魔法少女リリカルなのは〜君だけの旅路〜   作:テノト

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大変遅れました。
理由は簡単、戦場の絆です。
色々と……ね?
あと、やる気が起きなかったのが1番かなと。
長めな上にわけわかめな内容ですが、私は一向に構わんッッ!!という猛者はどうぞ。


5話

どうやらついにディーが原作介入をすることを決めたらしい。海鳴温泉へのお泊り会からだ。

だから、

 

 

「皆さん、お茶をお持ちしました」

 

 

今はこの茶会を楽しむようだ。

因みにすずかがこの茶会へ皆を誘うとき、

 

「射人はイスに座るのが嫌いって前言ってたね。うん。そう言ってたから今日はイスが1個ないんだよ。しょうがないね。座るのが嫌いなんだもんね」

「違うんだ!ただそのときバスで席空いててすずかに聞かれたら丁度お婆ちゃんが乗ってきたから、格好つけただけなんだよ!そんなにいじめないで!アリサからも何か言ってくれよ!」

「ちょっと引っ付かないでよ!暑苦しいわ!あ~も~しょうがないわね~!」

 

というやり取りがあった。

紅茶はなんだか高級感溢れる香りに満ちていた。他の皆は慣れているのか、美味しい美味しいとスコーンと一緒に頬張っている。

前世庶民のディーは優雅に飲んでいるが内心は、

 

(不味いぞ、紅茶やスコーンは美味いが。このカップ、お幾らするのだ?見た感じ、触った感じで10万は下らない。このイスも机も50・・・いや、70万くらいか?)

 

パリーーン。

 

「はわわ!?お嬢様申し訳ありません!またカップを割ってしまいました!」

「ファリンったら。あなたは大丈夫なの?」

「はい~。ですがカップが……」

「高々50万なんて。カップは替えがきいてもファリンはきかないの。だから気にしなくていいのよ」

「すずかお嬢様~」

「やっぱりすずかちゃんは優しいの」

「ファリン、許してもらえたのならそれに報いなさい。さ、片付けなさい」

 

嗚呼微笑ましきかなこの光景。

しかしディーは、

 

(50万……だと……!)

 

値段に戦慄し、その横で猫に揉みくちゃにされるユーノと射人は、

 

(完全無視……だと……!)

(本当に僕のイスがない……だと……!)

 

同じく戦慄していた。

 

 

 

(む、この感じ!)

 

何とか猫地獄から抜け出しなのはの肩の上で休んでいたユーノがジュエルシードに気が付いた。

 

(あそうだ、ジュエルシードあるんだった。ま、いいか)

 

原作知識有りの射人は今回の件は非介入をすることにした。

 

(もういい。紅茶を素直に楽しもう。なんだか疲れたな。このハーブティーが余計に身に染みてくるようだ)

 

ディーは未だにティーカップに気を取られていて、ジュエルシードの事を忘れていた。

 

<なのは、近くでジュエルシードが発動したようだ。どうする?>

<ええ!?でも、途中で抜ける訳には……>

<う~ん。なら!>

 

何か思い立ったのか、そういって茂みへと駆け出すユーノ。

 

「あ、ユーノ君まって!」

「オイなのは俺も行くよ!」

 

そんなユーノを追いかけるなのはと神影。

 

「アンタはなんで行くのよ!」

「二人の方が捕まえ易いだろ!」

 

アリサに止められそうになるが、一応論破して茂みの中へ2人は駆けていった。

そんな中、

 

「ノエル殿、このハーブティーのお代わりを頂けるかな?」

「はい、畏まりました」

 

やっと紅茶を楽しむ余裕が出てきたディーはノエルにお代わりを要求していた。

コイツはホントに主人公なのか?

 

 

 

「うわ~。これはこれは」

「すごく……大きいの……」

「その言い方は色々不味いと思う」

 

ジュエルシードを拾った猫が大きくなりたいと願ったのか、目の前には鯨の様な大きさの猫がいた。

 

「どうやらジュエルシードの効果が正しく発動したみたいだね」

「ネコさん、大きくなりたいって思ったのかな?」

「それは良いけど、これじゃあ大きすぎだろうよ……」

「そうなの。これじゃあすずかちゃんもご飯代に困ちゃうの」

「いやいや、餌代とかそんな問題じゃないでしょ。間違いなく常識の問題でしょ、これ」

 

ニャンニャーンと鳴き続ける猫は神影にじゃれ付いた。しかしここまで大きいとじゃれ付くと言うのも違って来る。飼育員がシャチにじゃれ付かれて全身複雑骨折をしたと言うのは有名な話。

よって、

 

「痛たたたたたたたたったッッッ!!痛ぇって!バカ爪が目にギャァァアア!!!」

 

こんなことになる。

 

「にしても向こうに敵意がないんじゃ攻撃しずらいよなぁ」

「そうそう、ネコさんかわいそうなの」

「でもホントにどうし「ニャーン」うわぁっ!」

 

ユーノまでも餌食に。

 

「「痛いっててて!!重いって!!身が出るって中身がぁぁあ!!」」

 

ニャーン、ぬこ無双。

一言で言えばそんな感じ。

 

「神影君!ユーノ君!」

 

流石にこのままでは神影とユーノの中身が本当に出てしまうと感じたなのはが動こうとしたそんな時、横から物凄い黄色い閃光が飛んできた。

バリバリッ!と音を立てて猫に当たると、猫は衝撃のあまり気絶した。

咄嗟になのはは光弾が飛んで来た方を見た。

その方の木の枝の上を見ると、黒いマントを羽織った斧のような、鎌のような武器を持った金髪の少女が佇んでいた。

その瞳は物悲しげで、しかし力強い光を放っていた。

 

「バルディッシュ」

 

手に持つ武器、デバイスの事だろう。猫にかざすと雷光を散らしてジュエルシードを取り出して封印した。

封印したジュエルシードを手に握り締めてこの場を飛び去ろうとしたその時、

 

「待って!」

 

なのはは少女に向かって叫んだ。

 

「それは危険なものなの!だから私のお友達が一生懸命探して集めているの!危険がないように!」

「……私には関係のないことだから」

 

少女の背中に必死に訴えるなのはを、少女は関係ないとバッサリ切り捨てた。

 

「助けて貰ったのは感謝するよ。でも君は何処の魔導師だ。このジュエルシードの危険性を知っているのか?」

 

ジュエルシードの力が解けて、猫の体から開放されたユーノが問う。

 

「ロストロギアと言う事は知っている。でも関係ない。ただ必要だから持って行く」

「勝手にロストロギアを持って行く。君のやっているそれは犯罪行為なんだよ。今すぐ止めるべきだ」

 

そう述べるユーノを無視して飛び去ろうとする少女。

 

「待って。私は高町なのは。お話し聞かせて欲しいの。貴女のお名前は?」

 

もう一度少女へ話しかけるなのはは、バリアジャケットを身に纏い空を飛んで彼女の前に回り込んで、瞳をしっかりと見つめた。

暫くの沈黙。

しかし彼女の返答は、鎌を振り下ろすことだった。

なのはは咄嗟にガードするが、そこに高速の鎌による一撃を決められ後方へ吹き飛んだ。

 

「フォトンランサー」

 

吹き飛んだなのはに雷へと魔力変換された魔力の槍を追い討ちにガードも障壁も間に合わず直撃してしまう。

 

「キャアァッ!」

 

そしてそのまま集中力も切れ、気を失った。

 

「不味い!」

 

今空中に浮いてるなのはが地上へ落ちたら大変なことになる。そう咄嗟に判断した神影がなのはをうまく抱きとめて事なきをえた。

しかし少女はその隙に逃げ出した。

 

「……逃げられたね」

「仕方ねえよ。なのはは負けたんだ。それに今の俺らが束になっても勝てるか分かんねぇ位強いぞ、あの子」

 

言ってしまった少女の後を見てユーノと神影がポロっと言葉を溢す。

その後、なのはを負ぶって戻ると少女2人がなのはの姿を見て声を荒げた。神影は、なのはが転んで頭を打ったと説明した。なのはは目が覚めて、にゃははと苦笑いしながら皆に心配掛けてごめんなさいと謝った。

その後は顔を俯いてもの思いにふけていた。もちろん、思い浮かぶのはあの悲しげで力強い瞳。

そのことで頭はいっぱいだった。

そして時間は過ぎ去り……。

 

 

 

 

 

「皆、着いたよ」

 

士郎さんが告げる。

五月晴れ。漂う空気は熱く、暖かく。

香るは硫黄の匂い。

そう、ここが海鳴温泉だ。

旅館のチェックインを済ませて部屋に荷物を置き、早速風呂の支度をする高町家、月村家、バニングス家、神影、射人。

皆生粋の風呂好きらしい。

因みに射人はまたもすずかに(最もふざけの範囲だが)

 

「ねえ射人。前に射人は人に席を譲ると気分がよくなるって言ってたよね?なら今回はディーさんが参加するからディーさんに席譲ったら?」

「そ、そんなことって!」

「フフフ……」

 

と、またもいじられていた。

すずかなりの愛情表現?こんなキャラだったっけ?

実際に車のトランクに乗って来た訳では無いので問題はない。

 

「さ、風呂に入ろう」

 

士郎さんの言葉に皆で浴場へ向かう。

 

「ユーノ君はこっち!自分で体を洗おうとしないからね」

 

案の定ユーノはなのはに拉致された。

 

<た、助けて神影~!>

 

(俺は何も見ていない。そうだ俺は何も見ていない。俺は全く何も見ていない)

 

助けを求めるユーノを自己暗示で塗り潰す神影。そして神影は一気に男湯へと駆け込んだ。彼も彼女ら3人に拉致られた経験があるのだろう。

もげればいいのに。

 

<う、うわぁぁあああ!!!>

 

嫌がるユーノはなのはの手から逃げようと試みるも、体毛を掴まれていて無理に抜けるとそこが禿る。安心なさい。君を淫獣なんて呼んだりりしない。

一方でディー、士郎、恭也、鮫島の大人組みは、

 

「士郎殿はよくここまで身体を鍛えられたものだな」

「そうかな?ディー君だって中々なものじゃないか」

「俺は鮫島さんに驚くよ。その年でその体はちょっと」

「ほっほっほ、この程度で驚いてはなりませんぞ恭也殿。執事たる者変身を2つは残しておくものです」

 

いやはや実にむさっ苦しい。

そして男子組。

射人は一足先に湯船の中に。

そこに神影が近付いてきて、

 

「ユーノが犠牲になった……。俺は見捨てることしか出来なかった……」

「そうなんだ……。いい奴だったよ……」

「俺らには神に祈りを捧げることしか出来ないのか……」

 

女湯のある方向を向いて合掌した。

せめて3人に遊ばれても、男として大切なモノを失うなよ、と。

そしてバンッという音が浴場に響き渡った。

露天風呂に繋がる扉が開いたのだ。

そして、

 

 

「「2人を迎えに来た!」」

 

 

祈りを捧げた神は少年達にそっぽを向いて少女に微笑んだ。

そして神はロリコンだったようだ。

なのはとすずかが仁王立ち。

露天風呂は混浴となっていて、そこから突入して来たのは言うまでもない。

 

「地獄からの?」

「う~ん、取り合えず後ろに転がってるユーノが気になるよ」

 

ユーノの体毛はツヤッツヤに輝いてるが心なしか頬がこけて見える。

 

「いいから行こう!」

 

引きずられる2人。

 

「やめろー!死にたくなーい!」

「ハハハ、神がそっぽむいてらぁ。あれ?なんで見えるの?」

「何馬鹿なことやってんのよ……」

 

その一連の流れを呆れた様な目で見てボソッと呟いたアリサと少年達の目がパチッとあった。

そしてアリサは顔を郵便ポストの様に真っ赤に染めた。

 

「こっち見ないでよ!変態!!」

 

床の石畳を剥がして投擲。

少年達は見事撃沈。

いや、まずどうやって剥がしたんだ。

 

 

 

少年2人はそのまま風呂場から部屋に搬送された。

少女3人は、「温泉と言えば卓球!」という考えの下卓球場へ向かっていた。保護者としてディーが同伴する。

すると前から女性が歩いてきた。

オレンジの髪が特徴的なフェイトの使い魔、アルフだ。

アルフはなのはの前に立ち塞がると因縁をつけたような口調でいった。

 

「あんただね、私のところにちょっかいを掛けてきたのは」

「へ?私?」

「へぇ~。こんなガキンチョがねぇ」

 

背の分もあるが明らかに見下した態度。はたから見れば正気を疑う行為だが、良い意味でも悪い意味でも純粋ななのはは自分が何か大変なことを仕出かしたのではと困惑した。

アリサは酔っ払いだと思ってディーに念話を送った。

 

〈ディー、この酔っ払いを追っ払ってくれる?昼間から酒なんて飲んじゃってさ〉

 

アリサは酔っ払いだと思ったようだ。

まぁ傍から見れば幼い子供に絡む姿は酔っ払いに見えなくもない。

 

〈分かった〉

 

一言そう応答するとディーは殺気を飛ばして威嚇した。ディー自身も、自分の戦闘能力を知りたかった為まずは殺気を飛ばして相手の反応を窺った。使い魔といえ、元は動物だ。なら殺気には敏感だろうと考え、そこから自分の強さを測ろうとした。

しかし、この殺気はディーの能力であるウィツァルネミテアの力も含まれている訳だから、その殺気の濃厚さと言ったら果てし無いものだろう。

アルフは体を大きく震わせ、全身の毛を逆立て、顔を蒼白に染め、腰を低くして前屈みになり、目の前の現実を突っぱねるかの様に頭を大きく左右へ振った。

無理もない。神に等しい存在から殺気を当てられるのだ。手足を縛られ頭に銃口を突き付けられることすら霞んで見える程に死を意識させられる。

 

「我はこの3人の保護者だが、何か粗相が会ったのかね?」

 

ディーは殺気を解いて窺う。

 

「い、いやいや!人違いだったようです、はい!あ、なんだか湯冷めしちゃったみたいだわ!もう一っ風呂入ろうかしら?ホホホ、貴女達御免なさいね。それじゃ!」

 

そう口早に言ってアルフは足早に去っていった。

 

「?なんだったんだろうね」

「酔っ払いなんてこんなもんでしょ」

「でもなんだか怯えてたような……」

 

殺気はアルフだけに的確に当てていたようで、なのは達は気付いていなかった。

 

 

 

浴場にて、アルフは深い溜め息と共に念話で話していた。

 

〈やばいよフェイト~。1人だけとんでもないのがいるよ~。あのババアなんて目じゃない程にやばいよ~〉

 

〈アルフ、そんなに過剰に警戒するほど危険な相手なの?〉

〈違うんだよ。アイツはもう向かい合ってるだけで生きた気がしないんだよ……。ねぇもうこんなこと辞めて遠くへ逃げようよ〉

〈駄目だよ。ちゃんとに頼まれたことをしなきゃ。その人が魔法を使えて私達の邪魔をするとも限らないんだから。それにね、もしその人と敵対しても私は絶対に諦めないよ。ジュエルシードを〉

〈フェイト……〉

 

フェイトの声には並々ならぬ思いを感じ取れた。自分の本能が敵対してはならないとどれだけ警鐘を鳴らそうとも、必要ならば敵対するのだろうと悟った。

 

〈アルフ、私はジュエルシード探しているからお風呂上がったら合流しよう〉

〈……わかったよ。でも約束して。金髪の背の高い男が来たら形振り構わず逃げ出すんだよ〉

〈大丈夫だよ。約束する〉

 

 

 

夜、ジュエルシードの反応をユーノは察知した。

 

〈なのは!ジュエルシードの反応だよ!結構近いみたいだ〉

〈そうなの?なら早く封印しに行かなくちゃ!〉

 

そういってなのはは寝ている神影に念話を送った。

 

〈神影君!ジュエルシードが近くにあるみたいなんだ、行こう!〉

〈ん?あ、ああ!いこうかぁあ!〉

 

眠たげな声で気合を入れ、2人は窓から飛び出してジュエルシードの許へ向かう。

その様子をディーはしっかりと見ていた。

 

〈アリサ、起きているか?〉

〈ええ、起きてるわ〉

〈行くのだな?〉

〈もちろん。この目で魔法の戦いを見てみたいし、なのははもう行っちゃったもの〉

〈先に言ってしまうのは仕方が無い事だ。我等が魔法関係者とは知らないのだからな。では、行くとしよう〉

〈そうね。それじゃあ、セットアップ!〉

 

アリサは光に包まれ、光が消える頃にはバリアジャケットを身に纏っていた。

上半身は、真っ黒なインナーの上に赤黒いラインの入った紺色の装束。下半身は、真っ黒なスパッツに黒いラインの入った白い腰布を赤い帯で巻いて、紺色の膝まであるブーツを履いた姿。

腰の左側に太刀を差している。

輪っかの形をしていたデバイスは鉢巻となってアリサの額に巻かれている。

 

<それじゃ行きましょ、ディー>

 

アリサもなのは達の様に、窓から勢い良く飛び出した。

 

「…………」

 

ディーは最後に窓を閉めた。

 

 

 

なのは達がジュエルシードのところまで辿り着くとフェイトは既に手の内にジュエルシードを握っていた。

そこで一人の少年と対峙していた。

 

「ジュエルシードを渡してもらおう」

「これはお母さんが探しているものなの。渡せないよ」

 

(あれって最初のジュエルシードの時の!)

 

少年とは晃毅の事だった。

 

「元々の持ち主のところへ返すだけだ」

「絶対に渡さないわ」

「こちらも頼まれてここに来ているんだ。信頼関係を崩したくなくてな」

「そんなの知ったことじゃないよ!フェイトが渡さないって言ってんだ!早く諦めてどっかにいきな!」

 

「そうか、仕方無い……」

 

険悪、とまでは行かないものの、互いの話は平行線だった。

晃毅は一言呟いて、一拍置いた。

 

「なら力ずくでいかせて貰う!」

 

そう言い放つと地面を蹴って飛び掛かった。

その勢いを殺さずにそのままフェイトに蹴り掛かる。

咄嗟の攻撃に避け切れないと判断したフェイトは障壁を展開して身の守りを固めた。

 

「駄目!」

 

そう叫んでフェイトと晃毅の間になのはは割って入った。

 

「何ぃっ!?」

 

晃毅の蹴りがなのはの顔を抉るように直撃する寸前、

 

「っぶねぇなぁッ!」

 

神影が割って入り、腕で足をうまく受け止めて事無きを得た。

 

「っつ〜、痺れたぁ……。なのは、無茶するんじゃねぇよ!擦り傷とかじゃ済まねぇ蹴りだったぞ!」

「ご、ごめんなさい……」

「おい、何故割って入った?」

「だって!も、もっとちゃんとお話しすれば分かり合えるかもしれない……の」

「はぁ……。話し合った結果がこれだぞ」

「そんなんじゃ駄目だよ!私がいく!」

 

晃毅となのはで少し言い合いした後になのははフェイトに話しかけた。

フェイトは逃げ出せたのだが、敵だと思っていた人に助けられた事に戸惑いを感じて惚けていた為、逃げるという選択肢を選べずにその場で留まっていた。

 

「えと、こんばんは。私は高町なのは。貴女のお名前はなんて言うの?」

 

「フェイト、こんなガキンチョなんか相手にしないでとっとと逃げよう!ジュエルシードは手に入ったんだから!」

 

アルフがそう言うとフェイトは首を横に振って、

 

「アルフ、この高町なのはは私を一応助けてくれたんだ。だから返答だけはさせて」

 

そう言った。

アルフはしかめっ面をして押し黙った。

 

「私は、フェイト・テスタロッサ」

「うん、じゃあフェイトちゃんだね!」

 

そう言ってなのはは満面の笑みを見せてフェイトとの距離をどんどん縮めていく。

フェイトはなのはの見せた笑みに、自分が何処かで忘れていた「人の暖かさ」を感じていた。そしてそれに酔いしれようとしていた。荒んだ心と確固たる意志を秘め、冷徹を装うフェイトの心をこれ程揺さ振るものはなかった。

ここでこの優しさに浸っていたい。

しかしそれでは自分の目的を達成出来ない。

 

「フェイト!フェイトにはやる事があるんだろう!?ここで留まってちゃダメなんだ!」

 

アルフの叫び声が聞こえてくるが、フェイトの耳には入る事はなかった。

フェイトが一瞬、ほんの一瞬なのはに気を許してしまったのが運の尽き。先述の通り、荒んだ心の持ち主にはなのはの笑顔は麻薬の様な安らぎとある種の快楽を与えてしまうのだった。

アルフも主人が堕落してしまうのを見ていたくはなかったが、少しでもフェイトの荒んだ心を癒してくれるのならば、止めに入るのは気が引けてしまう。そんな葛藤がある。

なのはは既にフェイトと触れられる位置にいる。そしてなのはがフェイトに微笑みかけながら手を取ろうとしたその時。

 

 

 

「そのジュエルシード、返して貰おうか」

 

そんな言葉が場の空気を全てぶち壊した。

いつから居たのか、フェイトの横にはディーが居た。そして晃毅と神影が並んで立っている間にいつの間にかアリサも居た。

 

『なっ!?』

 

そこにいた者全員が驚愕した。

 

「ちょっとディー!今はなのはとそのフェイトの会話中でしょ!空気を読みなさいよ!」

 

「む、それは申し訳なかった。さ、会話の続きを」

 

ディーの空気の読めなさにアリサは批難し、ディーはそれとなく謝罪した。

会話の続きをと言ってもフェイトは既になのはの前、ディーの横から数m離れたアルフの横へ飛び退いていた。

 

「いつから……そこに?」

「自己紹介のときにこの場に着いた」

 

フェイトが尋ねるとディーは淡々と答えた。

 

「なに、元々そのジュエルシードは我が所有物。それをどこぞのフェレットが持ち出していったから、取り戻しにこの世界に来たまでだ」

 

そう、述べた。

 

(何なんだこいつら……。あの金髪の生意気そうなガキンチョの魔力量も半端じゃないけど、それよりもこの男!なんてバカみたいな魔力を持っているんだ!あの時感じた殺気もハッタリなんかじゃない!本気でヤバイ!)

 

アルフはアリサとディーの魔力を感じ取った。今ディーは自分の持つ魔力を曝け出している。並みの魔導師でもすぐに分かる。

この存在には逆立ちしたって、世界がひっくり返っても敵わないと言う事を。

逃げるという選択肢を選ぶまでに時間なんて要らなかった。本能が逃げろと叫んでいるのだから。

 

『汝等、動くな』

 

が、選択肢なんて元々無かったのに等しいのだった。出会ったその場でもう終わり。

ディーがそう言うと尻尾を巻いて一目散に逃げ出そうと背中を向けるフェイトとアルフはピクリとも動けなくなった。

 

「喋れるようにはしてある。さぁ、ジュエルシードを渡せ。なに、1つでいい」

 

酷く威圧的に、逆らいようもない言葉が発せられた。

フェイトは2つ手持ちにあるうちの1つをバルデッシュに言って出してディーに渡した。

 

「1つ帰ってきたのなら今はもう用はない。去れ」

 

ディーの言霊から開放された2人は一目散ににげだした。

その場に残る者は暫くの間、口を開ける事すら侭ならない空気に体を縛られていた。

 

『…………』

 

「何で私のお話しの邪魔したの!?」

「何で逃がしたりしたんだ!?」

「あんたはいったい何者なんだ!?」

 

その張り詰めた空気から解放されると共に一斉にディーへ質問が殺到した。

上からなのは、ユーノ、神影だ。

 

「それらは後で説明する。取り合えず旅館へ戻るぞ」

 

皆は取り合えず気持ちを落ち着かせてディーの意見に賛同した。

 

「取り合えず、高町」

「何?」

「悪かった」

 

ディーは悪びれた様子もなく謝って、全員でホテルへ帰った。

 

 

 

ホテルに帰ってから全員で話しをした。

ディー自身、もう原作の流れだとかその類のものはどうでもいいと思えてきたようだ。

互いに情報交換を始めた。

 

「ユーノ。お前はいったい何処でジュエルシードのことを知ったんだ?」

「ん?ちょっと待って。……えーと確か、管理局の無限書庫でたまたま文献を見つけて、危険だと判断したから取りにいったはず」

 

曖昧な回答だが、ディーは続け様に聞いた。

 

「では、そこにジュエルシードの管理者について何か書かれていなかったか?」

 

「そんなこと聞かれても、文献を読んだのは僕じゃないし……。あ、でもなんだかページが破かれていたとは聞いたよ」

 

ユーノはこめかみに指を当てて、必死に自分の記憶の断片を蘇らせた。ディーは独り言のように「やはりそうか……」と呟くと語りだした。

 

「実はな、アリサと晃毅は知っていて先程それらしい事を口から溢したが、我はジュエルシードの管理用デバイスの管理人格だ』

 

ユーノ、神影、射人による沈黙。なのはは頭に?を浮かべている。

ディーはそっと結界を張った。

そして響き渡る驚きの声。

結界のおかげでこの声は誰にも聞こえなかった。

今、時計は夜中の1時を回ろうとしていた。

 

「そ、そうなんだ……。ディーはそんな存在なんだ……は、ははは、はっははは……」

 

ユーノは落ち着かずにはいられないでいた。

何を隠そう、ディーはアルハザードで作られたジュエルシードの効果を修正するためのユニゾンデバイスなのだ。ユーノのような考古学に携わる人間にとってみれば、もう崇め奉る存在だ。

他の面子(射人を除く)は、ディーの価値が全く分からなかった。

 

「ディーさんってそんなに凄いの?」

 

なのはの質問にユーノが鼻息を荒くして答えた。

 

「凄いなんてものじゃないよ!大発見だよ!そもそもアルハザードはとんでもなく昔に滅んだ文明で、彼等の文明に不可能なんて言葉は無かったんだよ。今となっては文献も無く、ただただ御伽噺として絵本になるくらいのものなんだけど、もしこれを研究会や学会で発表いたr(割愛させていただきます)分かったかい!?」

 

「そ、そんなに一気に話されても……」

 

当然のことながら、なのはの頭の周りを星が回っていた。周りは若干、いやかなり引いている。

 

「ユーノってこんなキャラだっけ?」

「いや、そこよりもフェレットが人間相手に考古学を語るこの光景はかなりシュールだと思うぞ」

「わーぉ。意味不明だね」

 

上から神影、晃毅、射人。

 

「それじゃ、各自の情報を出し合いましょ。あ、なのはについては皆知ってるから」

 

アリサがまとめに入ろうと言った。

なのはの「何で!?私仲間外れ!?」との声は全員がスルーした。

 

「まず私ね。私はディーに選ばれた。それだけよ。ただ、魔法が使えるなら使ってみたいって言う、好奇心からこの意味事件?に介入したの。以上!」

 

あっさりとした説明で終わった。

 

「次、神影ね」

「おう。俺は母さんが魔法文化のある世界の住人で、それでこのデバイス、ヘルシャーを形見に貰ったんだ。戦い方は、このヘルシャーに教えてもらってる。最初はバカみたいにでかい魔力反応を感じたから、こりゃ危ねぇって思ってBJ装着して行ってみたらなのはがいて、んで何か晃毅もそこにいたんだ。晃毅だとはそん時気付かなかったけどな。そんで、なのはがこのユーノに協力してジュエルシード探すって言い出したから、じゃあ1人よりも2人のがいいだろうーって言って今のこの状況ってわけだ」

 

神影も大体を話した。

 

「成る程ね。次、射人」

「はいは~い。んと、僕は神様にこのデバイス貰ったんだ」

 

『……は?』

 

皆の目線が可哀想なものを見る目になった。

 

「ちょっとその目線やめて。別に頭が残念な訳じゃないから。ホントに神様から貰ったんだって!」

 

自分が転生者とは言いにくいから誤魔化そうとする射人。確かに嘘は言っていない。

 

「いや~ね~。何か夢に自称神様が出てきて、「この力は貴方を選んだのです」とか言われて、あれ〜?つかれてるのかな~?っと思って朝起きたらなんと!枕元にこれがあったんだ……。嘘じゃないよ?それでデバイスのことが1年生のときに神影にばれてね、そっから神影と仲良くなったんだ。今回は怖いから隠れてたんだけど、ここまで関わっちゃったら僕も今回の件、参加するよ」

「ちなみに射人に助けを求めなかったのは、余り多くの人を巻き込みたく無かったからだな」

 

最後に自分の意思を述べて話し終えた。最後のは神影の言い分だ。

 

「それじゃ、最後に蛇ね」

「わかった。実は俺、前世の記憶を持っているんだ」

 

またも転生組のぶっちゃけ。

射人もポカーンとしてる。やはり周りの目が可哀想なものを見る目となるが、晃毅はお構い無しに話を始めた。

 

「少し暗い話になるけどいいか?前世で俺はな、少年兵をしてたんだ」

 

3年生の社会の授業で習ったのか、全員が体を震わせる。

 

「授業でやったから分かるだろうけど、俺は人殺しの経験がある。ま、それは置いとこう。で、正直に一言で言うと、もう大切な人たちを失いたくないんだよ。ディーにあってジュエルシードの話を聞いて、思い起こしたんだ。もう戦いたくないとは思っていたけども、自分の経験を生かせるのなら生かしたくてな。それが、今回の件に俺が関わる理由だ」

 

晃毅は自分の中で間違ったことを言ったつもりはなかった。確信とは違えど、本心ではあったからだ。

 

「そんな過去があったのか……」

「なんだ、こんな人殺しも名で呼んでくれるのか?それとも嘘っぱちと馬鹿にするか?」

「戦争じゃ皆殺される覚悟があってそこに出てきてる、ってどっかのゲームで聞いたことあるぜ?それに、嘘吐いてると俺が感じたんなら、今頃床を笑いながら転げ回ってるぜ?そういうことだ。」

「バーカ。ゲームと本物の命を一緒にすんじゃねぇよ。それにみんなは俺が嘘吐いてるとは思わないんだな?」

 

神影はスッと手を晃毅に差し出した。

友達ってのは、名前を読んで握手したらなるもんだろ?

そんな感じのアイコンタクトを晃毅に送った。

 

「はぁ。そんなもんか?」

「おうよ。どっかの誰かさんの受け売りだがな」

「受け売りが好きなんだな」

 

晃毅も応じて手を差し出した。

2人でニィッと笑って手の甲を上にして、手を合わせた。

それを見て皆が立ち、円陣を組んで手をどんどん合わせていった。

その手の上にユーノが乗った。

 

「それじゃこの事件、無事に終了させようぜ!」

『オーッ!!』

 

神影の掛け声とともに、皆で手も声も合わせた。

 

(……はぶかれたのか?忘れられたのか?)

 

ディー以外。

 

 

 




小3の授業で少年兵の話なんてしねーですよね。
そこはまあ、御都合主義なものなんでスルーして頂くと大変有難いです。
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