「は、八幡君………お待たせ………」
八幡「ふぅ、来てくれましたか」
時は放課後。昨日の(一方的ではあったが)約束通りに雪ノ下さんは来た。
陽乃「あ、あの………」
八幡「ひとまず座ってください。それから、何か頼んでください」
カフェに来て何も頼まないのはおかしいからな。
陽乃「う、うん………」
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さて、と
八幡「雪ノ下さん、雪乃に何をしましたか?」
陽乃「この間録音したのを………聞かせた………」
八幡「責任がどうこうのやつですか?」
陽乃「………うん」
観察が足りなかった。人間観察を趣味としているのに何をしているんだ俺は………
八幡「それを聞いた雪乃は?」
陽乃「………泣いた」プルプル
八幡「………っ」
陽乃「私にはあなたしかいないの!
私は………私を!」ポロポロ
八幡「だからって………なんで………そんなこと………」
陽乃「私………恋愛感情なんて………初めてで………どうすればいいか………わかんなく………て………」ポロポロ
この人も人間なんだな。これを聞いてたらそう思える。だから、このことを咎めてはいけないな。甘い、かな?
八幡「わかりました。
………ふぅ」
陽乃「怒らない………の………?」
八幡「さっき怒ったんでもういいです。疲れました」
陽乃「やっぱり八幡君は優しい、ね」ニコッ
八幡「あっ、ちなみにさっきの会話全部録音したんで」
陽乃「前言撤回っ」ニコッ
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八幡「今日はありがとうございました」
陽乃「ううん、こっちこそごめんね。いろいろとさ。
雪乃ちゃん、呼ぼうか?」
八幡「それじゃあ、お願いします。次の土曜、夕方にここで」
陽乃「わかった。ちゃんと行かせるよ。
………それから」
八幡「ん?」
陽乃「雪乃ちゃんを泣かせた責任、ちゃんととってねっ」
八幡「その半分はあんたがとるべきですがね」
陽乃「ふふっ、そうかな?」
八幡「そうですよ。
それでは」
陽乃「うん!じゃあねっ!」フリフリ
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雪ノ下さんは責任を必ずとる。だから土曜日に雪乃が来ないなんてことにはならない。つまり、あとは俺の問題だ。
八幡「てでーまー」
小町「あっおかえりー」
見覚えのない靴がある。客か?まぁ俺には関係のなーーーーーーー
「あーお兄さん。おかえりなさーい」
さて、今日のご飯は人の唐揚げかな?姿煮かな?何かな?それではさっそく
「ちょ、お兄さんどこからそんな刃物を取り出してきたんですか⁉︎」
八幡「さぁ、くたばれ」
小町「お兄ちゃんストップです」ニコッ
八幡「小町、行かせてくれ。俺は、俺はあいつをやらなければいけないんだ」
小町「お兄ちゃんの決意はわかったよ。でも小町は止めないといけない」
八幡「くっ………仕方ない。これは鞘に収めよう」
「なんでこんな微妙に感動するようなセリフ言ってんすか⁉︎」
八幡「ちっ………それで何の用だ。隊士」
大志「なんか漢字違くないですか⁉︎」
八幡「いいや、この字でいい。そのままくたばれ」
大志「どんだけくたばってほしいんすか⁉︎」
小町「お兄ちゃん、小町のお客さんに失礼だよっ」ニコッ
八幡「ちっ………仕方ない。小町に何かしたら普通に死ねると思うなよ」
小町「はやくいったいった」シッシッ
八幡「はいはいわかったよ。おい大志」
大志「はぁ………今度はなんですか?」
八幡「真っ暗になる前には帰れよ」
大志「お、お兄さん………」カンドウ
小町「お、お兄ちゃんが………」ガクガク
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『責任……………』
頭にこの文字が並ぶ。確かに責任というものからは解かれてない。だが、明らかに雪乃が好きという感情は偽りがない。これをちゃんと土曜日に伝えよう。まっすぐに、ただ、まっすぐに。
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時は過ぎて土曜日の朝だ。昨日何してたかって?由比ヶ浜をちらりと見てどうなってるかの確認をしただけで終わった。ちなみに大志だが、真っ暗になる前には帰っていっていた。だがまぁあの後に、
小町「どうしちゃったのお兄ちゃん!いつもの捻デレはどうしちゃったの?」
なんて言われた。捻デレってなんだよ。別にデレてない。純粋に大志が心配にな……………やつは俺の手でやらなければいけないからそこらで死なれては困る。
んじゃ、とっとと仕度をして行くとしますか。解を問い直しに。
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まぁ勿論のことだが今は朝だ。夕方までに時間がある。だがまぁ、細かい時間決めてなかったし早めに着いていて問題ないだろう。
にしても、責任、か。ほんとにそんなこと頭になかったんだがな、雪乃に告白されたときは。雪乃はあのときに過去にけじめをつけた。なら俺は今日、この一連の出来事にけじめをつけよう。
そして俺は、
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寝てた。格好悪い………だが、これが俺なのかな、なんて思う。俺らしい姿。なんだか、久しぶりに比企谷八幡らしい姿を俺は見れた気がする。もう変な感情はない。迷いはない。大丈夫だ。あとは雪ノ下さんが雪乃を連れてこれば、それで終わる、と思う。
原因はわかっている。が、俺の知っている原因だけで雪乃があそこまで変わるとは思えない。俺の知らないことも原因に含まれているものなのだろう。
「ひゃっはろー!」
雪ノ下さんはこっちの方がいいな。一昨日のように下を向いた姿より、こっちの前を向いている姿の方が。
八幡「ええ、こんにちは」
陽乃「ふふっ」ニコッ
そしてその横には、
雪乃「……………」
ふぅ………ちゃんと連れてきましたか。さすがは雪ノ下さん。お疲れ様ですが。そして、ありがとうございます。
陽乃「それじゃっ、私は帰るから〜」
雪乃「えっ………」
陽乃「比企谷君っ………
頑張って、ねっ」シクッ
八幡「ええ」
陽乃「じゃあね〜」フリフリ
まったく、あの人は読めない。強い人、としか見えないが、人間なんだもんな。さて、
八幡「雪乃、とりあえず座ってくれ」
雪乃「雪乃………
わかったわ」スッ
そう言い、俺の横に座る。正直驚いている。てっきり正面に座るものと思っていた。まぁ、こっちの方が話しやすいか。
八幡「雪乃」
雪乃「なにかしら?」
八幡「いくつか質問に答えてもらう。
遊園地での『やっぱり』と『ごめんね』はどういうことだ?それから」
ふぅ………と隙間をつくり、続けて言う。
八幡「付き合いだしてから雪乃が『私』を主張するのが多くなったのはなぜだ?」
おそらく、これが違和感の正体。俺はこれを違和感の正体と見る。
いや〜、盛り上がり的に次回が最終話!みたいになってますね。どうしよっかな〜。最終話って前作みたいに最終章として投稿したいんですよね。そこで本編切ってあとは番外編みたいに短編を連ねるみたいなのもいいかなって思っていたり。いろいろと考え中です。
次回にご期待あれ!