艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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297話 黒い影(2)

次の日の朝、俺達は第三居住区に行く前に横須賀に飛んだ

 

「グリフォンとクイーンから航空写真を貰ったわ」

 

執務室の横須賀の机に写真が置かれる

 

例の黒いF-14が写っている…

 

「コードネームは“シャドウブラック”この機体に邂逅した場合、発砲しないで頂戴」

 

「…見た事ないエンブレムだ」

 

横須賀の話を聞いている途中、航空写真の一枚にボンヤリとだが尾翼にエンブレムが見えた

 

金髪の女性がクッキーか何かを焼いている立ち絵のエンブレムだ

 

「そのエンブレムも分からないのよ…レイ、アークロイヤルbisで見た時は無かったのよね⁇」

 

「あぁ。新品に近かった」

 

「アークロイヤルbisってのが引っかかるな…」

 

「アークロイヤルbisにも発着艦記録を送信して頂きましたが、F-14が発着艦した記録はありませんでした」

 

「幻でも見たのか…私達は…」

 

「ちょっと霧があったしな…」

 

「とにかくレイ、第三居住区まで隊長の直掩に入って頂戴」

 

「了解した‼︎」

 

「隊長、今日は宜しくお願いしますね⁇」

 

「任せておけ‼︎」

 

いざ、第三居住区へと向かう…

 

 

 

「しっかし、シャドウブラックねぇ…」

 

《“黒い影”か…昨日背後をずっと取られていたからな。バッチリな名前だ》

 

「今日は出ない事を祈るよ…」

 

《…お客さんだっ》

 

「了解っ」

 

隊長が右に機首を向ける

 

それに追従して行くと、三機編成のF-2が見えた

 

《こちらサンダーバード隊隊長イカロス。所属不明機に告ぐ…》

 

《雷鳥め…貴様のせいで‼︎全機、雷鳥を落とせ‼︎》

 

わざわざ繋げて来た無線の先で、敵対意識を向けるF-2パイロット

 

恐らく第三居住区にいた、もしくはここ出身で何処からか帰って来たのだろう

 

《了解っ…ワイバーン、発ぽ》

 

《後方から味方機接近‼︎速いです‼︎》

 

隊長が発砲許可を出そうとした時、後方から味方機が一機、高速で接近して来るのをレーダーが捉えた

 

「シャドウブラック…」

 

俺と隊長の間を通り抜けて行き、ものの数秒でF-2がレーダーから消えた

 

その光景を見て、隊長はすぐに無線を繋ぐ

 

《第三居住区、聞こえるか。敵機が海上に落ちた。救助を求む》

 

《リョーカイ、タイチョーサン》

 

シュリさんの声が聞こえ、すぐに深海の駆逐の子達が救助に向かってくれるのが見えた

 

《ワイバーンよりF-14パイロットへ。援護に感謝する。第三居住区に着陸出来るなら、補給を受けてくれ》

 

《私からも礼を言いたい》

 

シャドウブラックからの返答はないが、機首が第三居住区の滑走路の方に向いた

 

これで奴の正体が分かる…

 

 

 

「味方機なのは確かだったな…」

 

「降りて来ねぇな…」

 

隊長と二人、滑走路付近でシャドウブラックを待つ

 

「「あ」」

 

俺達の目の前をシャドウブラックが離陸して行く

 

「待ってくれー‼︎」

 

「何なんだ…一体…」

 

シャドウブラックは一瞬で空の向こうに消えて行く…

 

 

 

 

《甲板にいる乗組員に告ぐ。“キングバード”着艦準備。繰り返す…》

 

アークロイヤルbisの艦内放送で、聞き慣れない名前がスピーカーから出る

 

乗組員は一斉に甲板へと上がり、着艦する機体を拝見に向かう

 

数分後、キングバードと呼ばれた機体が着艦する

 

その機体は横須賀でシャドウブラックと呼ばれていた黒いF-14

 

アークロイヤルbisの艦載機で間違いは無かった

 

そして、問題のパイロットが降りて来た…

 

《無線の調子はどうだ、キングバード‼︎》

 

艦橋にいる壮年の男性が、キングバードと呼ばれた同じく壮年の男性に無線で問う

 

「ダメだ‼︎発艦してしばらくしたら無線は聞こえるが、こっちから話せん‼︎今は聞こえるがな‼︎」

 

ヘルメットを着けたまま、キングバードは艦橋にいる男性に無線を返す

 

《了解した‼︎新しい無線に変えよう‼︎お疲れ様だな‼︎》

 

壮年の男性同士が話す

 

彼はマーカス達の無線を無視していた訳ではなく、無線の調子が芳しく無かったのだ

 

「誰だ…」

 

「パイロット誰だ…」

 

乗組員でさえ、キングバードの正体を知らない

 

そのパイロットは乗組員のボヤきに気付き、そちらの方を向いた

 

そして、両腕でガッツポーズをしながら乗組員に近付き、艦内に入って行った

 

「「あ」」

 

キングバードの正体に気付いた乗組員達の顔が綻び、皆後を追う様に艦内に入って行った…

 

 

 

「あっ‼︎出ました‼︎これです‼︎」

 

横須賀では、アークロイヤルbisに発着艦記録が打ち出された

 

「パイロットは⁉︎」

 

「此方を」

 

親潮はPCを横須賀の方に向けた

 

「あっ…了解したわ‼︎」

 

横須賀と親潮もパイロットが分かり、顔が綻んだ…

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