次の日の朝、俺達は第三居住区に行く前に横須賀に飛んだ
「グリフォンとクイーンから航空写真を貰ったわ」
執務室の横須賀の机に写真が置かれる
例の黒いF-14が写っている…
「コードネームは“シャドウブラック”この機体に邂逅した場合、発砲しないで頂戴」
「…見た事ないエンブレムだ」
横須賀の話を聞いている途中、航空写真の一枚にボンヤリとだが尾翼にエンブレムが見えた
金髪の女性がクッキーか何かを焼いている立ち絵のエンブレムだ
「そのエンブレムも分からないのよ…レイ、アークロイヤルbisで見た時は無かったのよね⁇」
「あぁ。新品に近かった」
「アークロイヤルbisってのが引っかかるな…」
「アークロイヤルbisにも発着艦記録を送信して頂きましたが、F-14が発着艦した記録はありませんでした」
「幻でも見たのか…私達は…」
「ちょっと霧があったしな…」
「とにかくレイ、第三居住区まで隊長の直掩に入って頂戴」
「了解した‼︎」
「隊長、今日は宜しくお願いしますね⁇」
「任せておけ‼︎」
いざ、第三居住区へと向かう…
「しっかし、シャドウブラックねぇ…」
《“黒い影”か…昨日背後をずっと取られていたからな。バッチリな名前だ》
「今日は出ない事を祈るよ…」
《…お客さんだっ》
「了解っ」
隊長が右に機首を向ける
それに追従して行くと、三機編成のF-2が見えた
《こちらサンダーバード隊隊長イカロス。所属不明機に告ぐ…》
《雷鳥め…貴様のせいで‼︎全機、雷鳥を落とせ‼︎》
わざわざ繋げて来た無線の先で、敵対意識を向けるF-2パイロット
恐らく第三居住区にいた、もしくはここ出身で何処からか帰って来たのだろう
《了解っ…ワイバーン、発ぽ》
《後方から味方機接近‼︎速いです‼︎》
隊長が発砲許可を出そうとした時、後方から味方機が一機、高速で接近して来るのをレーダーが捉えた
「シャドウブラック…」
俺と隊長の間を通り抜けて行き、ものの数秒でF-2がレーダーから消えた
その光景を見て、隊長はすぐに無線を繋ぐ
《第三居住区、聞こえるか。敵機が海上に落ちた。救助を求む》
《リョーカイ、タイチョーサン》
シュリさんの声が聞こえ、すぐに深海の駆逐の子達が救助に向かってくれるのが見えた
《ワイバーンよりF-14パイロットへ。援護に感謝する。第三居住区に着陸出来るなら、補給を受けてくれ》
《私からも礼を言いたい》
シャドウブラックからの返答はないが、機首が第三居住区の滑走路の方に向いた
これで奴の正体が分かる…
「味方機なのは確かだったな…」
「降りて来ねぇな…」
隊長と二人、滑走路付近でシャドウブラックを待つ
「「あ」」
俺達の目の前をシャドウブラックが離陸して行く
「待ってくれー‼︎」
「何なんだ…一体…」
シャドウブラックは一瞬で空の向こうに消えて行く…
《甲板にいる乗組員に告ぐ。“キングバード”着艦準備。繰り返す…》
アークロイヤルbisの艦内放送で、聞き慣れない名前がスピーカーから出る
乗組員は一斉に甲板へと上がり、着艦する機体を拝見に向かう
数分後、キングバードと呼ばれた機体が着艦する
その機体は横須賀でシャドウブラックと呼ばれていた黒いF-14
アークロイヤルbisの艦載機で間違いは無かった
そして、問題のパイロットが降りて来た…
《無線の調子はどうだ、キングバード‼︎》
艦橋にいる壮年の男性が、キングバードと呼ばれた同じく壮年の男性に無線で問う
「ダメだ‼︎発艦してしばらくしたら無線は聞こえるが、こっちから話せん‼︎今は聞こえるがな‼︎」
ヘルメットを着けたまま、キングバードは艦橋にいる男性に無線を返す
《了解した‼︎新しい無線に変えよう‼︎お疲れ様だな‼︎》
壮年の男性同士が話す
彼はマーカス達の無線を無視していた訳ではなく、無線の調子が芳しく無かったのだ
「誰だ…」
「パイロット誰だ…」
乗組員でさえ、キングバードの正体を知らない
そのパイロットは乗組員のボヤきに気付き、そちらの方を向いた
そして、両腕でガッツポーズをしながら乗組員に近付き、艦内に入って行った
「「あ」」
キングバードの正体に気付いた乗組員達の顔が綻び、皆後を追う様に艦内に入って行った…
「あっ‼︎出ました‼︎これです‼︎」
横須賀では、アークロイヤルbisに発着艦記録が打ち出された
「パイロットは⁉︎」
「此方を」
親潮はPCを横須賀の方に向けた
「あっ…了解したわ‼︎」
横須賀と親潮もパイロットが分かり、顔が綻んだ…