実は俺もペットを飼ってる。
いや、飼ってるっていうのはなんかいやだな、そう。
アイツは俺にとっての家族だ。
俺とアイツの一夏の出会いと暮らしだ、よかったら見て行ってくれ。
今回は新しい視点で作品を書いてみました。
ぜひ感想ください。
よう、また来てくれたのか?うれしい限りだ、ここん所どうも暇しててな。
あ?例の話?そうだな「今度来たとき話す」って言ったもんな、いいぜ話してやる。
けどあんまり聞いてて食欲の湧く話じゃないから覚悟しろよ?
アイツとの出会いは去年の八月、だっけな?すまん、正確な日は覚えてないんだ。
まあ、熱くなってきた頃だと思ってくれ。
俺は大学の下宿先の部屋で扇風機を回しながら、うたた寝してた(信じられねーことに俺の下宿先にはクーラーがない)前日に同じ学部の前田と藤森、あと加藤だっけな?と酒盛りしたんだよ、アホみたいに飲んだから頭が痛くてな、その日の講義は自主休講することにしたんだ。
全く酒なんて百害あって一利なしだよな?
そんで俺はカサカサする物音で目が覚めた、机の上になんかいた、いやその、なんだ、角のないカブトムシっていうの?ほら黒くて速いヤツ、まあ、ぶちゃけるとゴキブリだよ、おおかた昨日の残りモンでも漁りに来たんだろうさ、やっぱり酒なんて飲むもんじゃねーな。
おっと、話が逸れたな。
いやだなー、とか思いながら、俺はティシュを装備しようとした、しかしどうしたことだ!ティシュがない!
そうだよ、前日のバカ騒ぎの時に酔った藤森が、梅酒を床にぶちまけたんだ、それを拭いたせいでティシュがなくなっていた、全く酒なんて飲むもんじゃねーよな?
俺はいきなり困った、山梨にいる田舎のばーちゃんは、ゴキブリを素手で捕獲しそのまま潰せるタイプの人間だったが、さすがに俺はそんな芸当持ってない、まあ、欲しくもないんだが。
おっと、大丈夫か?顔色悪いぞ?まだ聞くのか?
わかったよ、そこまで言うなら続きを話してやる、けどやばくなったらトイレ行けよ?
どこまで話したっけ?ああそうでティシュが無かったんだよな、まあそのあと前田の飲んだカップ酒のビンがあったからそれで捕獲したんだ、いやーまさか捕まえられるとは思いもしなかったよ。
たまには酒も役に立つよな?
え?しょうがないだろ?潰せるティシュがなかったんだから、その後俺はまた寝た。
三日後の夕方、俺は自分の部屋に大学から帰ってきた、ビンの中にはナッツがいた、ナッツっていうのはこいつの名前、いや、別に飼ってる訳じゃねーよ?なかなか潰すタイミングが掴めなくてな?ああそうだよ!男がゴキブリ怖くちゃダメか?
まあ、いつまでもゴキブリじゃ言いにくいだろ?藤森の食ってたナッツの詰め合わせのアーモンドに、形が似てたからナッツだ、まあそん時俺は「死にゆく此奴に名など不要だがな」とかRPGの魔王みたいな事を考えてた。
しかしあれだ、三日も断食したナッツはどうも弱ってるみたいだった、なんだかかわいそうになった俺はこいつに藤森のナッツをやることにした。
まあ、俺は幼稚園の頃、初恋の捺希先生に「優しい子が先生好き」って言われて以来誰にでも優しくする事にきめてんだよ。
で俺はナッツ(ゴキブリ)に藤森(ナッツ)を食わせてやることにしたんだよ、そりゃもう勢いよくナッツは藤森に食らいついたね、夢中で食ってた、そのせいか俺はなんだか、こいつがかわいく思えてきたんだよ。
いや、ハタからすればオカシナ現象なのはわかってる、俺はその後夜の闇にナッツを逃がした。
次の日の事だ、俺の机の上にまたゴキブリがいた、潰そうとしたんだが、そいつは逃げなかった、もしやと思い俺はそいつにナッツと呼びかけてみた、そいつはうれしそうにその場で回転した。
この頃から俺はおかしくなったみたいなんだ、ただのゴキブリのはずのナッツがかわいく思えてきたんだよ。
だってよ、バイトや大学から帰ったら、毎回玄関まで出迎えてくれるんだぜ?話しかけると反応してくれるんだぜ?
もしナッツが、犬や猫だったら、まあ、アレルギー持ちや虐待ヒャッハー派の人を除いてかわいがるだろ?
ゴキブリってだけでみんな差別しすぎなんだよ!
おっと、すまない、ちょっと熱くなり過ぎた、クールな俺にあるまじき行為だよな?
まあ、なんだ、それから俺たちの暮らしは三か月くらい続いた。
んである日の事だ、実家から電話がかかってきた、どうやら実家のばーちゃん、ほら、さっきの素手でのひと、が危篤らしいんだ、まあ御年98ならしょうがないかな?とりあえず実家の山梨まで戻らなくちゃいけなくなった、俺はナッツに大好物の藤森を与えて…じゃなかったナッツだ、ややこしいな…大学には届を出して山梨に帰ったんだ。
ここら辺は関係ないから省くけど、二日後に下宿先に戻ったらなんと俺の部屋が潰れていた。
トラックが突っ込んだらしい、けが人も大したことなかったみたいで安心した、もし俺がいたらとゾっとした。
どうやらナッツも無事らしい、俺近づくと瓦礫の中からナッツが出てきてくれた。
俺は心底ほっとしたよ、婆ちゃんや家財道具に続きこいつまでなくして待ったら、って思うと気が気でなかった。
その直後だ、コンクリの一部がナッツに向けて落ちてきた、俺はとっさにかばった、頭に衝撃。
血が出てたらしい、まあ実際縫ったしな。
俺はナッツを見た、どうやら無事だったらしい、うれしそうに二本の触覚動いてた、俺は今度こそホッと胸をなでおろした。
しかしだ「ちょっと大丈夫!?」
彼女のあけみがよってきた、まあ傍からすればスライディングで瓦礫に頭をぶつけたヤバイやつだからな。
え?彼女?もちろんいたさ、俺はこう見えてリア充だからな。
問題はその後だ、あけみがナッツを見つけた。
「うげ!ゴキブリ!」
パァンと小さな音がした、俺は何が起こったかわからなくなった。
「うわー汚ったな」
その言葉の通りあけみは、汚物を扱うように靴を近くの瓦礫にねたぐった。
瓦礫についた黒い破片と、一瞬だけ動いた黒い髪の毛のようなものを見た瞬間、俺は何が起こったのかをようやく理解した。
「あー思わずやったった…新しいの買おっと」
心底不愉快そうな顔をしてあけみはそういった。
俺は気が付くと、あけみを殴っていた。
「なんで殺した」「ナッツを返せ」「汚そうにナッツの扱うな」
言いたいことはあったけど、あまりの怒りに声が出なかったよ、たぶんなんか喚いてる、程度には聞こえたとおもうけど…
俺の話はここまでだ、もう全部はなしたよ、これで満足か?
*とある病院の医療カルテより抜粋
「霧崎先生、今の患者さん…」
ナースが白衣を着た男に話しかける。
「ああ、1か月前に入院した患者だ」
「ゴキブリが友達って…なんか危ないですよね?」
「だからこの病棟にいるんじゃねーの?って言っても後2月もしないうちに、ここも閉まるけどな」
「なんか、不気味です」
「そうか?本人は途中までは幸せそうだったぞ?」
いかがだったでしょうか?
私は犬が好きで、実家に犬を飼っています。
映画などで、動物と人間の感動話をよく目にします。
しかしその動物が、醜悪な見た目ならどうなのか?
と考えたのがこの作品の始まりです。
あまり気分の良い作品ではないのですがよろしくお願いします。