【『にじファン』より移転】希望郷の白き魔女【テンプレに喧嘩売ってみた】 作:ひろっさん
とらハについてはwikiでチラッと調べただけなので、不備があったりする部分は捏造ってことにしておいてください。
「なんだって?」
クロノが聞き返す。
「魔法のこと、バレちゃった」
フェイトは言い直した。
「それで、後ろの2人は説明が聞きたいと?」
「当然よ!」
「えっと、月村家は夜の一族の代表だから、こういう話は聞いておかないといけないの」
「なるほど、わかった」
クロノは、自分だけ除け者にされているのが気に入らない風のアリサと、少し緊張気味なすずかに、とりあえず落ち着くように言った。
『どうやら、地球は準管理世界だったらしい。まさかすずかの家がその代表だったとは思わなかったが』
『すずかちゃんって、あの月村グループの?』
『そう、その月村だ』
彼は別室のエイミィに念話で現在の状況を話す。
エイミィは魔導師ではないが、専用の端末を通じてなら秘密の会話は可能だ。
専用の、というのは、要するにサーチャーである。
クロノの方から波長を合せてやれば、念話を意図的に傍受させることが可能なのだ。
「なんでみんな私だけに黙ってたのよ!」
「頼むから落ち着いてくれ。僕だって夜の一族云々は初耳なんだから」
「そうなの?」
「そうだよ。多分、すずかも魔法に関しては今回初めて知ったんだろう?」
「うん、なのはちゃんとフェイトちゃんがあんな魔法を使えるの、私知らなかった」
「その、ごめん」
すずかはクロノの言葉に頷き、フェイトはなんとなく謝る。
「はーい、お茶飲んで落ち着いてね~」
そこにエイミィがやってきて、湯飲みに入ったお茶を配った。
立ち話もなんだと言うことで、それぞれ椅子やソファに座り、緑茶を啜って一息つく。
「とりあえず、皆を落ち着かせる意味で魔法のことから説明する。いいか?」
「ええ、そうね」
「はい、お願いします」
魔法とは、『リンカーコア』という特殊な魔力を集める器官を持った人間だけが扱える、専用の科学技術である。
異論があるかもしれないが少なくとも、なのはやフェイトそれにクロノが扱うのは、科学技術の一種だ。
ある程度は努力によって解決できる部分もあるのだが、生まれ持った才能によって魔法使い、『魔導師』としての資質は決定する。
フェイトなら高速機動戦。なのはなら重装高火力。
基本的に発動媒体としてデバイスを使用し、防護服として
この『デバイス』というものは持ち主をサポートし、代理詠唱によって魔法を任意に高速発動させることを実現するものである。
対して『バリアジャケット』とは、未熟な魔導師がやるようなバックファイアを防いだり、相手の攻撃を防ぐ最後の防衛線としての役割がある。
拳銃の弾くらいならこれ1つで防いでしまうほど強力なものだ。
ただ、設定によってはフェイトの『ソニックフォーム』のように、防御を薄く機動性を重視したものに変更することもでき、防御を薄くしすぎると、拳銃の弾などが防げなくなることもある。
また、時空管理局という警察機構が存在し、魔導師による魔法や魔法具の悪用、その他の犯罪を取り締まっている。
クロノはその管理局の人間であり、執務官という、下っ端ながらそれなりの地位にいる。
彼がここにいる理由は主に2つ。
母であり上司でもあるリンディの意向と、地球で起こった様々な事件の事後処理のためである。
「事件って、まさか大きな木が街を壊したりした、あの事件のこと?」
「ああ、話は聞いている」
クロノは頷いた。
「あの事件って、結構大きかったんだけど、どこにも報告してないよね?」
「一応、管理局の法律で、魔法という技術に行き着いていない世界に、魔法技術の存在を伝えてはいけないことになっているんだ。もちろん、あの事件に直接巻き込まれた魔導師である高町なのはは別として、だが」
「フェイトも、でしょ?」
「彼女は魔法がある世界の出身だよ。管理局の本拠地がある、ミッドチルダの一地域になるんだが」
「世界って、どういうこと?別に世界があるみたいじゃない」
「あるんだ」
世界という括りと次元世界という括りがある。
世界とは次元空間に浮かぶ泡のようなものなのだ。
時空管理局には、その次元空間を行き来する技術があり、その技術によって、各世界の中で魔法技術が広く認知されている世界、『管理世界』における犯罪を取り締まっている。
「魔法は科学技術の一種なんだ。
間違った方向に進化し、暴走すれば1つの世界を一瞬で不毛の大地に変えてしまうことも少なくない」
だからこそ、ちゃんと技術が発展していない世界に魔法技術を広めてはならないという法律があるのである。
「あの事件はそういう無人世界の遺跡から発見された危険な異物が引き起こしたものなんだ。
実際、そういう目的で力を引き出せば、地球を崩壊させることも難しくない。
そういう危険なものを回収して封印保管するのも、管理局の役目の1つだ」
『ジュエルシード』はエネルギーの凝集体にデバイスのような発動媒体を仕込んだもので、『リンカーコア』を持たない一般人でも、思いの強さによっては発動可能だった。
それによって、願い事を叶える宝石として扱われることもあったようだ。
ただ願い事によっては、かなり曲解した内容の結果を出すこともある。
その1つが、例の街を破壊した巨木の事件である。
もっとも、当時はまだクロノを含めた管理局はこの事件がどこで発生したのか、特定できておらず、巨木を消して『ジュエルシード』を封印したのは、高町なのはである。
その後、紆余曲折を経て発動した『ジュエルシード』のエネルギーを感知したクロノ達が地球に降り立ち、なのは達と協力して『ジュエルシード』をすべて回収し、封印したのだ。
現在は管理局の本拠地があるミッドチルダの保管施設に眠っている。
「そういうことだったんだ……」
「そっか、それでなのはの様子がおかしくて、あの後何日か休んでたんだ」
アリサとすずかは納得したようだった。
「納得してもらえたようで何よりだが、夜の一族のこと、少なくとも魔法がバレた状況に関しては話してもらうぞ」
「私にも聞かせてね」
アリサの言葉にすずかは苦笑した。
夜の一族とは。
人間以上の能力を持った遺伝子を受け継ぐ一族の総称である。
自分以外のことについてはあまり言ってはいけないことになっているので、とりあえず月村家についてだけ話すと、月村家は吸血鬼の一族だ。
吸血鬼といっても、太陽に弱いとか、変身能力があったりするわけではない。
単に常人よりも異常なほど身体能力や五感の性能が高いだけである。
その代わりに、月の満ち欠けによって能力の増減が著しく変化し、また好血病発症率が異常に高い。
好血病とは精神病の一種で、血液を飲むことでしか心の安定を保てなくなる病気である。
月村一族の人間は特にその傾向が強く、一度血の味を覚えると、血液がなければ人を襲ってでも血を飲もうとするようになるそうだ。
一応、解決策として、200年ほど前からは輸血パックによって吸血用の血を確保するようになっている。
「原種の吸血種か。珍しいな」
クロノは思わず呟いた。
様々な世界がある広大な次元世界において、月村一族のような、人の血を吸う種類の人間が全く存在しないわけではない。
多くの世界を飛び回る関係上、そういう人種の噂も耳にする機会が多いのだ。
半分くらいは作り話のようだが、確かに吸血種は実在した。
ただ、さすがに実際に見て直接話すのはこれが始めてである。
管理局に入り、色々な世界を巡ってきたが、大きな事件を経験したのは地球が初めてだし、他は異人種のいない管理世界か準管理世界だ。
「驚かないんだね」
「一部の犯罪者がクローンやサイボーグを実用化しているような時代だし、地球に来てからは特に色々なことがあったからな」
本当に色々あった、と呟きながら遠くを見るクロノ。
大体、『闇の書』との最終決戦の時の黒いピュアに比べれば、吸血鬼などさほど恐くはない。
あの時は、血を吸われるどころか直接触れただけでアウトだったのだ。
あの戦いのおかげで、かなり度胸がついたと自分でも思う。
「それで、どういう状況で魔法のことがバレたのか、教えて欲しいんだが」
クロノが聞くと、なぜかすずかは真っ赤になって顔を伏せ、アリサとフェイトは苦笑した。
番外1-1でした。
長くなったので上下に分けています。
クロノによる、魔法というものとそれにまつわる管理局の法律、関係の説明。
それと、すずかによる夜の一族の説明でした。
リリなの世界の吸血鬼は、wikiで調べた内容から推測した、私の捏造設定が混じっています。
とらハ準拠の場合、吸血衝動とかに関して、ドラキュラ伯爵的なものというより、好血病に近いんですよね。
なので、吸血衝動を身体能力と切り離し、好血病として扱っています。
ちなみに好血病というのは、本編ですずかが説明した通りのものが実在します。
血を吸われると吸血鬼になるっていうのは、噛まれた傷から雑菌が入り込んで病気になったりするのを指しているという説もあるようです。
なので、実際に好血病患者に血を吸わせる場合、痕をよく洗うなどして感染症に注意してください。
それでは。