魔法少女リリカルなのは〜君だけの旅路〜   作:テノト

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春休みに入ったので、更新速度がアップします。
取り敢えず、無印編はパパッと終わらせるつもりです。
A’s編からが本番……の、つもりです。
今後何か意見がありましたら、気軽に感想にてお願い致します。

ところで、一番好きなファーストフード店は何処ですか?
自分はサブウェイですね。
野菜が美味い!


7話

「ここっていったい何?」

 

アリサがユーノに尋ねる。

 

「ここは、時空管理局の次元航行船の内部だね」

 

ユーノはすかさず答えた。

 

「俺等の世界の他にも色んな世界があって、その世界と世界を自由に移動する為の船って訳さ」

 

神影が補足した。

 

「うーん、ちょっと難しいの」

「様はあれだろ。SFものとかによく出て来るやつだろ」

「晃毅、様も何もそれじゃあ君の言うあれがわかんないよ」

 

アリサ達は黙って歩いていくクロノの後を付いて行く。

 

「ああ、そうだ。いつまでもそんな格好じゃ窮屈だろう。BJとデバイスは解除していいよ」

 

クロノがアリサ達を見て言った。

 

「そうか?んじゃ、お言葉に甘えて」

 

そう神影が言うと全員BJとデバイスを解除した。

 

「君も元の姿に戻ったらどうだ?」

「ああ、そうですね」

 

クロノがユーノにそう言うとユーノの身体が光りだした。

光が消えると、そこには男の子がいた。

 

「なのは達にこの姿を見せるのは、これが二回目だよね』

 

「……違うよ。初めてだよ」

 

一同呆然。

受け答えたのは射人。

神影は呆然としてる連中を見て腹を抱えて笑い声を出すのを堪えていた。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

ここは茶室、ではなく艦長室。

そこでリンディからお茶の持て成しをしてもらい、事情聴取をしていた。

 

「そう。貴方があのロストロギアを発掘したのね」

「はい、そうなんです。だから散らばったからには僕に責任があると思ったんです。だから管理局に連絡してもらって、来るまでは僕の方で出来る限り集めようと思ったんです」

「うん。立派ね」

「だけど同時に無謀とも言える。いや、連絡を取ってくれたのは有難いけどね」

「はい……」

 

ユーノはリンディに上げられて、クロノに落とされた。

 

「あの、ロストロギアって何ですか?」

「貴女はなのはさんよね?ロストロギアというのは、まとめて言うと、進みすぎた文明の遺産ね。私達の暮らす幾つもの世界。その中で成長しすぎた文明が滅ぶときに残されてしまった強力な力を持つもの、という感じでいいわ」

「そのロストロギアの中でもジュエルシードは極めて危険なものなんだ。あれは言わば魔力の塊。その中に今の文明では到底理解できない、解明できない機構があって、その2つで世界を捻じ曲げてしまうんだ。そして捻じ曲げることで願いを叶えるという代物だ。使い方によっては世界を破壊してしまうんだ。破壊されなかったにしても、次元震を起こしてしまうのさ」

 

アリサ達は黙って聞いていた。

 

「次元震とは、地震の様に空間そのものが揺れる災害のことよ。膨大なエネルギーが空間を揺らしてしまうの。そしてその次元震がひどいと次元断層が起こってしまうの。これは揺れの所為で空間が地割れのように割れてしまう災害」

「それなら僕、聞いたことあります。旧暦462年に起こった次元震による次元断層」

「ああ、あれは実に酷いものだったらしい」

「私達魔法を使う人々にとって、中心となる世界のミッドチルダを中心に起こった次元震。ミッドチルダの崩壊は免れたものの、隣接する次元世界を紙切れのように引き裂いて滅ぼした歴史に残る大事件」

 

リンディは徐に角砂糖を取り出して抹茶の中に入れて、ティースプーンでかき混ぜた。

とてもこの空気の中では言えないが、このお茶は駄目なやつだ、と地球の子供達は悟った。

 

「繰り返しちゃいけない歴史だわ」

 

そしてその抹茶を飲んだ。

 

「これより、ジュエルシードの回収は、時空管理局が全権を持ちます」

『えっ!?』

 

リンディの発した言葉になのは達は声を上げた。

 

「これから君達は、今までの事件の一連を忘れて元の生活に戻るといい」

 

クロノがそう言うとまず神影が噛み付いた。

 

「はぁ!?何でさ?ここまでジュエルシードを集めてきたのは俺達だぜ?」

 

晃毅も噛み付いた。

 

「俺達は自分の町を、仲間を、自分の手で守りたくてこうしていたんだ!どうこう言われたところで、いまさら引き下がれるか!」

 

なのはとユーノと射人もだ。

 

「私はもうジュエルシードとか関係なく、フェイトちゃんとお話しがしたいんです!だからまだこの事件に付き合わせて下さい!」

「僕もジュエルシードを発掘した責任が取りたいんです。協力させて下さい」

「人数とか、この海鳴の土地に詳しい人がいた方がいいんじゃないかな?」

 

アリサも噛み付いた。

 

「私も引き下がれないわ。それに、私はディーの主よ?連れ攫われたままに出来ないわ」

 

全員の目が滾っていてリンディもクロノも若干引いてしまった。

 

「じゃあ親とかはそのこと知っているのかい?魔法とか、危険性とかについて懇切丁寧に伝えたのかい?」

 

キツい口調と剣幕でクロノが尋ねると、

 

「俺の母さんミッド出身だぜ?問題ない!」

「危険性で言ったら非殺傷設定があるこっちの方が、戦争なんかよりも数百倍安全だ!」

「大丈夫です!帰ったらちゃんとお父さんとお母さんに伝えるの!」

「僕の一族も流浪の民ですから。家族感なんてあったもんじゃないので大丈夫です!」

「問題ないよ。ちゃんと『ちょっと世界を救ってくる』って言ったから」

「黙って引き下がるようじゃバニングスの名が泣くわ!」

 

その口調と剣幕をものともしない気迫が管理局の2人を襲った。

 

「……これでは止めたところで無駄ね。わかったわ。なら、手伝って貰いましょ。人が多くても困ることは無いわ。むしろ、万年人手不足の管理局にとっては有難いわ!こんな才能ある逸材!」

「それだけの覚悟があるなら、僕が口出ししたところで揺らぐことはないな。艦長もいいと言ってるしね」

 

なのは達の顔がパァっと晴れる。

 

「けれど、こちらからの指示には絶対に従って貰いますよ。あと全力は尽くしますけど、絶対の安全を確保する事はできません。いいですね?」

『はいっ!!』

 

アリサ達は快い返事をした。

 

「そう言えば、アリサさんが言っていたディーさんとはなんなのですか?」

 

リンディが尋ねた。

 

「ディーはアルハザードで作られたデバイスで、ジュエルシードの管理者だって言っていたわ」

「ア、アルハザード!?」

「そんな馬鹿な!」

 

アリサがお茶菓子に出された羊羹を食べながら答えるとリンディとクロノは声を上げて驚いた。

そしてアリサがディーとの出会いや今までの経緯を2人に伝えた。

 

「アルハザードが実在したなんて……」

「ただの御伽噺じゃなかったのか?」

「あの~。その、“アルハザード”って何ですか?」

 

リンディとクロノが頭を抱えているところになのはが尋ねた。

 

「あのね、アルハザードって言うのは、今からずっと昔、まだアルハザード以外に人類が誕生していないときにあった文明で、不可能なことは何もないとまで言われるほどの技術力を誇ったの。それこそ死んでしまった人を生き返らせるほどの技術を。けれど、そんな世界も今では滅んで次元断層の底、魔力の使えない虚数空間という場所に落っこちてしまったの」

「けれど文献の少なさ、信憑性のなさから御伽噺だとされていた世界なんだ」

「こっちで言うとアトランティス、みたいな感じだな」

 

リンディ、クロノの順に説明して、神影が分かりやすい例を挙げた。

 

「でも、そんな凄い世界出身のディーが何で連れ攫われたのよ……」

「ま、まぁ意思や意識があるってことは、無理なこともやっぱりあるんだろう。取り合えず彼のことは置いといて、一旦この場はお開きにしよう。艦長もいいですね?じゃあ、さっきの場所まで送っていくよ」

 

こうして事情聴取は終了した。

その夜、とある豪邸からは激しい罵声の声が響いていたそうな。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

フェイトの隠れ家の一室、ディーはそこにいた。

ディーの目の前には監視のつもりか、フェイトがジッとディーを見ながらイスにチョコンと座っている。その姿はディーにはとても様になって見えた。

そんな事よりもジッと見られているのがディーには辛かった。

 

「別に逃げたりはしない。だからそんなに見ないでくれ。正直に言うと居づらい」

「でも、監視って事だから見てないと……」

「分かった。ならあまりマジマジと見るようだったら逃げるぞ。そう言ったらどうする?」

「そしたら見ない、かな。あ、でも見てないと逃げられちゃいそうだし。う~ん。どうしたらいいと思う?」

「質問を質問で返すでない」

「あ、う、うん。ゴメンなさい……」

「はぁ……。ええい、しょぼくれるでない。逃げないといっておるだろうに」

「え、でも逃げるってさっき……」

「あまり凝視されたくないから言ったまでだ。存外に頭が固いのだな」

「はい……ゴメンなさい……」

「謝る道理など無かろうに」

 

こんなやり取りが小一時間続いた。

無限ループって怖い。

 

「フェイト、夕食が出来たよ。食べに来て」

 

アルフがフェイトを呼びに顔を出したが、フェイトは一向に動こうとしない。

 

「分かった。でも私はこの人を見てなきゃいけないから大丈夫」

「何が大丈夫だい。口はそう言ったって、お腹は正直じゃないか」

 

アルフの言う通り、部屋には虫の鳴き声が響いた。

フェイトは顔を赤くして俯いた。

 

「でも、見てなきゃいけないから……」

「逃げないといっているだろう?ああもういい。アルフといったか、この娘にはここで飯を食ってもらえ。我もここで食う」

「何であんたに命令されなきゃなんないのさ。まあいいけど。……って、何であんたの飯まである設定なんだよ!」

 

フェイトの態度に業を煮やしたディーはアルフに命令した。ちゃっかり自分の飯も持って来いとも命令している。

そこにアルフは突っ込みを入れた。

ディーは答えて、

 

「飯を持って来ないのなら逃げ出してもいいのだぞ?」

「アルフ、すぐに持ってきて」

 

逃がしはしまいと必死なフェイト。

フェイトには逆らえないアルフは、ぶちぶち文句を言いながらキッチンへ引っ込んで飯を持って来た。

 

「なんだこれは。スーパーの惣菜とレトルトものとは、実に不健康だ」

「うるさいよ!食べられるんだから有難く思いな!」

 

ディーは一口食べてそういった。

 

「そう?でも美味しいよ」

「うむ、アルフは何を勘違いしてるのか。不味いとは言っていない。それに不健康と言っただけで、有難みはは十二分に感じている。よくやった褒めてやろう、フェイトが」

「アルフ偉い偉い」

「別にあんたに褒められたいとも思わないし、むしろフェイトに褒められた嬉しいけど、何か釈然としない!すっごいむかつく!」

 

ディーがアルフを弄り出して、フェイトもディーに便乗した。アルフはキー!と金切り声を挙げて、髪の毛を掻き乱しながら頭をブンブン振った。

心なしか、今までのフェイトが嘘のように、彼女が心からこの空気を楽しんでいる事をディーは感じ取った。

 

「仮面のように笑わないお前が笑うと新鮮味を感じるな。何故今笑えたのだ。他にも笑う機会があっただろうに」

 

ディーは原作を知っている。だから不意に出てしまった言葉。

これが意地悪に聞こえてしまうだろうが、ディーは心からの思いを口にした。

 

「いや。気分を害したり、気を悪くしたのなら今の内に詫びる」

「ううん、気にしないで。昔は笑えてたんだけどね、最近忙しくて……」

「ジュエルシードか」

 

フェイトはディーの問いにコクンと頷いて見せた。

 

「お前の過去を聞かせてはくれぬか?」

 

原作知識があるから聞かなくてもよかった。そしてディーにとって、相手の頭の中を覗いて過去を知ることなんて造作でもなかった。しかし残酷だとは思いながらも、本人の口からどうしても聞きたかったのだ。

フェイトはもう一度頷いてポツポツと語りだした。

 

「昔は、お母さんと、アルフと、私の家庭教師で母さんの使い魔のリニスがいて、みんなでピクニックとか行ってみんな笑ってたんだ。でも、よく分からないけど何かを切欠に母さんが変わっていったの。いつも部屋に篭ってお仕事して、部屋から出てくる度に疲れてる感じがどんどん大きくなって。そしたら母さんは優しく笑ってくれなくなってた。リニスは私に魔法を教えてくれたら何処か行っちゃったし。そしたら私も笑わなくなってた。それで母さんからジュエルシードを取って来てって頼まれて。……取ってきたら母さんが喜ぶと思って……。母さんが笑ってくれると思って……」

「フェイト……」

 

ポツリポツリと話し出したフェイトだったが、話すうちに込み上げてくる思いの所為でどんどん声が上擦っていく。

アルフはそんなフェイトの横に着いて、しっかりと手を握った。

 

「うう……だからジュエルシードを集めていたの……ヒック……。でも、上手く集められないから母さんが……悲しそうな目をして……。それで貴方の事を話したら……母さんは笑ってくれた……ヒグッ……。怖い笑い方だけど、笑ってくれた……。だから貴方を連れて行けば……また笑ってくれるかなって……そう思った……」

「……分かった。辛い話させてしまって悪かった。折角笑顔になれたところに水を差してしまうような真似を許してくれ」

 

フェイトは途中から涙をいっぱい目に溜めてしゃっくり交じりの声で語った。

アルフに支えてもらってからも語った。

 

「……最初は理由を聞いたら逃げ出すつもりだったが、これでは逃げられんな」

 

ディーはそう言うと胸の中からジュエルシードを取り出した。

 

「私はジュエルシードの管理者だ。このジュエルシードは願いを叶える力を持っている。お前の母が何故欲しがるかは直接聞く。だから取り合えず、今はアルフの願い事を聞こう」

 

「笑顔が、フェイトの笑顔がまた見たい!」

 

アルフは間髪入れずに答えた。

 

「それでいいのだな?」

「それ以外にアタシが望むことはない!」

 

「そうか……なら、ジュエルシードは使えないな」

 

ディーはそう言うとジュエルシードを胸の中へとしまった。

 

「はぁ!?なんでさ!?何でも叶えてくれるんだろ!?」

 

折角ジュエルシードを使えたって言うのに、とアルフは叫んだがディーは何処吹く風と一緒に配膳された水を一口飲んだ。

 

「こんな石っころで作られた笑顔なんて、馬の糞の方がよっぽど価値がある。このジュエルシードは、アルフの願いを叶える布石に使わせてもらうぞ」

 

アルフはディーの言葉を聴いてハッとし、何か聞きたそうにディーを見た。

 

「じゃあ、アタシ達の仲間になるってのかい?」

「違うな。フェイトの母と掛け合うだけだ」

 

アルフの質問をディーは否定した。

 

「そうだアルフ、デザートはあるか?我は杏仁豆腐を所望する」

「は?」

「なに、ただフェイトが食べたそうな顔をしていたからだ」

「はぁ!そ、そうなのかい、フェイト?」

 

ディーは話を半ば無理やり切り替えた。

 

「アルフ、私も何か甘いのが食べたいな。なんだか泣いたらそんな気分になっちゃった」

 

フェイトも赤く腫れた目を擦りながらそう言った。

 

「きっと疲れたのだろう。疲れているときは甘いものを採ると体力の回復が早いぞ。アルフ、フェイトが食べたがっているぞ」

「ああもう!ホントに何なんだいこいつは!分かったよ取って来るよ!でもね、アンタの分は「持って来て上げてね、アルフ」うぅぅぅ……分かったよ……」

 

アルフはまたぶちぶち文句を言いながらキッチンの方へ向かった。アルフが出て行った後、フェイトはディーと顔を見合わせて笑ったのだった。

アルフの願いは案外早く叶ってしまったようだ。

この温かい時間が早く来ることを、いつでも笑っていられるような世界を、フェイトは心で願った。

 

 




※ちょっと投稿する本文をミスりました。
修正しましたが、なにかおかしなところがありましたら報告お願いします。
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