やあ!おれハード!元男の現女!回ってるギアとかトゲの付いてる物を眺めるのが大好きな工学系女子さ!
いや、だってさあ?挟まれれたり刺さったりすると気持ちいいんだろうけど死んじゃうんだろなぁと思いつつ諦めきれない感じがどうにもね…。
まあ、アレだ。つまりおれはカードンの森のサブゲートにある謎の粉砕装置に目を奪われているわけである。
サブゲートに入った直後にディフレクターとご対面したおれたちはそれを守る光の壁を壊すべく、そのカギとなる三つのスターターを探してダンジョンをうろうろしていた。
スターターは見つかったかって?二つはそこらに落ちてたんだけどね…。っていうかそこらに放置している管理体制にビックリである。机の上とかにあるならまだしも床に転がしてるとか防犯意識の低さに涙が出ますよ。
なんか怪しい宝箱があったけど錆びついてるみたいで開かないし、粉砕装置に放り込んだらそれこそ中身がオジャンだし。最後の一個はコレだと思うんだけどどうにもうまくいかなんだなこれが。
『ねえ二人とも。初めてディグアウトに行った時の事、おぼえてる?』
ゴウンゴウン煩い粉砕装置の音を聞きながら宝箱を工具でグリグリしてなんとかジャッキが入るくらいの隙間を作ろうと試行錯誤していたら暇になったロールが昔話をし始めた。
まあ、あれは忘れたくても忘れられない。なんたって『はじめてのディグアウトで大型リーバードに後頭部を殴られてエネルギー弾で丸焼けにされた挙句ホロッコにタコ殴りにされ、そんでもって高所からダンジョン池にぶち込まれた』からな。
『ロックったら、ハードが死んじゃったって大泣きしちゃって…』
いや、あれは誰が見ても死んだと思うぞ。ぶっちゃけおれも死んだと思ったし。チラと横をみるとめちゃ苦い顔のロックと目が合った。おれはそっと視線を逸らした。
まあ池にぶち込まれた後なんやかんやで泳いで脱出したんだけどね。その後二日くらいダンジョンの外で迷ってたせいで傷は大体治ってたからロックには「大怪我したと思ったけど軽傷だったぜ!」でなんとか誤魔化したけど。池のおかげで血痕も消えてたしな。
その間のメシはどうしたかって?物資担当はおれだオラァン!…お、そろそろジャッキが入りそうだ。
『私もサポート初めてだったから、もうほんとに大変だったんだよ?』
すまぬ…すまぬ…と思いながら宝箱に差し込んだジャッキをくるくるして蓋を開けていく。おっ、中が見えて来たぞ…。
いったんそこで止めてライトで照らしたそこには髑髏が。しゃれこうべ、スカルヘッド、モモンガ様の頭などいろいろな言い方が出来るが早い話白骨死体(頭)であった。
「あぎゃあああああああ!!?!?!?」
「ど、どうしたの!?」
尻餅を付いてカクカクした動きで宝箱を指さすと、中を覗いたロックもビックリして「うひゃああああああ!?!?!?」とかいいながら尻餅を付いていた。
深呼吸しながら息を落ちつけ、白骨死体なんて見慣れてるだろーと自分を律する。そりゃディグアウターなんていつ死ぬか判らない職業だしたまに死体を見かけることだってある。でもドッキリは止めてくれ、その死体はおれに効く。
今度は覚悟を決めて中を覗くとドクロと共にスターターらしきものが光っていた。なんつうもんと一緒に入れてんだよ…。
「ダンジョンがこんな形でディグアウターに牙を剥くとは思わんかったわ…」
「ボクもだよ…」
二人してハァーとため息を吐く。その会話を聞いていたロールが通話越しで笑ってるけどお前が見たらぜってぇー腰抜かすからな!
そのままジャッキを上げていくと宝箱の蓋が壊れて二つに分かれた。ロックと顔を合わせて蓋を外すと中にはごちゃごちゃといろんなものが入っている。
さっき見た髑髏やスターターのほかにちっこいディフレクターやらジャンクパーツやら。まるで子供のオモチャ箱みたいだ。この頭が無ければの話ではあるけど不気味すぎる。
「ハード、もう帰ろう。なんかすごくいやな予感する」
「言われなくてもスタコラサッサだぜ!」
スターターとその他ジャンクパーツをリュックにぶち込んでご退散。ダンジョンの出口一歩前、つまりディフレクター部屋のひとつ前で一息ついた。
「まさか精神的なダメージがここまでクルもんだとは思わなかった…」
「とりあえず地上に出て休もうか…」
そしてロックがゲートに手を掛ける瞬間、それはひとりでに開いた。思わずそっちを見るとリーバードがこっちを見ていた。
リーバードといってもいろいろだ。そこらを徘徊するだけで危害を加えてこない奴もいるし、動くものがあれば爆弾でも追いかけていくような奴もいる。で、今回出会ったコイツ、シャルクルスはというと…。
赤い単眼と不気味な文様はそこらのリーバードと同じだが、動きがぎこちない上に片腕が半ば程で折れている。しかしもう片手には宝箱を抱えていてその中には白骨死体の腕らしきものが覗いていた。
ただでさえシャルクルスはビジュアル的に怖い。それがぎこちない動きで死体を抱えている状態でバッタリ会ったとしよう。そりゃもうチビるのもやむなしである。
「あぎゃあああああああ!!?!?!?」
「うひゃああああああ!?!?!?」
さっきと同じ叫び声をあげておれたちはひっくり返った。んでひっくり返った先にはシャルクルスさんの大群がですね……。あ、さっきの宝箱って(察し)
ひとのもの ぬすむのよくない インガオホー
サヨナラ!!
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残念!私の冒険はまだ終わらない!
しにがみなテーマが流れてポエットなハイクを読んだような気がしたけど別にそんなことはなかったぜ!ちなみにシャルクルスさん達にはハードバスターで爆発四散していただいた。まあこっちも無傷じゃなかったけどな!!
そんなわけでロックと一緒にレイクサイドパークまで通院デート。なんてロマンチックのかけらもない響きなんだ…。
ちなみにおれの方が重傷だったけどすぐ治ったので通院三日目の今はロック待ちだ。
「あ!おねえちゃん!」
今日も今日とて暇な時間を病院でウロウロしていると女の子に声を掛けられた。SSスレとかでアガサ博士に変な装置作られて酷い目に遭わされてそうな声の持ち主の少女の名はアイラ。目の見えなかったレイの妹と一字違いだと覚えると覚えやすかったりする。
で、どうもこの子はなんらかの病気で足が動かないため車椅子で移動していた。おれは別段ふしぎ拳法アミバを使えるわけではないので秘孔を付くことはできない。アイラも病院の外に出れないから暇を持て余しているらしく、最近けっこう仲がよかったりするのだ。
「またディグアウトの話を聞かせてよ!」なんて言ってくるもんだから適当に添削しながら話をするのが最近の日課だ。添削する主な部分はおれが血まみれになる所な。
そうだな…今回の話はリーバードにドリルぶち込んだ話にするか。
そんな訳でアイラにリーバードのお尻の穴を増やしてあげた事件について話してるとロックが戻ってきたのでそのまま合流。アイラに手を振ってバイバイするとちょっと寂しそうな顔をした。
「なーロック」
「何?」
「さっきの子アイラって言うんだけどさ。病気で足が動かないんだと」
「うん」
「で、何もしなくても何年か経ったらそのうち治るらしいんだけど、今すぐ治せる機械がある的な話があるらしいぞ?」
「つまり?」
「ちょっと募金してくらぁ!」
「やっぱり」
ロックの温かい視線を受けながら市庁舎へダッシュ!アメリアさんと話してみるとその機械って結構なお値段するらしい!そこでボーン一家のメカをバラして集めたゼニーを全ブッパ!何?これでも足りんだと!?
「そういえばテレビ局がバラエティ番組の出演者を探してましたよ。もちろんギャラも出るとか」
「よし行ってくる!」
市庁舎から飛び出すとロックが待ってたので襟首引っ掴んでテレビ局までダッシュ!何?犬の人形にボール蹴飛ばすゲームと風船早割りゲームと炎のにおい染み付くレースだと!?ちょっとサポートカーでなんか作ってくる!
うおおー!情の沸いた少女の一人も救えないで何がTSっ娘じゃーーーい!
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といった経緯で生まれたのが三つの七つ道具だ。七つとは一体。
まず犬の人形にボール蹴飛ばすゲ-ムの為にキック力増強アーマー。コナン君みてえなアイテムはおれ用である。ロックの方は素で強いからいらんでしょ(慢心)
二つ目が風船早割りゲームの為のマシンガンアーム。ボーン一家のメカのジャンクから生まれたそれはその名の通りエネルギー弾を連発する機関銃である。その分燃費悪いし射程もアレだけど狭い空間なら嫌というほど大活躍するだろう。これはロック用だ。
最後の炎のにおい染み付くレース用にダッシュシューズだ。早い話ボトムズのローラーダッシュである。ターンピックも付けようとしたけどロックには断られたからそっちは廉価版で、おれとロールのはちゃんとピックの付いた完全版である。
よし!これで勝つる!
「ところでなんで私まで…?」
「そりゃ三人で稼いだ方が効率いいじゃん」
そんな訳でロールちゃんも巻き揉み三人で荒稼ぎ大作戦である!
「…ま、いっか。この子(メカ)の調子も気になってたし」
うむ、深く考えないあたりがいかにもロールらしい。あとそのローラーシューズすっげえピーキーだからな!いいか転ぶなよ!絶対だぞ!
と、まあ。そういう訳でロールはレースに、ロックは早撃ちに、おれはボール蹴りに勤しむのであった。
三人のディグアウター
一人は賢く
一人は強く
一人は――マゾい