魔法少女リリカルなのは〜君だけの旅路〜   作:テノト

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戦闘描写は難しい。
そして、サブウェイ食べたい。

相変わらず拙い文ですが、楽しんで頂ければ幸いです。


9話

「フェイト・テスタロッサについて、今調べられるもの全てを調べてみました。と言っても、本当に僅かなものです」

 

エイミィが報告の為会議室になのは達を招集した。

 

「フェイト・テスタロッサは出生、年齢、親族関係、それら全てが謎です。今までこちらと遭遇しなかった原因は、恐らくあの使い魔のサポートがあるからです。それらのこととこれまでの戦闘データを踏まえて、魔導師ランクはA+相当だと思われます」

「ランクA+ねぇ。クロノはあの子と戦闘になった時、取り押さえられる?」

「そうですね。苦戦はしますが、何とかなるとは思います」

 

参加者の殆どが渋い顔をしていて会議室の空気は重くなっていて、そこからこの事件の手詰まりを感じ取れた。実際ジュエルシードの捜索も行き詰っていて、ここ10日間1つも見つかっていない。

 

「ただ一つ気になることがあるんですよ」

「何かしら?」

「フェイトちゃんと同じ苗字の魔導師が過去ミッドチルダにいたことです」

「……プレシア・テスタロッサ」

 

リンディはエイミィの口から出た言葉に呟いた。

 

「20年程前にアレクトロ社で、次元航行動力炉の開発に違法材料を使ったことで追放された大魔導師。確かあの事件はアレクトロ社が上層部の圧力で実験を強行させたのと、違法材料は検察側のでっち上げだったと言う内部告発で冤罪が確定していたはず」

「そうね……。彼女の追放後と出来る限りの情報を調べて頂戴。なにか手掛かりがありそうだわ。分かり次第また会議を開きますので、今回はこれにて解散。各自持ち場に戻って」

 

こうして重苦しい会議は終了した。

 

暫くして、事件は起こった。

非常を知らせる為に、アラートがけたたましい音で艦内中を響き渡った。

 

「何が起こってるの!?現状報告を!」

「海底にあると推測されていたジュエルシードが起動しました!」

「反応1、2、3、……6です!」

「上空に魔法陣があります!恐らく魔力を海に流して強制発動させたものかと」

「モニターに映して!」

 

モニターに映すとそこにはフェイトとアルフ、ディーがいた。原作通りのやり方を実行したらしい。

 

「なんて無茶を……!」

 

リンディがボソッと言葉を溢す。

アラートを聞いてなのは達がブリッジに賭け付けた

 

「何でディーがそこにいるのよ!」

 

アリサの怒声が艦内に響き渡る。

チッっと舌打ちをしてアリサはゲートへ駆け出した。なのはもフェイトの姿を見て駆け出す。

 

「艦長、僕も一緒に行きます。このままジュエルシードを取られるのを指を咥えて見る訳にも行かないでしょう」

 

クロノはそう言うとなのはとアリサを追うようにゲートへ向かった。

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

「ディー、アンタはよかったのかい?」

 

アルフはディーに尋ねた。

ディーのやっていることは主であるアリサの敵側の味方となること、つまり裏切りだ。

それだけではない。

アリサは魔法関係の仕事に就きたいと言っている以上、管理局が関係してこない訳がない。

それなのに次元犯罪者に手を貸すようなこの行動は後のアリサの行動を制限することにもなってしまう。

しかしディーは今更だ、と言った。ディーにはディーの考えがあった。

 

「我は一時的に次元犯罪者と協力しているに過ぎない。協力理由がロストロギアの封印なのだから、問題はない。そして我は管理局の定めた法を知らない無知な管理外世界の住人だ。重い罪を背負うことはまずないだろう。何より、願いを叶えるものが人の願いを切って捨てるなど有り得ん。見縊るでないぞアルフ」

「でも、無理があるんじゃ……」

「くどい。ジュエルシードは我の所有物だ。悪事に使わなければ如何様に使おうと、何か咎められる筋合いなど有りはしない」

 

無表情のディーを見て、アルフは最初に出会った時のことを思い出した。

溢れんばかりの力。射殺さんばかりの眼光。押し潰されるであろうと、死ぬ覚悟までした圧倒的存在感。

隠れ家にいた時の姿からは想像も出来ないほどかけ離れているディーの姿に、アルフは再び恐怖を覚えた。

同時に、頼もしくも感じた。

こんな存在が自分の味方だなんて、もう失敗は有り得ない、と。

今、フェイトが電撃を付加させた大出力魔法を海に放つ準備をしていた。

海を介して海底に沈んでいるジュエルシードに魔法を当てて強制発動させてから、暴走したジュエルシードをディーがコントロールするという考えだ。

魔力を込めて込めて込めて、それを薄く広く海へと延ばす。準備は整った。

フェイトの怒声を皮切りに、雷鳴と共に海へと落ちる雷。

ジュエルシードは暴走した。

ディーは荒れ狂う海へ手の平を上にして、腕を伸ばした。すると海は段々静けさを取り戻し、海底からジュエルシードが浮き上がってきた。

封印はされていないものの、ジュエルシードは何も反応せずに只光っていた。

フェイトは魔法も撃ち終えて、既にバルティッシュを構え直して封印の体制をとっている。

 

「さあフェイト、封印するんだ」

「ジュエルシード、封印!」

 

光がジュエルシードへと伸びて行き、包み込んだ。

 

「これで全てのジュエルシードが見つかったんだね」

 

フェイトは大出力魔法で残りギリギリの魔力となってやつれていたが、母に褒められると思ったのか嬉しそうに微笑んでいた。

ジュエルシードは全てディーの中へと溶け込んでいった。

 

 

 

「フェイトちゃん!」

 

 

 

そんな中、嵐が止み澄んだ空に声が響いた。

 

フェイトが声の主を見る。

声の方には少女が一人。

なのはだ。

 

「私はフェイトちゃんのことは分からない。けど目を見れば分かる!きっと寂しいんだって!一人で苦しんでいたんだって!だから私は自分が寂しくて一人で苦しんでいた時にして貰ったことをして上げたい!」

 

心からの叫び、優しいからこそ出で来る言葉。そして高らかに叫んだ。

 

「私は、私はフェイトちゃんの友達になりたいんだ!」

 

トクン

 

そうフェイトは自分の心の音を聞き取った。

最初は訳の分からない子だと思っていた。

触れたばかりの魔法で、自分と関わりのないことに首を突っ込んでくる。

自分の中の気持ちは只1つ。

 

『母さんを笑顔にしたい』

 

それ以外は要らないと無関心でいた。

しかし、冷たく突き放しても、尚寄って来る。何時しか武を交えるようになっていた。

ディーを拉致してから、少しずつ笑うようにもなった。笑うのが楽しかった。その時間が楽しかった。その世界が楽しかった。

フェイトは羨ましく思う。

あの子は普通の女の子だった。ならば自分が体感した、あの時間あの世界をたくさん知っているのだろう。

いつもは跳ね除けていたなのはの声は、今のフェイトにはとても甘美に聞こえた。

しかし、フェイトは跳ね除ける。

 

「今の私に、答える資格もそんな資格も……ない」

 

明るみから暗がりへ逃げてしまった。

 

「……分かったの。なら、私に勝ったら今あるジュエルシードを全てあげる」

 

遅れてきたクロノがなのはを止めようと叫ぶ。しかしなのはには聞こえていない。否、聞こえるはずがない。

 

「だから賭けて!私に負けたら、フェイトちゃんは私の友達になるの!いっぱいいっぱい、私とお話するの!」

 

なのははレイジングハートをフェイトに向けて言った。

 

「ここで私の意志と気持ちを魔法に乗せて、フェイトちゃんにぶつけるから、フェイトちゃんも全力でぶつけて来て!自分の気持ちを!!」

 

ここに火蓋は切って落とされた。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「ディー、あんたは何してたの?」

 

アリサは冷静になったのか、あまり怒鳴らずにディーに尋ねた。

 

「家庭の事情だな。願いを叶えるものとして、彼女等の願いをかなえない訳にはいかなくなったのだ」

「そう……」

 

アリサはディーの言葉に一言返すと次の言葉へと紡いだ。

 

「あのね、私はあのフェイトの事情とかは知らないし、どうすればいいかも分かんないよ……。あんたにしか出来ないことだったら、私は何も言えない。何も出来ない。でも、でもね……何も出来なくてもね……。私のパートナーなんだからーーーーー」

 

不意にアリサは抱きついて、ディーの胸に顔を埋めた。

 

「心配は……しちゃうんだよ……」

 

アリサはそのまま離れようとしない。

ディーは胸が熱く感じた。

 

「……主よ、心配かけてすまないと思っている。それに、こんな出来損ないな欠陥デバイスに心配をかけてくれてありがとう」

 

ディーは答えるように、我が子を労わる父のように、優しく抱きしめた。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

飛び交う光、火花を散らす杖と鎌、これは戦いではなく対話だそうだ。

それをアースラの面々はジッと見ていた。

 

「今のところ、力は均衡してるみたいだね」

「いや、若干だがテスタロッサが押している様だぞ」

「やっぱ魔法を始めたばかりのなのはにゃ荷が重いか、あのフェイトってのは」

 

射人、晃毅、神影の三人は手に汗を握りながら戦いを見届けている。

この三人は素人ではなく経験者だ。特に晃毅は歴戦の英雄として名を馳せたのだから、戦況の判断はかなり高い。

故に、如何にハイレベルな戦いかを容易に汲み取れる。

 

「貴方達は行かなくてよかったの?」

 

リンディはアリサとなのはが駆けて行ったので、と聞いてみたら三人は揃って首を横に振った。

神影は戦いの流れを見て呟いた。

 

「緊急時ですけど、正直ジュエルシードが制御されてなかったら、フェイトちゃんの消耗を待つまで出動は禁止するつもりだったでしょ」

「必要以上に多く行っても意味がないと判断したのもあるな」

「成る程ね。取り合えず今は、なのはちゃんを見守りましょう」

 

戦いはまだ決着までは遠いようだ。

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

「フェイトちゃんは何で戦うの!?」

 

なのはは魔力弾を飛ばしつつ尋ねる。

 

「母さんの、為だぁっ!!」

 

フェイトは魔力弾の掻い潜り、斬りかかる。

なのははそれを受け止めて弾いてから後ろへ飛び退き、ディバインバスターを放つ。

クッ!と息を漏らしてフェイトは避ける。

 

(今の砲撃、直撃は不味かった。この子、前に戦った時とは別人みたいだ!それにこの魔力弾、一発一発がこんなに重いなんて……!)

 

正直なのところ、フェイトはなのはを見縊っていた。魔法を始めたばかりの全くの素人だと。長年積んできた自分の鍛錬には叶わないと高をくくっていた。

そんな過去の自分を小一時間問い正したい程の成長っぷりだ。

 

(間違いない。この子は、本物の天才だ!)

 

今はまだ自分が優位に立っているものの、気を抜いた一瞬で逆転されてしまう。そう思えてしまうほどの急成長。

フォトンランサーを牽制に少し放ちつつ、相手にベッタリくっついての近距離戦。

得意な間合いで戦うのは基本中の基本だが、なのはもまたそのために相手から離れようとする。

埒が明かないと焦れば焦るほど、なのはとの距離は開いていく感覚に陥っていった。

そしてフェイトは自分の戦い方を忘れて我武者羅なものとなってしまっていた。

 

「じゃあ、君は何で戦うんだ!」

「分からないよ、そんなの!この町のみんなやアースラのクルーのみんな、フェイトちゃんのことを考えると体が勝手に動いちゃうの!動かしたいの!」

 

アクセルシューターを全力で放つが全ていなされてしまった。接近をしてきたらレイジングハートで弾く。単調だが、相手を消耗させる中距離型の基本的な戦い方だ。

 

「バスターッ!」

「うぁああ!」

 

前言撤回。砲撃型の基本的かつ、必殺戦法だ。

砲撃の直撃からフェイトが押され始めた。

既に消耗をしている自分ではこの天才魔法少女の相手など、はなっから負け試合だったのではないかという思いがフェイトの頭の中を巡る。最初から全力をもってかかれば此処まで追い込まれなかったのではないか、ということがフェイトの頭の中をグルグルと回り続けていた。

 

(そんなことはない!今からでも遅くはないはず!!)

 

今自分が置かれている状況を一蹴して最後の手段を決行した。

なのはに弾幕を回避しながら急接近を仕掛ける。

レイジングハートで受け止めようとするなのはに、格闘と見せかけて電撃変換させたプラズマランサーを浴びせて麻痺させてから離脱。

 

「撃ち抜け、雷迅!」

『ジェットザンバー』

 

なのはの頭上に雷が落ちる。

それを受けてなのはは昏倒してしまった。

 

「行くよ、バルディッシュ!!」

 

バルディッシュの雷刃へとどんどん蓄えられていく魔力。

遂には10数mは在ろうかという大剣へと姿を変えた。

 

「私は、母さんに笑って欲しいんだ!!あの頃みたいにリニスが、アルフ、が私が、何よりも母さんが幸せでいられる時間を取り戻すんだ!!」

 

昏倒して動けないなのはに向かって思い切り大剣を振り下ろす渾身の一撃。

 

「訳も分からずに戦う君に、負けてなんかやるものかぁぁぁあああああっっっ!!!」

 

ドグォォォォォォォンッッッッ!!!

 

ぶつかった衝撃で海から数十mに及ぶ水柱が立った。

手応えは確かだ。

 

「や……ったの……?」

 

肩で息をしながら倒れる水柱から新たに立つ水飛沫を見続ける。

過剰に魔力を込めすぎた所為か、ジェットザンバーは未だにバルティッシュに健在している。

不意に笑いがこみ上げて来た。

 

「私は……勝てたのかな……。は、ははっ……勝ったんだ……」

 

ふとアルフがいる方へ振り向く。

アルフの隣にはアリサがいた。

ここでフェイトはあることに気付く。

アルフは顔を青くして、アリサは目を丸くしてこちらの背後を凝視している。

2人は自分を見ていなかった。ある一点を見ていた。

徐々にそちらへと目を向ける。

水飛沫がどんどんと晴れて行く。

 

「……フェイトちゃんの思い、なのはに伝わったの……」

 

なのはが姿を現した。

 

「……嘘……。何で……?手応えはあった!確かに倒したはずじゃあ!?」

「少し掠っちゃったけど、ギリギリのところで障壁が間に合ったの。何重にも重ねた、私に出来る全力の障壁」

 

左手を前に突き出し、レイジングハートを持つ右手はダランと垂れている。

 

「辛かったんだね。寂しかったんだね。一人で、心に閉じこもって泣いてたんだね。けど、もう大丈夫。フェイトちゃんの願いは叶う!もう悲しむことも、泣くこともないの!だからまずは私の思いを、伝えて上げるの!」

 

垂れた右手を持ち上げて、レイジングハートをフェイトに突きつけて高らかに宣言した。

 

「う……、うぁあああああああっっっ!!!」

 

あと一回なら余剰魔力でもう一度ジェットザンバーを放てる。

しかし、放ったところで軽く避けられてしまった。気が動転してしまっていて、いつもの様な正確な捌きが出来ない。

フェイトはすぐに、大剣を振った反動を使ってなのはにクロスレンジで攻め込んだ。

 

「負けられない!負けたくないんだぁああ!!負けたら私は、私はぁっ!!」

 

なのはに向かって切りかかる、

が、そこになのははいない。

 

「な!?トラップ型のバインド!!」

 

変わりに自分がバインドで縛られていた。

 

「今から私の思いを伝えてあげる!!」

 

フェイトは顔を真っ青にしてバインドから逃れようと必死に身体を捩った。

しかし、どんなに捩っても一向に逃れられない。

 

「受けてみて!!これがディバインバスターのバリエーション!!!」

 

レイジングハートをステッキのように回して、フェイトに突きつけて魔力の収束を始めた。

どんどん溜まっていく、収束していく魔力。

逃れようも、やはり逃れられないフェイト。

そして収縮する魔力は限界点に達し、余波で周りの空間が僅かに揺れ、キラキラと魔力光で桃色に輝いている。

 

「これが私の意志と気持ち!これが私の全力全開!!」

 

 

 

「スターライト…………ブレイカーーーーーッッッ!!!!」

 

 

 

光に包まれるフェイト。

その中にフェイトは、確かにとても強い思いを感じた。

それは自分にぶつかって来る力としての恐怖とは裏腹に、優しさと安らぎを覚えた。

 

(ああ……。こんなにも私を思ってくれる人がいるなんて……。少し前は赤の他人だった人なのに……)

 

フェイトは光と優しさと安らぎに包まれて、眠ってしまった。

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