

(…あの男どっかで見たことある)

 

起動式が展開され魔法式を構築させたところで男子生徒のCADは弾かれた。

 

「この距離なら身体動かした方が早いのよね」

 

(あれは…)

 

明るい髪色の癖がある髪に懐かしい声色。

彼女を最後に見たのは摩利と同様二年前。

 

(久しぶりだね、エリカ)

 

エリカ、とは千葉エリカのこと。

二年前お世話になった千葉の娘であり摩利とは別のもう一人の教え子だ。

 

(だいぶ成長したなあ)

 

CADを弾くまでの動きは前よりも格段に良くなっている。

体つきも大人びており、少女から大人の女性へと成長をしていた。

 

「お前俺の腕までぶっ叩こうとしただろ!」

 

「あら、ごめんなさい」

 

昔の記憶に浸っているとエリカともう一人、体格が良い顔の彫りが深い男子生徒との言い争いが始まっていた。

どこか楽しそうにしている所を邪魔するのも悪いため明日にでも話そうと、その場を通り過ぎようとしたときだった。

 

「雑草の分際で…!くらえ!」

 

後ろにいた生徒が起動式を展開させた。

 

「エリカ!」

 

 

───────────────────

「くらえ!」

 

その声を聞いたときやってしまったと思った。

いくら距離が近いとはいえすでに複数人の魔法の魔法式も構築され、油断しきっていた今どうにも動くことができない。

ああ、よけきれないと目を瞑る。

…だが魔法を受けることはなかった。

何が起こったのかと少しずつ目を開けていくとそこにはよく知っている女の人が立っていた。

以前と変わらない細くて綺麗な手足に雪のような白い肌、何よりも夕日に照らされた綺麗なスカイブルーの髪は印象的で忘れることはできない。

そして久しぶりに聞く愛おしい声―――

 

―――あー、あほらし

 

昔のままの口調に声色、本当に久しぶり見る姿は自分の記憶の中と変わっていない。

その姿に嬉しさを覚えた。

 

「葵さん!」

 

柊葵。

それはずっとずっと会いたかった、私の憧れの人。

───────────────────

 

 

「あー、あほらし」

 

他の生徒になんの躊躇もなく武器を向けるこいつらもそうだが、自分が咄嗟にとった行動に対してもそんなことを思っていた。

誰かのために体を前に出したのは本当に久しぶりだ。

三十年前の真夜、深夜以来ではないだろうか。

と言っても今回は前のような失態はしない。

相手の魔法をくらう前にCADによって展開されていた起動式を破壊した。

方法は簡単、CADに流れていた想子を少しいじっただけ。

簡単と言っても誰でも出来るわけではないのだが。

 

「なっ!」

 

いっぽう起動式を展開させていた人は魔法が発動せず何がなんだかわからないようだった。

そんな奴をおいて場違いながらも振り向きエリカに話しかける。

 

「久しぶりだねエリカ」

 

「葵さん…!会いたかった…。ずっと、ずっと会いたかった…」

 

そう言いながら寄り添い再開を喜ぶ。

だが今しがた言った通り場違い過ぎる。

相手側も黙って見ているわけがない。

 

「葵さん後ろ!」

 

今度はまた別の奴が魔法を発動させようとしていた。

 

「エリカ、下がってて」

 

そう言われたと同時に魔法を発動させようとしていた生徒の付近で鈍い音が辺りに響いた。

 

「ふう、次から次へと懲りずに湧いてきて…。まるでゴキブリみたいね。ああ、あなたたちが本当の"雑草"なのかも」

 

鈍い音とはCADが壊された音。

手順は服部のときとほとんど変わらない。

ただ一つ違うのは、あの時とは違いCADが粉々になっているということ。

 

「なっ、なっ、何だお前!」

 

さっきまで数メートル離れた前方にいた人がいきなり背後に現れたのだ、驚くのも当然であろう。

おまけにCADも粉々にされているため先程までの威勢とは裏腹に恐怖心が勝っていた。

 

「何って、ただの通行人ですけど?」

 

「なんだよ通行人って!」

 

ご尤もな意見だけど通行人は通行人であり、それ以上でもそれ以下でもない。

 

「それよりもさっき雑草の分際でとか言ってたよね?私もその雑草なんだよねー。一科生さんの実力とやらを見せてもらえないかな?あ、一科生じゃなくて"雑草"か。それともゴキブリの方がお好きで?」

 

それはさながら敵地のど真ん中で敵を煽っているのと何も変わらないような言動だった。

 

「言わせておけば!」

 

葵の煽り文句に反応した周りの一科生が一斉に起動式を展開されていく。

 

「おいおいやばいんじゃないかあれ!」

 

「大丈夫よ」

 

「大丈夫ってお前なあ!」

 

「エリカの言う通りだレオ。心配することはないだろう」

 

とは言ったもののこの状況をどう打破するのか見物だ。

達也は葵へと目を向けると葵もこちらに気付いたようで、手を振ってきた。

随分と余裕があるようだ。

 

(好奇心旺盛だね。それじゃあエリカが狙われたってのもあるし少々お披露目といきましょうか)

 

葵がリラックスをするようにゆっくりと深呼吸を始めると徐々に周りが青白く光ってきた。

 

(あれは…いや、まさかな)

 

こんなところで達也特有の"目"を使うことはできない。

そのため肉眼での目視となるが光っているものがなにかわからない。

 

「なんだ!?」

 

当然葵の周りにいる一科生もそれを見ることとなるため軽いパニックを起こしていた。

 

「構わない!やっちまえ!」

 

だが頭に血が登りきっているのか止めることをせず、その掛け声を合図に一斉に発動された魔法が一点へと飛んでいった。

だが葵は動こうとせず、その場にたっているだけだ。

放たれた魔法は葵のもとで合わさり強大なエネルギーを生み、爆発したかのように煙を撒き大きな音を周りに響き渡せた。

 

「雑草の分際で生意気なことを言うからこうなるんだ!」

 

誰かが勝ち誇ったかのようにそう叫んだ。

人が死んでもおかしくないような魔法の集中砲火を行ったのにまるで気にも止めていない様子である。

 

この状態では流石にエリカ達にも焦りが出始める。

煙で中の状況が確認出来ないうえに葵は動く素振りを見せていなかった。

もしかしたらまともに攻撃魔法を受けているのかもしれないと心配でならない。

たが煙も晴れてくると中が未だに光っており、人影のようなものが見えてきた。

 

「一科生ってそんだけ寄って集ってこの程度なの?」

 

皆の視線が集まりやがて煙が完全に晴れると、葵は目立った外傷も無くそこに立っていた。

 

「じゃあ今度はこっちのターンよね」

 

その場を覆うように光っていた光が、今度は葵を纏うように複数の小さな球体へと変化した。

 

「逃げないの?逃げないと当たっちゃうよ」

 

何が起きたのかわからず呆然としていたが、我に返る。

何人ものが発動した魔法を何事もなったように何かしらの方法で防ぎ、得体のしれない光。

何よりも葵から放たれる威圧感により彼女

は恐怖のそれであり、それ以外の何者でもなかった。

 

「ほらほら、さっさと逃げないとどうなるかわからないよ」

 

追加で促すと皆、逃げ帰るように学校をあとにした。

その場に残ったのは達也たちを除き三人。

最初に言い争っていた男子生徒と女子生徒二人。

男子生徒は立ち尽くし、女子生徒のうち一人は怯えているようでもう一人はその子を護かのように前に立っていた。

 

「それでお二人さんはいいの?」

 

「私達は何もしていないから逃げる理由がない」

 

「はー、甘いねえ。何もしていないから何もされないなんて保証はどこにもないよ?」

 

「そう…かも知れない。でもあなたはそういうことをする人には見えない」

 

「甘甘だねー。人を外見で判断するのは良くないよ?まあ、甘いものは嫌いじゃないから今回はいいや」

 

とんでもなく極論だが本人がいいならばそれでいいのかもしれない。

 

「じゃあキミは?」

 

「…先に吹っかけたのはこっちだ。好きにすればいい」

 

潔いのはいいことだ、嫌いじゃない。

それにしてもやはりこの男子生徒はどこかで見たことがある。

 

「そ。じゃあ遠慮なく、といきたいところだけどその前に一つ聞かせてもらうよ。キミは私と会ったことある?」

 

会ったことあるかと聞かれ、男子生徒は葵をジッと見つめる。

考えているのだろうか。

するとハッと思い出したように

 

「ああ!お前入学式の時の!」

 

入学式?

入学式には出ていないから誰かと話した記憶が無いのだが。

暫く思い出そうとするとそういえば一人はいた気がする。

 

「あっ!あのときのセクハラ男!」

 

「誰がセクハラだ!ただ話しかけただけだろ!?」

 

「下心丸見えだったのよ!あんたが気持ち悪くて入学式サボっちゃったじゃない!」

 

あのときこの男子生徒がこれでもかと言わんばかりにしつこく話かけてきて嫌気がさしていた上に下心があるのが丸分かりで、ついには我慢の限界で講堂を飛び出した。

入学式どころのテンションではなかったのだ。

だが正門前、それもそれなりの広場で入学式サボりました発言を聞いている者も多くいる。

 

 

 

 

 

 

―――そう、葵さん入学式サボってたのね。どうりで見かけないと思ったわ

 

 

 

 

 

 

 

 

葵にとってそれは、まるで悪魔の囁きのように聞こえた。

 




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