魔法少女リリカルなのは〜君だけの旅路〜   作:テノト

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長らく更新が遅れてしまいました。

更新が遅れた理由ですが、ひとえに本作品への創作意欲衰弱です。
書こうにも、書きたくてもなんだかこう、いまいちピンと来ないというか、キーボードを叩く指が動かなかったのです。息抜きにIS二次とオリジナルを2.3話ずつ書き溜めたのですが、そっちも結局納得行かずに停滞。もう会員解除しようかな?とも考えたり……。
そこからはずっと読み専です。
他の作者さんの作品を読んでて、「面白いなぁ、こんな風に書けたらいいなぁ」と思っているうちに、書きたくなって今に至るわけです。

鬱陶しい言い訳と能書きはこの辺にして、いよいよA’sに入って行きます。
愛想尽かしてしまった人も多いと思いますが、これからも読んで楽しんで下さると幸いです。


A’s編
1話 プロローグ


 ある雨が降り続いた六月水曜日の昼下がり。今は雨が止み、どんよりと重めの雲が広がる空の下ではなく図書館の中で、少女が一人本を読んでいる。

 おそらく小学三年生と推測される容貌を持つ彼女は学校へ行くべきなのだが、行かずにこの図書館に居るのには理由がある。

 彼女は車椅子での生活を強いられていた為に、学校へは通えないのだ。

 少女は元々、公立の小学校へと通っていたのだが、いつからか下半身の自由が効かなくなり車椅子の生活へ。ただの公立小学校に車椅子用のリフトやエレベーターが有るわけがないが、義務教育という制度の為在籍する必要はあった。私学では金銭の問題から通えそうにはないので、図書館に来て自主的に学習している。

 親の姿は見当たらない。

 共働きでこの場にいないのではなく、もうこの世にいないのだ。

 今は叔父を名乗る人物から支援を貰って生活して居るので、孤児院には入っていないものの、その叔父の姿を見たことがない。

 足長おじさんで有名な物語なら、少女は自由に動き回れたが、こちらの少女は自由に動き回れない。

 常に独りだった。

 家族がいないというのは、高々9.10歳の少女には過酷過ぎる試練だ。

 自炊は当たり前で、選択も自分。抱え込み易い性格なのか、ホームヘルパーも呼ばないので風呂なんて一苦労どころではない。ちょっとバランスを崩し、車椅子ごと転倒してしまったら、効かない下半身と年相応の力しかない細身の腕で、這い上がらなくてはならない。少し前までは、そんな辛い思いをする度に、目を頬を濡らしていたが、最近はもう濡れたりしない。

 来る日も来る日も家では独り。

 もう濡らすことは無いだろうと思っていた目と頬は、気付いたら濡れていることがたまにある。その都度、どうしようもない虚無感に襲われる。図書館からの帰り道、楽しそうに走り回りながら下校するランドセルを背負った子どもを見ると、嫌悪感と嫉妬心がふつふつと湧き上がる。しかし、こんな風に湧き上がる醜い感情はまだまだ序の口だった。色々と達観しているのか、だんだんそういったものは湧き上がって来なくなる。

 一番酷いのは、親子で仲睦まじくしている光景を目の当たりにした時だ。

 この時、少女の心では処理できない感情の波が精神を埋め尽くしてしまうのであった。

 

「何で私だけこんなんなん?」

 

 ふと、声が漏れてしまった。

 今彼女が読んでいる本に、家族の素晴らしさを語る文章が出てきたのだ。

 本の主人公の少女が、楽しそうに家族と遊び回っては笑顔を振り撒く姿がぽかりと頭に浮かぶ。

 彼女は、本の少女の姿と、自分の今の境遇を照らしてしまった。気が付くと、頬を濡らしてギリッっと奥歯を食い縛っていた。

 

 図書館も閉館の時間となり、今日あらすじを読んでみて興味を持った本を見繕って借り、車椅子に取り付けられた籠へと入れ、帰路に着いた。膝の上にはチェーンで十字に縛ってある本が置いてある。今まで読んだことがないどころか、開けもしないこの本が何故かお気に入りだ。図書館から家までは歩いて通える距離なのだが、それは体に自由の利く人だけで、車椅子使用者にはとてもじゃないが通えたりは出来ない。バスを使って通っている。

 バスの運転手の手伝いを経てバスに乗り、ケータイがブーブーと震えるのを感じて開く。自分の病のことで厄介になっている、主治医の石田からのメールだった。

 内容は、明日病院にて検診があること。明日が少女の誕生日で、そのお祝いの食事へのお誘い。大まかに言えばそう書かれていた。

 

「別にそんなもん要らんわ」

 

 石田の好意は分かってるけれど、これは理屈じゃない。反故にするつもりはないが、思わずにはいられない。本当に欲しいのは誕生会の誘いやプレゼントではなく、自分を愛してくれる大事な家族だ。

 石田が自分のことを肉親の様に愛してくれているのは重々分かっているのだが、主治医と患者の関係以上にはならない。医者とはそういうものだから仕方が無いのだ。

 家に帰るためにバス停からは、信号を渡って住宅街へと抜けて行かなくてはならない。そのために信号待ちをしていたのだが、やけに青に変わるまでの時間が長く感じた。

 漸く青に変わったのを確認して車椅子のグリップに手を掛けて前へと進む。

 何かがおかしくなった。

 もう既に陽は落ちて暗がりとなっているはずなのに、昼間以上に明るい。それに光は横殴りだ。ハッと光の眩しい方へと顔を向けると、なんと眼前にトラックが迫っていた。轢き殺さんばかりに

 グングン加速してくるトラックだが、何故だかゆっくりと感じる。ああ、これが走馬灯なんかな?という誰にも聞こえない小言で呟くと、少女はフッと意識を手放した。

 

 




次の更新はいつになるかは自分でも分からないので、当てにせずまったりとお待ち下さいませ。
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