何を血迷ったのか今日これを描いている筆者がおくる長編シリーズ第8話、では、どうぞ。
授業後の部活、雪ノ下がいないからできないだろう。由比ヶ浜にはなしであることを伝えた。そして帰り道ーーーーーーー
「ひゃっはろー」
どこからともなくその声はした。ここにいてはいけない気がする。うん、というかあの人とまともに今話せる状態じゃない。そして俺はそそくさと
陽乃「どこに行くの?せっかく美人のお姉さんが呼んであげたのに〜」
逃げられなかった。
八幡「なんですか?雪ノ下さん」
陽乃「この間は陽乃って呼んでくれたのに………」ボソッ
八幡「なんですか?」
陽乃「ううん〜なんでもないよ〜」フリフリ
八幡「じゃあ俺は忙しいので」
陽乃「雪乃ちゃんどんな感じ?」
八幡「気になるんなら雪ノ下に鍵を返して自分の監視下においてください」
陽乃「襲った?」
八幡「危うく遅いそうになりました。だから早く鍵を返してください」
陽乃「比企谷君は焦らしが好きなんだねっ」
八幡「雪ノ下さん、質問をします」
陽乃「雪乃ちゃんの敏感なところ?」
八幡「俺に関する記憶を雪ノ下は戻さない方がいいんですか?」
陽乃「なんで?」
八幡「俺を知っている雪ノ下と、俺を知らない雪ノ下とで、行動が違うからです」
陽乃「どんな風に?」
八幡「甘えてくる、というかなんというか………」
陽乃「甘える、ね〜。甘え方が変わっただけだと思うけどね〜」
八幡「意味がわかりませんが」
陽乃「雪乃ちゃん、か〜なり比企谷君に甘えてたし」
八幡「そんなことはーーーーーーーーーーーーーー」
陽乃「そうやって逃げない方がいいよ。責任の取り方はいろいろだけど、その取り方をお姉さんは認められないな」
八幡「責任は取ります。俺のやり方で。でもまずは雪ノ下に俺のことを思い出させます。それでは」
陽乃「比企谷君!協力はするからいつでも呼んでね!」
八幡「………ども」
陽乃「あっ、そうそう比企谷君」
八幡「なんですか?」
陽乃「雪乃ちゃんからの告白はちゃんと受け止めてあげてね」
はぁ………この人はどこまで何を知っているんだ。俺には遠い世界の住人なんだろうが。
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俺は今”自分の家”の前にいる。自分の家なんだ、が。………入りづらい。中にはまぁ当然のことごとく雪ノ下がいるわけで。
まぁ、どうしようもないか。
八幡「てでーまー」
雪乃「おかえりなさいっ!八幡君」ニコッ
八幡「雪ノ下。今日暇か?」
雪乃「えっ⁉︎どうして?」
八幡「ちょっと出かけないか?目的はいくつかあるが」
雪乃「行くっ、行くっ!着替えどうしたらいいかしら?」
八幡「あぁ。小町の借りてくれ」
雪乃「わかった」ニコッ
はぁ………
いい加減慣れないとな………
慣れてどうすんだ。
雪乃「八幡君、おまたせ」
八幡「あぁ、じゃあ行くか」
雪乃「ええっ」
まぁまずどこに行くか。事故の場所、はできれば最後がいい。おそらくショックが大きいからだ。なら学校か、いやこの時間は人が多いし学校での俺と雪ノ下との関係性は大したものではないだろう。
最初は雪ノ下の行きたいところでも行くか。
八幡「なぁ雪ノ下」
雪乃「なに?」
八幡「どこか行きたいところでもあるか?」
雪乃「う〜ん………特にないわね」
八幡「そうか。そうだとは思ったが。じゃあ行きたくない場所はあるか?そこを避けるところに行くが」
雪乃「行きたくないところ………そうね。実家と私の家には行きたくないわね」
八幡「え?帰りたいんじゃないの?」
雪乃「だって帰ったら八幡君の家にいられないじゃない」ニコッ
八幡「そうか………」
この笑顔だ。俺の罪悪感が危うく消えてしまうかもしれない、この笑顔。雪ノ下雪乃の笑顔は確かに魅力的だ。だが、こんな形でみたいわけじゃない。
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デパートでも行くか。
雪乃「人が多い、わね」
八幡「あぁそうだな」
雪乃「手、握るわよ?離れると面倒ですし。それに………」
ギュッっと俺の右手を握る。なんでそんなナチュラルに握れるんだよ。
雪乃「」///
赤くするなら握らなきゃいいのに。あぁやばい。俺もたぶん顔が赤い。
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まぁ特になにもなくブラブラ過ごしてデパートを出た。ずっと笑ってた雪ノ下は無愛想で不器用な雪ノ下雪乃ではなかった。とても美しく、きれいで、それでいて、心苦しい。そんな彼女に向かって笑顔を見せるなんてのも無理だ。俺にそんなことはできない。
雪乃「結構時間が経ったわね。楽しかったわ。帰りましょうか」
八幡「その前に一つ、寄りたい場所がある。いいか?」
雪乃「もちろんよっ」
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雪乃「あら?結局八幡君の家の近くだけれど、寄りたいところはよかったのかしら?」
八幡「案ずるな。ちゃんと寄る」
そうだ。ここだ。俺と雪ノ下が遭った場所。周りには特になにもない、そんな道路だ。
八幡「ここだ」
雪乃「何もないわよ?」
その場にしゃがみ、道路を撫でる。
八幡「ここが、言い方はあれだが比企谷八幡と雪ノ下雪乃が出遭った場所だ」
雪乃「ここが………フフッ
それでどんな出会いだったのかしら?」
八幡「実際、ここで顔を合わせたわけではない。合わせたのはその一年後くらいだ」
雪乃「?どういうこと?」
言っていいものだろうか。こんな状況でもそのことが頭を横切る。はっきり言うと覚悟を決めて、ここに連れてきたのだ。逃げ道を塞いでまで俺は彼女にこのことを伝えなければならない。
八幡「………事故だ。俺は被害者でお前は加害者側だ」
雪乃「か……加………害者……」プルプル
八幡「お前にはもちろん責任はない。が、少なくともそれが原因の一つで俺の記憶がなくなっーーーーーーーおい!雪ノ下!雪ノ下!」
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話の途中で雪ノ下が倒れ、今は俺の部屋のベッドの中だ。予想通り、というところか。ショックが大きいことは充分わかってたし、こうなる、少なくともこれに近い状況になることは予想内だ。だが、なんなんだこの緊張は。
「八…幡…君…?」
八幡「目が覚めたか。体調は問題ないか?」
雪乃「目?私はどうしたの?」
八幡「俺の話の途中で倒れた、というだけだ」
雪乃「話…話…そう、ごめんなさい」
八幡「話の内容は覚えてるか?」
雪乃「ええ、はっきりと。私は八幡君を傷つけたのね………ごめんなさい」
八幡「いや、その言葉はしまい込め。お前は乗ってただけだ。お前はあくまで側というだけで加害者ではない。で、何か俺に関する記憶は戻ったか?」
雪乃「いいえ、その…ごめんなさい」
八幡「まぁ気にするな。それから悪かったな」
雪乃「何が?」
八幡「雪ノ下がこうなることは想定内、というか計算内、というか。すまん」
雪乃「そう………
なら、責任とってね」
八幡「どのように?」
雪乃「そのうち、私はあなたの記憶を戻すと思うの。だからそれまでに、つまり今の私のうちに、何かお願いをするわ。それを叶えてね」
八幡「……あぁ、わかった」
雪乃「やった!」ボソッ
なーんか収集がつかなくなってきました。伏線とかやばいです。できる限り矛盾のないように作りますが、多少の矛盾はお許しください。
お読みいただきありがとうございます。次回をお楽しみに。
それと、後書きや前書きはある方がいいんでしょうか?その辺もコメントくださると助かります。