世界変えるは天才少女と傭兵とバカップル二組   作:砂利道

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リューズの毒舌ムズすぎ…ほとんど借用になっちゃった…


自由意思

京都の町は混乱の坩堝と化していた。もう完全に重力異常の事は知られてしまったようだ。

 

「ひどい状況ね…」

 

「だな…この混乱で死傷者が出なきゃいいが…」

 

最悪人ごみに押されて圧死なんてこともあり得る。

 

「早く向かいましょう」

 

マリーちゃんがハルターさんに「飛ばして」と指示を出す。ハルターさんがアクセルを踏み込んだ時、

 

『…ナオト様、こちらへ』

 

「ふむ!?」

 

リューズちゃんがおもむろにナオトを抱き寄せた。ナオトの顔がリューズちゃんの双丘に埋まる。

 

『ハヅキもこっち!』

 

「って俺もか!」

 

俺もイースに引っ張られナオトと同じ状況に、Oh…天国が…

 

「なにしてんのよ…」

 

『あ、マリーちゃんも。ハルターさんはごめんね』

 

「はえ?」

 

「なんのことだ?」

 

イースが前の座席のマリーちゃんの腕を掴む。マリーちゃんとハルターさんは何なのか分かっていない。俺もだけど。

 

『じゃあリューズちゃん、GO!』

 

イースが宣言した瞬間、

 

 

ズパン!

 

 

「何の音…は?」

 

「は?」

 

ハルターさん達が間の抜けた声を出す。変わらない筈の位置関係がゆっくりと変わり始める。具体的には左側にいた俺とイースとマリーちゃんが右側にいたナオト、リューズちゃん、ハルターさんと離れて行った。つまり車が真っ二つ。リューズちゃん壊すことになんの躊躇いも無いのな…そう思った瞬間目の前に何か巨大なものが通った。

 

「って砲弾んんんんんんんんん!?」

 

目の前を通り過ぎたのはマジの砲弾だった。その砲弾の威力で2つに分かれた車は吹き飛んでいく。その時には既にイースによって離脱してたけど。

 

『とっとと…ハヅキ、マリーちゃん、大丈夫?』

 

「おう、無傷だ…」

 

「私も…」

 

俺達に怪我はない。勿論リューズちゃん達もだ。だが、

 

「あ!ハルターは!?」

 

マリーちゃんが叫ぶ。その時炎上している車からのそりと巨漢が立ち上がる。

 

「無事だぜお姫さん、俺はな…」

 

だがその顔は悲痛だった。

 

「俺の、俺の愛車が…!まだローンも払い終わってないのに…」

 

「…ドンマイです」

 

『ごめんね、あれしか皆助かる方法が無かったの』

 

「いや、しょうがないさ。命に替えは無いんだから…」

 

いやいや、そんな「俺の愛車もアレだけだ」見たいな顔で言われても…

 

「…ブレゲに掛け合って新しいのを用意してあげるわよ」

 

「いやいやマリーちゃん、君、死んだじゃん?」

 

「…ごめんハルター」

 

『はて、そこのガラクタは何をそんなに落ち込んでいるのでしょう?』

 

「リューズ、男にはな、例え他人が無意味な物と思えても大切なものがあるんだよ」

 

『そうなのでございますか?しかし車等と言う消耗品などいくらでも買えるかと…』

 

「…今ならそこの自動人形(リューズ)に対する憎しみで軍用自動人形(M・A)も壊せそうだ」

 

「あー、じゃあハルターさん。早速お願いしていい?」

 

「何?」

 

俺の視線の先、そこには6メートル程の巨体に丸みを帯びた逆関節の脚が2本。腹部には120ミリ砲を装備している重装型自動人形が鎮座していた。

 

「…ハルター、()ってきなさい」

 

「分かってて言ってるんだよなお姫さん。てか行くのニュアンス微妙におかしくなかったか?」

 

重装型自動人形は強襲制圧用に開発された無人機動兵器だ。優れた不整地走破性、頑丈な複合装甲を兼ね備え、かつ戦車より小回りがきくので市街地戦において間違いなく最強の陸上兵器だ。そしてそれが目の前に少なくとも16機。更にはその足元に軽装型自動人形、自走砲、空には無音(サイレント)ヘリの機影も。

 

「こりゃ詰みかな…まだベガスのカジノで一発当ててブロンドのモデル侍らしながら愛車でドライブの夢を叶えてない」

 

「そんな下品な夢諦めなさい。というか愛車は今さっきスクラップになったでしょうが」

 

マリーちゃんとハルターさんの軽口が続く。

 

「無人兵器かぁ…この手のは大体プログラミング済みだから完全自動だろうな。設定は恐らく大支柱に近づく奴の迎撃」

 

「大隊規模の戦力を使い捨てか…日本人の勿体無い精神はどこいった?」

 

「事故に見せ掛けるにはある程度の損害が必要なんでしょ」

 

俺とマリーちゃんとハルターさんの間に絶望的な空気が漂い始める。

 

『つまりあなた方はここでリタイア…ということでよろしいでしょうか?』

 

「まぁぁぁーね!!」

 

マリーちゃんが苛立たしく言う。

 

「あれの正面突破は不可能、何とか設定の穴をついて進入ルートを…」

 

『その時間があるとお思いなら現状"雑魚"のマリー様を"雑魚以下"に再設定する必要が生じます』

 

そう毒しかない言葉を吐きながらリューズちゃんは兵器の群れに歩き始める。

 

「リューズ?いったい何をする気なんだ?」

 

『排除します』

 

「いやいや、排除て…」

 

俺はあまりに端的に言ったリューズちゃんに絶句をする。

 

『あの見るに堪えないガラクタはあろうことかナオト様に砲を向けました。ならばそれは排除すべき"敵"です』

 

「ちょ、待ちなさい!あれは最新の軍用自動人形よ!?いくらあなたでも全部倒すのは無理よ!」

 

『あっ、もしかしてアレをやるの?』

 

突然イースが会話に割り込む。

 

『その通りです、姉さん。やはりご存じで?』

 

『当然!私は皆のお姉ちゃんだからね、全部把握してるよ』

 

「イース、アレってなんだ?」

 

『アレってのはね…』

 

「だから待ちなさいって!そんな風に早まったら…」

 

『はぁ…マリー様、いくら子供の様にしか喚けないとしてもせめて小学生並みには振る舞うようにはしませんといけませんよ?』

 

「な…」

 

『それに、1000年前の骨董品では最新鋭の兵器に勝てないと仰りたいのであればこう答えましょう』

 

リューズちゃんは不敵な笑みを浮かべる。イースはこの後の言葉が分かっているのか同じ様に笑っていた。

 

『あなた方は1000年経っても相変わらず、"姉妹"の中で…最弱である私にすら及ばないオモチャしか作れない、ダニ以下のお脳を卒業出来ずにおられる、と』

 

『最弱は私だけどねー』

 

リューズちゃんはイースの言葉に一瞬キョトンとしてほんの小さく笑う。そして兵器の群れに向き合い天を仰ぐ。

 

『定義宣言…initial-Yシリーズ壱番機"付き従うもの(ユアスレイブ)"リューズ』

 

音が零れる。いつもの歌う様な軽やかな声ではない。機械的な声で言葉が…いや、正しく宣言が行われる。

 

『固有機能ー【虚数時間(デュアル・タイム)】…起動シークウェンス、開始します』

 

それは物理法則への反逆の意思表明。俺とナオトは目を見張る。ナオトには音として、俺は振動として感じとる。リューズちゃんの中の秒針が緩やかに、確かに、不規則に、不条理に、だが美しく自然に…歪んでいく。同時にリューズちゃんの黒い礼装がバラリと色と形を変えた。白い肌を見せるように露出を増やし、ヴェールを翻し、華奢な体をタイトに包む純白の婚礼衣装(ウエディングドレス)へと。

 

『ー第一時計"実数時間"から第二時計"虚数時間"へシフト開始』

 

胸元にあった時計の盤面にシャッターが下りる。直後に隠されていたもう一つの時計が表れる。その秒針に音はしない。少なくとも俺には感じられなかった。だが直感的に理解する。リューズちゃんは今このとき、俺達と同じ法則の中に生きていない。

 

駆動(クロノフック)ー通常運動から虚数運動へジャンプします』

 

不意にリューズちゃんが振り返る。その瞳は何よりも紅い紅玉に変わっていた。

 

『ナオト様』

 

「は、はい?」

 

『私が206年機能停止していた原因である歯車。ナオト様が直してくださった"虚数運動機関(イマジナリー・ギア)"を起動します。ナオト様には刹那のことでしょうが"私の時間軸"では数時間の出来事になります』

 

「う、うん」

 

『この機能は1度起動させるとゼンマイが尽きるまで止まりません。必ずや戻りますのでその時は私のゼンマイをどうかよろしくお願い致します』

 

「わ、分かった…」

 

『それでは私の主観での時間ですが()()()()()()、お側を離れることをお許しください』

 

リューズちゃんはナオトに向かって優美にスカートの裾を摘まんで深々と一礼をする。そして告げる。

 

 

 

相対機動(ミュート・スクリーム)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瞬間、全てが終わっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………は?」

 

「え、あれ?あ!リューズ!」

 

ナオトはいつの間にか足元に寝ていたリューズちゃんのゼンマイを巻き始める。対する俺は理解が追いつかない。あれだけひしめき合うほどにいた兵器の群れは瞬き一つに満たない時間で一つ残らず壊されていた。まるで手抜き映画のフィルム飛びの様だった。

 

「なんだこりゃ…」

 

ハルターさんが呻く。

 

『これがリューズちゃんの固有機能、【虚数時間】だよ』

 

「虚数時間ですって…!?嘘よ!ありえないわ!」

 

「あーと、騒いでるとこ悪いんだけど説明してくんねマリー」

 

ナオトがゼンマイを巻きながらマリーちゃんに尋ねる。

 

「…虚数時間ってのは夢の中で流れる時間のような物よ。数時間しか寝てないのに何日も寝てたって感じる事があるでしょ?それと同じ。一方的である筈の時間が過去にも未来にも、早くも遅くも流れるの」

 

マリーちゃんの説明は分かりやすく聞きかじり程度の俺でも理解できた。

 

「いきなりフラ語喋られても困るんだけど…」

 

「一字一句日本語で喋ってるわよ!!」

 

マリーちゃんが吼える。ほんとうちのナオトがすいません…

 

「簡単に言えば川と海だな。川は一方的な方向にしか流れないけど海は様々な方向に流れて早く流れる場所もあれば遅い場所もある。そういう事だ」

 

「さすが先輩分かりやすい!お前もこんぐらい分かり易くしろよなー」

 

『分かり易いけどこれって小学校低学年に対する説明みたいだよね?』

 

「イース、こいつの知能指数は幼稚園年長並だ。ここまで噛み砕いてようやく理解できんだよ」

 

『ああ…』

 

「先輩ひどくね!?イースさんも納得しないで!これでも高校生!」

 

「「「『なん…だと…!』」」」

 

「みんな俺をなんだと思ってたんだよ!」

 

「変人」「変態」「超絶バカ」『ドちび短足』

 

ハルターさん、マリーちゃん、俺、イースの順だ。

 

「前三つはともかく最後の俺の容姿じゃねぇか!」

 

『でも正しいでしょ?』

 

「…リューズの姉って言うのが改めてよく分かった」

 

ナオトが涙目でプルプルと震える。

 

「ともかく虚数時間ってのがとんでもないものって言うのは分かった。そういう事でひとつ質問」

 

「何?」

 

「…何がどういう原理で起こしてんだそんな現象?」

 

「分かったら苦労しないわよ…だって仮に仮説を立てるならプラスのエネルギーをマイナスに出力するようなものじゃないと…」

 

「あれ?それならあったぞ?」

 

「「…は?」」

 

マリーちゃんと声が重なる。

 

「あったんだよ、てかそれが壊れててな、リューズ動かなかったんだよ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「………………………………………………………ハァ?」

 

「ナオト……頭大丈夫か?」

 

「え?いや、そんなおかしいすか?」

 

マリーちゃんの目がつり上がる。

 

「あんたは前に投げたボールが後ろに飛ぶと思ってんの?」

 

「…………………ああ、言われてみれば」

 

「ようやく分かってくれたか…」

 

マリーちゃんは安堵した空気をだす。かという俺も安心…

 

「でもそういう仕様ならしょうがなくね?」

 

「フッッッザケんなーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

 

出来なかった…

 

「なんなの…こんなイカれた奴にブレゲの1300年の歴史が負けたとかなんなの…」

 

ああ!マリーちゃんがorz状態に!

 

『マリーちゃーん、言っとくけど他の姉妹もこんなもんだよ?』

 

「Yは全体的に何やらかしてんのよ!?」

 

スクラップの山にマリーちゃんの悲鳴が響く。

 

「てかマリーさ、今更何言ってんの?」

 

「何がよ!」

 

「リューズはYに作られたんだろ?」

 

「ええそうよそれが何!?」

 

「まず惑星を歯車で全部動かそうって発想自体、十分おかしいだろ?」

 

「…………………………………………………………」

 

舌が動かなくなる。

 

「そんな奴が作ったんなら常識はずれでむしろ当然じゃね?」

 

「…………………………………………………………」

 

ナオトの言い分に俺は…いや、その場にいたナオトとイース以外の全員がその時初めてその異常性をまともに知覚した。

この惑星、イースやリューズちゃんを作った存在、Y。今までその存在を疑うような事は無かった。だが1000年経っても追い付けない技術を生み出しその果てにーそれすらも果て出はないかもしれないー虚数時間すら制御した怪物。俺はこの時ほどYに、そしてその結論に既に辿り着いていたナオトに、悪寒を感じたことはない。

その時、

 

『…ナオト様?』

 

リューズちゃんが目を覚ました。瞬間マリーちゃんとハルターさんが体を強張らせる。当然だ。ついさっき見せた機能は危険すぎる。こっちが知覚も出来ずに殺せるのだから。

 

「リューズ…」

 

ナオトがどこか張り詰めた声を出す。もしかしてこいつもリューズちゃんの事を…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺の“お嫁さん”になってくれ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああそうだよお前はそんな奴だった…」

 

俺はもはや尊敬と戦慄を通り越し、一周して呆れた。そしてリューズちゃんがノータイムで返事をする。僅かに頬を染めて、小さく感情を込めて微笑む。え?もしかして…

 

『ナオト様は気が触れておられるようですね。ご自身の身の程を弁えられたらいかがでしょうか?』

 

ドグシャアッとナオトが崩れる。うん、

 

「リューズちゃんもブレねぇなぁ…」

 

『あ、あはは…流石に可哀想だね…』

 

イースですらこの反応だ。

 

「ナオト…」

 

マリーちゃんがため息をつきながら地に伏せているナオトに声を掛ける。

 

「あなた正気…じゃないのは勿論知ってたけどいよいよ大丈夫?今のはどういう奇っ怪な思考回路を経ての発言?」

 

「ちゃうねん…思わず口をついて出てん…」

 

ああ、何となく分かった。異常なまでに機械に愛を注ぐこいつが、最高の性能を持ち外見は見事にどストライク、振動…こいつは音か、がまるで天使の歌声。そして自分はそのマスター。うん、

 

「やべぇ、こいつが惚れない要素がどこにもねぇ…」

 

だからこそ、

 

『今のは完璧に致命傷だね…』

 

イースの言う通りだ。

 

『ナオト様は気がお触れになっていると判断します』

 

「しかもまだ滅多打ちかいお嬢さん…」

 

「もう見てらんねぇよ…」

 

むごすぎる…

 

『それに…』

 

「「「『まだ続ける!?』」」」

 

『ーいかに私が至高の芸術品にして比類無き自動人形としても、求婚とは対等な立場にある男女が行うものです。それを時計仕掛けの従者に行うのは、控えめに申し上げて支離滅裂ですしハッキリと言えば異常にして愚の骨頂です』

 

「やめて!俺のライフは既にゼロ以下よっ!」

 

ナオトは地に伏せたまま器用にのの字を書く。

 

「いや、うん。分かってます。リューズは俺がマスターであることを恥じてて、軽率でした、ハイ…世界の至宝から俺の至宝へとレベルアップしてそれを讃える適切な言葉が出ず…暴走しました。猛省します、穴に埋まって閉じ籠ります」

 

うわー…流石に同情する…あれ?

 

「なぁイース」

 

『なに?』

 

「リューズちゃんさぁ、別にナオトを貶めてなくね?」

 

『え?』

 

「いや、だってさ、"時計仕掛けの従者に行うのは"って言い分、捉えようによっては自分を卑下してんじゃん」

 

『言われてみれば…』

 

「なぁお嬢さん」

 

そこで何かに気付いたのかハルターさんがリューズちゃんに質問する。

 

「…うちの姫さんを殺そうとしたり、どうもあんたには倫理規定が無いようだが、まさかマスター…ナオトに無条件で従うようには設定されてないのか?」

 

『私は"付き従うもの(ユアスレイブ)"…設定されているのはマスターに付き従う事のみです』

 

「…ああ、なるほど。つまりマスターに好意を示すようにはプログラムされてねぇわけだ」

 

ナオトが悲痛な声で号泣する。

 

『語弊があるようなので訂正します。私は無条件で従う従者として設定されてますがナオト様に好意を抱いているのは私の"自由意思"です。そこらのマスター認証すれば股を開く性玩具(ビッチ)と一緒にはしないでください』

 

「今自動人形が自由意思って言ったわよハルター!?」

 

『私もハヅキに対する好意は自由意思だよ?』

 

「こっちもか…てことは」

 

俺の中でひとつの仮説が出来る。

 

「イース、よく思い出してほしいんだけどさ、リューズちゃんって言語か思考回路に何か別の機能施されてなかった?」

 

『……あ』

 

イースは思い出したかのように口を丸くあける。

 

『すっかり忘れてた…』

 

「ああ、やっぱり…リューズちゃん、なんでお嫁がダメか聞いていいか?」

 

『私はナオト様の従者ですので…その、夫婦という対等な立場には…』

 

リューズちゃんの視線が僅かに泳ぐ。あ、これ確定だ。

 

「良かったなナオト、お前嫌われてるどころかスゴい好かれてるじゃん」

 

「………え?」

 

ナオトがキョトンと顔を上げる。

 

『ごめんね、ナオト君。リューズちゃんにはね、"毒舌フィルター"が搭載されてるの』

 

その言葉にナオトの時が止まる。

 

『…毒舌?私がそのようなわざわざ労力を払ってまで他者を言葉攻めするような非生産的行為、毒を吐くなどという己の品性を損なう人間のような行為をするはずが無いではありませんか』

 

「「「自覚無かったんかいッ!」」」

 

ナオト、マリーちゃん、ハルターさんの声が重なり周囲に木霊する。これには流石に驚くわ…

 

「おおおお落ち着け三浦ナオト!お前は今究極の分岐点にいる!でもどう確認すれば…」

 

「…頷きで答えてもらえば?」

 

「それだ!」

 

ナオトが勢いよく俺を指差す。年上を指差してじゃねぇよ…

 

「じゃあリューズ、"自由意思"はプログラミングされたもので、マスターに対して無条件に起動するのか?」

 

リューズちゃんが横に首を振る。ナオトは雄々しくガッツポーズ。

 

「じゃあその…"自由意思による好意"は俺以外に向けられた事は、ある?」

 

「うっわチキン」

 

「先輩少し黙って!」

 

ほう、俺にその口の聞き方をするとはな…後で覚えてろよ。リューズちゃんは再び首を横に振る。

 

「え?前例無いの?」

 

こくり、と首を縦に振る。

 

「前例無いけど、俺に向けてくれてる、と?」

 

こくり、と縦に振る。リューズちゃんは濡れた瞳をふらふらと彷徨わせ、白い頬を朱に染めて、僅かに開けた唇を震わせていた。まるで恋に戸惑う乙女だ。

 

『リューズちゃんかっわいいー♪』

 

「自動人形でも女の子か…」

 

「じゃあその、最後に二つだけ確認ね…」

 

こくり。

 

「つまりリューズは、誰かにそう設定されたんじゃ無くて自分の意思で俺に好意を持ってくれてる、と、いうこと…?」

 

こくり…いやもう良いだろ、リューズちゃん真っ赤だよ?ナオトが好きですって完全に言ってるよ?もう許してやれよ。

 

「じゃあ、その好意が、どれくらいか…適切と思う回数だけ頷いてくれ…る?」

 

うっわー、リューズちゃん完全にリンゴになっちゃってるよー…しかも律儀に頷いてるし、てか回数多っ!

 

「ああ…世界はこんなにも美しい…!」

 

「いやなに言ってんだよ」

 

『分かるよー、好きな人出来ると世界って一変するよねー!』

 

「イース…お前もか」

 

『勿論私が好きなのはハヅキだよ?』

 

「俺も好きだよ!…ってなに言ってんの俺!?考えるより先に声出たぞ!?」

 

『は、ハヅキ…嬉しいけど流石に恥ずかしいよ…』

 

「俺の方が恥ずかしいわ!!てかイースが先に言ったんだろ!」

 

「先輩…お互い良い彼女に出会えましたね…」

 

「お前もお前でなんか悟るなーーーーーーーー!!!」

 

「…なにこの甘々なメロドラ?」

 

「種を越えた…ってレベルじゃねぇぞ…」

 

ほんと何なんでしょうねこれ!でも幸せ!




うがーーー!挿絵欲しいーーーー!
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