取り敢えず出来たものを置いておきますね( ・ω・)ノ田
くりっく?
くらっく!
(タイトルと本文が合っていなかったので変更いたしました、ご迷惑をお掛けします)
フィールドボスの棲まう盆地。
そこを見下ろせるテーブルマウンテンの頂上にレイとアスナ、キリトがいた。
低木に身を隠してフィールドを見下ろすと六人パーティが二つとリザーブメンバー五人が戦列を保ったままゆっくりとフィールドボスへと接近している。
リンドとキバオウのパーティのすぐ後ろには昨日の偵察戦から加わったバシネットをリーダーとした三人組がおり、最後尾にはミトとロアがいた。
パーティを観察している三人はあることに疑問を持った。
「あのパーティ、どっちがタンクでどっちがアタッカーなのかしら」
「う、うん……なんか、見たとこ両方同じような編成だよな」
「……あ。見て、二つのパーティの鎧下の布装備。色が揃えられてる」
レイの指摘にキリトとアスナは感嘆したように二つのパーティを見るがその後すぐに三人で溜息をついた。
「……彼ら、攻略部隊を役割分担で再編成しなかったのね」
厳しさを増した声でアスナが指摘する。
どちらのパーティも重装備の防御型と軽装備の攻撃型がほぼ同じ数存在していた。
つまりあの色分けはアスナの言う通り役割分担ではなく、パーティ同士の区別をつけるためのものだ。
「青パーティがリンドさんの、緑パーティがキバオウさんのパーティってことだね」
「……まあ、気心の知れた仲間でパーティ分けしたほうが、連携が取りやすいって考えかもしれないけど……」
「でもその場合、パーティ間の連携は悪くなるでしょ。あのボスの場合、どう考えても攻撃と防御のパーティ同士の呼吸が重要だと思うけど」
アスナの意見に二人して頷いた直後、じわじわと前進する十二人の先頭が、ついにボスの反応圏へと踏み込んだ。
ブルモオオオォォォォーー‼︎ という凄まじい雄叫びを上げ勢いよく走り出す。
それを見ていた両パーティのリーダーがなにやら指示を出し、双方の重装戦士が前に出ると、同時に盾を高くかざして「ウオォォォッ‼︎」と吼えた。
ただの雄叫びではなく、《威嚇》のスキルを持って発動されたそれは、モンスターの憎悪値を上昇させ自分に引きつける。ーーのだが。
「お、おいおい……両方でタゲ取ってどうすんだよ……」
キリトの呟きにレイとアスナは肩をすくめて溜息をついた。
「……あれ昨日もやったよね、懲りないのかな」
「学習しないのよ、きっと。確か昨日の偵察戦の後話し合いをしていたはずなんだけど」
そんなことを三人が話している間にもブルバスは威嚇を受けて突進を続けており、どちらに突っ込むべきか悩んだ後、最終的に青パーティへと進路を定めた。
重装戦士は盾を構えて身を低くして構える。
ズガアァァァァン! というキリトたちのいる位置まで届くほどの大音響とともに巨大牛と戦士が激突した。戦士は吹き飛ばされることなくどうにか踏みとどまり押し返す。そこにリンド隊の残りのメンバーが突進し、スードスキルを見舞う。
ボス戦というよりもMobの取り合いのような戦闘を見ていたキリトが「う……!?」と低く声を上げた。
レイとアスナが怪訝そうに視線を向けるが気付いてはいないようで、戦場をよく見ようと身を乗り出す。
「なんで……あいつらが……⁉︎」
二人も視線を戦場に向けると、キリトが指で刺して明確な位置を伝える。
「ミトのいるところから少し離れた、待機組の三人の名前を知ってるか?特に、真ん中のバシネットを被った奴」
「ば、ばし……? それって、赤ちゃん用のベッドのことじゃないの?」
アスナの反応に対し考えていたものが違うキリトは同じ言葉の兜があると教え、それに対してレイが肯定の意を示した。
「Bascinetが兜、Bassinetが幼児用のベッド。綴りがSかCで意味がかなり違うんだよね」
学校じゃ習わないけどね、と付け足してキョトンとした。
「どしたのアスナ?目が点だよ」
「もしかしてあなた頭いい人?」
意外そうな問いに苦笑しつつ、レイは思い起こすように頬杖をついた。
「ミトやロアに勉強教わってたからね、寄り道した知識もいっぱいあるよ」
いらぬ知識を思い出したのか引きつった笑みを浮かべるレイをスルーしてアスナは視線を戻し、レイもそれにならって視線を戦場に戻した。
「彼らは昨日の午前中の偵察線にいたのよ、真ん中の人はオ……オルランドさんだったかしら……」
「え、名前なんて言ってたっけ」
思い出そうとして眉根を寄せるレイを一瞥してアスナは続けた。
「昨日あなたが来る前に、大声で名乗って飛び込んできたのよ」
「オルランド……? 今度は騎士ならぬ聖騎士様か……」
どいういこと? と眉を持ち上げるアスナ。
レイは慌ただしい戦場と、後方で待機する男三人を見つめながら口早に説明した。
「フランク王国、シャルルマーニュの聖騎士の筆頭なんだよ。聖剣デュランダルや愛馬のブリリアドロは有名だね」
レイの説明に無言で頷くキリト。
一方アスナは何かを考えていた。
「騎士……あぁ、なるほどね」
何かに納得したアスナは他の二人の名前を説明した。
小柄な両手剣使いがベオウルフ。
痩せた槍使いがクフーリン。
順に説明していき、トドメのひと言を口にした。
「あの人たち、もうギルド名を決めてるみたい。確か、《レジェンド・ブレイブス》って言ってた」
その他に昨日乗り込んできたときにリンドがステータスを確認した話や、スキル熟練度は少し低いが、武装の強化がしっかりとしてあることからリザーブメンバーに選ばれた旨を伝えた。
キリトは昨日会ったネズハというプレイヤーが《レジェンド・ブレイブス》のメンバーではと考えていた。
そして、一層のレイドにもおらず、名も知らぬ三人がいきなり最前線プレイヤーに追いつけた理由を考えていた。
「ブルルォモオオオォォォォウ‼︎」
自分たちのいる位置まで轟く方向に三人は瞬時に視線を鋭くし、盆地の奥に向けた。途端、二度目の呆れを三人は抱えた。
なぜなら、青のリンドパーティと緑のキバオウパーティが盆地の真ん中でジタバタしていたからだ。どうやら、ボスのタゲをどちらが取ったかわからなくなり、左右から突進の軌道に入り込んだ挙句に衝突したらしい。盾持ちタンクが姿勢を乱しーー重装戦士は転倒からの回復には時間がかかるーー防御体制が取れないでいた。
「「危ない……!」」
アスナとレイが鋭く囁き、
「アタッカーはダッシュ回避しろ!」
キリトの叫んだ声が聞こえるはずもなく、リンドとキバオウは呆然と立ち尽くしていた。
くそっ、と毒付きつつも視線をずらす。もしかしたらミトならーー。
そう思い視線を向けると、ミトと視線が合った。
「ーーっ⁉︎」
他の二人が聞こえていなかったのに対し、果たして本当に聞こえていたのかはわからないが、今確かにミトはこちらを見ている。
そしてミトが視線を戦場に戻すのと同時、隣にいたロノミアが女性には大きいであろうハルバートを構えて走り出した。片手剣の自分と比べれば遅いが、とてもハルバートを持っているとは思えない速度で走り出し、ミトがそれを追うように駆け出した。
進行方向には4本角の雄牛。盾戦士をすり抜けて突き進む。
ロノミアは今まさに攻撃を行おうというブルバス・バウとガード方法がわからない剣士二人の間に割り込み、ハルバートに緑色の光芒を纏わせ、振り回した。
ロノミアの放った《ワールウインド》とブルバス・バウのツノが衝突した。ロノミアの方が押し負けるかよくて両方が弾かれるものだと誰もが思っていたはずだが、結果はそれを裏切るものだった。
ロノミアは両足を踏ん張り、地面から浮くことも下がることもせず振り上げたハルバートを腰の位置まで戻し残心をとる。
そして離れたところから見ていたキリトたちは絶句した。
浮いたのだ、ブルバス・バウの巨体が。遠目からではなんとか浮いたと思えるほどの高さだったが、あの巨体とぶつかり合って完全にパリングに成功していた。
おそらくはソードスキルの意図的ブーストによるものもあるだろうが、あの巨体と正面からぶつかり合う気合は素直に感嘆するものがある。
そしてノックバック中のブルバス・バウの顎下にミトが曲刀による斬り付けを行い、《リーパー》を当てて距離を取って下がった。
視線をリンドやキバオウに戻すと冷静さを取り戻したようで指示を出していた。
キバオウの指示でリザーブメンバー二人が前に出て主力メンバーと交代すると、ためらうように立ち止まった後、大きな雄叫びを上げると前線へと走り出した。その際オルランドが抜いた《アニールブレード》はよく強化されていて深みのある輝きを放っていた。
そして十数分後、《ブルバス・バウ》はその巨体を四散させた。
彼ら《レジェンドブレイブス》の三人は、立派な働きをしたと言えるだろう。一軍メンバーと交代をして、多少ぎこちなさはあったが見事に役割を果たしたのだから。
「ヒヤヒヤさせるわね……でも、無事に終わってよかった」
「タンクが転んだときはどうしようかと思ったけどね」
そっと安堵の息を吐くアスナと軽く伸びをするレイ。二人はテーブルマウンテンの端から二歩ほど下がるとそれぞれ手近な岩に腰を下ろした。
アスナの方はひらりと足を組み、レイは足を閉じて揃えて、上目遣いにキリトを睨むとーー
「で? キリト君は、どうしてあの勇者さんたちが気になるわけ?」
「え、ええっと……」
「なにか大事なことなんでしょ?
早く言っちゃいなよ」
二人の射抜くような視線にごまかしは通用しないと悟ったキリトは意を決し、低い声で告げる。
「鍛冶屋ネズハは、《レジェンドブレイブス》の一員だ」
いかがでしたでしょうか?
文体?はセリフと地の文のスペースを開けるか否かで悩んでます。
では、次回でまたお会いしましょう!
はつかねずみがやってきた。
はなしは、おしまい。