こんな駄展開でいいのかなと、毎度思っていますが。
好きなのでやめません! どやはぁ
ミトたちはどのようにボスに立ち向かうのか!
それではっ、どーぞ!
――Shid キリト
俺たちはボス部屋の前に着き、隊列を整えていた。
その間俺たちオミソパーティは今回の役割りをおさらいしていた。
「今日の戦闘では二人一組になって、一人が攻撃を弾いてスイッチで交代、そこですぐさまもう一人が攻撃する。それから、鎧を狙うとアスナやレイのこうげきだと弾かれるからきをつけてくれ」
するとレイが、ん? と首を傾げる。
俺が一呼吸おいたところでミトが代わりに答えてくれた。
「つまり、取り巻きのセンチネルは鎧を着てるから、二人がただソードスキルを撃ったんじゃ徹らないってことだそこで狙うのが奴らの首だ」
「ん、わかった」
こくりと頷きレイは扉を見つめる。俺たちもそれに倣う。
アスナ、レイと、その顔からは決意に混じり、緊張の色がうかがえる。かくいう俺も、少なからず緊張しているのだが。
前方ではディアベルが七つの隊を綺麗に並べ終えたところだった。
ディアベルは銀に輝く長剣を高々と掲げると、大きく頷いた。他のメンバーも頷き己の武器を掲げる。
振り向き、扉に左手を添えて――
「――――行くぞ!」
短く叫ぶと、重厚な扉を押し開けた。
獣人の王《イルファング・ザ・コボルドロード》
第一層のボスにして、俺たちが相対する初めてのボス。
青灰色の毛皮を纏い、二メートルを優に超える美しくも逞しい体躯。
血に飢えた赤金色に爛々と輝く隻眼。
その姿を視界の端で捉えつつ、取り巻きのセンチネルの攻撃を弾いていた。
俺はパートナーであるアスナの《リニアー》の速度に驚かされた。 俺がセンチネルの攻撃を弾き「スイッチ!」と叫ぶとその手から残像が見えるほど高速の《リニアー》が、喉を正確に狙って撃ち出される。
ちょうど隣に来たミトも感嘆の声を漏らしていた。そんな彼も、得物の両手剣を扱いこなせていて様になっている。
ボスの方を見ると残りHPがレッドゾーンに突入する直前だった。
このまま行かせてくれ。
ソロでやっていた時にはしたことがないが、俺は全身全霊で何者かに祈っていた。
「……違うな……」
後ろにいたミトの呟きに、内心わからなかった。
「なにが?」
ミトの呟きにレイが反応すると、ミトはボスを見遣る。
そこで俺も気づいた。否、気づいてしまった。俺たちの決定的なミスに。
「事前の情報ではボスの武器はタルワールだったはずなんだ、でもあれはタルワールではなく『野太刀』」
俺とミトの言葉が重なる。
ディアベルたちのパーティは気づいていない。
それどころか、ディアベルがメンバーを下がらせ、一人でボスと相対していた。
「だ……だめだ、下がれ‼全力で後ろに跳べ―――ッ‼」
――手遅れ、か。
そんな呟きが、聞こえた気がした。
俺の叫びを嘲笑うかのように、《カタナ》専用剣技、重範囲攻撃《旋車》。
動ける者はいなかった、攻略会議で淡々と発言していたミトも。
ボスの攻撃は終わることなく、地面スレスレから繰り出されるソードスキル《浮舟》
打ち上げられたディアベルは抵抗もできず続くソードスキルを受けてしまう。
上下の連撃からの突き、確か名は《緋扇》。
すぐさまHPを削り取られ、地面に打ちつけられる。
「ディアベル‼」
俺はすぐにディアベルのもとへと走った、少し遅れてミトも隣に来た。
「なぜこんな無茶を」
俺は腰のポーチからポーションを取り出しディアベルに渡そうとするが拒まれる。
そして彼の口から、自身もベータテスターだったことを告げられる。
その体から光が漏れ出し始めた。
「ディアベル……」
ミトが騎士を見つめ、苦々しげに呻く。
「すまないなミト……ボスを頼む」
そう言い残し、騎士はこの世界から消えた。
ここまで落ち着いていたミトも、くやしさに唇を噛んでいた。
そこからは、先ほどを上回る激戦だった。
ディアベルが死んだ直後、俺はボスを見据える。
「わたしも」
俺の左にアスナが並び立つ。左にはレイが。
「わたしも行くよ、パーティだからね」
「俺は後ろの奴らを一括してから行くわ」
不敵に笑ってミトはこちらにサムズアップする。
「行くぞ!」
未だに響き渡る悲鳴を無視し、俺、アスナ、レイの三人はボスに突撃し
ミトはレイドを振り返る。その声が離れていてもはっきりと聞こえた。
「へたるな!」
大剣を床に突き立てたミトが叫ぶ。
それにキバオウが食いついた。
「なんやと?この状態でどないしろ言うんや!」
この状態、それをディアベルの死と言わないのは未だにその死が認めきれていないのだろう。そんなキバオウたちにミトは冷静に言い放つ。
「戦えよ、戦ってボスを倒せ」
「せやかて……」
まだキバオウたちは動けない、ミトはある一言を発する。
「ボスを頼む。ディアベル最後の言葉だ。逃げるも戦うも好きにしろ」
その場の皆がハッとする。皆少なからずディアベルを尊敬している、その願いを無碍にする者はいなかった。
全員の目つきが変わるのを確認するとミトはこちらに合流した。
「わざわざすまないな」
隣に立ち、大剣を構えたミトに声をかける。
「気にするな、リーダーが死んで逃げ出すのを見たくないだけさ」
面倒くさそうな表情とは裏腹にその声はいつもと少し微妙に違う気がしたが――
「ぼさっとするなよ、行くぞ」
「お、おう!」
ボスに駈け出して行くミトを追うようにキリトも駆け出す。見るとボスの野太刀が技後硬直中のレイに振り下ろされる直前だった。隣のアスナも硬直中で動けない。
まずいっ、間に合わないっ‼
目の前のレイの元まであと数歩。その数歩が遠い。レイも、振り下ろされる太刀に気づき、驚愕に目を見開く。
そこに一陣の風が割り込んだ。
――Shid レイ
繰り出した《ツインスラスト》の技後硬直で動けないわたしに、ボスの太刀が迫っていた。HPはイエローゾーンに入っている、このまま攻撃を食らうはまずい。避けようにも硬直で動けない。当たってしまう! そう思い咄嗟に目を閉じるが、来るはずの衝撃が来ない。恐る恐る目を開けていく。
そこには――
「無事か、レイ」
「――っ、透⁉︎」
助けてくれた嬉しさで思わず本名を叫んでしまうが、すぐに諌められる。
「本名で呼ぶなよ、ったく、危なっかしいのは変わってないのか。っと」
それまで拮抗していた鍔迫り合いが突如として終わり、ミトがわずかにバランスを崩してしまう。そこにすかさず薙ぎ払いが繰り出される。
「まずいっ」
咄嗟のことで動けないわたしを引っ張り倒れることで薙ぎ払いを躱す。
しかし完全には避けきれず、フードつきケープにあたり、ポリゴン片へと変わる。
ケープがなくなったことでその特徴的な黒混じりの銀髪が露わになる。
ボスの攻撃は続き、薙ぎ払いからの振り下ろしだが、ここでキリトが到着した。
「大丈夫かっ、二人とも!」
ナイスタイミングとでも言うようにミトはサムズアップをする。
「回復するまで任せてくれ。アスナ、手順はセンチネルと一緒だ。頼む」
キリトは、いつの間にか並んでいたアスナに指示を伝え、モーションを取ろうとしているボスを見た。
瞬間、キリトが薄青色の光を纏い、地面を這うように駆け抜け、あっという間にボスとの距離を詰める。高速で振るわれるボスの剣技を相殺し、ノックバックする。その隙を逃さずアスナが《リニアー》で捉える。
それを数回繰り返したとき、キリトがボスの剣技を読み違え、アスナもろとも吹き飛ばされた。それを助けたのは色黒の両手斧使いのエギルだった。
回復を終えたわたしたちは二人のもとへ駆け寄った。
「大丈夫?」
わたしの問いにキリトが悔しそうに答える。
「ああ、上下がランダムの攻撃だから仕方ないけど、くやしいな」
「でも、一人でもよくやったわ、あなた」
落ち込むキリトにアスナが励ます。意外とこの二人はお似合いかも。
「あの技、実はランダムじゃなさそうだったぞ」
「なんだって」
突然のミトの発言にキリトが食いついた。それはそうだ、自分が読めないと思った技が、実は規則性があったなどと言われれば。
「振り下ろしだと直前に右足がわずかに内側に向くんだ、切り上げだとその逆」
「…………」
もはや何も言えない、この男には、この戦いがどう映っているのだろうか。
決して短くはない付き合いのレイでさえ、それはわからない。
考えを放棄しボスを見遣ると、なんとボスを取り囲んでしっまった直後だった。あのままでは《旋車》が発動してしまう。
『まずい!』
それに気づいたミトとキリトが駆け出す。そのタイミングでボスが飛び上がる。
ミトが僅かに先に着き、ボスの攻撃ポイントであろうプレイヤーたちの中央で大剣を左の腰に添え、スキルモーションをとる。
「はっ!」
両手剣単発切り上げ技、《スウィプトアーチ》。体の左から右に切り払いを、ボスの太刀の根元に当てる。すると、ピキッという音とともに太刀が折れ、そのまま怯み、すかさず隣に立ったわたしが《ツインスラスト》を当てノックバックさせる。
お膳立ては整った、後は――
「行って、二人とも!」
「決めてこい!」
わたしたちの声援を背に、キリトと、フードを取り払い、栗色のロングヘアをなびかせたアスナがボスへと駆ける。
アスナの《リニアー》がボスの左脇腹に突き刺さり、僅かに遅れて、青色を纏ったキリトの剣が、ボスをポリゴン片に変え、盛大に四散させた。
戦いは、終わったのだ。
そして幕が上がる、ビーターという、悲しい幕が――
な、長かった。 肩痛いです、はっ、もうこんな時間、寝なきゃ!
最後まで読んでいただき、本当にありがとうです。
では、また次回に。
あでぅー!