割と大幅な変更なので、にじファンから読んで下さってる方がいらっしゃいましたら、少しは楽しめる筈です。
戦闘描写は本当にわからんちんです。
『セットアップ!!』
男子三人組は自分のデバイスを装着して混戦真っ只中へと転送される。同時に傀儡兵の相手をしている武装部隊が強制転送でアースラに戻される。
「相手は随分と大所帯だぜ?最初の時より多くなってないか?」
「ざっと600か。面白い」
「一人当たり200かぁ。いや、2人が300のつもりでやってね」
「何だ?怖気ついたか?」
「馬鹿言わないでくれよ。狙撃手を前線に立たせるつもりかい?適材適所だよ。後ろから援護する」
「んじゃ、いっちょ派手に行きますかぁ!」
神影の言葉を皮切りに、三人と傀儡兵達は動き出した。
神影は大剣に手をかけて傀儡兵達へ突貫。大剣の一振りでとんでもない数が吹き飛ぶ。
晃毅はバトルドレスに身を包み、頭には無限バンダナを装備して、手に持つM202A1を的確に放っている。
射人は後ろへ飛び退き、そこから屈んで銃身の長い狙撃銃を照射モードにして傀儡兵を薙ぎ払う様に撃つ。
晃毅が射人へ話かけた。
「おい!そんなに銃身馬鹿長い意味はあんのか!?」
「砲撃魔法も本当の銃と同じで、打ち出す媒体が長い方が反動がないのさ!なのはちゃんみたく一点に魔力を収束させるんじゃなくて、銃身そのものに収束させるとそうなるのさ!」
「初めて知ったぜ、おっと!そんな知識!」
「随分余裕だな晃毅に射人ぉ!」
喋りながら戦う晃毅と射人に神影。
襲い来る傀儡兵を千切っては投げ、爆撃し、薙ぎ払う。
半分まで数を減らしたところで、また転送されて来る傀儡兵達。
「へっ、ストックの多い玩具共だな!」
まだまだ傀儡兵達との戦いは長引きそうで、段々3人からも余裕の色が消えていった。
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変わって突入組。
内部にも大量の傀儡兵が待機していた。そして交戦も始まっている。
「こちらの傀儡兵は魔力ランクが外のよりたかめだな」
「あの量を相手にするよりマシじゃないかい?」
ランクが高く大量といっても、外に比べたらこちらの方が幾分余裕を持てる。
クロノとアルフが切り込んで道を作り、なのはが他を殲滅する。ユーノはバックアップに回る。フェイトは未だに本調子ではないため、戦闘には参加しない。そのせいか、申し訳なさそうに見える。
正面門から入って廊下を抜けた先、開けたところに出た。
ここにはまだ傀儡兵は来てない様だ。しかし、傀儡兵がこちらへ来る音が先の廊下から聞こえてくる。
「よし、ここからは二手に別れて行動しよう。僕とユーノは時の庭園の動力を封じる。そうすれば傀儡兵の転送もなくなると思う。そしてなのは達はプレシアのところに行ってくれ。道は僕が開く」
クロノが提案した。
時の庭園の構図はフェイトとアルフから突入前に知らされている。
なのは達は力強く頷いてみせた。
クロノが傀儡兵がひしめくなのは達が進む廊下へS2Uを向けて叫んだ。
「さぁ、行くんだみんな!ブレイズキャノン!!」
クロノが砲撃で傀儡兵を一蹴するとなのは達は廊下の先、プレシアの下へ駆け出した。
「こちらも急ごう」
「そうだね。確か機関は……こっちだ!」
クロノとユーノはその後ろ姿を見送ると自分達の役目を完うするために飛びたした。
廊下を埋め尽くす傀儡兵を滅しながら進むクロノとユーノ。
ユーノがバインドで縛り、クロノがスティンガーで傀儡兵の核を的確に狙い打ちながら突き進む。チームワークは最高の出来栄えだ。
「君のバインドのお陰でかなり楽させて貰っているよ!」
「ありがとね!君の魔法の精度も素晴らしいよ!!」
互いを褒めながら進むと時の庭園の機関室が見えた。
機関室へ飛び込むとそこには大きな動力炉とその中に浮かぶ小さな赤い宝石があった。
「あれが動力になってるロストロギアだね」
「早速封印してなのは達の援護へ向かおう」
そしてすぐさまユーノは封印に取りかかった。
ユーノの魔法陣から無数の鎖がロストロギアを取り囲み、ガキンッ!という大きな音を立てて封印した。
「さぁ、この事件を終わりにしよう!」
クロノとユーノは休む間もなく駆け出した。
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時の庭園の外側、クロノとユーノのお陰で傀儡兵の転送が止んだ。
「なんか知らねえけど、転送されなくなったな!一気に終わらせようぜ!」
「同感だ、俺はもういい加減魔力が持たねぇからな!」
「晃毅はもう音を上げるのかい?」
「お前ら馬鹿魔力共と一緒にするな。それにこんな作業してても疲れるだけだ」
「なら、こいつ等一気に殲滅しても問題ないね?よし!カートリッジ、ロード!」
ガコンッガコンッと5回カートリッジの薬莢を排出させる射人。ディメンションスナイプの元々長い銃身が更に伸びて、周囲の魔力を収束し始めた。
「二人とも、ちょ~と本気で打つから後退して。巻き込まれても知らないよ」
間の抜けた喋り方をしているが、収束されていく魔力の強さと質は尋常ではなかった。カートリッジシステムのお陰で、なのはのフェイトを撃破したSLBなんかよりも威力は高いことなど目に見えていた。
神影と晃毅はその様を見ると一目散に後退をした。
「いくよ!これが今の限界点!カートリッジバースト!!!」
掛け声とともに噴射される収束砲。とんでもない轟音とともに銃身から飛び出した極太のそれは、右端から左端へと傀儡兵を薙ぎ払った。
間も無くして、傀儡兵は全滅。
転送もないことを確認して三人は安堵の息を漏らした。
「全く、何て威力の砲撃だよ……」
「ふぅ。幾ら負担が少ないからって、あれだけの規模の魔法はコントロールが難しいからキツイんだ。今のが本当に僕の限界だよ。今のところだけとね」
「取り敢えず、こっちの仕事は終わったな。なのは達の助けはいらないか?」
「今更行俺らが行ったところで足手纏いになるだけだ。なに、あいつらなら全く問題ないなんてことはお前らも分かりきっているだろう?というか、俺はもう魔力が限界だ。帰艦するぞ」
晃毅の言葉に射人と神影は頷いて、三人でアースラへと戻っていった。
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こちらはなのは達、クロノの砲撃で倒れなかった強力な傀儡兵が蔓延る長い廊下を進んで行く。
フェイトも魔力を回復し、飛んで進む。
「何で、こんなに、障壁が、硬いのよ!」
アリサがぼやく。
無理はない。先程の表の大量の傀儡兵に混じっていたAランクの傀儡兵が庭園内では跋扈しているのだ。それに他の傀儡兵と違い連携までとる始末。アリサの魔法弾を凌いだのも二体揃って連携しながら障壁を展開しているからだ。
しかしそこはアリサ。強引に魔力弾を捻じ込んでいく。
炎熱変換された魔法は障壁に少しの亀裂を作り、そこから内部へと一気に燃え広がっていった。まるで大火事。
フェイトとなのはは合体技とも言える息のあった攻撃で次々と傀儡兵を倒していく。
アルフも三人をサポートしながら傀儡兵に攻撃を仕掛けていく。
四人の魔力と体力が限界に近づき息も絶え絶えとなったとき、遂にプレシアとディーの待つ時の庭園の奥地とも言える広間へと辿り着いた。
「母さん!!!」
扉を開け放つフェイト。
その開け放った先にフェイトが見た光景は、
自分そっくりな少女を抱えるディーと、泣いて膝を付く母の姿だった。
「何、これ……」
「フェイトちゃんが二人……?」
アリサとなのはが声を漏らす。
全く同じ姿ではなく、ディーの抱えるフェイトそっくりな少女の方が幼く見える。
フェイトは目を大きく見開き、丸くし、大口を開けてワナワナ震えていた。そして、自分の体を抱いて膝を着いた。
そんなフェイトを抱いて支えるアルフがプレシアをキッ!と睨むが、プレシアはただディーの方へと腕を伸ばして何かを呟くのみだった。
「ァ、ァ……。……アリ……ァ……」
時間は少し遡り、ディーとプレシアが対談する大広間。
ここでプレシアは憤慨していた。
「なんで貴方がここにいるの?何故帰って来たの?フェイト……」
声には出さず目と纏う雰囲気がその怒りの大きさを物語っている。
「母さんは、私が子供じゃないって言っていたけれど、それは違う!私は母さんの子供なんだ!」
「違うわ」
フェイトの言うことを間髪いれずに否定するプレシア。
「貴方は私が作った人形なのよ。娘なんかじゃないわ。あってたまるもんですか。貴女なんて人形はもう用済みなのよ。消えて頂戴」
冷たく言い放つプレシア。
「人形?母さん、それはどういう……!」
母の言葉が解せない子供、母曰くは人形。
プレシアはわからず屋ね、と愚痴って話し出した。
「貴女は私の産んだ娘……そして死んでしまった可愛い娘……アリシアの代わりとして作った只のお人形なの。でも、所詮人形は人形、アリシアの代わりになんてなれなかった。いえ、なれるはずがなかったのね。けど私は貴女を愛してたわ。だって、溢れ出るアリシアへの愛を他に向ける場所がないのだもの。でも、それも無駄なこと、無用なこと、これでお終いなこと。アリシアは生き返るのよ。だったら貴女みたいな代わりのお人形なんて要らないでしょ?だからとっとと消えてなさい!」
人形に激昂するプレシア。フェイトの目からは光が消えていた。
そんな中、ディーは肩を上下にクツクツ揺らし始めた。
「ふ、ふふふふふ。はっはははは!!!」
そのまま大声を出して笑い始めた。
バッとディーに顔を合わせて、その笑い顔に向かって叫ぶ。
「何が可笑しいの!?何だって言うの!?」
ディーは笑いを抑え込んだ。
無理に押さえ込んだため、引きつるような笑い声が響く。
その声がプレシアを余計に苛つかせた。
「何十年も精魂込めて作った人形を娘と思い、違うと分かるとすぐ捨てる。まるで駄々を捏ねて買って貰ったオモチャにすぐ飽きて、壊してしまう幼児と変わらんではないか!これを滑稽と言わずして、何を滑稽と言おう!
愛だのなんだの、汝に語る資格などない!」
大声で口角を上げて嘲笑うディー。
あまりの仕打ちにプレシアは机をダンッと叩き、顔を伏せてアリシア、アリシア、と自己暗示のように名前を呼び始めた。
顔を上げてディーを殺さんばかりに睨みつけると、ディーは不意に椅子から立ち上がり、フェイト達の方へ歩いて行った。
「プレシアよ。汝がフェイトに暴言を吐く時、アルフはいつも黙って見ているだけだったか?」
そう言いながらフェイトの肩に手を置く。
「まさか、それは!」
「その通り。幻だ」
手を離してディーがプレシアに振り返って見ると同時にフェイト達は煙が風に煽られたかのように霧散した。
「貴方、謀ったわね!?」
「そうさ、汝の真意を計ったのだよ」
喚くプレシアを横目にディーは自分の横に魔法陣を展開した。
何が来るのかと杖を出し身構えたプレシアは、今まさに光を纏っている魔法陣をしっかりと見据えていた。そして光が止むと同時に目を丸くした。
「どうしたプレシアよ。鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をして。何かおかしいことでもあるのか?」
光が完全に止み、魔法陣の上に姿を現したのは。
アリシアであった。
いや、アリシアではなく、アリシアの亡骸が入った生体ポットと言うのが適当。
ディーはガラスに手を当てた。拳を作り、コンコンと叩く。
この仕草だけでさえプレシアは過剰に反応した。
「や、やめて!ガラスが割れたらどうするつもり!?その子をどうするつもり!?」
動揺するプレシア。
「母は強しとは言うものの、子有りきの話だったとはな。ここまで弱くなるとは」
バンッ!とディーはガラスへ強く手を打ちつけた。
パキンッと小さな亀裂が入り、養液が一滴ずつ垂れ始める。
「あ、ああああぁっっ!お願い、何でもするわ!だからその子はやめて!お願い!やめて!その、そのガラスが割れたらその子は、その子はぁぁああ!!」
ガラスに触れないでと懇願するプレシア。
が。
「我には関係の無いことだ」
そう斬り捨てると握り拳を作り、その手をポッドへと振り下ろした。
ガラスはバリバリと音を立てて、遂には砕け散ってしまった。溢れ出る養液。恐らく亡骸が腐るのを防ぐための特殊な液体だ。
プレシアの目からも涙が溢れ出る。
そのまま立っていることは叶わなくなり、膝を着いてアリシアへと手を伸ばす。
そんな母の姿を余所に、自分の体に巻いてある布でアリシアを包んで抱き上げる。
「汝が望み、叶えはしない。向こうへ渡った者は、戻らせない」
「アリシア……アリシアァァアアッッ!!」
そしてその後、フェイト達が来るまでの間、プレシアはアリシアの名前を呼び続けた。
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フェイト達が来るまでのことをフェイト達に包み隠さず伝えるディー。
フェイトは途中で泣き出してしまった。
そして今、未だに突っ伏しているプレシアに、アルフの抑止を聞き流して歩み寄る。
「母さん……」
「……話しかけないで……」
優しく話しかけるフェイトを拒絶する。
そんな母の姿を見たフェイトはその場に膝を付き、地面に着けた母の手に自分の手を重ねる。
「触らないで!」
フェイトの手を叩いて退ける。
「貴女はアリシアじゃない!私が作り出した只のお人形!愛しても何にもならない!私は貴女なんてーーーー」
そして突き放すように叫ぶ。
「ーーーーー大嫌いよ!!!」
フーッ、フーッ、と息を荒げていきり立つプレシアの目を見て俯くフェイト。
「……てる……。そんなこと……」
先程の優しさのあるフェイトの声色ではなく、もっと何か子供らしい声色だった。
「知ってるよ!そんなこと!」
フルフルと震える体と声。心の叫び。
母に近づいた時に止みかけた涙は、また溢れ返っていた。
「母さんが私のことが大嫌い!?分かってるよ!知ってるよ!何となく感じてた。自分が自分で無いような感じ。思い出と、母さんと、世界と、何かが違う違和感。きっと私は違うから、何かが違うから母さんが冷たくなって私を嫌ってるんだって、分かってたよ!でも、どんなに嫌われても、私の思い出の母さんを見ると……。嫌いに、なれないんだ!どんどん好きになっていくんだ!だから私は、母さんが大好きなんだ!」
目を赤く充血させ、プレシアの手を握って瞳を見つめ、大声で心が叫ぶ。
「もう、自分が何言ってるか分からないよ……」
言葉にならない叫び、いや、言葉に出来ない叫びは、常に自分のことを後へ後へと回していたフェイトにとって、甘え方を知らないフェイトにとっての最初にして最高の甘えだろう。
アリシアならいざ知らず、甘え方を知らない、甘えたことのないフェイトなのだから、今までの反動は計り知れない。
今、その反動なのだろう。
その甘えが、プレシアの止まっていた心の海、波など全く無い海に一石を投じることになっていた。
「こんな、筈じゃ……。こんな筈じゃ無いわ……こんなにも心が揺れて訳が分からないだなんて……。アリシアのこともそうよ……。こんな筈じゃないわ!だからーーーッッ!」
「プレシア・テスタロッサ!」
広間の入り口から叫び声。
「世界は、いつだって……こんな筈じゃないことばっかりだよ!ずっと昔から、いつだって、誰だってそうなんだ!こんな筈じゃない現実から逃げるか、それとも立ち向かうかは個人の自由だ!だけど、自分の勝手な悲しみに無関係な人間を巻き込んでいい権利は、 どこの誰にもありはしない!!」
クロノとユーノだ。
クロノはデバイスをプレシアに向けて叫ぶ。
「そうやって貴女は塞ぎ込んで、認めないでいて、前を見ない。それが一体何になると言うんだ!」
「じゃあ、どうすれば良かったの?私は今の今まで、アリシアが冷たくなって、話さなくなってから、アリシアを生き返らせることだけを考えて、それを生き甲斐にして生きていたのよ?なのに、それを否定されたら、これからはどうやって生きていけばいいの?それとも私に死ねって言うの?答えてよ……お願い、答えて……」
プレシアの叫び声は力を無くし、消え入りそうなか細い声へと姿を変える。姿を変えて嘆願する。
「償え」
ディーが口を挟む。
プレシアは顔を上げてディーを見る。
「罪を償え、贖罪しろ。果たされたならば、また幸せを見ることが叶うだろう」
「私の罪は、許されるの?」
プレシアの問い掛けにディーはフッと笑って見せた。
「動き出した時の中で、ならばな」