世界変えるは天才少女と傭兵とバカップル二組   作:砂利道

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他のそっちのけでドンドン書けるぜたーのすぃー!(現実ではまずいのに逃避行中)


救済開始

『いやー、1000年ぶりで体が固いよ。ちゃんとストレッチしないとねー』

 

アハハと笑う彼女はついさっきいきなり稼動した眠り姫さん…改めイース。何が要因で動いたのか…

 

「っておい!ここでそういうストレッチするなよ!見えちゃうよ!?見えちゃうって!?」

 

『んー?君になら見られても良いよ?ていうかもう見ちゃったんでしょ?』

 

「いやそれはなんで動かないのか調べるためであって…てか羞恥心を持て!」

 

『流石に持ってるよー、君以外には見られたら恥ずかしくてまた機能停止になっちゃうよ』

 

なんなのこの子!自動人形(オートマタ)なのに物凄く人間らしいよ!てかいちいちドキッとするような事を言うなよ!惚れちゃうでしょ!

 

『ねぇ、お名前聞いて良い?私が機能停止してる間の会話はいくらか保存されてるんだけど肝心な部分はちゃんと聞きたいの』

 

イースは無垢な瞳で俺を見つめる。うん、可愛い。じゃなくて!

 

「分かった!分かったから少し離れて!近いよ近すぎるよ!」

 

『えー、さっきはあんなに激しく抱いてくれたのに』

 

「その言葉は誤解を招くぞ!おい、ナオト!聞いてたらその耳切り取るぞ!」

 

どこかで(てか家で)「ギャアアアア!?」という悲鳴が聞こえた。悪い、でも聞かせたくないんだ。

 

「ん、んん!…はぁ、俺の名前は神連ハヅキ。17歳だ」

 

『ハヅキ…うん、良い名前だね!』

 

そう言って太陽のような笑顔を見せる。くそっ!可愛いなこんちくしょう!

 

『ねぇ、ハヅキ。私と正式な契約してくれない?そうしないとまたすぐに寝ちゃうんだ』

 

「もち喜んで」

 

あれ?考えるより先に口が動いた。何これ不思議!…うん、落ち着こう。

 

『ほんと!?』

 

「お、おう。二言は無い。てか契約ってどうすんだ?」

 

『あ、うん…あの、引かないでね?』

 

「内容による」

 

『そこは引かないって言って欲しかったなぁ…』

 

イースは苦笑を漏らす。

 

『えっとね…これ見える?』

 

そう言ってイースは口を開く。なんか八重歯が鋭いような…

 

『私との契約ってね、主人(マスター)になってくれる人の血を貰うの』

 

「まんま吸血鬼だな…」

 

美少女吸血鬼…アリだな。

 

『だから君の首筋に噛み付く事になっちゃうんだけど…』

 

「構わんぞ」

 

『あれ?速答?』

 

「俺両腕以外なら痛み感じないし」

 

『それはまた…』

 

「お前が引いてどうする…」

 

『あ、アハハ…ごめん』

 

「まぁ良いけど。ん、ほれ」

 

俺はそう言って襟をずらして首筋を露出させる。

 

『うん、じゃあ…いただきます』

 

カプッと行った。痛みは無いけど何だろ…もう感覚は無いのになんかむず痒い。

 

『ん、ふぅ…んう…うむ、ふん…』

 

「…………」

 

ー煩悩退散煩悩退散!色即是空色即是空!3.14…あ!これ以上知らねぇ!

 

チュプチュプと音が鳴る。たまにコクッとも。マジで吸ってるよ…てか何これすんごい男の子には堪えるよ!?色っぽ過ぎる!なまじ絶世の美少女だから辛い!耐えろMy son!

 

カチリ、カチカチ…

 

イースの中で圧倒的に少ない歯車が組変わる振動がした。

 

『ん…はぁ…"寄り添うもの(マンダリン)"イースはあなたの…神連ハヅキの一生の伴侶として仕え、例え私が動かなくなろうともその生涯を捧げます』

 

そう言ってイースは満足そうに妖艶に微笑む。…ん?伴侶?

 

「あの~、イースさん?」

 

『どうしたの、ハヅキ?』

 

「今伴侶って言わなかった?」

 

『言ったよ?』

 

あーそっかー聞き間違いじゃ無かったかー…

 

「ちょっと待てえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!?」

 

『わっ!いきなり大声出さないでよ』

 

「え、主人(マスター)って夫って意味なの!?」

 

『うん。あ、もしかして子供の心配してる?大丈夫、ちゃんと出来るよ!』

 

「…やべぇ、目眩してきた」

 

何この子、突っ込みどこ多すぎ…言葉的にも機能的にも。

 

『それともイヤ、だった…?』

 

「ぐ…」

 

イースは上目遣いを使った。ハヅキに効果は抜群だ。

 

「い、イヤじゃ無いです」

 

瞬間花の笑顔を見せる。ああもう!可愛い過ぎる!もうこのまま死んでも良いかも…ん?死ぬ?俺はそこで記憶を遡る。

 

「あ、しまった」

 

『?どうしたの?』

 

「…あと七時間でパージされるんだよ」

 

『どこが?』

 

「ここが」

 

イースは固まる。

 

『え、えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!?』

 

「あっははははは…取り合えずナオトと合流するか」

 

『私、スゴいタイミングで起きたんだなぁ…』

 

「あーそだ、イースは妹達の事覚えてる?」

 

『へ?あ、うん。私は監督機だから全員知ってるよ?』

 

「今リューズちゃんがいるぜ」

 

『え!?ほんと!?やった初めて対面だ!』

 

あーそっか、すぐに機能停止してたから面識無いのか。

 

「取り合えず行くぞ、伴侶とか諸々は後で詳しく聞くから」

 

『うん、りょーかい!』

 

「ちくしょう可愛いなぁ…」

 

『ふふ、ありがと』

 

…やべ、声出てた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ナーオートーくーん」

 

「ひぃ!?俺は何も聞いてません知りませんご結婚おめでとうございます!」

 

「回転式二段踵落としぃ!」

 

「理不じグボァ!」

 

(ナオト)は去った…

 

『ナオト様…いい加減学習した方がよろしいかと』

 

「リューズ…なんで先輩の攻撃には無反応なの…?」

 

『九分九厘ナオト様が悪いからです』

 

「そんな…グフッ」

 

「…ハルター、この茶番は何?」

 

「俺に聞かんで下さい…」

 

『わぁー本当にリューズちゃんだー!』

 

『…本当に動いたのですね、名前も知らない寝坊助姉さん』

 

『あれ?あの人から聞いてないの?』

 

『はい、あの人からはただ"お前の姉になる筈だった自動人形だ"としか』

 

『えー…説明不足過ぎでしょ…じゃあ改めて自己紹介するね。initial-Yシリーズ監督機、"寄り添うもの(マンダリン)"イース。よろしくね、リューズちゃん!』

 

『Initial-Yシリーズ壱番機、"付き従うもの(ユアスレイブ)"リューズです。よろしくお願いします、イース姉さん』

 

ナオトが地に伏せり、initial-Yシリーズが二人いたり、完全蚊帳の外のマイスターとボディーガードがいたりとカオス極まる光景だな…

 

「あー、取り合えずいいか?」

 

ハルターさんが何とか場を取り持とうとする。

 

「ナオトとハヅキは俺達に着いてきてくれると考えて良いのか?」

 

「というより今は僅かでも可能性が欲しいの。さっきそこのバカ『マリー様?』な、ナオトの力は見せてもらいました。そしてあなたにも同じ様な力があるということも」

 

「ナオトが?」

 

『いえ、途中でいきなり怯えだしたので私が説明致しました』

 

あー…耳切り落とすぞの部分か。

 

「そうか、説明する手間が省けた。まぁ確かに俺にも力はあるぞ、役に立つかは分からんが」

 

「構いません。今は少しでも、少しでも可能性が欲しいんです」

 

「…分かった。そこまで言うなら力を貸す。勿論こいつも」

 

「先輩、俺了承してないです…」

 

『ねぇ、ハヅキ。ここって京都何だよね?』

 

「ん?そうだけど?」

 

『じゃあここに私達の妹がいるはずだよ。ね、リューズちゃん』

 

『そうですね。確かに居ます』

 

「リューズ、詳しく!」

 

「復帰はぇーなおい…」

 

ナオトのブレない機械愛に俺はもはや戦慄を感じてしまう。

 

『はい、initial-Yシリーズ肆番機、"撃滅するもの(トリーシュラ)"アンクルが大支柱(コア・タワー)の地下にいるはずです』

 

『黒髪ボブヘアーで、三白眼だけど鮮やかな綺麗な赤い瞳だよ。見た目は12歳位かな?身長は140センチ切るくらいで、私達姉妹のなかで戦闘力は最強だよ』

 

「……ンなぁにをしている!往くぞ者共!」

 

「変わり身はぇーなおい!下心丸出しじゃねぇか!…てかイース、お前1000年も寝てたのにやけに詳しくないか?」

 

『監督機だからね~、姉妹のデータは全部持ってるよ。勿論スリーサイズも!』

 

「イースさん、後でこっそりとリューズの教えて下さい」

 

『良いよー』

 

『…姉さん。何を教えようとしてるのですか?』

 

『おー、リューズちゃん鎌出すの1000年前よりコンマ3秒早くなってるね!でも照れ隠しにそれは危な過ぎるよ?』

 

リューズの鎌に挟まれて冷や汗ダラダラのイース。冷や汗じゃなくて冷却水か。

 

「ああもう!さっさと行くわよ!あと七時間しか無いんだから!」

 

そんなこんなでぐだぐだな一行は出来上がった。戦力的には申し分無いけど何だろ、果てなく不安だ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何としてでもマリー・ベル・ブレゲを捕えなさい!手段は問いません!」

 

ホテルの一室で通信機片手に大声で語りかけている青年、リモンズは焦っていた。どうにかしてあの小娘を一刻も早く捕まえなければ自分の身が危ない、本気でそう思っていた。

 

「あの、大変申し上げにくいのですが…」

 

「なんですか?」

 

「既に警備の半分がやられています!奴ら警備の配置を完全に把握しています!」

 

「なん…だと…!?」

 

リモンズは愕然と目を見開く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

簡単な軽装自動人形の倒し方~

その一、左手の手袋を外します。

その二、左手で自動人形に触れます。

その三、内部構造を即座に把握。

その四、必ず無くてはならない重要な歯車がありますので装甲の上から正確に蹴りを思いっきりかましましょう。

その五、歯車をずらしたのならあとは放置。勝手に自壊するので愉快に踊る様を観賞しても良いでしょう。

 

 

 

「という訳でいっちょ上がり」

 

「先輩パネェ…」

 

『ハヅキすごいね~』

 

「…リョウジさんが私の蹴りを避けれた理由が分かった気がする」

 

「だなぁ…あの相手をしてたって言うなら足技の対処が上手い訳だ」

 

俺の周りには合計五体の軽装自動人形が崩れ落ちている。いずれも主要歯車をずらされ、それでも回転しようとした結果自壊したものだ。

 

「いやいや俺よりリューズちゃんでしょ。俺が一体壊してる間に何体やったよ」

 

『およそ三体ですね、数が少ないのでこれが限度かと』

 

「もちろんリューズもすごい!もう最高だね!」

 

『当然の事です。私を超える自動人形は存在しないのですから』

 

『相変わらずの照れ隠しだねぇ~』

 

『…何を言っているのでしょうこの駄姉は』

 

『リューズちゃん、私にきつくない?』

 

相変わらず暢気な集団だな…

 

「ナオト、あと何体だ?」

 

「先輩も自分でやってくださいよ…」

 

「あ”あ?」

 

「何でもありませんここから右に70メートル先に三体、前に183メートル先に四体です!」

 

「だとよマリーさん」

 

「え?あ、はい…これ私たち居る?」

 

「お姫さん言わないでくれ…俺が辛い」

 

すんませんハルターさん、仕事取っちゃって。てな訳で、

 

「ハルターさん、ちょっとこっちに」

 

「うん?なんだ?」

 

「あそこから上がって……が来るので……上から一発…」

 

「お前さん便利な腕持ってんな…了解、行ってくる」

 

「行ってらっしゃいでーす」

 

ハルターさんは俺達とは少し違うルートを通る。

 

「ハルターに何を言ったんですか?」

 

「ちょいと活躍の場を。てか敬語は無しで良いですよ、疲れるのでしょう?」

 

「…気付いてたの?」

 

「そうですね、それにここまで来たら一蓮托生だ。お互い信頼預けましょうや」

 

「分かったわ、ならあなたも敬語は無しで良いわよ」

 

「おけ把握、そらもういっちょ!」

 

俺は右から来たオートマタに蹴りをかます。同じ型なので既にどこを蹴り抜くかは分かっている。

 

「リューズちゃん2体よろしく!」

 

『了解ですハヅキ様』

 

そしてあっという間にスクラップに変わる。

 

「ほんと相手が可哀想だわ…」

 

「なぁマリー、あれ」

 

ナオトが指差す方を見ると壁に埋め込み式の監視カメラがあった。

 

「良いわね」

 

マリーちゃんがニヤリと笑う。おお、くわばらくわばら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この、ガキがぁ…」

 

リモンズはモニターに映っている3人の少年少女の顔に歯軋りをする。どこまでもなめ腐った顔をしていた。

 

「アレを出しなさい!有る限りで良いです!」

 

リモンズが指示を出す。アレとはヴァシュロンの最高傑作と呼ばれている…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ナオト、ハヅキさん。これが来るのも分かってた?」

 

「「当然!」」

 

3人の目の前にはヴァシュロン最高傑作、S-08[Grat(ゴリアテ)]が銃口を向けていた。それも2体。ゴリアテは三脚のボールレッグでその場で360度回転が可能で右手に5つの砲門、左手に大剣を装備したおよそ5メートルの大きさの強襲用の自動人形だ。

 

『そこの三人動くな!これ以上勝手に動くなら跡形も無く…』

 

「忠告する前に問答無用で撃てよバーカ、頭上にご注意」

 

『は?』

 

その瞬間二機のゴリアテの上に重量と重力の乗った重い一撃が頭部に入り大きく陥没する。殴ったのはハルター。さっきハヅキにこの二機の事を教えられ奇襲の為に真上に移動していたのだ。

 

「チッ、俺でもこれが限界か。情けねえがあとは頼むぜお嬢さん方」

 

『リューズちゃんどっちが早くバラせるか勝負ね!』

 

『勝負はしませんがナオト様の障害は排除します』

 

リューズのスカートがはためく。同時にイースのワンピースもはためいた。リューズはスカートから伸ばした2本の鎌で一機のゴリアテを4等分に分ける。イースはワンピースから伸ばした1本のスピアがゴリアテを一瞬で蜂の巣にする。しかも、

 

「超高周波の振動付き…いくらゴリアテでもこれじゃ薄い布に錐打ち込んでるようなもんだぞ…」

 

ハヅキは既にところ細かく調べていたのでイースのスピアの事は知っていたが初見のナオト達はその貫通性に目を剥く。

 

「何あれ…威力エグすぎるでしょ」

 

「ありゃ(機械化兵)でも一発で死ぬぞ…」

 

「スゴいけどうるせぇ…」

 

ナオトはスピアからでる高周波が苦手な様だった。

 

『姉さん、それを収めてもらってよろしいですか?ナオト様が大変迷惑そうです』

 

『ありゃ?あーそっか、耳が良いんだよね。ごめんごめん』

 

シュルシュルとスピアがワンピースの中に戻っていく。

 

「イース、それスゲーな」

 

『エヘヘ、そうでしょ!』

 

「蠍みたいで」

 

『そういう事言っちゃうの!?』

 

どう考えてもハヅキがイースをからかっていた。

 

「さてと、警備はこれで全滅だな。じゃあ早く大支柱に…」

 

「ちょっと待って」

 

ナオトが言うとマリーが何か思い付いた様に制止をかける。

 

「策があるの…」

 

それはとてもいい笑顔だった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マリー・ベル・ブレゲが…死んだ?」

 

「はい、激しく抵抗した為やむなく射殺を…」

 

「誰が殺していいと言ったんですか?」

 

そう言ったリモンズの声は怒気を孕んでいたがどこか安心したようにも聞こえる。

 

「我がヴァシュロン社の者がブレゲ家の娘を殺したなどと知られればどうなるか分かってるんですか!?」

 

通信機の向こうの兵士は無言を貫く。

 

「…過ぎたことは仕方がありません。パージに巻き込まれた事にしましょう。遺体はそのまま処分しなさい」

 

「了解しました」

 

リモンズの通信機の持つ手が震える。

 

「私は怒っているのか安心しているのかどっちなんですか…」

 

取り合えずリモンズは近くの机を蹴り飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これで良いのか?」

 

ハルターさんが若干戸惑う様子で問う。

 

「ええ、バッチリ録音したわ。ヴァシュロン社がマリー・ベル・ブレゲを殺したってね。これを世界にバラまくのよ」

 

「考えていることがエグいぜ…よく思い付いたな、マリーちゃん。普通考えないぜ、自分を死んだことにするとか」

 

『普通の思考回路じゃ無いね…』

 

「イースもハッキリ言うわね…まぁこれであいつらの企みも瓦解するでしょ。ざまーみろ!」

 

「楽しそうだなあ…」

 

ハルターさん、引いてること隠せてないぜ。

 

「ま、ここまでこれたのもお前さんらのお陰だな」

 

「大したことしてないぜ?」

 

『手応え無かったしね』

 

「そう言えるのはあんた達だけよ…ってあいつら何してんの?」

 

マリーちゃんの視線の方を向くとナオトとリューズが踊っていた。

 

『なんか幸せオーラ振り撒いてるね』

 

「そうだな…そう言って私達もとか考えてるだろ?」

 

『な、ななな何の話?イース分かんないよ?』

 

「…全部無事に終わったらな」

 

『ハヅキ大好き!』

 

「恥ずかしいからハッキリ言うな!」

 

「…こっちでもなんか始まったわ」

 

いやいや、あいつらを見ろよ。

 

「リューズはやっぱスゲーなぁ、あんな強そうなゴリアテを一瞬でバラバラにするなんて!」

 

『ナオト様も流石です。全ての敵の位置を耳だけで把握するなんて、こんなに優れた聴覚をお持ちの方は他におりません』

 

「いやー、そうかなぁ」

 

『はい、その軟弱で貧相な容姿では想像もつきません』

 

「リューズさんそれ褒めてない…」

 

ナオトが涙目になる。

 

「うわー、見事なまでの天国から地獄」

 

『リューズちゃん上げてから落とすの上手いねぇ』

 

俺とイースはリューズの手腕に舌を巻く。

 

「はいはい、イチャイチャはそこまで」

 

マリーちゃんが間に入る。

 

「嫉妬?」

 

『羨ましいのですね』

 

「そこまでして優越感に浸りたい…?」

 

おぉう、こめかみに血管が…

 

「まぁいいわ、ここまで来れたのはあなた達のお陰よ。それに…」

 

マリーちゃんはくわえていたぐるぐる飴を俺達に向ける。

 

「ナオトとハヅキさんの耳と触覚は本物よ。その能力これから存分にこき使わせてもらうから」

 

「あ、あー…うん。善処しますですハイ…」

 

「へいへい、役立たせて貰いますよ」

 

ナオトと俺はそれぞれ反応する。

 

「それとハルター、お願いね?」

 

そう言ってマリーちゃんはポッケから時計を取り出す。

 

「それって…」

 

「そう、羅針盤時計(クロノコンパス)

 

羅針盤時計…世界最高峰である一級時計技師(マイスター)である証。これを手に入れるために人生を捧げ、なお届かない事も多々ある一品。

 

「…本当に良いのか?」

 

「勿論。だって…」

 

そこでマリーちゃんは1度言葉を切りそれを大切そうに胸に抱く。

 

「だって()()()()()()()マリー・ベル・ブレゲは死んだのよ?」

 

そして羅針盤時計を天高く放る。空中を二転三転して、落下を始める。その間にハルターさんが懐から拳銃を取りだし引き金を引く。

 

パァン!

 

放たれた弾丸は羅針盤時計の中心を貫いた。

 

「あぁーーーーーーーーー!!」

 

ナオトの悲鳴が響く。羅針盤時計は粉々に砕け地面へと落ちる。

 

「勿体ねぇーーーー!なんで…」

 

機械大好き人間らしくじっくりと見てみたかったようだ。

 

「必要無いからよ」

 

マリーちゃんは大支柱(コア・タワー)を見る。

 

「私は私の信念を貫く。その為なら地位も名誉もいらない」

 

それはマリーちゃんの意地の様なものなのだろう。いや、矜持か。

 

「これで私はただのガキよ。あんたと同じね」

 

その顔はどこかスッキリとしている。(しがらみ)を自ら解き放った。

 

「だからこれからは好き勝手にする。邪魔するやつは全員クソよ!」

 

そこでハルターさんが車を取ってきて戻ってきた。それに全員乗り込む。

 

「クソはどうかと思うぞ、マリーちゃん」

 

「良いじゃない、私は自由なのよ?」

 

マリーちゃんがニッと笑う釣られて俺も、皆も笑う。

 

「さあ、大支柱(コア・タワー)までぶっ飛ばすのよ!」

 

さーて、いっちょ京都を救いますか!




イースの挿し絵欲しいなぁ…
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