一話目に比べると話しの内容は短くなってしまいましたが……。
青年が世界を救い約10年後の日本で二人の少女が昼休みに部屋で向き合いながらチェスをし、それを一人の少女が眺めていた。
「チェックメイト」
「………う」
「あらあら部長ったらまた負けてしまいましたわ」
三人のうち一人は昔に青年が助けた少女の面影を残しており、紅い髪の伸ばした少女。
二人目は紅い髪の少女のチェスの対戦相手であり、眼鏡をかけ、黒い髪をショートヘアにした少女である。
最後の一人は伸ばした黒髪をポニーテールにし、そして大和撫子と言える少女だ。
ちなみに紅い髪の少女と黒髪をポニーテールにした少女は同じ部活の部長と副部長だ。
そしてチェスを眺め、イスに座っていた少女は立ち上がり、部屋に置いてあるポットまで歩いていき紅茶の準備をはじめる。
「まだやりますかリアス? これで私の4連勝ですが」
「……まだ4連勝よ。次は私が勝つわ」
リアスと呼ばれた少女は次こそは自分が勝つわといいながらチェスの駒をまた設置していく。
ちなみにこの二人のチェスの勝率はどっこいどっこいであるが、さすがに4連敗は嫌なようである。
「うふふ、頭に血が上っていては勝てる勝負も勝てないですわ」
紅茶を淹れていた少女は二人のもとに戻り、紅茶を淹れたカップを二人のそばに置く。
「……朱乃、私はそんなに頭に血が上っていないわ」
リアスは朱乃と呼んだ少女にそう答え、朱乃が置いた紅茶に手を伸ばし、飲みはじめる。
だが、そう答えるまでにあった若干の間はなんなのだろう?
「そういえばリアス、あなたこの間二年生から告白されたのでしょう?」
リアスが告白されるのは珍しい。
今この三人が通っている高校は駒王学園と呼ばれ、数年前までは女子高だった。
それゆえに男子の数は女子の数に比べると圧倒的に少ない。
だが男子は肩身の狭い思いをしてもこの駒王学園を受験する。
家から近いからという理由で受験する男子もいるだろうが、恋人がいなく、女子の比率の高いこの学園で恋人を作ろうと思い受験する男子も少なくない。
……まあ、“俺はハーレムを作る!”と言って偏差値が足りない状態から猛勉強して受験する男子も少なからずいるのだが。
ちなみに二年と一年には男子がいるが三年には男子はいない。
リアスと朱乃の二人は二大お姉さまと呼ばれ、告白しても降られるだけだと思い告白する男子はまずいない。
たまに勇気を出して告白する猛者も現れるが、全員見事に玉砕している。
「まあ、リアスには子供の頃から好きな青年がいますから告白しても降られるだけですけど」
「そうよ、私には好きな人がいるもの。そう、彼との出会いは十年前――」
そのとき二人はしまったと思った。
リアスと二人は付き合いがかなり長い。
それゆえにその話しはすでに何十回と聞かされている。
リアスがそれほどまでに思いを寄せている青年がどんな人物なのかと気になってはいるものの、さすがに何十回と同じ話しを聞かされれば嫌になるのは当然である。
なんせ二人はすでに一字一句間違わずにそのときの話しを言えるぐらいである。
だが二人がはじめてその話しを聞いたときその青年や化け物はほんとに存在しているのか? と思ったほどである。
なぜならリアスが子供とは言え消滅の魔力は少なからず使えており、その化け物には一切効かなかったと言うのだ。
だが助けに来た青年は簡単に化け物を倒したという。
悪魔であるリアスの消滅の魔力が効かないが、人間である青年の攻撃は効いた化け物……そんな存在を二人は聞いたことがなかった。
ゆえに二人ははじめの頃は夢を見ていたんじゃないのか? と、思わずにはいられなかった。
だがリアスには年の離れた兄がおり、兄もリアスを助けた青年を見ているために化け物はともかく青年は夢ではないと証明されたのだ。
しかし問題はそこではない。
リアスがこの話しをはじめると最後まで喋り終わるまで止まらないのだ。
三人の昼休みはまだまだ続く。
リアスが駒王学園から帰る頃には夕方になっていた。
本来なら部活があるのだが、数日前に新しく入部した部員が一人おり、ここ数日間毎日頑張っていたので今日は特別に部活を休みにしてある。
リアスは夕陽に染まった町を見ながら自分の住んでいるマンションに向かうために階段を上る。
そしてもう少し階段を上ると開けたスペースになっており、そこからなら駒王町を一望出きるのだ。
リアスはそこから夕陽に染まった町を見るのが好きなのだが、夜に家の灯りで灯った町を見るのもまた違って好きなのだ。
そしてリアスが階段を上りきり、開けたスペースで見たものは……
「うそ……」
リアスの声に反応したのか一人の青年がリアスを見る。
青年はヘッドホンと少し旧型の携帯音楽プレイヤーを肩にかけ、青い髪に見ていると吸い込まれそうな清んだ蒼い瞳の青年が立っていた。
「……なんであの頃と全く変わらない姿でいるの」
リアスと十年前振りに再会した青年は全く年を取っておらず、リアスの記憶に残る姿のまま存在していた。