異世界迷宮で暮らしています   作:鈴ノ猫鳥

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八話 迷宮解説

 パーティーを組んだ剣闘士ヒビキこと俺と、錬金術師アリーシャの二人は、連携の確認を兼ねて日帰り迷宮探索に出た。

 その上で解った事だが、アリーシャの錬金術の火力は非常に高い。

 彼女が基本で扱う魔力を込めた薬品は、火柱を起こす物と爆発を起こす物の二種類。

 迷宮内に現れる2階位程度の魔物だと一撃で倒れる程だ。

 但し欠点として、魔力を込めるのに少々の溜め時間が必要なのと、直線方向にしか攻撃出来ない、そして幾ら技術が高くても投擲の為に射程が短い、更には弾数に限りがある点だ。

 つまり、アリーシャは中距離型弾数制限付きの、横スクロールアクションキャラだった訳だ。

「所でアリーシャ、迷宮には結構潜ってたのか?」

「あんまり」

「なら、休憩取って軽く解説しようか」

 現在迷宮の3階層、時間は昼時休憩を取るには良い時間だ。

 小部屋の掃討が済んだので、中に入り扉の鍵をかけ休憩を取る事にする。

「アリーシャも知っては居ると思うが、迷宮は迷宮主(ダンジョンマスター)が作り出す存在だ……目的は生命の魔素変換だ」

「迷宮王復活……」

「確かにそうとも言われてるな、だが復活と言うよりも王になるのが目的の様な気がする……まぁ、どちらも迷宮主に聞かないと不明だが」

 迷宮王とは、古い神話に残される総ての迷宮を統べる者と呼ばれる存在であり、伝承では一瞬にして都市を迷宮化したと言う。

「他にも理由はあるんだろうが……次に迷宮主の事は解るか?」

「黒目黒髪」

「それはそんなに多くないな、むしろ少ない」

 現在判明している迷宮主で黒目黒髪と言うのは、深遠の淵を含めて七ヶ所、発見されている迷宮は攻略済みを含めると大小織り混ぜ千を越える。

 つまり、ダンジョンマスター物で良くある学校全部だとか、一クラス丸々だとかならば既に最終局面では無いかと思われる。

「まあ、来歴が不明……あるいは異界からの召喚、はたまた突然変異での迷宮核化、野生の魔物の迷宮核の摂取辺りで迷宮主になると言われている」

 これもまた推測でしか無い。

 迷宮発生に関しては、解っている事の方が少ないと言う訳だ。

「魔素変換だが、これは元の存在と迷宮主により変化する、例えば此処なら海からは遠いのに『鰹節』が残ったり、栽培出来ない環境なのに『米』が残ったりする」

「砂漠で薬草」

 アリーシャの言葉に頷く。

 一般的に薬草と呼ばれる草は栽培する為に、水を大量に必要とする、それこそ大きな池が無いと育たない位には。

 日本と違い、水はそれなりに良い値段がする、薬草の栽培をするなら水を売った方が儲かるレベルで。

 薬草はともかく、環境的にあり得ない物が残る、と言う事だ。

「階層の区分けもあったな、判るか?」

「教えて」

 アリーシャの素直さに苦笑を浮かべ頷く。

 ギルドでも教わる筈なんだが。

「迷宮は表層、上層、中層、下層、最下層、最深部の六つに分けられる、最深部だけは迷宮主、あるいは迷宮核が存在している場所、場合によっては、入った場所が最深部なんて場合もあるな」

 最深部と呼びつつ、迷宮核の位置を示す言葉となっている訳だ。

「さて、三十層まであると言うこの迷宮、今居るのは三階層だが、此処は何れに当てはまるか判るか?」

「……上層?」

 少し悩んだ上で呟く様に言う。

「……ギルドで教わってる筈なんだがなぁ、此処はまだ表層だ、正確には入ってから環境が変わるまで、あるいは環境変化が無い場合は総階層の十分の一が表層だ」

 深遠の淵の場合、環境変化がある為、5階層までが表層と言う訳だ。

「此処の場合なら5階層までが表層、10階層までが上層、20階層までが中層、29階層までが下層、30階層が最下層だな」

大体がこの程度の分け方だ。

 

 

「ま、基本的にはこんなもんか、魔素変換自体なんかは原理不明だし、罠関連はアリーシャのが判ってるだろうし」

 アリーシャが頷く。

「しかし、ギルドで教わってる筈で、アリーシャは記憶力悪く無さそうなんだがなぁ」

「興味無かった」

 その言葉に溜め息を一つ、いわゆる諦めと言う奴だった。

 

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