艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、28話が終わりました

ちょっと短かったですか⁇

今回のお話は、平和な日々の中でパパの体の秘密と、ちょっとした弱点が明かされます




29話 雄鶏の弱点(1)

あれから数日…

 

たいほうは相変わらず訪れて来るほっぽと遊んでいる

 

最近、れーべとまっくすも輪に入る事が多くなった

 

武蔵とローマははまかぜから料理の勉強

 

チェルシーは時々身体検査に訪れる横須賀の相手をしている

 

しおいはようやくスティングレイと接する機会が多くなり、彼もそれに満更では無い様子だが、やはりたいほうの艦載機パイロットという思いは捨てていない

 

そんな平和な毎日

 

私は執務室で一人書類を整理し、ようやく片付き、一服しようとしていた

 

「ふぅ…グッ‼︎」

 

急に体が締め付けられる様な激痛が走った

 

何とか灰皿にタバコを置き、床をのたうち回る

 

「グアア…な、何だ…だ、ダレか…」

 

まただ

 

目の前が赤く染まって行く…

 

「タスけ…」

 

そこで意識が無くなった

 

 

 

気が付けば、医務室のベッドで横になっていた

 

「オキタ⁇」

 

「チェルシーか…」

 

ベッドの横にはチェルシーがポツンと座っている

 

「大佐‼︎大丈夫ですか⁉︎」

 

「大丈夫だ…俺は一体どうしたんだ…」

 

「…」

 

横須賀は口を閉ざした

 

「ダイジョウブ。コノマエノカロウ」

 

上手くチェルシーが誤魔化してくれた

 

「今、お粥を作って来ますから、もう少し寝てて下さい」

 

横須賀が部屋から出ると、チェルシーが額に手を当てて来た

 

「シンドイ⁇」

 

「大丈夫だ」

 

チェルシーの真っ赤な瞳の奥に、自分の姿が薄っすら映る

 

…真っ赤⁇

 

「チェルシー」

 

「ン⁇」

 

「チェルシーは、俺が何色に見える⁇」

 

「ン〜…チェルシー、ミンナマッカ二ミエル」

 

「あ…す、すまん…」

 

「デモ、パパハミエルヨ⁇」

 

「ふっ、そっか…」

 

チェルシーの頭を撫で、横須賀が来るまで無言の時間が続いた

 

「大佐、出来ましたよ‼︎」

 

「すまんな…」

 

「チェルシー、ミンナノトコロニイク」

 

「あ…」

 

そのままチェルシーは何処かに行ってしまった

 

「さ、口開けて…」

 

「あ」

 

熱々のお粥が口に入る

 

いい感じに味も付いていて、中々美味しい

 

「武蔵が作ったんですよ⁇」

 

「横須賀」

 

「はい」

 

少し呼吸の荒い横須賀を見つめ、聞いてみた

 

「率直に言う。俺は深海棲艦なのか⁇」

 

「…」

 

やはり黙ってしまう

 

「時折あぁなって、視界が真っ赤になる。ビスマルクとレストランに行った時もそうだった」

 

「ち、違いますよ‼︎大佐はちょっと血圧が高いだけです」

 

「…ちょっと来てくれ」

 

「あっ‼︎ちょっと‼︎」

 

ベッドから立ち上がり、上着を着て工廠に向かった

 

”何や珍しい。デートかいな”

 

寝そべりながら冗談を放つ妖精に顔を近付けた

 

「”アレ”を出して、簡易の試射場を作ってくれ」

 

”お、おっしゃ‼︎分かった‼︎”

 

妖精達が総動員で簡単な試射場を作り、工廠の扉が全て閉められた上で、別の妖精が”アレ”を持って来た

 

「これは…」

 

妖精が持って来たのは、禍々しい形をした、手で持てる砲の様な物

 

私は数発弾を込め、何も言わずにそれを横須賀に持たせ、私の眉間に向け、無理矢理引金を引かせた

 

「いやっ‼︎」

 

カチン‼︎と音がしたが、弾は出ない

 

「あっ…」

 

放心状態の横須賀からそれを取り、付けられた的に向かって数発放った

 

大きな音が工廠に響き渡り、的はバラバラに撃ち抜かれた

 

「これは、深海棲艦の持っていた武器だ」

 

「それを何処で…」

 

「たいほうが遠征の時に拾って来た。武蔵もローマも、たいほうも撃てなかった。ワンコも無理だった。だが、チェルシーには撃てた。俺も撃てる」

 

「…」

 

私は砲を横須賀に向けた

 

「何か隠してるなら言ってくれ」

 

「…驚きませんか⁇」

 

「驚く様な経験は山程して来た」

 

「なら、話します」

 

横須賀は深呼吸をした後、震える体に鞭を打って口を開いた

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