艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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306話 気になるあの子の秘密(2)

「これを言って、健吾を嫌いにならないでくれますか⁇」

 

「嫌いになる所が健吾にはありません。大丈夫です」

 

「ん…なら、君には話そう…」

 

柏木さんは重たそうに口を開く…

 

「あの子は、その…二つ性別を持っているんだ…」

 

「…」

 

「産まれた時から体に二つの性があるんだ。私はあの子が産まれてから娘として扱っていたんだが…あの子は男として生きて行きたかったのでしょう」

 

実は健吾、体に両方の性別を備えている

 

女性特有の器官もあり、男性特有の器官も体に備わっている

 

「確かに風呂に入った時は付いてました」

 

「バスタオルを胸まで巻いていなかったか⁇」

 

「どうだったか…男の体をそこまで凝視しませんので…」

 

アレンは健吾が両方の性別を持っていると知っても特に反応はせず、元から少し知っていたかの様な反応を見せる

 

「ははは。健吾でいるならば、私はそれで構いません。ただ、マクレガー大尉…もし、あの子が助けを求めた時は…」

 

「分かりました。私からも一つ伺っても⁇」

 

「勿論」

 

「もしかして、本名は名前は梨紅ですか⁇」

 

「そうです。よくご存知で」

 

「橘花☆マンの芸名やら、ペンネームが梨紅だったので」

 

「そうでしたか…」

 

悲しそうな声を出す柏木さんだが、顔は嬉しそうな顔をしていた…

 

 

 

「ごちそう様でした‼︎」

 

健吾は数皿お寿司を食べた後、手を合わせた

 

「それだけで良いんですか⁇」

 

「はいっ‼︎お腹いっぱいです‼︎」

 

蒼龍はこれだけで良いのかと店を出るまで何度も聞いてくれた

 

健吾はお腹いっぱいになったと返し、店を出た…

 

 

 

「うぅ…マズい…」

 

蒼龍に弄られた時に着ているものがズレたのか、くっきりと形を見せている胸を隠しながら、健吾は人目の付かなそうな工廠へと向かう

 

工廠の一角にはカプセルが備えられており、その近くに着替える為のカーテンで仕切られた空間があるのを覚えていた

 

「おっ‼︎健吾‼︎」

 

「あ、アレン⁉︎」

 

こんなタイミングで知られたくない相手に出くわす

 

「どうした⁇」

 

「あ、いや、何でもないよ⁉︎」

 

「…」

 

片手で胸元を隠しながら、空いた手で何でもない事を表現するが、アレンには逆効果

 

「ほらっ」

 

アレンはその場に屈み、健吾をおんぶしようとしてくれている

 

「い、いいよ…大層な事じゃないよ」

 

「早くしないと雷電姉妹が乗りかねない」

 

「…」

 

意を決した健吾は胸元から手を離し、アレンの背中に乗る

 

「何処に行こうとしてた⁇」

 

「工廠のカーテンの所…あそこなら着替えれる」

 

「よっしゃっ‼︎」

 

健吾を背負い、アレンは工廠に向かう

 

「…アレン」

 

「何も言うな。ちょっと前から知ってる」

 

「…いつ位から⁇」

 

「背中に中々の感触があるって気付いた時位からだな⁇」

 

「アレンらしいや‼︎」

 

「ふっふっふ…」

 

「あ‼︎ぱっぱして貰ってるのです‼︎」

 

「怪我したの⁉︎」

 

アレンの予想通り、雷電姉妹が来た

 

「そうなんだ。工廠のドア開けてくれないか⁇」

 

「お任せなのです‼︎」

 

「先導するわ‼︎」

 

レイが言っていた

 

雷電姉妹は口は悪いが、本当に頼りになると

 

何でもまずはコミュニケーションだな…

 

工廠に着き、健吾をカーテンの向こうに降ろす

 

「ま、待って、アレン」

 

「おっ…」

 

アレンはようやく気付いた

 

服の裾を掴む癖

 

あの夜は位置的に子供かスパイトさんかと思っていた

 

…そっか

 

あれはお前だったのか…

 

「その、えと、あ、ありがと…」

 

顔を赤くしてアレンに礼を言う健吾、もとい梨紅

 

アレンは目の前にいる年下の親友の頭をグッと撫でる

 

「気にするな。着替えたらビリヤードでも行くか⁇」

 

「…アレンはどっちと行きたい⁇」

 

「好きな方で来い。どっちも扱いは変わらないさ」

 

そう言うと、健吾はジト目で笑う

 

「知らないかんね」

 

「さて、先に雷電姉妹に礼をしなきゃな‼︎」

 

アレンはそのまま工廠を出た

 

工廠を出てすぐにアレンは膝を曲げて二人に目線を合わせる

 

「二人共、ありがとな⁇」

 

「高く付いたのです‼︎」

 

「私達はご飯に行くわ‼︎」

 

「ちょっと待て‼︎えっとだな…」

 

アレンは内ポケットに手を入れた

 

「間宮の券なら要らないのです‼︎」

 

「もう束であるわ‼︎」

 

誰も間宮の券とは言っていないのに、間宮の券を大否定

 

普段横須賀が腐る程与えているのが良く分かる

 

「甘いな‼︎足柄の500円のおもちゃ券だ‼︎」

 

「「おぉ〜‼︎」」

 

やはりそこはまだ子供

 

まだおもちゃと言う言葉に弱い

 

「これは試験段階の代物だ。これからお手伝いしてくれた子には色々な値段が出…」

 

「「わ〜い‼︎」」

 

既にアレンの手元におもちゃ券はない

 

しかも数枚あったのに根刮ぎ持って行かれた

 

「ありがとなのですーっ‼︎」

 

「アレンさん‼︎お菓子も買えるーっ⁉︎」

 

「お菓子も買えるぞー‼︎」

 

雷電姉妹は駄菓子屋足柄に猛スピードで向かって行った…

 

「全く…根刮ぎ行くかぁ…」

 

そう言いつつも、微笑みながらアレンは立ち上がる

 

「アレンっ‼︎」

 

「おっ…」

 

立ち上がった目の前には満面の笑みを見せながら後ろで手を組み、ちょっと前屈み気味の健吾…もとい梨紅がいた

 

惜しげも無く曝け出したボディラインは、そんじょそこらの女性に負けない体格をしている

 

しかもアレンのジャケットを着ている為、アレン自身何かグッと来るものがあった

 

「美人だったんだな…」

 

「そうかな⁇でも、本当はこっちの方が良いかも知れない‼︎行こっ‼︎」

 

いつもはアレンをはじめ、皆の二歩後ろを着いて行く健吾

 

しかし梨紅になった途端、それが反転してリードするタイプになる

 

二人は遊戯場でビリヤードを楽しむ…

 

 

 

 

ビリヤードが終わり、基地に帰る時間になる

 

梨紅は健吾に戻り、帰る前に朝方柏木さんといたベンチでコーヒーを飲む

 

「これを知ってるのは、本当に限られた人だけなんだ…」

 

「例えば⁇」

 

「まりとりさ、ワンコは知ってる。知ってる上で、俺を健吾として扱ってくれる。後、あみさん」

 

「んじゃ、俺はそん時に合わせますかな‼︎」

 

「…ネルソンがアレンを好きになったの、今分かった‼︎」

 

「レイっぽくなるからあんま言いたくないが、俺が本気を出すとモテて暇がなくなるからなっ‼︎」

 

ポーズを決めて健吾を見つめるアレン

 

本人はバカをやっているつもりだが、中々にカッコ良く、言葉はあながち嘘ではないのを物語る

 

「あはははは‼︎アレンらしいや‼︎」

 

「よしっ、帰ろう‼︎今日はおおいのご飯らしい‼︎」

 

「分かった‼︎」

 

アレンと健吾は、ラバウルに戻る…

 

こうして二人の秘密の逢瀬は、一回目を終えた…




柏木梨紅…健吾の本名

クールで誰かの背後を着いて行く健吾と変わり、ちょっと気が強くて引っ張るタイプ

本来の性格は快活な梨紅の方で、普段の性格は戦場で生きる為にわざとそうしている

産まれた頃から両方の性別を体に備えており、今尚その事で悩んでいる

黒髪のショートカットで、アレンやレイより頭一つ分小さい

しかし出る所はそこそこ出ており、アレン曰く笑うと可愛い

最近梨紅の姿でアレンのジャケットを着るのが趣味

全然腕が足らない為、必然的に萌え袖になる。すごいね

お祭りの回で振り回されていたのと、舞踏会でミス・リックの名で登場している
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