【『にじファン』より移転】希望郷の白き魔女【テンプレに喧嘩売ってみた】   作:ひろっさん

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出オチ注意。


034 リイン妹

(ロード)認証完了しましたですぅぅぅっっ!」

 

30cmくらいの小さな少女が満面の笑顔で言った。

長い銀髪、白い肌、青い瞳に幼い体躯。

威厳たっぷりで、茶目っ気のある野太い男性の声。

 

なぜか(CV)が若○規○だった。

 

 

 

「――やったりしてな、あはははは」

「小さいリインさんの声が……ぷっ」

 

ピュアは想像して、思わず吹き出した。

ツボにはまったらしく顔を真っ赤にして口を押さえ、肩を震わせる。

 

2人は今、時空管理局の本局内である。

今日は完成したという融合騎(ユニゾンデバイス)を受け取るため、定期検査を兼ねて、本局の施設内に来ているのだ。

付き添いはシャマルである。

ちなみに、なのはとフェイト、アリシアは、アリサの家で勉強会である。

 

『闇の書』事件から半年。

ピュアの体力は、ミッドチルダの最先端科学による薬餌療法によって、徐々にではあるが上がってきていた。

はやての足も、今では松葉杖で歩ける程度には回復している。

 

シグナムが所属していた首都航空防衛隊のエースチームが任務中に襲撃された事件以降、特に目立った事件は起きていない。

戦闘機人事件と名付けられたその事件は、現在、本局と地上本部が共同チームを作り、捜査を進めている。

だが、捜査はあまり進展していない。

地上本部と本局の局員で牽制し合っていればそれも当然だとクロノがぼやいているのだが、今はあまり関係がない。

 

『闇の書』の管制人格リインフォースが転写されたデバイスの組み直しについて、評議会からある注文が付けられていた。

 

評議会は、暴走事故を起こした場合、リインフォースが主を乗っ取って暴れる可能性について、危険度を高く設定していたのだ。

リインフォースが言った、今までの暴走の原因が改変できなくなった防衛プログラムにあるという話を、鵜呑みにはしなかったのである。

 

評議会がつけた注文とは、リインフォース自身から融合機能をオミットすることであった。

こうすれば、リインフォースがはやての体を乗っ取り暴走することはない。

 

リインフォースは知能型(インテリジェント)デバイスとして、普段からはやてをサポートし十全な力、すなわち『蒐集行使』を使用する際は、間に専用の融合騎(ユニゾンデバイス)を挟むのだ。

これは八神はやての資質が知能型(インテリジェント)デバイスと相性が悪いことによる、技術部側が提案した救済措置でもあった。

はやての魔力資質はSランクに届くため、この力を発揮できない状態で留めておくのは惜しい、という評議会の思惑が重なり、この案は了承された。

 

 

 

同期接続開始(ウホイイオトコ)

「ぶっwww」

 

融合機能のテストにおいて、はやては不意打ちを受けて床に膝を着く。

最近、ピュアが魔法を使う際に変な言葉に聞こえる詠唱に慣れてきたつもりだったのだが、これは完全に不意打ちだった。

 

「アカン、予想の斜め上過ぎるwww」

“マイスターはやて、集中が乱れているですよ?”

「ごめん、ちょっと待ってwww」

 

以前、映像で見せてもらったリインフォースの幼女版で、可愛らしい容姿だということも相まって、破壊力は抜群だ。

おかげではやては何度も集中力を乱し、10回ほど再試行する羽目になった。

 

“同期確認、問題ないようです”

 

青い魔導書型にデザインが変更されたリインフォース・アイン、『蒼天の魔導書』が告げる。

『アイン』というのは、古代ベルカ語で『最初、始祖』という意味だ。

シェオール語にある『アイーン』という言葉とかけており、こちらは『助言者』という意味があるらしい。

 

ちなみに、融合騎の方はフルネームをリインフォース・ツヴァイという。

こちらは古代ベルカ語で『2番目、子供』という意味がある。

シェオール語に同じ綴りで『ショボイ』という読み方の言葉があり、こちらは『絆』という意味があるそうだ。

 

「じゃあ、次は細かい調整に移りますよ~」

 

マリエルが微笑ましげに言った。

最初に詠唱を聞いたとき、彼女も笑い転げたものである。

 

実は、この同期接続に使う魔法は、シェオール魔法をベルカ用に完全術式化したものなのだ。

 

シェオール魔法は術式を使用せずに魔法を発動させることも多く、それに必要な技能『魔力素(エーテル)操作(コントロール)』がなければ発動すらしないものも多い。

しかし、すべてに技能が必要かというとそういうわけではなく、中には簡略化のために術式を抜いている部分を付け足すことで、発動可能にすることができるものもあった。

 

この術式の書き換えにピュアはそれなりに苦労していたが、元々がリインフォースの中に『蒐集』されていたこともあり、なんとか融合騎ツヴァイの完成には間に合ったのである。

 

ちなみに、これはシェオール式デバイス開発の一環でもある。

デバイスによる擬似詠唱について、ある程度互換性のあるベルカ式に術式(プログラム)を変換してからなら辛うじて可能だということが、これによって証明されたのだ。

もっとも、リインフォースが変換可能なのは極一部の魔法だけだし、機械(デバイス)の扱いに慣れていないピュアでは、術式の補填作業に半年単位の時間がかかってしまうのだが。

 

「上手くいってよかったさ」

 

ピュアは溜息をついた。

マリエルはくすくすと笑う。

 

「それはそうよ。私達の方でも何度も試験したんだから」

 

技術畑の人間は、基本的に実績のあることしか信用しない。

だから、必要な値に収まるまで、何度も試験と調整を繰り返していたのだ。

実際に人間に使用する際は、最小限の調整で済むように。

はやての集中力が乱れるのも含めて、試行回数は想定内である。

 

「それでね、成功したら、できれば医療系の魔法を優先してほしいって言われてるの」

「うん。多少劣化するかもしれないけど、やってみるさ」

 

ピュアは頷いた。

シェオールの回復魔法は体力の回復という、ミッド式ではありえない効果を発揮するため、医療関係者から翻訳による医療技術の発展について、大きな期待が寄せられている。

 

 

 

「おお、久しぶりだね」

「あ、グレアム提督!」

「今は嘱託扱いだよ」

 

今は地上で戦技教導官をやっているギル・グレアムが、古巣の本局までやってきた。

 

『闇の書』事件では解決のために暗躍し、ロストロギアの窃盗など、様々な罪で実刑となった。

現在は懲罰任務中であり、養女2人が本局にやってくるという話を聞いて、わざわざ足を運んできたのである。

 

本局を懲戒免職になっているものの、それは皆を庇ったからだという共通認識があり、嘱託魔導師として懲罰任務に就くことは特に問題になっていないらしい。

レジアスが生前に地上で受け入れるように指示していたことも、大きいようだ。

濡れ衣を含めた数々の不祥事が明らかになった後でも、故人レジアス・ゲイズの地上本部での影響力は大きかったのである。

 

ちなみに、養女として引き取ったピュアは、引き続き八神家に預けられている。

ピュアが地球の小学校に通っているので、どうせなので中学校を卒業するまで地球に滞在させ、それからはもう1人の養女である八神はやてとも話し合い、決めることにしていた。

 

「調子は良さそうだね」

「うん、グレアムさんも若い人には負けてないみたいさ」

「はは、わかるかい?」

 

互いに笑い合う。

ピュアはマリエルからグレアムに関する様々な噂を聞いていた。

また、グレアムも自分の知識を惜しみなくピュアやはやてに伝えている。

それと、元教え子であるクロノが同席することもあり、最近の地上部隊の動きなどについても情報交換していた。

 

オーリス・ゲイズがもたらしたディスクの中身を消去した犯人について、地上部隊からの情報提供者が少ないのだ。

本局と地上本部との軋轢によるものだろうと当初は考えていたが、グレアムの話ではどうも違うようである。

地上部隊にも、新しく司令長官に就いたオズ・グンナルという人物について、警戒する者が多いらしい。

 

簡単に言えば、状況的には怪しいことがわかっているのに、証拠がないために動くことができない。

ということである。

本局で極秘に立ち上がっている捜査チームも、全く進展がないままこの数ヶ月を数えていた。

 

「そうそう、例の術式阻害フィールドだが、解析データを教会や本局に送ることが決まったそうだ」

「これで多少は対策できたりするんかな」

「ただ、やはりエースチームが確立した以上のやり方は難しいらしい」

 

総合ランクAA以上でなければ、何もできなくなるのは変わらない。

その上に例のサイボーグ兵、戦闘機人が出てくれば、大半の魔導師は手もなく倒されてしまうだろう。

 

「やっぱり、対策としてはカートリッジシステムの一般化ですか?」

「うむ、近代ベルカ式の魔導師なら、ある程度はなんとかなるというデータが上がってきている」

 

グレアムはマリエルの意見に頷いた。

上層部、評議会もそちらの方向でまとめているようだ。

 

「ミッド式デバイスにカートリッジシステムは、肉体への負担が大きいのであまりお勧めはできませんが……」

「しかし、実際に現場で何もできなくなるというのは命に関わる」

「そうでしょうね……」

 

シャマルは俯き加減に頷く。

 

カートリッジシステムとは、ベルカ式デバイス特有の魔力増幅装置のことである。

あらかじめ魔力を込めた薬莢(カートリッジ)を作っておき、必要なときにカートリッジから魔力を引き出し、本来以上の瞬間最大出力を得るというものだ。

熟練のベルカ騎士が1対1に絶対の自信を持つのは、このシステムによる一時的な出力の底上げがあるからである。

 

ただ、本来以上の瞬間最大出力を扱うため、魔力集積器官(リンカーコア)に負荷をかけることになる。

ベルカ式ならばある程度は軽減するように組まれているので多少は問題ないが、ミッド式デバイスでは負荷軽減システムが確立していない。

そのため、急性なカートリッジシステムの搭載は、医者でもあるシャマルには簡単に容認することができないのだ。

 

「ともかく、今はミッド式の軽減システム開発や他の対策を考えるしかない。

私も今はその辺の決定に影響を及ぼすことができる立場にはいないのだからね」

 

 

 

 




第34話でした。
リインⅡ誕生です。
原作ではこの1、2年くらい後のようです。
時期をちゃんと確認してなかったツケが…(汗)

『ウホッ、良いオトコ』
言わずと知れたアベさんですね。
ニコニコ動画には、なんと女性版(18禁)が…。

ついでに『アイーン』と『ショボイ』について。
もちろん、ネタ捏造です。
アイーンは志村ケン(漢字忘れた)の一発ギャグで、ショボイは若者言葉です。
最初、ショボイの方をショボーンにしようかと思ったのですが、語感的にどうかと思いまして、最終的にショボイにしました。

それでは。
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