コードギアス反逆のルルーシュ Children in succession to will 作:ラムネ便
場所は日本のシンフォニー支部。そこにはオーキスが渡されたフォールド・クォーツなるものが全面強化ガラスで囲まれた状態で保管されている。それは研究室に持ち込まれ凡ゆる実験が交代交代に夜通しで行われた。そして研究が始まってから二日目。事件は起きた。
「アクエステが使えなくなった?」
『はっ!原因はフォールド・クォーツの実験により輩出された強大なエネルギーと思われます。現在復旧作業を急いでいます』
「早急に復旧させろ。外部ネットワークの遮断はしたのか?」
『外部ネットワークは遮断済みです』
「復旧作業に当たる人員を投入する。班長の指示に従え。以上」
アクエステが止まってしまうとは珍しい。8年前、開発途中の実験中にバグで止まったのを最後に全く異常がなかった。一応ライフラインだけはネットワークを介していないので止まることはないだろう。取水弁はどうなってるか知らんが。
「こんな時こそctOS。さ、どうなってんのかね」
起動すると総司令室にあるPCから侵入する。端末が異常がありそうな箇所を片っ端から調査していき一つの結論に達した。そこはアクエステのサーバールームの更に真下にある場所。俺も忙しくて行けなかった階だ。ネットワークに触れていない旧型のエレベーターだけが行ける。それにあそこは古参の隊員ですら行った事がないらしい。
「あんま行きたくねぇな。かと言って行かないと復旧しねぇ。・・・行くか」
オーキスは総司令室を出て動かないシャトルをctOSで制御し情報棟に向かう。真昼間だから明るいが夜中だったら酷い事になっていただろう。数分も経たないうちに情報棟に到着した彼は近くにある地下行きエレベーターで下っていった。
一方出かけているシンフォニー兄妹の内、基地内に残って宿題をしていたレイが異常に気づいて歩き回っていた。
「もー!アクエステを呼んでもお菓子もジュースも出ないんだから!お母さんとお兄ちゃん達いないしお父さんは仕事だし・・・」
「お、レイじゃないか」
「士郎先生!」
紅月士郎。シンフォニーの歩兵部隊の中でも狙撃に特化した集中力を持ち外したことはない。父親の機体であるサバーニャを愛機としておりレイの家庭教師。それとスナイパーとしての技術も教授している。
「レイ。宿題は終わったのか?」
「うん!でもアクエステ呼んでもお菓子もジュースも出ないからこっち来たの」
「アクエステはどうやら故障したらしい。今復旧作業中だ」
「ふーん」
『あーあー。聞こえるー?』
ノイズと共に聞こえてきたのは誰かの声。だがアクエステは現在も復旧出来ていない。アナウンスも不可能なはずだ。だがシンフォニーのネットワークに入り込めるのはアクエステやctOSだけではない。REXだ。
『そこにいるのは可愛いレイちゃん?お久〜。REXだよ』
「REXだと?」
『情けない事に俺は格納庫で身動き出来なくなっちゃってさぁ。頭脳を零久君にネットワークに繋いでもらって話しかけてるのよん』
「REXさん!今どうなってるの?お菓子食べたい!」
『まあ落ち着いて。今オーキス君が向かってるからサ』
「総司令がか⁈いったいどこに⁈」
『それは言えないなぁ〜?俺にも秘匿情報開示権利なんてないからネぃ?』
ふざけた話し方で明らかに煽っているREXの背後では零久が必死に回線を奪われまいとキーボードを叩いていた。
既にESCキーが吹っ飛んで壊れているが。
ついでに次元通信でキシに連絡をとっていた。
「親父ぃ!助けてくれ!帰れなくなった!」
『ああ。アレの事か。安心しろ。タイマー設定で帰還させただけだ。ちゃーんと替えの新型渡すから安心したまへ!』
「そうかよ!それと今大変な事にな・・・って切りやがったよ!ちくしょーめ!」
無線機を地面に投げつける零久。だがその間にも回線は奪還されつつある。やはり高性能といえノートパソコンだけでは無理があったようだ。数秒であっというまに回線を奪われ再びアナウンスシステムとの回線が切れた。
「すまん・・・回線盗られた」
『まあまあ。おかげでレイちゃん達を誘導出来たから問題はないよ』
「ならいいんだが・・・。で?どこに誘導したんだ?まさか地下に誘導したんじゃあるまいな」
『そのまさか』
レイ達は緊急用の連絡通路を利用してオーキスがいる地下に向かっていた。少々ジメジメしているが清掃は行き届いている。
「なんでお父さんが地下に・・・」
「分からん。今は進むだけだ」
地下行きのエレベーターを見つけて更に地下まで行く二人。古臭いエレベーターが嫌な音を発しながら目的の場所につくとオーキスが厳重なロックをかけられた人型アンドロイドと話していた。華奢な機械の身体はカチャカチャ動いている。
「お父さん!」
「レイ?何故ここにいる?」
「REXに教えてもらったの」
「あの野郎・・・」
「総司令。このアンドロイドは・・・?」
『我が名を聞くか。若僧』
一瞬ビックリした。まさかアンドロイドが話すなんて分からなかった。つかアンドロイドはまだ開発途中だってのになんだコイツは⁈オーパーツじゃねぇかよ!
『我が名はJ。死神である』
「死神?」
『さあ。私を今すぐ出せ。シンフォニーを継ぎし者達よ。その為に私を蘇らせたのだろう』
「こんな事を言ってるが一応シンフォニーが作成したAIらしい」
「らしい?」
「士郎。お前の父親のナオトが探し出してくれたデータにコイツはなかった。ただ試作でアンドロイドが作り出されたという履歴だけしかない」
履歴だけが残っているというこたぁ・・・計画が凍結されたのか?父さんが戦後に資料の整理に一時回されたのは聞いたことがあったがそんなもんを探し出していたなんてな。教えて欲しかった。
「で、今出してくれと騒いでる訳なんだがな。出す訳にはいか」
「はいどうぞ。外れたよ」
「「レイ⁈」」
なんとレイが外部からかけていたロックを外してアンドロイドのJを開放してしまったのだ。頭部に接続されていたコードが外されていき剥き出しの金属製の肩を回すとレイに手を出す。
『礼を言うぞ。娘。名をなんという?』
「レイ・シンフォニーだよ!よろしくね!ジャック!」
『ジャック?誰だそれは』
「私が今つけた名前!貴方の名前がJだけだと呼びにくいでしょ?」
『そう・・・だな。受け取ろう。シンフォニーの娘』
レイと話している所をみるとどうやら危害を加える訳ではないらしい。ナオトが見つけてくれた資料には戦闘用とまで書かれていたのに、まさかこんな人間くささ溢れるアンドロイドとは思わなかった。だがコイツが何時から存在するかは『彼』自身も分からないという。
「J・・・ジャック。お前がこの事件を起こしたんだよな?」
『む?何を言っている?確かに先程質問した通り強大なエネルギーで私が目覚めたのは認める。だが何故私がシンフォニーのネットワークを占領する必要がある?』
「・・・レイ。士郎。ジャックを整備棟に連れて行け。一応気をつけろよ。ついたらクレアに身体ごと取り換えてもらってくれ」
「了解です。総司令は?」
「ここに残る。先に行け」
レイと士郎は歩いてエレベーターに乗り上の階に上っていった。クレアにもメールした。さて、ここからはctOSを使わずとも分かるぞ。どうやらジャックは本当に関係ないようだからな。ついでに言えばアクエステが落ちた原因はここだ。フォールド・クォーツに電圧をかけてエネルギーの取り出しに成功した。だがその電力はジャックの起動以外にも様々な老朽化したコードに走りショートした。漏電を感知したブレーカーはサーバールームの電力を落としたというわけだ。
「これだけで済んだのなら・・・良いんだが」
ジャックは地上についてから整備棟に連れて行かれ連絡を受けていたクレアを中心に整備班による様々な改装が施される事になった。容姿はレイやローズの好みによりアチラのジャック。いわゆる雷電になる事が決定。だが裏ではもっと面倒な事が始まっている。
場所は変わって学園都市のジオフロント。藤堂率いる国防軍は、様々な兵器を持ち出したサンズ・オブ・パトリオットの攻撃を受けていた。シンフォニーに支援要請を入れても連絡はつくはずがない。しかしそこは厳島の奇跡を起こした男。シンフォニーの連絡がつくまで持ち堪えていた。
『第4地区に損害!被害甚大!』
『第25兵装ビル群が破損!損害不明!』
「敵勢力はオダワラ防衛ラインを突破!」
「地表の特殊装甲が貫通されました!」
「うろたえるな!追加予備装甲を展開!シンフォニーとの連絡がつくまで持ち堪えろ!学園都市にある全ての兵力を特化運用!僅かでもいい。食い止めろ!」
続く!