世界変えるは天才少女と傭兵とバカップル二組   作:砂利道

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ども、おひさです。ちょっと読み専になってたんですけど他作品の感想で発破を掛けられて書きました。え?なんで他作品の感想でこっちを書いたかって?こっちがもう少しで書き終わるとこだったからだよ!


この先の未来は

京都パージ未遂事件から四日後、ある病院の一室。

 

『はい、ハヅキ。あーん!』

 

「あーん…うん、リンゴはこのシャキシャキ感が良いよな」

 

俺は京都のパージを防いだあと実に丸2日寝ていたようだ。しかもしばらくの間は頭痛が酷くて病院のベッドから起き上がる事が出来なかった。今こうしてリンゴを食べられるようになったのもついさっきだ。

 

「にしてもイース、機嫌良いな。俺は怒られるかと思ってたのに」

 

『うーん、最初は叱ろうかなって思ってたんだけどハヅキもスゴい頑張ってたし良いかなって』

 

「ほっ…そりゃ良かった。で、機嫌が良い理由は?」

 

『ハヅキが起きたことともう一つは…まだナイショ!』

 

「おいおい、気になるだろ…」

 

『退院したら教えるよ!』

 

「そうかい…じゃあ大人しく待ってるとするか」

 

イースとの他愛ない会話が凄くうれしい、改めて生きてるんだなと実感する。その小さな幸せを噛み締めているとドアがノックされた。

 

「はーい、どうぞー」

 

「邪魔する…ぞ?」

 

「あっ!リョウ兄じゃん!無事だったの!?」

 

「あ、ああ…」

 

『ハヅキー、この人は?』

 

「ん?ああ、初対面だったな。この人は新島リョウジ、俺の兄貴分だよ。ほら、あのとき通信くれた。んでこっちがイースね、俺の彼女」

 

『ああ!あの声の!』

 

「ハヅキ…」

 

「ん?なに?」

 

リョウ兄がイースを指差して慄いている。

 

「お前…彼女いたのか!?」

 

「…あ、ごめん。言ってなかった?」

 

「聞いてねぇよ!いつからだ!」

 

「1ヶ月くらい前?」

 

『ええ!?』

 

「嘘だろ!?」

 

「うん、嘘だよ」

 

「……」

 

あ、固まった。

 

「いやー、相変わらず良い反応してくれるねーアハハ!…ってちょっと待ってその振り上げた拳は収めて俺病人だから!」

 

「せっかく人が心配して見に来てやったものをお前は~~~~~~~!」

 

リョウ兄が思いっきり頬を引っ張る。痛くないけど顔変形する!?

 

「ごめん!ごめんってリョウ兄!」

 

「ハァ、ハァ、まったくお前は…」

 

『仲良いんですね~』

 

「世話かかる弟分だよ…」

 

「すいませんでした…」

 

多少腫れた頬をさすりながら謝る。

 

「…そんだけ軽口叩けりゃ大丈夫そうだな」

 

「まぁまだ少し頭は痛いけどね」

 

大支柱(コア・タワー)全域を観測したようだな、無茶しやがって」

 

その言葉を聞いて内心冷や汗を掻き始める。ごめんリョウ兄、実際にはそれ以上の事した。

 

「にしても何したら失血死寸前に陥るんだ?目立った外傷も無いし」

 

俺はチラリとイースを見る。冷や汗を流し始めてる。

 

「いや、まぁ、いろいろと…」

 

そんな俺達をジト目で見てため息をつく。

 

「イースちゃんは何か知ってそうだけど?」

 

『ぜ、全然!何も知りません!いやーほんとハヅキは何をしたのかな~』

 

「イース…苦しいよ」

 

「はぁ…まぁ言いたくないなら良いさ。ただなハヅキ」

 

「は、はい!」

 

「もう無茶はするな」

 

リョウ兄の真剣な眼差しに息を飲む。

 

「俺は勿論、親父とお袋もすごい心配したんだ。お前が死ぬんじゃないかって」

 

「そっ、か…」

 

おじさんとおばさんにも心配かけたんだな…

 

「それに彼女も出来たんだろ?ならなおさらだ。彼女に悲しい思いをさせるんじゃない」

 

「…ごめん」

 

「謝るくらいならもうするんじゃねえぞ」

 

「分かった」

 

「じゃあそんだけだ。無事ならそれで良い。俺は帰るぞ」

 

「え?もう行くの?」

 

「軍はクビになったからな、これから再就職先の面接だ」

 

「…次はどこ?」

 

リョウ兄は含みのある笑みで言う。

 

「お前の知ってる約束破りのお嬢様のとこだよ」

 

そう言い残しリョウ兄は病室から出ていった。

 

「…ブレゲ社かぁ」

 

『これから苦労しそうだね』

 

「知らない内にマリーちゃんに使われそう」

 

『あぁー…その未来がありありと…』

 

俺とイースは想像ついたリョウ兄の未来に笑いあった。ああ、幸せだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 入院から一週間後、ようやく退院を許され俺は久々に学校に足を運んだ。

 

「ん?あ!先輩!」

 

「ようナオト、久しぶりだな。お見舞いにも来ないで何してたんだ?ん?」

 

「え!?いや、それは…」

 

『アンクルに会えなかったことを一週間うじうじとしていました』

 

「リューズ!?それは言わないでって言ったじゃん!」

 

『それは失礼しました。是非とも言ってくれ、というフリかと…』

 

「な訳ないじゃん!先輩違うんすよ?」

 

「ああ、分かってるよ」

 

「せ、先輩…!俺は先輩なら分かってくれる…」

 

「お前が恩ある先輩に仇で返すような薄情な奴だってことは」

 

「…と思ってたのに!なんすかこの裏切り!」

 

「あ?文句あんのか?」

 

「何でもありませんお見舞いに行かなくて申し訳ありませんでした」

 

「最初から謝っとけばいいのによ…」

 

相変わらずの後輩の態度に安心感を覚える。

 

「んじゃ俺は行くな」

 

「あ、先輩」

 

「なんだ?」

 

「驚きますよ?」

 

「は?何が?」

 

「クラス行けば分かります」

 

「?そうか」

 

はて、何があるんだ?俺は一週間ぶりのクラスに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、ハヅキじゃん!」

 

「おひさー」

 

「なにしてたん?」

 

「ばっか入院してたって言ってたじゃん」

 

「もう大丈夫なのか?」

 

俺はナオトと違ってボッチじゃない!にしてもやっぱ久しぶりの奴は珍獣扱いなのな。

 

「おう、ちょっと重力異常のせいで打ち所が悪くてな」

 

「うわー、お前ついてねぇな…」

 

「でもその分の運が回ってるだろ」

 

「確かにな!チクショウ!席変わりやがれ!」

 

「は?なんの事だ?」

 

「実はな、お前が入院してる間にこの学校に二人留学生が来たんだよ」

 

「一人は一年でもう一人はなんとこのクラス!」

 

「しかもどっちも超美少女!」

 

「んでもって席はここ」

 

そう言って友人が指差したのは俺の左隣の席だった。…なんだろう、嫌な予感が…

 

「ほんと羨ましいよなー」

 

「もう何人もの男子が口説きに行ったんだぜ?」

 

「全員玉砕だったけど」

 

「へ、へえー。ど、どんな子なの?」

 

「それは…やべ、先公来た」

 

「お前らー席つけー。もう予鈴鳴るぞー!」

 

「あの子まだ来てねぇな、見たらビックリするからそれまで待ってろ」

 

そう言い残し友人達は自分の席に着く。

 

「まさか、だよな…」

 

流石に…あ、前例あった…

 

「じゃあ出席取る『セーーーフ!!』…アウトだ」

 

『そ、そんな~』

 

「「「「あはははははっ!!」」」」

 

担任が出席を取る寸前に一人の女生徒がクラスに駆け込みをして来た。腰まである空色の髪、透き通る様な白い肌、吸い込まれそうな夜空色の瞳。なるほど、確かに超美少女だ。…だが既に慣れ親しんだ。

 

「ああ、神連は初めてだったな。その子は留学生の…」

 

『イース・マンダリンです!よろしくね!』

 

そう自己紹介をして太陽のように笑う。それに対して俺は、

 

「………いや、なにしてはるん?」

 

そう返すのが精一杯だった。ナオトとイースが言ってたのってこの事かよぉ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼休みの屋上、俺は予想通りイースのデレの猛攻を受け精神的疲弊を喰らった。…主に男子共の嫉妬光線で。

 

「俺が入院中に話してた良い事ってこの事だったのな…」

 

『そうだよー、嬉しいでしょ!』

 

「そうだな、まさか一緒に学校生活(スクールライフ)を過ごせるとは思わなかったよ。ただ時と場所は選んでくれ、男子共の嫉妬の視線で胃に穴が開きそう」

 

あの視線はきつかったぞ…

 

『えー?私ちゃんと説明したのに』

 

「そうだね、思いっきり『私の旦那様!』って説明をしてくれたなコンチクショウ!先生も固まってたじゃねぇか!」

 

朝に爆弾発言をしてくれたおかげで授業そっちのけで質問攻めだったぞ…てか「もっかい告白して奪ってやる!」って奴いたのはマジ驚いた。友人Oよ、お前は勇者だ。速攻で撃沈してたけど。

 

「ていうかなんで遅刻なんかしたんだ?確かに俺が出るの見届けてたけどイースなら余裕だったろ?」

 

『えっとね、驚かせようとしたのとあと…その、これからの事を考えて悶えてたらいつの間にか時間ぎりぎりで…』

 

「…どう反応したらいいのやら」

 

嬉しいんだけどすごいこそばゆい…

 

「まぁ変な虫寄り付くよりは百倍マシか…なんだよその顔」

 

『えへへ…ハヅキが心配してくれるのが嬉しくて』

 

イースはものすごい緩みきった顔をしていた。眼福です。

 

「…早速ラブコメしてますね」

 

「ん?…ああ、やっぱり…」

 

『やっほー、マリーちゃん!』

 

声の方向に振り返るとそこにはマリーちゃんがいた。ぶっちゃけイースがいる時点で予想はしてた。

 

「まぁ流石にハルターさんはいないでしょ…」

 

「残念だがいるぞ?」

 

「ぅおい!?いくら教師でも無理あるだろ!」

 

マリーちゃんの後ろからハルターさんが出てきた。こんな恐ろしい教師過去にもいないだろ…

 

「失礼だな、難解な日本語を理解してちゃんと仕事をこなしてるぞ?」

 

「生徒どころか教師にも恐がられて最低限しか会話してないけどね」

 

「……」

 

「ハルターさんェ…」

 

この先馴染めんのかなこの人…

 

『あ、リューズちゃーん!こっちこっち!』

 

イースが声をかけた方向を見ると出入口からナオトとリューズちゃんが来ていた。

 

『姉さん、聞こえているのでそのようなわめき声を出さなくて結構ですよ』

 

『わあ、相変わらずの毒舌』

 

「"お姉ちゃん、聞こえてるよそんな大声出さなくても♪"って事ですね分かります」

 

『…ナオト様はどのようなキテレツでユニークな耳と脳をお持ちなのでしょうか、ああ、失礼しました、人類を天元突破された大変素晴らしい愚かで変態な耳と脳でしたね』

 

「あ、あれ?リューズさん?割かしマジで怒ってらっしゃる?だいぶ無表情なんですけど…」

 

『いえ、私は別に怒ってなど…』

 

『ねえねえリューズちゃん、さっきナオト君が言ったことリピートして?というか"お姉ちゃん♪"って呼んでみて!』

 

『…この駄姉が』

 

『酷くない!?』

 

「…なーんでナオトが来るだけでここまでカオスになるんだか…」

 

「こう言うのを日本人はなんて言うんだったか、シリアスブレイカー?」

 

「バカで良いでしょこのド変態は」

 

流石ナオト、たった一言喋っただけで場を混沌とさせやがった。そこに痺れねぇ憧れねぇ!

 

「てかなんでここに来たんだ?マリーちゃん達も昼飯?」

 

「いえ、あなたを探しに来たんですよ先輩」

 

「…なんかマリーちゃんが言うとむず痒いから止めてくれ」

 

「あら、遠慮しなくて良いんですよ、せ・ん・ぱ・い?」

 

「うっ!?」

 

「…そこで口を手で押さえて踞るのは流石に失礼すぎませんか?」

 

おっとやべぇ、マリーちゃんの猫かぶりに拒絶反応が!

 

「はぁ、まぁ良いです。あなたにお話があるんですよ」

 

「俺に?」

 

なんだろ、爆弾発言が飛び出そうな予感がする。

 

「実は…「一緒に世界をぶっ壊しませんか?だそうですよ」違うわよ!テロリストになりませんか、よ!」

 

なんでこんなときの俺の予感はよく当たるんだろうか…

 

「…マリーちゃん、大丈夫。良い脳内科の先生知ってるから一緒に行こう?な?」

 

「私はどこもおかしくなってません!!」

 

いや、だって、ねぇ?

 

「あああ!そんな目で見ないで!こらナオト!あんたのせいで誤解されてるじゃない!どうしてくれんだゴラァ!!」

 

「んな理不尽な!?」

 

そのあと暴走寸前のマリーちゃんを何とか落ち着かせことの次第を聞いた。

 

「なるほどね…今回みたいに悪行を潰したいと」

 

「ええ、その為にはテロリストという身分が都合が良いんです」

 

「まぁ何ともすっ飛んだ発想だな」

 

でも自分の死を偽装するような子だし当然か。

 

「…平穏な学校生活は送れなそうだな」

 

「退屈はしませんよ?」

 

「刺激的過ぎるけどな」

 

俺は溜め息を一つ突く。

 

「…どうせ巻き込むんだろ?」

 

「あら、分かります?」

 

わぁ不思議、マリーちゃんの頭とお尻に悪魔の装備が見える。

 

「へいへい、年上としてしっかり監督しますよ」

 

「それは俺の仕事だと思うんだがなぁ…」

 

「じゃあハルターさんナオトの暴走止められます?」

 

「無理だな」

 

「正直過ぎるでしょ」

 

「おっさんも先輩も酷くないすか?」

 

「「黙れ自覚無し」」

 

「本当に酷いな!?」

 

というか、

 

「ナオトは参加すんのか?お前はめんどくさがりそうなんだが」

 

『愚かにもナオト様はアンクルの居場所に惹かれました』

 

「…この節操無し」

 

「違いますよ!?ああ!リューズさんそんな目で見ないで!ゾクゾクするから!」

 

「「「『うわぁ…』」」」

 

きっとイースとの夢の学校生活は長くは続かないだろう。そう遠くない未来、俺達は世紀の大犯罪者として名を残すかもしれない。でも、ハルターさんにマリーちゃん、リューズちゃんにナオト、そしてイースがいれば俺はきっと一生退屈せずにいられるだろう。非日常の世界、そこにイースと共にいるのも良いかもしれない。

 

「…なぁイース」

 

『なに、ハヅキ?』

 

「イースはどんなとこでも俺についてきてくれるか?」

 

イースはじっと俺を見つめて、パッと花のような笑顔を浮かべる。

 

『もちろん!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カチコチカチコチ

歯車は廻り続ける。

チクタクチクタク

秒針は変わらず動き続ける。

 

何があろうと時は歴史を刻み続けて記録を残す。ただ少し、この六つの歯車は消えにくい軌跡を残すだけ。




さーて、次はいつになるのだか…
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