コードギアス反逆のルルーシュ Children in succession to will 作:ラムネ便
炎が燃えさかる枢木亭。そこに立ったのは一機の機体。パイロットは、かつて黒の騎士団最強パイロットの座に座っていた紅月カレンの娘であり今もなお技術向上が収まるところを知らない。名前を紅月優香。その技術はルルーシュの遺伝子も混ざりあっての事か機体に搭乗し戦闘中でも作戦指揮を行うことが出来る。
「こちら紅月。シナンジュで援護する。」
『優香ー!』
「ガンダムタイプ⁈しかもこの声は・・・」
『優香先輩。今は枢木亭にいる敵を殲滅する事が優先です。』
「エクスまで駆り出されたの⁈全く・・・あの馬鹿兄貴共は何処にいるの?」
『レックス兄さん、ジョセフ兄さん、ラファーエットさんは太平洋の警備部隊にいます。アーサーさんはユニコーンで迎撃中です。』
タダでさえ忙しい時に何やってんのよ!あのクソ兄貴!各個撃破で迎撃を始める為それぞれ防衛拠点をマップに配置してもらって、そこに向かわせたけどシナンジュ自体がまだ未整備でヴァルキリーにも機体にあまり無理をさせないよう釘をさされてしまった。この際下手な戦闘をするよりも味方と防備を固めた方がいいかも。
「各機に通達。ここからは私、紅月優香が指揮を執ります。これより各部隊はマップに表示された防衛拠点に向かいなさい」
『『了解!』』
「これで部隊の配置は完了。防衛はナイトとポーンに任せてクイーンである私が敵のキングを探すだけね。それにしても何処から指揮を出しているのかしら・・・ドルイドシステム!」
『ラジャ』
無機質な機械音声の後に現れたのは蜃気楼よりも未来的になったドルイドシステム。シナンジュ・スタインをフルに活用する為に優香の希望で設置されたものだが実質的にはインテンション・オートマチックシステムがシナンジュの機体の制御を殆どを占めておりドルイドシステムは使われていない。しかし戦況の把握や数々の機器に対して遺憾なく効果を発揮出来る。ルルーシュ譲りのタイピングで繋がり得る全てのネットワークに介入してみたがめぼしい物は出て来なかった。
「チッ。やっぱそう簡単には出してくれないのが当たり前よね。」
『ゼロだ!ゼロがいるぞ!』
「何を言っているのM3。早く防衛任務に戻りなさい。」
『司令!あれはゼロです!間違いありません!』
「ゼロって・・・あんなダサい衣装まだ存在していたの?」
燃えさかる庭園の中、あの懐かしい蜃気楼がそこにいた。フロートユニットにハドロン砲。デザインは昔ながらで下手に言えば古すぎて笑えないが上手く言えば撃墜された機体とは言えども拡散構造相転移砲を積んだ初の機体だ。あれから相転移砲は戦術的に無意味とされたが蜃気楼の設計図を持つラクシャータにより改修されていたのだ。しかし、おかしいところがひとつだけあった。背中に謎の兵器が積まれているのだ。それは機体を覆うほど大きくとてもじゃないがKMFの規格とは思えない。
「私にコレを扱わせるとはな。ルルーシュも私を乱暴に扱うようになったものだ」
ゼロの正体はC.Cだった。仮面を外し蜃気楼の座席に座ると本来の制御とは違う命令を下した。するといきなりシステムにノイズが走り始めた。外から見ると変な兵器がどんどん変形し始めてひとつの柱と砲のようなものが組みあがったと思えば三脚のようなものに砲を乗せて柱はテスラコイルのように電気を発し始める。
「少し遊んでやろうか?V.V」
『不明なユニットが接続されました。システムに深刻な障害が発生しています。ただちに使用を中止して下さい』
砲もどんどん電気を発生して各機の高熱源反応レーダーのメーターが完全に振り切っている。蜃気楼を攻撃しようとする敵機を迎撃する為に味方部隊の増援が駆けつけてきた。ギルフォードも防衛拠点から移動して援護部隊の増援と共に応戦してシナンジュは上空に上がりバルカンで迎撃を始める。
「折角ヒュージ・キャノンを撃つんだ。シンフォニーに作らせた、ある意味KMF専用の規格外兵器。当たってくれよ」
C.Cの構えた先はなんと市街地。巨大ビルだ。しかしそこは未だにゲットーとなり完全には復旧していない場所でもある。モニターに表示された薬室内のエネルギー圧縮率が100を超え柱のような形をしているユグドラシルドライブは更に赤くなって今にも爆発しそうだ。
「さあ・・・こんがりと焼かれて来な!」
蜃気楼が放った一撃は見事ビルに直撃。バランスを失い崩れ去っていく中で何かの機体が一機だけ飛び去っていってしまった。ユグドラシルドライブを停止させるとヒュージキャノンも元の形に折り畳みパージする。蜃気楼のパーツの殆どに火花が散り変形も数多くできていた。いくら近代化したとはいえ当時の機体をそのまま使うのは、やはり無理があったようだ。
「これ以上は無理そうだな。優香。V.Vは泳がせる。今はこの場の戦力を全て排除してくれ。私は蜃気楼をここに置いて内部の戦力を確認する。くれぐれも破壊されないよう頼むぞ」
『了解です。こちら指揮機シナンジュ。各機は撃破後に機体を回収。158番ゲートに輸送車を手配します。ブラックボックスが無事な機体は片っ端から運び出して下さい。』
その後全ての機体が回収・撃破され敵パイロットは全員死亡が確認された。枢木亭の被害は地下には及ばず地表での被害に留まりアルテミスの保管していた珍銃コレクションも無事だった。火事も消火KMFにより別棟に燃え広がるのを防ぐ事に成功。内部に歩兵部隊は展開されていないことも確認され更に大事になるのを阻止できた。それでも整備されていた日本庭園の三分の一は焼け野原になってしまった。その光景を機体から降りて足に座ったアルテミスとエクスが見ていた。
「あ〜あ。綺麗だった庭が焼け野原ひろしになっちゃったよ。」
「何ですかその・・・焼け野原ひろしって」
「アレだよアレ。アニメのキャラで係長だったのに主任に降格されて荒れたから。」
「多分知ってるのはアルテミスさんだけです。」
「ところでローズは?レイも。」
「二人とも学校です。」
「エクスも学校じゃなかったの?」
「大学は今日休みです。この騒動のせいで臨時休校になりました。次来たら八つ裂きにしてやるクソ野郎ども・・・」
なんかエクスの私怨が聞こえた気がしたけど多分気のせいだね。結局私の部屋の大半が壊れちゃったしバンシィは銃撃戦のせいで余計なダメージを追加された。タダでさえ維持費がかさむのに修理費どうやって捻出しようかな・・・。でも一応機体保険には加入してるし安く済むよね。こんなんになるんだったらヴァルキリーの言う通りビームマグナムの一つぐらい積んでおくべきだったかなぁ。でもアレの破壊力は凄すぎるし・・・実弾兵器が一番私はいいのだけれど次どう来るか分からないし。これはシンフォニーに行って相談する必要がある!
「エクス。これからシンフォニーに行ってもいいかな?後処理は警察に任せてバンシィの相談をしたいの」
「大丈夫です。レイ!ローズ!アルテミスさんが来るわ。準備しておいて。特にローズ。貴方は部屋を散らかしてるんだから直ぐに。」
『アルテミスさんが来るの⁈』
『分かってるよ。っていうか姉貴こそ片付けたら?彼氏さんが来て整理してるよ?早くしないとベッドの下の執筆中のアレも見つかるかもしれな』
「ちょっと私は先に帰ります。アルテミスさんはフロートバイクじゃなくてバンシィで来てください。整備するんで」
エクスのデルタカイはナイトロを変形させて加速モードにすると最大戦速で枢木亭を後にした。暫く休憩したアルテミスはコックピットにいたユフィとスザクと共にシンフォニーの日本支部へと向かいギルフォードは警察とシンフォニーの部隊と共同で瓦礫の片付けを始める。慌ただしく枢木亭も夜には落ち着きを取り戻し非常線が貼られた。その頃シンフォニーではヴァルキリーとレックスが補佐として、オーキスが総司令として各支部長との状況報告と予算編成に関する会議を開始。とうとうシンフォニーの反撃が始まる瞬間のようなものだ。
『現在、中華連邦並びに各国がサンズ・オブ・パトリオットの被害が深刻化。イタリア支部も大きな損害を被りました。』
『ブリタニア支部でも被害は甚大。やはりこれはREXを導入するしかないかと。』
『EUは既にシンフォニーへの協力が不可欠だと判断しています。EU支部の予算も福祉から傭兵師団に切り替える必要があります。』
「我々は日本支部の関連企業及び枢木亭が攻撃を受けました。・・・被害報告はもういいでしょう総司令。決断を」
「現時刻を以って各支部の日本支部による一括予算決定権を凍結。同時に各支部による自主的予算決定権の凍結を解除。陸戦要塞兵器REXの導入を各支部15機まで許可する。以上だ。」
『『ヴェーズ・ラ・シンフォニー!』』
各支部との通信が切断され予算措置は決定。キシが開発したメタルギアはシンフォニーのもとで更に改良や開発を繰り返され陸戦要塞兵器とまで呼称されるようになっている。しかしオーキスによる予算決定権の凍結のせいで今まではREXが各支部に二機のみ存在していた。しかも戦後20年で100以上に独立した国に存在する96の支部でも30前後の支部しか持っていない。これも被害が深刻化してしまった原因だ。REX自体は計画当初、戦車に足をつけただけと各支部の技術部から揶揄されてきたがレドームの小型化や武装の換装システムが完成して以来、有用性があるとされキシが作り出した初代のREXは換装システムによりレールガン以外にも多連装ミサイルシステムや大型レーザー誘導システムなど多種多様なものが完成している。中でもゲフィオンを使用しGNドライヴによる安定性を獲得し、財政的にも優しくなったハドロン砲が使用されていることが多い。今スカアハに積まれているREXはレックスのみが使っているが大型ハドロン砲と6連装式の7式対空誘導ミサイルが装備されている。
『総司令。客人が来ました。既にロビーに通しました。』
「何?アクエステ。お前は総司令の許可なしに客人をロビーに通す権限など与えていない。客人がスパイだとしたらどうする気だ?」
『申し訳ございません。しかし客人は司令の客人リスト内に入っておりましたので。』
「客人リスト内に?名前を答えなさい。」
『ヴァルキリー補佐。これは総司令しか開示出来ない情報です。』
「別にいい。客人の名前を言え。」
『了解。客人の名前は軍司零。査察の目的で来社しています。』
「軍司?聞いたことがないな。」
「懐かしい名前だ。あの頃を思い出す。」
「あの頃?」
「ついて来い。レックス。ヴァルキリー。俺の戦友の生き写しを見せてやる。」
VR会議室を出て連絡用シャトルに乗り地下から地表へ高速で上昇していく。暗いコンクリートからエレベーターが出ると強化ガラス張りの柱を移動し客人ロビーへと輸送される。ロビーにシャトルが到着すると近くの隊員は皆敬礼した。その中で一人だけ向こう側にあるソファで備え付けの茶を飲んでいた。遠くから見ると白髪だが近くでみると少しだけ茶髪も混じっている。こちらに気づいた彼は茶を置いてこちらに向かって敬礼した。
「新規PMC『リバティー』の総指揮の軍司零です。貴社の査察交渉の協力。感謝致します。」
「軍司キシ・・・今奴はどうしている?」
「リバティーのフロント企業の社長としてやっています。今回の査察には来社しない予定です。」
「そうか。邪魔しない程度ならどこに行こうと構わない。部屋は割り当てられた場所を使え。以上だ。何か質問は?」
「緊急時の対応を教えてください。」
「敵強襲時には貴方の独自行動を許可する。但し貴社による攻撃を確認した場合は・・・分かっていると思うが撃墜する。」
「了解です。オーキス総司令。」
シャトルに再び乗ってロビーを後にするオーキス。レックスとヴァルキリーはそれぞれの自室へ戻る為に別のシャトルで居住区域に向かう。シャトル内でオーキスは自分のヴェアラブル端末を開くと様々なデータが表示され電話がかかった。
『はい。こちら株式会社ルックです。アポイントメントの予約でしょうか?』
「アポイントメントナンバー6852。」
『アポイントメントナンバー6852・・・オーキス・シンフォニー様ですね。直ぐに社長にお繋ぎします』
無機質な待たされ曲を流されている間シャトルから景色を眺めて缶コーヒーを飲むオーキス。総司令室に着くまでは5分かかるので少し暇になる。その間は基本的にシャトルから見えるシンフォニーの基地を見つめている。ふと総司令室行きのボタンを見た彼は行き先を総司令室から屋上に変更。シャトルの分岐レールがセットされて屋上に向かうルートに乗った。同時に電話の待たされ曲が終わり懐かしい声が聞こえてきた。
『よぉオーキス!次元透過通信システムの整備が出来たのか!』
「ああ。ちょっと原理が面倒だったがそこはウチの技術部が解決させた。光より速い物質以外で次元間の通信が出来るとは・・・」
『GNドライヴはまだ解明してないシステムが多い。役に立つものは試してみるのが俺のやり方だからな!』
「で?何故シンフォニーの基地査察に来ない?」
『んー色々とあってな。ナナリーがちょっと寝込んでる。元々身体が強い方ではないし仕事で無茶したからかも。』
「そっちの情勢はどうだ?」
『やっぱPMCを雇いたい国は多いね。大体の場合で警護部隊の要請だけど重武装KMFを積まないと警護部隊がやられちまう。』
「重武装KMFを配備するというのは?」
『こっちはKMFの派生機体が続々でてなぁ。対処が面倒なんだ。そっちは?』
「ナナリー大統領と扇首相のおかげでKMFの基本的データは流出したが肝心なものは流れてない。確かに亜種は流れているがKMFも鹵獲されないように万全の体制をとってる。なんだかんだでこっちも大変さ」
『ほぅ・・・ところで息子達にギアスは与えたのか?まあ今さら要らないとは思うが』
「要らないと思う?馬鹿言え。V.Vを取り逃がしたせいでギアスが逆にいるようになった。ギアスは並行世界にないものまで生み出す。おかげでKMF戦はギアス持ちとの戦闘が主だ。しかもそのギアスは全て身体能力の向上が多い。どこから流出したかは知らんがアレがまだ残っていたらしい。」
『アレ?』
「C.Cの人体実験のデータだ。」
『あんなのがまだ残ってたのかよ!』
オーキス達が話している人体実験のデータとは、かつてのギアス饗団がバトレーに命令しC.Cのギアス発現能力やその不老不死性を同じ人間に試そうとしたもの。何人かの天才が参加していたらしいが全て失敗。その副産物として出来たのが現在もルルーシュに仕えているジェレミアだ。彼の身体は幾つかが擬似人体により保護されていたのでクレアのCNT筋繊維に全て置き換えが可能だった。しかし本来の人体実験は生身の人間に分子レベルでC.Cのデータをねじ込みギアスを発現させる。原理は未だに不明だが無論生身の人間が耐えられるようなものではない。ただでさえ意味不明な因子をギアスの力無しで受け入れるなど自殺に等しい。しかしV.Vは成功させた。削除されたはずのデータを復元し問題点を全て今の技術により克服させてしまった。
「そこで俺はE.Eに相談した。ギアスに対するギアスはないのかってな。」
『答えは?』
「勿論ノーだ。俺のような全てを奪うギアスなんてのは無いだと。だが代わりに特定の弱いギアスなら人為的に発現可能だと言われた。それを活用させている。」
『面白そうな話をしているな?私も混ぜろ。』
『C.C!ビール5缶も買いやがったな⁈』
『ん?コレは・・・アレだ。気にするな。』
「・・・何か騒がしいが続けるぞ。その弱いギアスってのが”自分の願いを一つだけ、可能な範囲で叶える”というものだ。ギアスによる願いで今のやつらは強くなった。俺よりもな」
『どんな願いなんだ?是非聞かせて欲しいねぇ。主にヴァルキリーの』
「そうか・・・そっちのお前はヴァルキリーを可愛がっていたな。あいつの能力は面白いぞ。もはやギアスからかけ離れているが」
『聞かせてくれ。』
「ヴァルキリーの手に入れた能力。それはUBWだ。自分からフェイカーと呼んでる。」
『ハハハハ!アイツらしいな!』
「レックスは単純に合気道だ。夢が無いが現実的だった。エクス含む下はまだギアスを与えていないがジョセフは確か・・・スフィア?」
『スフィア?んだよそれ聞いたことがねぇ』
「ジョセフは”揺れる天秤のスフィア”とか言ってたが正直分からん。」
シャトルが屋上に到着し会話しながら歩いていると一人屋上から居住区域とは違う方向にあるエアポートを眺めている人物が一人いた。髪は少しだけ金髪で旧ブリタニア帝国の貴族の服を着ていて片手には赤ワイン。オーキスに気づいた彼はゆっくりと振り向くと爽やかな笑顔を向ける。
「マスターキートン。ただいま参上・・・とでも言えばいいのかね?」
「シュナイゼル!」
『お?シュナイゼルか。そーいや声優に転職したんだっけ。今は儲かってるのか?』
「その声は忘れない。並行世界の私をイラつかせる声だ。」
『そっちいってメチャ殴りてぇ・・・』
「冗談だ。気にしてはいけないよ。ところでオーキス君。私は事務所に休暇を申請してシンフォニーに寝泊まりしているわけだが・・・ルルーシュは上手くやっているか?」
「しっかり二児の父親の役目を果たしたよ。そのあとどうするか知らんが。」
「そうか。あともう一つ。空軍の二佐であるコーネリアから伝言を頼まれている。」
「コーネリアから?」
「ああ。『5式試作型大口径実体弾』と『87式規格採用型KMF砲塔』の二つが強奪されたとのことだ。」
「は・・・?5式が強奪された?嘘だろ⁈洒落になんねぇぞ!」
続く!