魔法少女リリカルなのは〜君だけの旅路〜   作:テノト

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ここからは三人称になります。
そして、ご都合主義も酷くなります。
苦手な方はバック推奨です。

感想や指摘等随時受け付けてますので、気軽にお願いしますm(_ _)m


4話

とある学校、とあるクラスでの授業中。少女、と言うかアリサは黒板をボーっと眺めていた。

いや、何処も見ていない。

何故かと言うと、意識は此処にない。丸い輪っかの髪飾りの中だ。

傍から見ればただただ上の空の様に見えるが、輪っかの中では恐ろしいことをしていた。

魔力操作の練習なのだが、魔力の球を10個作りそれをマフラーでも編むかのように複雑に動かしている。しかも目で追うのがやっとの速度で。

想像して貰おう。フラッシュ暗算をしながら左手でタイピングをし、右手で習字をする。このぐらいの並列思考を駆使した動作を簡単にやってのけるのと等しいことをしているのだ。左右掴む手を逆にして自転車を乗る事よりも難しい。

もちろんこんな動作、本人の脳への負担も半端じゃない。

輪っかの中、つまりデバイスによる精神世界ともいえる場所でのアリサは顔を歪め、歯を食いしばり、汗を滝のように流して操作している。

 

「あっ!」

 

一瞬のミスで魔力の球はバラバラの方向へ飛んでいってしまい、霧散した。

 

「ハァ…ハァ……。やっぱり難しいわね。15秒持つのがやっとだわ」

 

息を整えて自己評価。

 

「そうだな。1分は持たなくてはな」

 

この鬼畜的発言をするのはディー。

少しは褒めてやって欲しいところだ。

 

「いやいや、あのねディー。7秒くらいからは頭を斧で割られるくらい痛いから」

 

「割られたことあるのか?」

 

「例えよ例え。この練習始めてもう5日もするわ。何か魔法の1つでも教えてくれてもいいじゃない」

 

ぶーたれるアリサ。

基礎トレーニングしかしていないのだから、想像していた魔法とは違うことに少し不満を抱いていた。

ディーは「いつかな」と言い残してもう意識を体へ戻すことを促す。授業はもう終わるようだ。

 

意識を戻して丁度に授業終了のチャイムが鳴り響いた。

うぅ~、と伸びを1つして机にうなだれる。自然と目は細まり口から「キツいわ〜」と言ったボヤきが漏れてしまった。

そこへ駆け寄る幼馴染達。

高町なのは、月村すずか、鬼灯神影である。

三人揃って眉を顰めて、

 

「アリサちゃん、授業中ずっとボーっとしてたけど大丈夫?悩み事なら相談するよ」

 

「そうだぞ。溜め込んでも1つも良い事ないぞ」

 

なのはの気遣い、神影の寂しそうな声色。

 

(私、心配されるほどボーっとしてたの?てか意識無いから当たり前か)

 

「大丈夫よ。ちょっと遅くまで勉強してて寝不足なの」

 

嘘ではない。内容は魔法のことだが。

 

「そうなんだ。でも、あんまり無理しないでね」

 

「てか、元々頭が良くて成績優秀なアリサに夜更かしさせる程勉強って必要か?俺にはいるだろうけどさ」

 

皆が自分を気遣って心配して、アリサは小さな幸せを感じた。

此処でアリサには1つ引っかかることがあった。

この鬼灯神影は本当にディーが警戒するほど危険な存在なのか。

本人の顔色、声色、眼光を見る限り、心の温かい人物に思えていた。

 

<ねえディー。神影は本当に悪い奴なの?私にはそうは思えないわ>

 

アリサは自分の思った事を率直に告げた。

 

<……実際のところよく分からん。流石に心までは分からんからな。ただ、我の中では不確定要素の中でもかなり大きな存在でもある事は確かだ。何にせよ、相手の素性が分からん以上下手に動けん。警戒するにこしたことは無い>

 

ディーも素直に告げた。

が、やはりアリサは釈然としない。

そんなアリサの心境をディーは悟って言った。

 

<なに、アリサが判断すればいい。所詮我の一方的な見解に過ぎない。本当に危険ならばその時に何とかする>

 

それを聞いてなんとなくだがアリサの心はスッと晴れた。

そこでアリサはハッと何かを思い出した。

 

<そうそう、明日の休みだけどなのはのお父さん監督のサッカーチームの応援にいくわ。あなたも人の姿で行くのよ。その足で私のお父さんと会うんだからね>

 

 

 

響くホイッスル。飛び交う掛け声。今、河川敷でサッカーの試合が始まった。

応援を送るなのは、すずか、アリサ、ディー、そして射人である。ディーはどちらかと言うと見てるだけだが。

ディーが推測するに、射人は運動が苦手らしい。動きや立ち姿が素人のものだからだ。軸がぶれまくり、とても運動の出来るものの姿勢ではない。

案の定神影はサッカーの試合に出ている。腕は他の人より若干巧みであるだけで、原作を知らない者にとってはクラスに一人はいる運動神経の良い奴にしか見えないだろう。

ゴールを決める度に笑顔を覗かせる。心から喜んでいるように見えた。

試合は進んでゆく中、ディーは考え事をしていた。

話は試合の前に遡る。

ディーが神影と初めて対面したのだが、彼はディーを疑ることなく「よろしく!」と挨拶を交わした。それはディーにとってあまりにも予想外なことであった。転生者なら目を丸くして自分の姿を見るはずが、そんなことは無かったのだ。

では、この鬼灯神影とは何者なのか。この問いで頭がいっぱいでいた。

何故だ。

可能性を考えれば限は無く、放って置くのは危険である。

危険の証拠に、彼はなのはの初めての戦闘に姿を見せたからだ。魔法を使って、だ。

ディーの思考は知らず知らずの内に泥沼に嵌ってしまった。

ピィィィィッッ!!っと、ホイッスルが響き前半戦は終了した。

なのはが駆け寄り神影にボトルを渡す。

 

「ありがとう」と神影が微笑むと「えへヘ」となのはははにかむ。スポーツの世界では有り触れた光景だ。

時間が経ち、後半戦へと移った。

 

「ねぇ」

 

射人が近付いてきて話しかけた。

 

「あなたは誰?」

 

率直な質問だ。まだ射人とは挨拶をしていない。

 

「我はディーだ。下の名前は無いな。我が国にその習慣が無くてな」

 

「ふぅん」

 

頷く射人。

そして切り出した。

 

「あなたは転生を信じますか?」

 

「唐突だな。輪廻転生のことだろう」

 

動揺することなく対応することができたディー。

 

「ええ。前世の記憶を持って新たな生を受けることともとれますけど」

 

「何故それを我に聞くのだ」

 

「答えたら答えます。どうなんです?」

 

「そうだな・・・・・・。信じよう。世の中不思議なことばかりだ。あっても可笑しく無いだろうか。君はその生き証人とでも言うのだろうか」

 

「ええ。お蔭様で今生からは神の存在を信じていますよ」

 

あっさりとエリックは打ち明けた。

 

「実はすずかの幼馴染でしてね、二歳くらいからの付き合いになりますよ」

 

「ほう」

 

「それからはあまり原作とかは意識しませんね。意識しててんてこ舞いにこの世界を舞台に踊り続けるつもりは無いので。それにこの世界の温もりは只の物語にはどうも感じられなくて・・・・・・」

 

てひひとはにかむ。

 

「私が転生者だと何故言い切れる。原作とか言っても話が通じんかも知れないぞ」

 

「ブラフですよ。別に引っかからないで変態扱いされても構わないと思ってますから」

 

ディーはフッと笑った。

 

「敬語を使わなくていいぞ。そちらの方が気が楽だろう。こちらは射人と呼ばせていただく」

 

「あはは、そうだね。そうするよディー」

 

「ところで射人。お前はあの神に何の力を求めた?」

 

「ん?呂布と那須与一とウィリアム・テルの狙撃の腕を合計したもの」

 

「…………」

 

ディーは思わず口を開けて呆れてしまった。

 

「大丈夫、遠くから打ち続けるチキンプレイするから」

 

「いやいや、そういう問題じゃないだろ。大丈夫か?」

 

「大丈夫だ、問題ない」

 

「それは死亡フラグととってもいいのか?」

 

「ほんとに大丈夫だって。もう1つ、他次元目標への狙撃が可能な銃型デバイス貰ったから」

 

結構にチートだった。

 

「こちらも唐突だが、何か鬼灯の情報を持ってないか?」

 

話を切り替えると射人は即答した。

 

「ああ、神影は転生者じゃないよ。只の良くあるオリキャラさ。テンプレ通りにニコポとナデポを習得済みで魔力量も馬鹿でかい。デバイスは母親がミッド出身だから作って貰ったんだって。姓は父親譲りの日本名。格好良さも父親譲りだよ。ニコポもナデポも。何でも彼の両親は亡くなってるらしくてね、母親はガン。父親は夜道に後ろから包丁で刺されたらしいよ」

 

母親は置いといて、父親を刺した犯人はきっと「えへへ。君が、いけないんだからね…。私に、振り向かない、君が……」とか言っていたに違いない。

にしても精神が強いようだ。

両親が亡くなったとなれば気はおかしくなる筈だ。

 

「人には人の強さや生き様があるのだろうな。我は彼を誤解していたようだ」

 

「性格とか容姿とか妬まれやすいからね~。たまに僕も妬むし」

 

それから二人はいろいろなことを話した。

話は試合が終わり、コート整理に入っても続けていた。

 

「あの二人なんか仲良くないか?試合中何かあったのか?」

 

「ま、良いんじゃないのかな?」

 

「仲が良いのは良い事だと思うの」

 

「でもな〜んか胡散臭い感じがするわ……」

 

少女3人と男子1人がそんなディーと射人を眺めていると、2人はコート整備に加わった。

原作では、キーパーの少年がジュエルシードを見つけて好きな少女にプレゼントと言う流れだが、そのせいで海鳴市がとんでもない光景になってしまった。

そこにリリカルマジカルなのは参上。事なきを得た、筈。

町に傷跡が残ってしまったが、少年と少女は結ばれた感じがしてなのははジュエルシードへの思いが一層強くなることとなった。つまり、なのは強化イベントだ。

しかしそうは問屋こと、ディーが卸さない。

強化イベントはもう起きない。ディーがこのコート整備の時にジュエルシードを回収したからだ。危険は回避すべし。ディーのモットーだ。

原作に死傷者のことは1つも記されていないが、あれだけの惨事で軽症者すらいないのはおかしい。せめてゼロに出来るのならそれに越したことはない。

ジュエルシード回収後、その場所にはジュエルシードと同じ大きさのルビーとサファイア置いていた。ディーの粋な計らいである。

今は翠屋にて食事中。「翠屋のシュークリームは化け物か・・・ッ!?」とか聞こえてきたが、気にしたら負けだと思う。

 

<なのは、なんだか変な魔力を感じるんだ。なのははどう?>

 

先ほどまで女子軍団に遊ばれていたユーノは何かを感じ取った。

 

<変な魔力って、特に何も感じないよ>

 

<そうか・・・。なんだかこう、縮こまったような魔力を感じるんだ魔力量は分からないけど>

 

ディーはギクリと体を小さく揺らした。

 

<って言われても分からないよぅ>

 

<気のせいかな?なーんか変な予感がするんだ>

 

ユーノ以外は気づけていないようだ。動物の姿をしているから感覚も動物並みに鋭いのだろう。

キキッと翠屋の前に車が止まる。普通の車より長めの車だ。

 

「お嬢様、お迎えに上がりました」

 

鮫島が迎えに来たようだ。

 

「じゃ、私は行くわ。また学校でね」

 

アリサはそういって車に乗り込む。

 

「ではまた機会があれば来る。シュークリームは相当の出来でしたよ」

 

ディーも一言残して車に乗り込んだ。

ディーは内心ホッとした。

 

 

 

「魔法か・・・」

 

「そうよ、魔法よ。お父さんは信じる?」

 

アリサが切り出すとアリサの父、ルドルフ・バニングスは深く息を吐いた。

 

「アリサ、お前が魔法と関わるきっかけを作ったのは横にいるその男でいいんだな?」

 

「はい。我のことはディーと読んでくれて構いません」

 

ルドルフはディーに一言、

 

「何故娘を選んだので?」

 

「素質があったから、では駄目ですか?」

 

「いや、十分だ。異世界から態々アリサを選んだのだ。ならいつか関わることとなったのだろう」

 

そう告げるとルドルフは語りだした。

 

「ならばアリサ、お前にはもう教えなくてはならないな。よく聞いておけ、魔法の存在はこの地球にもあるんだ」

 

「えっ」

 

「正しくはあった、だな。この世界では日本で言う江戸時代あたりまでは普通に使われていたんだ。産業革命から科学が急激に発展してしまってな、物事の殆どが科学で解明出来てしまったのだよ」

 

ルドルフはテーブルの紅茶を一口啜り、未だ手をつけていないアリサとディーに紅茶と皿に盛ったクッキーを勧めた。

 

「しかし、魔法は最後まで未知の存在だったんだ。地球の人類は仕組みが分からない魔法よりも、仕組みの分かる科学を選んだんだ。

けれど、他の世界の存在を知ってしまったんだよ。そこには魔法が普通に使われる世界でな、魔法が科学と合体したと言ってもいいのだ」

 

ルドルフは残りの紅茶を一気に飲み干し、葉巻の端をジョキンと切り、口に咥え、ポケットから出したマッチで火を着けようとした。

が、アリサのキッという鋭い目線に気付き苦笑いしながら慌ててマッチと葉巻をしまった。

 

「すまない。アリサの前では吸わない約束だったな。話を戻そう。それを知ったのがもう魔法の存在を一般世間から無くしてしまった後だから、もしそんな人類に攻められたら終わり、世界中に知れ渡っても同じだということは何処の国の首脳でも分かること」

 

ルドルフは立ち上がり、窓際に寄って外を眺めた。

ここはルドルフの会社の最上階にある社長室。眼下にはセコセコと行き交う人と車と電車の姿があった。

 

「だから魔法の存在を隠したんだ。世界と人類を守るためにな。知っているのは首脳達と私の様な巨大企業のトップぐらいだ。バレそうになればメディアに頼み込んで情報封鎖していた。メディア自体もこの危険性を理解していたからな。そして魔法文化人類最大の都市であるミッドチルダという都市に各国から調査隊を派遣して、向こうの情報を手に入れてるのだ。今そういった働きがあるからこの地球の平和が成り立っていると言ってもおかしくないんだ。今のアリサには難しかったか?」

 

「えっと、要するに地球には魔法文化はあった。けど無くなった。で、今では偉い人達だけが魔法のことを知っている。普通の人にバレたら地球がおかしくなる。って事でいいの?」

 

ルドルフの話を聞いて、取り敢えず大まかに理解出来た事をサラッと口に出した。

しかし、こう説明されると納得してしまう。

確かに原作で大樹の事件が世界を震撼させるニュースにならないのはおかしい。

魔力を持つ遺伝子を持たないのにリンカーコアを持った者が生まれてくるのも説明がつく。

 

「その偉い人達が魔法を使えるわけじゃないがな。しかしよく理解できたな。流石私の娘だ」

 

「えへへ。当たり前でしょ。何て言ったってルドルフ・バニングスの娘なんだから」

 

重い話だったのが一新して微笑ましい親子の光景がそこにはあった。

親子水入らずのこの空間にディーは居ずらそうにしていた。

 

「アリサがここまでの知識を持っているのは異常な気がするが……あの塾はもうこんな内容まで学習させているのか?」

 

「いいえ、我が教えました」

 

ディーは返答すると詳しく説明した。

 

「アリサの魔法の訓練はアリサが髪に付けている飾りの中、俗に言う精神空間で行ってまして、その空間はこちらとは時間の流れが2倍ほど違うのです。学校や塾の授業中を使って魔法の訓練をしていたものだから学習が御座なりになっていたので私が教鞭を精神空間で振るわせていただきました。スポンジの様に教えることを吸収していくので楽しくなって中学受験で満点を狙えるレベルまでに上げました」

 

特に社会科が伸びた、と付け加えて。

アリサは本当に優秀だった。魔法だけでなく、学習面もだ。

精神に直接叩き込んだから、と言うのもあるとは思うがここまで吸収が早いとやはり教える側も楽しく思えるのだろう。

そんな話を聞いて誇らしげに微笑むルドルフが急に顔を引き締めた。

 

「アリサ。お前は魔法に出会って何か思うことはあったか?」

 

「分からないよ。まだ初歩を学んだだけだもの。でも、これから色々な人に出会うような気がするの。それに私、長いものに巻かれるのは嫌いなの。だから私、お父さんが会社を継げって言っても継がないわよ。それとね、他の世界には魔法を使うことを生業とする人たちがいるらしいわ。その仕事に就いてみたいと思うのよ。我が儘だと思うけどもう決めたのよ。それに会社を継ぐなら他にもっと適任の人がいるはずだし」

 

ディーは一言も聞かされていないことだったので驚いた。

そんな風に考えていたのか、と。

 

(いや、我が魔法を教えたのだ。存在を知ればこんなことになることも考えられたはずだ。我の我が儘で人生を変えてしまったのだな)

 

そう自己嫌悪に浸っている中、

 

「そうか。アリサはそう思っているのだな。なら好きにするがいい」

 

「え?いいの?本当に?」

 

「ああ。我が儘で甘えん坊のアリサは1つ何かを決めたら絶対に曲げなかったからな」

 

何のこと?と首を傾げると、

 

「覚えているか?あれはアリサが五歳ぐらいだったか、欲しい人形があって買ってほしいといったときに私は駄目だと言ったんだ。甘やかすのは良くないとな。そしたらお前は人形の置いてある棚の前で愚図ったんだ」

 

ルドルフは懐かしむように語りだした。

アリサはハッと思い出したのか、カァーーっと顔を耳まで真っ赤に染める。

その様子を見たディーは面白そうと詳細を強く希望した。

さっきまでのディーは何処へ行った。

 

「あの後泣きながら買ってといったものだから、どうしても駄目だ!と一喝しようとしたら、今度は泣きながら黙り込んでその場に座り込んでジ~ッと睨み付けてきたんだ。鼻も垂れて顔をクシャクシャにしてしゃっくり交じりに泣きながらだ。いやぁ懐かしい」

 

「や、やめてよ……。もう昔の話でしょ!」

 

顔を真っ赤にしてわたわたと言っても親父心を擽るだけで、

 

「そうそう、母さんがその姿を写真に撮っていてだな、それがこの……」

 

「ワァーー!やめて!見せないで!このバカ親!渡してよ!」

 

奪い取ろうと手を伸ばすが、ルドルフはうまく避けて立ち上がり写真を手に持ちひらひらと揺らす。

そのルドルフの持つ写真に向けてピョンピョン跳ねるアリサ。もちろん届くはずも無い。

魔法使えとかは禁句だ。

 

「ハッハッハ!ディー君、君にも見せてあげよう!」

 

そう言ってディーに渡す。

今度はディーの周りをピョンピョン跳ねる。

 

「これは……!ふむ……いいセンスだ……」

 

「中の人的には合ってるけどさ、じゃなくて!こっちに渡しなさい、ディー!」

 

「分かった。渡そう」

 

ディーはすんなり渡すとホッとしたのか息をつくアリサ。が、ルドルフは、

 

「同じ写真ならまだいっぱいあるぞ?」

 

懐から同じ写真を10枚ほど取り出し見せる。

 

「あーーもうっ!いい加減にしなさいッッ!!」

 

と叫んでルドルフの股間を蹴り上げた。

蹴りの勢いでルドルフが浮き上がった。

そのまま倒れこんでビクンッビクンッと痙攣を起こして撃沈した。

 

「フンッ!話は終わったわ。帰りましょ、ディー。そしてさっきの写真は忘れなさい」

 

「いや、無茶があ「忘れなさい」だか「忘れなさい」……わかったよ……」

 

アリサが部屋を出た後、ディーもそれに続き、そしてルドルフに向かって十字を切った。

 

 

 

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