「アレン、レイ、聞こえるか。そっちに向かった」
《了解、此方でも確認しました》
《了解した。隊長、POI'sミュージックで昭和の曲特集してるぜ⁇》
「よし、後で行こう‼︎」
「隼鷹はどんな曲好きですか⁇」
「あたしかい⁇そうだねぇ…1970年代から80年にかけての曲が全盛期だったから…色々あるな‼︎」
「絹のハンカチ、とかですか⁇」
「あれは流行った‼︎良く知ってるね⁇」
「自分もその時代が好きなんです。と言いますか…その辺りの時代しか知らないと言いますか…」
「周りが聞いてたからかい⁇」
「そうです。あ、ほら‼︎この曲とか‼︎」
話をしていると、たまたま流れていた曲
POI'sミュージック前まで辿り着いていた二人は、店から聞こえてくる曲に耳を傾ける
「北条秀樹じゃないか‼︎」
「ポーラァ‼︎」
「ポォラ…」
「「え」」
二人は顔を見合わせ、店内に入る
「凄いっぽーい‼︎あ‼︎いらっしゃいませっぽい‼︎」
夕立の前にはちょっとしたステージがある
マイクを握っているのは、俺ともう一人
「うぉっ⁉︎翔子ちゃん‼︎」
隼鷹が驚く
俺の横で歌っているのは翔鶴もとい翔子ちゃんだ
「ワイン、も〜‼︎お酒、も〜‼︎」
「この、ウォッカァ〜も‼︎捧げるぅ〜‼︎」
「おぉ〜…」
「凄い…」
俺はたまにバーで歌っているが、翔子ちゃんの生歌は中々聞けない
涼平も隼鷹も、たまたまそこに居合わせた横須賀勤務の人も、パチパチと拍手を送る
「ありがとう‼︎ありがとう‼︎」
「ありがとうございます‼︎」
俺と翔子ちゃんはステージを降り、新作CDを見始める
涼平と隼鷹は昭和のCDがあるコーナーを見始める…
「思い出話でしょうか…」
「涼平も古い曲好きだからな…」
「も…」
「俺と隊長もさっ…」
翔子ちゃんの顔が笑顔になる
隊長の話をすると、翔子ちゃんは翔鶴という一人の女に戻る
まるで昔の歌謡曲の歌詞の様だ…
隼鷹と涼平は何かのCDを買い、POI'sミュージックを出た
「スーぴゃ〜マーケット方面に向かった」
《了解致しました。此方には心強い援軍がいますよ、マーカス⁇》
「誰だ…」
《忘れちゃ困るわ⁇》
イタズラなその声を聞き、翔子ちゃんと共に笑う…
「釣り堀が出来たらしいですよ⁇」
「どれっ、涼平君は上手くなったのか見ようじゃないか‼︎」
「わ‼︎」
隼鷹に腕を組まれて連れて行かれ、涼平は釣り堀に入る…
「いらっしゃい‼︎二名様ね⁇」
「貴子さん‼︎御無沙汰しています‼︎」
釣り堀の受付にいたのは貴子さん
まりちゃんは学校なので、スーぴゃ〜マーケットでお買い物をした後、手隙な貴子さんが来てくれた
「たっ、たかっ‼︎な、何でここにっ⁉︎」
「私も横須賀所属なのよ⁇はいっ‼︎」
たいほうと同じ掛け声で釣竿とエサを渡される
二人はそれらを受け取り、貴子さんから離れた場所に座る
「あの人はマジで強い…砲なんか枷になっちまう…」
「噂では敵を天ぷらにして食べてるとか…」
「涼平君⁇」
「は‼︎はひっ‼︎」
急に貴子さんが横に来た
「ジュースどれがいい⁇」
持って来たメニューを開け、涼平に見せる
「あ、えと…自分はコーラを‼︎」
「あたしはジンジャエールを‼︎」
「待っててね‼︎」
貴子さんが戻って行くのを見て、隼鷹は前を向いた
「やめよう、この話は…」
「そうですね…」
二人が釣りに集中する斜め右に、此方も男女のペアが座る
「どうですか、涼平さん」
「釣れてるかしら⁇」
男女のペアはラバウルさんとヒュプノス
「ラバウルさん‼︎」
「アンタは確かSS隊の⁉︎」
「いかにも」
「ほらっ。フィアンセが横にいるのに、他に首向けちゃダメよ⁇」
「ごもっとも…」
ヒュプノスは涼平と隼鷹に微笑み、ラバウルさんにエサを付けて貰う
ラバウルさんとヒュプノスは恋仲ではない
ラバウルさんは幼女の扱いは120点満点なのだが、大人の女性の扱いが究極に下手
その点ヒュプノスは甘える事と、教える事が上手い
手取り足取り、ラバウルさんに教えてくれる
「あら、お魚さんだわ⁇取って⁇」
「畏まりましたっ。よいしょっ…」
ラバウルさんがヒュプノスの竿から魚を外す
「ありがとっ」
「いつでも言って下さい」
見ていて微笑ましい…
親子といえば親子
恋人といえば恋人
現実は一人の教師と歴戦を潜り抜けたパイロット
実に有り得そうなカップルだ
「よっしゃ‼︎」
「ウナギですね」
隼鷹の竿にかかったのはウナギ
この釣り堀ではレア枠に入る
「涼平君は何欲しい⁇」
隼鷹の目線の先には、貴子さんの背後にある景品群
「そうですね…さっき見たのですが、ライターがありました」
「よっし‼︎それを目指そう‼︎」
やる気に応えるかの様に、隼鷹の竿にはポコジャカ魚が掛かる
ラバウルさんとヒュプノスの竿にもポコジャカ掛かる
が、涼平の竿はピクリとも動かない
「何故‼︎」
竿を上げてエサを見るも、キッチリ付いている
コーラを飲みつつ、啖呵を切らした涼平は煙草に火を点ける
「意外だねぇ」
「…煙草がですか⁇」
「あたしが子供に見ていただけかも知れない…」
「ずっと吸ってますよ。自分にはこれ位しか娯楽がなかったので…」
ただでさえ娯楽が少なかった、産まれ育った島
涼平は煙草やお酒を覚えるのも早かった
「来た‼︎」
ようやく涼平の竿にアタリが来た
「な、何だそれ‼︎」
「かわったお魚さんね⁇」
「タウナギではありませんか⁇」
涼平が釣り上げたのは、ひょろ長いヘンテコな魚
ウナギに近いが、何かが違う…
「蒲焼きにすると美味いんですよ‼︎」
「貴子さ〜ん‼︎何点ですか〜‼︎」
「その子は30点よ〜‼︎」
「「「おぉ〜」」」
この釣り堀で30点と言えば、かなりの点数
中々大きなお菓子と替えたり、そこそこの釣り堀限定グッズとも替えられる
「よ〜し‼︎涼平君も釣れたし、移動しようか‼︎」
「分かりました‼︎」
「私達はも少しここでお魚さんと遊んでるわ⁇」
「良きデートを」
ラバウルさんとヒュプノスと別れ、貴子さんのいるカウンターに来た
「沢山取れたわね‼︎え〜っと…」
隼鷹のバケツにはわんさかいるが、涼平はタウナギ一匹
「合計で80ポイントね‼︎」
「涼平君。言ってたライターってどれだい⁇」
「あのライターです‼︎ほら‼︎女子高生が釣り竿持ってる絵が彫ってある‼︎」
「ほほぅ…涼平君は女子高生趣味…っと…」
「違います‼︎」
ニヤケ顔の隼鷹と、焦る涼平
貴子さんの背後には、本当に女子高生が釣り竿を持っているオイルライターがある
「この子は私の知り合いなのよ⁇」
涼平の欲しいものに気付き、貴子さんはそれを涼平の前に出した
「フィッシング・まりちゃん…」
「ここでアルバイトしてるの。今日はお休みだから、私が代打ってわけ‼︎」
彫刻されたまりちゃんは、見た目も中身も女子高生
釣竿を持ったまりちゃんの頭上に、アーチ状に“フィッシング・まりちゃん”と彫刻されている
実は涼平、ちょっとしたギャルがタイプ
言われてみれば、シュリさんも中々のギャルだ
「これは何ポイントですか⁇」
「これは丁度80ポイントね。ここの限定グッズだから、すぐ無くなっちゃうかも知れないわ⁇」
「じゃあそれを‼︎」
「隼鷹は選ばなくていいんですか⁇」
「いいのいいの‼︎甘えときなっ‼︎」
「…ありがとうございます‼︎」
「気を付けてねー‼︎」
二人が釣り堀を出た後、貴子さんは違和感を感じていた
「貴方もですが、貴子さん」
「あの子も苦労人ね…」
「勘違いだと良いけど…」
ラバウルさんとヒュプノスは、バケツてんこ盛りのお魚を貴子さんに出し、大量のお菓子を持って釣り堀を出た…
「高雄の部屋方面に向かいましたよ」
《了解》