ようやっと受験が終わりが近づいてきてひと段落着いたので更新です。
長らくお待たせしました!
ではっ
くりっく?
くらっく!
二層の主街区であるウルバスのメインストリートから細い道を何度も右に左にと曲がりながら目的の場所に辿り着いたわたしとアスナ、それにキリト。
目の前にあるのは、アスナがアルゴさんから買った情報に、デザートに「試してみる価値あるヨ」と言われるおいしいケーキを出してくれるNPCレストランだそうだ。
早速わたしたちは店内に入り、窓際の席に座る。
サラダとパン、シチューという素朴ながらも今現在の最高級食を堪能しつつ、隣のアスナとキリトとの会話に興じていた。 ショートケーキのショートの意味がさくさくだなんて初耳で驚いたり、アスナがキリトの情報を買うと言ったらキリトもアスナの情報を買うと言い返して地雷を踏みそうになったりと、実に楽しいお茶会になっていた。
このお店、広さも照明の明るさもちょうど良くて居心地がいい。店の中にはわたしたちと、あとは一人のプレイヤーが料理を次々と口に運んでいるだけだった。っていうか食べる手が止まる気配がないよあれ。 フードつきマントのおかげで顔が見えずに残念だ、私にはあれが男なのか女なのかはわからなかった。これ以上は考えても無駄と思いアスナたちの会話に混ざる。
内容は三日ほど前にキリトがエクストラスキルの《体術》を取った話だった。
「それでミトのやつが簡単に岩を割ってさ、本当にびっくりしたよ。 俺なんて三日かかったのに……」
「あなたには才能がなかったということじゃない?」
若干落ち込んだキリトにアスナが傷口を抉る発言をする。 やめたげてよ、キリトが萎んでるよ。
「確かになぁ、一緒にいたセンってプレイヤーもすぐに割ってたしなぁ」
セン? 誰だろう、透の知り合いなのかな。
「どんなプレイヤーだったの?」
わたしは思い切って聞いてみた。
だって、透の知り合いなんて気になるじゃん。 面白い人が多いし。
「そうだな……短剣使いで、装備は軽装だったな。 一ヶ月の期限付きでアルゴの護衛みたいなことをしてたらしいぞ」
「へぇ、もしかしてマッチョのおじさんとか?」
護衛というくらいだ、筋骨隆々なおじさんを想像してしまうわたしだが、直後にイメージが崩される。
「いんや、女だったぞ? 髪は黒くて肩辺りまであって、あと男口調だったな」
「へ?」
思わず間抜けな声を出してしまう。 しかしそんなことは関係ない。
女?
透の?
んん? ちょっと待て、男口調の女の人……あっ。
「もしかして知り合いかもしれない……」
「あら、知り合い多いわね……この世界も案外狭いんじゃない?」
「狭いかどうかはともかく、知り合いがいるってだけで珍しいよな。 俺は絶対にいて欲しくない」
アスナとキリトの話がわたしの耳を右から左に抜けていく。 可能なのだろうか、このSAOで、彼女の夢は。
「ねぇキリト、現実で足が動かない人がこの世界で歩くことはできる?」
「ん? そうだな、脳からの信号で俺たちは動けているわけだから、可能だとは思うぞ。 まさか…………」
「うん」
キリトはどうやら感づいたみたいだ。
センーー恐らく彼女は現実では車椅子での生活を送っていた。 わたしが家の階段から落ちて不覚にも骨を折ってしまい訪れた病院で出会った車椅子の彼女、
彼女は交通事故で胸椎を骨折した後遺症で足が動かなくなってしまったらしい。 本人は気にしていないような風だったけど。
そういえば千奈ちゃんは保科家(ヤクザとかの方面ではないらしい)の次期当主候補らしく、小さい頃から男口調(悪意あり)で育てられたこともあり男勝りな性格に育ったそうだ。 連絡先を交換してあったので、退院後も連絡を取り合い、時には千奈が家を脱走して遊んだりもした。 その時は透に付き添いをしてもらった。
――また会いたいなぁ。
アスナはなんだか分かっていないように首を傾げながらもケーキを食べている。
キリトの方は若干暗くなってしまったか、そんなつもりじゃなかったんだけど悪いことしたかな。よし。
「ほらケーキ食べなよキリト、でないと食べちゃうよ」
そう言ってわたしはキリトのケーキにフォークを向ける。
「まてまてっ!?これは俺の分のケーキだぞっ」
はっとしたキリトは急いでケーキを口に運ぶ。
その様子がおかしくてアスナと笑ってしまった。
そして食べ終わったわたしたちは、ケーキを食べることで発生した《幸運ボーナス》のバフが消える前に、アスナのウインドフルーレを強化をしようということになって店を出たのだった。
そしてわたしたちは今現在、人通りの少なくなった広場の北東でSAO初の本格的な商売に乗り出している《鍛冶屋》を目の前にしていた。
途中、「強化をするのは鍛冶屋さんでしょ?」というアスナの発言に対しキリトが、
「いちおう剣の所持者なわけだから、もしかしたら確率ボーナスがて強化されるかもしれないだろ? 試してみて損はないはずだろ」
などと言って説得する間にもバフの効果時間は減っていく。 アスナは頷くと腰からレイピアを外してまっすぐ鍛冶屋の露店へと向かった。
「こんばんは、武器の強化をお願いします」
十代くらいのわたしたちとあまり変わらなさそうな少年は慌てたようにぺこりと一礼した。
傍の立て看板には《Nezha's Smith shop》とあった。 名前がネズハ、でいいのかな?
彼は差し出されたフルーレを見ると――ただでさえ下がり気味な眉をなぜかいっそう困ったように寄せた。
その後アスナが素材を成功率上限まで渡すと更に眉が八の字になった。
なんで困ったようにしてるんだろう。
だからといって依頼を断るわけもなくネズハは了承し、アスナも「お願いします」と一礼した。
基材と添加材、お金を渡して準備完了。
なんだか不安になったわたしはとっさにアスナの腕にしがみついた。
さすがに不思議そうな視線をアスナが向けてくる。
「どうしたの?」
「い、いや、ほらさ。 こうしてればわたしの分のバフもアスナに行くんじゃないかなぁって…………あはは」
「「なるほど」」
アスナとキリトが納得したように頷いてくれた。 不安だなんて言えないんですけどねっ。
その後キリトは手を繋ごうとしたのだが、アスナの「わたしとあなたはそんな関係じゃないでしょ」の一言で小指を握るだけに終わった。
そして素材が炉に流し込まれ、強化が始められる。 入れられた素材は赤熱した後、青い光に包まれた。
カァン! カァン! とリズミカルな金属音が響く。
ふと隣を見るとアスナもキリトも不安そうに見つめていた。
十回目の金属音が響き渡ると鉄床のレイピアが一瞬眩く輝いた。
成功したと思ってほっとした瞬間、いっそ美しいとも言える破砕音が響いた。
見ればレイピアは青いポリゴンとなり霧散していた。
ありえないと思っていた事態にわたしもアスナも呆然としていて、鍛冶屋の謝罪の声はろくに届いていなかった。
アスナの代わりにキリトがネズハに事態を確認した。
キリト曰く、SAOにおける武器強化の失敗に《武器消滅》はないはずだろとの問いに、前にも一度あったのだと彼は告げた。
手数料の返金を断り、わたしたちはその場を離れた。
しばらく歩いてキリトが気を利かせてアスナをベンチに座らせた。
というか、キリトの「こ、こんなところにベンチがあるぞ!」という発言には驚いた。 これが一層で自分がビーターだと暴露した人と同一人物なのだろうかと疑問に思える。
そんなことはどうでもいい、今はアスナだ。
幸いにもキリトのおかげでだいぶ良くなってきた。
わたしには何も言うことができなかった、上手く慰める方法が思いつかず、手を握っていることしかできなかった。
その後アスナは立ちがって言った。
「明日、新しい剣を買いに行くの手伝ってくれる?」
「あ、ああ……もちろん」
「わ、わたしも行く!」
明日の予定を決めてわたしとアスナは宿へと向かった。
その途中、なんと声をかけていいものか悩んでいたわたしだったが、それは杞憂にだった。
「ねぇレイ」
「な、なんでしょう」
ついしどろもどろな返答をしてしまう。 そんなわたしをくすりと笑ったアスナはフードを取って空を見上げた。 そこには数多の星が輝いていた。
「ベンチに座ってるとき、ずっとわたしの手を握ってくれててありがとう。 あなたの手、暖かかったわ」
「ううん。 わたしにはあれくらいしかできなかったから……」
それでもよ、とアスナは微笑んでくれた。 恥ずかしくなって頬をぽりぽりと掻く。
宿に着いたわたしたちは別々の部屋を取りその日は別れた。
部屋に入って休み始めて一時間が経とうとした時、システム的に音が聞こえないはずの隣の部屋からアスナの悲鳴が聞こえたような気がした。
「ふわぁぁ、ウインドフルーレだぁっ! よかったねアスナっ」
ちょっぴり不安に思ったわたしはアスナの部屋にノックしたときにキリトの声が聞こえてきたので「おじゃましまーす」と声をかけてから入った。
すると目の前にはアスナの下着の山ーー正確に言えば下着が被さったアスナの私物の山ーーが出来ており、それを掘り返すキリトがいた。
思わずぽかんと開いた口が塞がらなくなったがキリトが山の中からアスナのウインドフルーレを見つけ出した瞬間に歓喜に変わった。
そして現在ウインドフルーレを両手で持たせてもらって帰還に感無量である。
状況の説明が欲しいし、キリトに対してさすがにアスナが下着類まで全部見せるはずはないし、何と言ってもアスナも最初は怒り心頭だったので二人してキリトに詰め寄ってみる。
「……わたしが感じている怒りが九十九Gだとすれば喜びは百Gだから、差し引き一Gぶんだけあなたに感謝することにしたわ」
妙に底光りする眼でそんなことを言うアスナ。
「ええと……なんで単位がGなの……?」
あ、それはわたしも気になる。
G……グラム、ギガ……あっ、もしかして、
「決まってるでしょ。怒りが上回ってたらそのぶんだけあなたをブン殴ってたからよ」
「あ、ゴールドじゃなくて衝撃加速度でしたか……な、なるほどですね」
キリトは最初、「長くなるよ」とか、「全部を把握しているわけじゃない」なんて言ってたけど、ノンアルコールワインとおつまみを買い込んだあと、説明を始めた。
「えっと……つまり、アスナのウインドフルーレはアンビルの上で消滅するまでの間のどこかで同じウインドフルーレにすり替えられた。で、それを戻すために《完全オブジェクト化》を使ったと」
わたしの話の要約に対してキリトは静かに頷いた。
「ウインドフルーレは戻った。あとは強化詐欺の方法を見破るだけだ」
「ええ、わたしたちの眼が炉に誘導された三秒間で、どうやって剣をすり替えたのか」
結論として、明日は警戒して店を出さないだろうということになった。
そもそも、詐欺をするような人には見えないというのがわたしたちの見解だった。
しばらくは情報収集になる。それに、前線にもそろそろ出なくてはいけないだろうし。
そういえば明日は最後のフィールドボス戦だったけ。
今はキバオウさんとリンドさんが攻略部隊のリーダーを務めている。
そのことをアスナから聞いたキリトは、「リンドがリーダーなら俺のワクはなさそうだ」と言っていた。
「そういえば、二人は参加しないのか?」
その問いにわたしもアスナは二人揃ってため息を吐いて首を左右に振る。
「偵察には加わったんだけど、大きいだけの牛だったし、統制さえ取れていればあんまり人数は必要なかったから」
「そこまではいいんだけどね、ラストアタックボーナスのことで頭ごなしな言い方されて、二人して『じゃあ本戦には出ません』って言ったの」
その光景を想像でもしたんだろうキリトは苦笑していた。
「もしかして、ミトも出ないのか?」
キリトの問いにわたしは首を横に振る。
「偵察の本線には出るんだけど、フロアボス攻略には出ないって。曲刀を使い始めたから、慣れないうちは出ないほうがいいだろうって」
最近やっと透と言わないようになってきた。少し寂しい気もするけど、ネットゲームで本名を呼ぶのは御法度だしね。
「そうね。そういえば彼、代役立てるって言って一人連れてきたわ」
「そうなのっ」
アスナの発言に対しテンションが上がり気味になる。
アスナがキリトに今日の偵察の話をし始めたので、わたしも半分くらい聞きながら思い出し始めた。
その時間、マロメの街には大体二十人くらいの人が集まっていた。
今日はフィールドボスの偵察を行って、明日本戦を行うという予定だ。
集合場所近くをうろうろしているとアスナを見つけた。男の人ばかりだからだろうか、集団の端で意気揚々なんてものとはかけ離れた表情をしている。
「やっほ、アスナ」
「レイ、あなたも参加するのね」
わたしに気づいたアスナの表情は幾分か和らいだように見えるが、やっぱりまだ固い。
そこから二人で近況報告をし合う。
宿はどこをとったか、とか。
一層攻略の時のお礼を言ったりと、そうこうしているうちに不意に声をかけられた。
「お、三日ぶりくらいか?二人とも」
よく知った声に反応して素早く声の出どころを見ると、案の定彼がいた。
「ミト!」
「そうね、久しぶりになるのかしら、ミトくん」
振り返った視線の先にいたのは黒の混じった銀髪に少し高めの痩躯。
腰あたりまでの青いコートは前と同じなのだが彼の得物が変わっていた。
「ミト、腰のそれって曲刀だよね?」
ちょいちょいと、指で軽く指すとミトは見やすいように腰から引き抜いて見せてくれた。
「あぁ、カタナスキルがあるなら取りたいからな。曲刀を使ってれば出るかもしれないだろ?」
出るかもわからないのにスキルを変えてしまったのは驚きだけど、本人がいいなら仕方ないよね。
でもそうなってくると熟練度や使い慣れなんかが気になる。使い慣れていない武器を使ってピンチになるようでは目も当てられない。
そんなことを気にもしていなさそうにミトは曲刀を腰に戻す。
「まぁ、さすがにボス戦は控えようかと思ってるんだ」
「やっぱり……使い慣れてないから?」
「それが無難よ。使い慣れていないっていうのは危険すぎるわ」
アスナも同意見なのだが、一層ボスで見たミトの実力を見ればいないというのはやはり心もとない。
そんな不安を感じ取ったのかミトはバツが悪そうに頬をぽりぽりと掻く。
「まぁそう落ち込むな、ちゃんと代役は立ててあるからさ」
代役?誰かと思って辺りを見回す。
ボス攻略で見なかった人達三人のパーティを見つける。バシネットを被ったリーダーらしき人がメンバーを励ましていて、それに応えるようにメンバーも強く相槌を打っている。
でも…………
「もしかしてあの人達?そんなに凄そうには見えないんだけど……」
風格ーーとでも言うのだろうか、それが彼らからはあまり感じられない。妙に浮き足立っているように見える。
「確かに。なんだか装備に着られてる感じね」
ミトはわたしたちの視線の先を見ると違うと首を横に振った。
「時間と場所は教えてあるはずだから、迷わない限り大丈夫なはずだ…………きっと」
最後の方は力なく呟いた。どんな人なのだろうと好奇心が湧いてくる。
知り合いの線はさすがにないだろうな、知り合いが一人いただけでもかなりの確率だろう。
「…………わかんないや、誰なの、その代役って」
降参を示すように両手を軽くあげる。
そんなわたしの肩を、誰かに指でとんとん、と叩かれる。
え?と思い振り返ると右の頬に指が食い込む。
小学校なんかで流行ったアレだ。
友達の肩を叩いて振り向くのを狙って指を置いておき、引っかからせるという遊びだ。
あっけにとられたわたしの視線の先には――
「わたしです、レイちゃん」
柳葉色のフード付きコートに乳白色の胸当て、腰のベルトには四本の投げナイフが装備され、ミディアムロングの髪と見慣れたその整った顔で女性プレイヤーが誰なのかはすぐに分かった。わたしの良く知る人物であり、現実では勉強などを教えてもらった人だ。年上なのに敬語であり、本人曰く口癖なのだとか。その癖こっちの敬語には怒るのだ。
「ひなっ………えっと?」
思わず現実の名前で呼びそうになるが、当然現実と同じ名前ではないだろうと考え言葉を中断する。
彼女はそれに気づいたようで、くすくすと手を口に当てて笑うとウインドウを操作し始める。
少ししてフレンド登録の通知が目の前に表示される。
――《Lonomia》からフレンド申請が来ました、登録しますか?
――YES
「えっと、ロノミア……でいいの?」
「はい、よろしくお願いします。それと、読みづらいだろうからロアでいいですよ」
そのあとアスナとも同じようなやり取りをして、お互いにお辞儀なんてしていた。
ミトと少しでも話そうかと思って近づこうとしたときだった。
「それではこれより、フィールドボス偵察の打ち合わせを行う。全員こちらに注目してほしい」
集まっていた人たちが中央を向く。
わたしも向くがわたしの前には大柄な人たちがいたので声の発生源が見えなかった。
べつに身長が低いわけじゃないよ、平均身長だよ、たぶん。
ミトが一番おっきくて、次にロア、わたしとアスナは同じくらいかな。
すると目の前の頭の群れの少し上に、髪を青く染めた頭が見えた。
どうやら壇があるらしく、説明のために登ったようだ。
あの顔は確か、ディアベルさんと同じパーティにいたリンドさんだったかな。
前は茶髪だったのに、ディアベルさんと同じ髪の色になっている。
わたしにはそれが無理に背伸びをしているように見えて、なんだか親近感が湧いた。
そうこうしているうちに説明は進んでいく。
ボスの名前は《ブルバス・バウ》という牛型モンスターであるということくらいしか情報がない。
そのための偵察戦なんだけどね。
偵察ではリンドさんのパーティとキバオウさんのパーティが主体となって攻め、壁役も両パーティから出るとか。
その他メンバーは時間をみて主要メンバーと交代をするらしい。
なんというか、キバオウさんとリンドさんがリーダーみたいだけど、ただ人数の多いパーティだからまとめ役になってるだけで、みんな同じプレイヤーなんだよね。
そのことを隣にいたミトに言ってみた。
「確かになぁ。まあ、主導権を取っていれば自分のいいように攻略が進められて、アイテムなんかも手に入りやすいってのはあるかもな」
そうなると、ベータテスターよりも性質が悪いかもしれない。
大義名分を掲げているくせに自分の利益や沽券が欲しいのだ。攻略を進めようという意気はいい。
ただ…………
「もう少しカリスマ性が欲しいな」
それを聞いていたミトがニヤリと笑う。なんというか、ものすごく楽しそうだ。
「そういうのは遅れて出て来るんじゃないか。けどどうせ石頭とかだろ」
期待しないで待つか、と締め括る。
石頭でカリスマか、それはそれで面白そうだ。
そしていよいよ、フィールドボス偵察へと向かうことになった。
道中では久しぶりに会えたロアとなごやかに談笑していた。
そういえばこの人、初めて会ったときから思ったことだけど、細いのだ、体が。
全体的にすらりとしていて、自然体でもぴんと伸びた背中は見ていてかっこいい。
そういう風に躾けられたと言っていたっけ。
ロアにこの前の一層ボスの攻略の様子を聞かれたので、ミトが助けてくれたことや、最後にラストアタックを取ったキリトやアスナについても話をした。
その話の中で、わたしが槍を使っていることが話題になった。
「レイちゃんはやっぱり槍なんですね」
「うん。教えてもらったものの中で一番しっくりきたから。
そういうロアは?」
「これです」と言ってロアはウインドウを操作して右手に武器を実体化させる。
両手斧に分類されるそれは槍と同じほどの長さの全長、穂先には大きな半月型の斧頭、その反対にはピックが取り付けられていた。
「ハルバードかぁ、また難しいのを選んだね」
ハルバードというのは様々な使い方ができる、斬る、突く、引っ掛けるなど多彩だ。いろいろな場面での使い分けができるけど、それを使い分けるのには迅速かつ的確な判断が必要になってくる。
わたしが以前教えてもらったときはうまく扱えなかった。
「本当は鎌を使ってみたいんですけど、ないんですよ」
「鎌って……すごく使い辛そう」
こういうのをロマンと言うのだろうか?
かっこいいけど使い辛い、勝てればいいけどそうそううまくいかないものだ。
不意に偵察隊が止まり、わたしも前の人にぶつかりそうになるがなんとか止まれた。
「着いたな」
あたりを見回したミトが呟いた。
わたしもそれにならってあたりを見る。
周りは高い壁に囲まれていて広く、まるで自然の闘技場のようだった。
「全員隊列を組んでくれ!」
「予備隊はワイらの後ろで待機や!」
リンドとキバオウの号令で偵察隊が形を整える。
そして少しずつフィールドを進んでいく。
全員が実体化させていた武器を構える。
フィールド中心まで進んだかというところで雄叫びが響いた。
「ブルモォォォォォオオ!」
フィールドボス《ブルバス・バウ》が突進攻撃を仕掛けてくるのを、リンドとキバオウのパーティの壁隊が防ごうと前に出る。
フィールドボス偵察戦が始まった。
そして偵察戦を終えた後わたしたちは口々に言いました。
二つのパーティでタゲを取り合ってどうするんだ、バカなのか、と。
はい、ということでロノミアさんの登場でした。
でもあれなんですよね、あんまりしゃべってないっていうww
ちなみにロノミアさんの誕生裏話なんですが
はじめはクール系にしようとして、これセンとキャラ被るじゃんということで没
明るくしたらレイとの区別が……
ということで今の敬語キャラに落ち着きました。
ではでは、これからゆっくりねっとりと更新していきます
はつかねずみがやってきた
はなしは、おしまい
*あ、いっけね、十二時ジャストに投稿しようって前回考えてたのに……
書き終わった嬉しさのあまり投稿しちゃった……orz