不良八幡の学校生活   作:雨雪 東吾

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遠足 2

 一時間と少しバスに揺られ、目的地である千葉シーサイドパークに到着した。ここには数々のアスレチックや、広場があり、外で十分に遊ぶことができ、更には少なくない量の魚や海洋生物を飼育している。勿論観賞できるようになっており、遊び疲れて休憩するときに丁度いいと評判である。まあ水族館に比べれば見劣りはするが、サイドメニューとしては十分すぎる。

 

 昔は家族でよく行ったものだ。俺が頼んでもだめなのに、小町が言うとその週末には行けるもんな。小町にはよくお菓子と引き換えにおねだりしてもらったものだ。まあそのせいでここには思い出はありつつも真新しさは全くない。アスレチックが改築されたわけでもないし、何か大きなイベントがあるわけでもない。でも、自然と子供のころを思い出してテンションが上がってしまうのは仕方ないことのように思える。まあリア充どものように遊びまわったりはしないが。

 

「僕初めて来たな。みんなはどう?」

 

 戸塚の問いに、班員二人が俺は来たことあるだの、俺も初めてだの話し始める。俺は特にやることもないので明後日の方を向き、ボーっとすることにする。

 

「比企谷君はどうかな?」

 

 急に名前を呼ばれ、思わず肩を震わす。止めろよ、友達でもないのにナチュラルに話しかけるの。友達かと思っちゃうだろ。

 

「・・・あるよ」

 

 他の二人は関わり合いになりたくなさそうなのにどうして空気読めないかな・・・俺の方が読めないけど。

 

「取り敢えず進路に沿って進んでみようか」

 

 誰も異論はないみたいで戸塚を先頭に進行していく。前の班に追いつき、追いつかれつつ進んでいく。俺も懐かしさを感じつつ、班員の後をついていくのだった。

 

~~

 

 ここのアスレチックの数は実に38個にのぼる。故に千葉最大の公園と言ってもいいだろう。難易度も子供用からハイレベルなものまである。道は一本道になっているが、勿論地面を通れるようになっており、すべてのアトラクションをスルーして終えることも可能だ。まあ俺は小学生の頃に全てクリアしているし、汗をかいてまでやる必要性を感じないので当然のごとくなにもやらない。俺以外にも班単位でやらないやつらもいるが、戸塚は今のところすべてに挑戦している。

 

 全くよくやるよな。他の二人は俺が下にいるからか、戸塚にひっぱられてるからか頑張っているが、既にいくつかをパスしている。まあ難易度的には大人がやっても難しそうなのもあるしな。それに俺みたいな余り物を加えるような班だ。カースト下位のやつらなのだろう。しかしそこで一つ引っかかる。なぜ戸塚のような社交性のあるやつがこの班に居るのだろうか。まあ大方あいつらが可哀想だったんだろう。・・・その中に俺も入っているのだろうが。

 

 戸塚はラスト2の子供用アスレチックを突破し、最後の最難関遊具に挑もうとしていた。




書き溜めが・・・尽きた・・・。

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