やあ、おれハード!元男の現女!物理的に痛いのが好きなちょっと変わった血まみれ系女の子さ!
ちゃうねん。これは事故やねん。ディグアウトの帰りに大型リーバードに襲われて、ロック庇ったら壁まで殴り飛ばされただけやねん。
断じて。だんっじて殴られる口実のためにロックを庇った訳では無い。あまりの痛気持ち良さによって前後不覚に陥っているおれにそんな説得力はないとは思うけど。
しばらく壁際で水に浸かったミミズみたいな動きをした後、はっと我に返った。いかん!よがっとる場合ではない!急いでロックの方を見るとすげえピンチに陥っていた。位置関係はちょうどおれ、リーバード、ロックで直線状に並んでいる。
そしてロックはリーバードにじわじわと壁際に追い込まれつつあるのだ。きさま~、ゆるさん!!ロックを苛めていいのはこのハード様だけなのだぁー!おれは道具袋からドリルを取り出しリーバードに組み付いた。
「ハード!?」
「ええいこのドグサレめ!大人しく掘られろ!」
もしくはケツの穴を増やさせろ!ジタバタしているリーバードの背中側からドリルを突き入れてギャリギャリやってると肘鉄が飛んできて俺の頭を強かに打った。うん、そりゃ自分に穴開けられてたら反撃するわな。わかるわ。
だが甘い。その攻撃でおれの快感はさらに加速した。はた目から見たらリーバードと血みどろファイトをやってるみたいに見えるだろうけど実際は穴を開けられている可哀そうなリーバードと殴られて興奮している女である。勝敗は既に決した。
ドリルが致命的な部分に達したのだろう。リーバードは次第に動きを鈍くして行って、やがて完全に止まった。そしてポトリと落ちるおれ。まあ血でヌルって手が滑ったからね、仕方ないね。
「あうっ…!」
後頭部から落ちました。ありがとうリーバード、中々気持ち良かったぜい。しかし結構痛そうな声と音がした。そしてロックの走る特徴的な音が聞こえてくる。
「ハード!大丈夫なの!?」
「あーごめん。結構駄目だわ」
主に腰が抜けた意味で。さっきまで散々リーバードの肘を喰らって最後に後頭部の強打だからな、非常に言いにくいが、ちょっとイった。まあ言わないんだけどね。
まあ肩を貸してくれたらありがたいなーそんなイケメンどっかにいねーかなーなんてロックをチラチラ見ながら言うとロックは大きなため息を吐いた。
「まったく、ハードはいつも…」
「何だかんだ肩貸してくれるロックやっさしー。惚れるわ」
「はいはい」
惚れる云々はマジである。いつもビンビンな好意を向けているのにロックはこれだからな。一緒のベッドに潜り込もうが風呂に突撃しようが全然襲ってこねえし、甲斐性ねえなあ。いやひょっとしたらホ……これ以上考えるのは止そう。おれの心が折れかねん。
そうだ、ロックがおれに手を出さないのは兄妹だからだ。そしてロールちゃんという本命が居るからだ。そう考える方がまだ気が楽だな。
「すまん、ロック」
「本当だよ、いつもこんな無茶ばっかりして」
いやその件じゃなくてお前をモーホー扱いしかけた件についてなんだけどな。ロックに肩を借りてヨタヨタ歩きやっとの思いでおれが最初に殴り飛ばされた場所に着いた。そこにはインカムが転がっている。
まあ、ゲーム時代からヘルメットも被ってないロックが通信出来るのはおかしいと思ってたんだよ。で、まあやっぱりゲーム的な省略だったみたいで実際は通信機がいるわけだなこれが。
そんな訳でインカムをおれが預かってた訳だ。それを拾い上げて耳に着けるとロールの声が聞こえてきた。
『ハード!どうしたの、応答して!』
……やっべー。またロールに心配させたみたいだわ。オペレーターがダンジョン外でサポートする際はディグアウターのビーコンとMAP情報とエネルギー反応でディグアウターと情報交換するんだが、曖昧な位置しかわからないからディグアウターが死んでも判らないって事がままあるのだ。
で、しかも通話は繋がってんのに返事無しとかこれは最悪な事態しか考えられませんわな。
「すまんロール!心配させてマジごめん!」
『あ…よかったぁぁ~~』
通話先からロールの本気で安堵した声が聞こえてきた。これは説教不可避かな…。そんな事を考えているとロックにインカムを奪われた。
で、二三言話しておれにインカムを優しくドッキングしやがった。ええいもっと俺の耳を乱暴に扱いやがれ!
『ハード!また無茶してぇ~!』
あ、これはロックに事の顛末話されたな。ロールの説教は別に気持ち良くないからな、あんまりされたいとは思わない。そのまま頬の一発や百発くらい張ってくれてもいいんだけどなぁ。
ロールの説教を聞き流しながら視線を彷徨わせていると、天井から何かが降ってきた。はい、さっきのと同型のリーバードです本当にありがとうございました。
「すまんロール話はあとで!ロック逃げるぞ!」
「うん!」
おれはロックの肩から手を離すと荷物を抱えて出口へと向かって走って行った。腰が抜けたんじゃないかって?もう治った。なんかしらんが前世から怪我とか病気が治るのが異様に早かったからなぁ。
……やっべ!ドリル回収してねえじゃん!あれ結構高かったのに!まあ命には代えられんよな、トホホ。
■■■
そんなこんなでフラッター号に帰ってきたらロールに風呂に叩き込まれた。そりゃ血みどろ埃まみれだからな、そうなるわな。
「超しみるわー」
「文句言わない」
全身のピリピリした痛みに感激しながらシャワーを浴びた後はロールにマミーにされた。もう包帯で全身ぐるぐる巻きである。胸が苦しい…だがそれがいい!
「肋骨が折れてるみたいだから、あんまり動かさないようにね」
「一応気を付けておくよ」
「もう、ちゃんとはいって言って」
「はーい」
言質取られた。これでは毎日のランニングに支障がでるなぁ…まあ骨なんて三日くらいあったらくっついてんだけど。驚くべき回復速度である、まさにボコられるためにあるような体だな!神さんには感謝感謝なのですよ。
で、やってきました男衆。バレル博士とロック、そしてサルのデータである。おれはパンイチの半裸だが包帯でぐるぐる巻きにされているからおっぱいとかは出ていない。だがこの格好は刺激が強すぎるんじゃないのかなと思いながらセクシーポーズを取る。
「もう、遊ばない」
「いて」
そしてそれがバレてロールのデコピンが直撃。おれはタオルケットを一応って感じで体に巻いた。さっきのやり取りを見ていたロックは完全に呆れている。バレル博士は枯れてるんか知らんけど無反応だしデータに至ってはサルだしな…。
「手ひどくやられたもんじゃのう」
バレル博士はそう言うものの半分くらいは防げたキズです。でも痛いのが好きなんです。じゃあこれは必要な怪我だったでFA。
「ハードっていつもケガしてるよね~。ロックを見習いなよ~」
ムカつく系サルであるデータはおれを煽ることに余念がない。ちなみにデータの言葉はおれとロックにしか解らないのでロールやバレル博士にはウッキャウッキャ言っているように聞こえているだろう。いや、これはどのみちムカつくな…。
そんな訳で天☆誅。データの耳を引っ張っていじくりまわすことにした。
やーめーてーよーとかの言葉をBGMにデータをこねくり回していると今度はロックのチョップがおれに直撃した。もっと強く殴ってもいいんだぜ?この懐かしい頭をよ。まあとりあえずデータは解放しておく。
「ハードはもう少し自分を大事にしてよ」
「だってロックが大事だし」
「その言い方はずるいよ。ボクだってハードが大事なんだ」
これはジゴロの才能ありますわ。なんでこいつはこういう事平気で言えますかね。まあおれも言ってるから似たもの兄妹なんだろうけど。その割にはこいつ手ぇ出さねえよなぁ…。さっさと手をだせ。そして乱暴しろ。風呂入った後だったらいつでもオッケーだぜ!
しかしロックから大事なんだなんて言われると、なんかこう喜びが全身に広がってくる。おれはニヤけそうになる顔を見せないようにロックに抱きついた。青いアーマーの感触がなんともゴツゴツして気持ちいい。
「やっべえ、スゲー嬉しい。もっと言ってくれよロック」
「これからハードが自分を大事にしてくれるって約束してくれたらね」
「ぬ…」
そう来たか。ぐぬぬ。ここで言質を取らせればおれは無茶が出来なくなる、しかしここで良い返事がないとロックはしつこいだろう。……そしてひらめく一休トンチ!
「解った、おれの負け!ロックの言うとおり自分を大事にする!」
大事にするとは言ったが危険に晒さないとは言ってない!なら不慮の事故でリーバードに殴られたりしても約束を破った事にはならん!よし!
「うん、じゃあ約束通り……ボク達はハードの事をとっても大事に思ってるんだ。だからハードも自分を大事にしてね?」
「ぐわあああああああ!!」
「ハ、ハード!?」
ロックダイーン!何だってお前はそんなに純粋なんだー!トンチで約束を躱そうとしているおれが阿呆みたいじゃないかー!
罪悪感からロックを強く抱く締めたおかげでロックの汗臭い匂いがしたり痛気持ち良かったりして訳わかんなくなったおれは顔の熱が引くまでロックを抱きしめていたのであった。なおそれを見ていたロールは若干ふくれっ面だった模様。
すまんなロール。ロックはおれのもの予定なので譲れません。いや待て、三人の爛れた関係になる可能性も微レ存…?それなら誰も不幸にならなくね?よーし。そのうちロールと手を組んでロックとH、しよう!何、それは強姦じゃないかって?こまけぇこたぁいいんだよ!