投稿が遅れてしまい、大変申し訳ございませんでした
昨今の世界情勢を鑑みて、今後の作中の進行具合を全て書き直していました
今回のお話は特別編になります
先んじて言っておきます。このお話は世界情勢を鑑みた結果
"作中の中での戦い"になります
この特別編の中には、現実にも出て来る言葉も勿論ございます
逃げている、ここは全然違う、お前は世界情勢を見ていないのか
このお話を見て頂いた読者の方々の意見も多様にあるかと思います
ただ、この作中の中での戦いという事は忘れないであげて下さい
正直に言ってしまうと、このお話はあんまり世界情勢や政治になるべく触れない様な内容にするようにして来ました
それを忘れるが為に見て下さっている読者の方も多いと思います
触れないでそのまま自分のお話を書けば良いよ、と言われてしまえばそれっきりです
逆もまた然りで、お前世界がこんな事になってるのに不謹慎だろ?と言われてもそれっきりです
なので今回、色々な事が私の回りであった結果、自分の出来る事は
"忘れないでおく、何処かしら頭に入れておく"
という結論に至りました
向こうの人に届くかどうかすら分かりません。ただ、忘れない為にここに書いておきます
というのが、この長い停滞期間に出した答えです
このお話を書いたきっかけは
"作中だけでもいいので、タナトスをウクライナに送ってあげて欲しい"
との感想とメールを頂いた事が始まりでした
色々ひっちゃかめっちゃかな部分はあると思います
そろそろお話に行きましょうか!!
今回のお話は上記でお話した通り、ジェミニの元に支援要請が入ります
やはり動くのは医者であるマーカス
そしてお話の先に、ロシアに個人的な怨恨があり、とある人物の出生の謎が明らかになります
一つ、ここでお願いがあります
途中、今まで本編に登場していなかったキャラクター"マキシモ"という人物が出て来ます
お話の都合上、此方の方で先に出させて頂きました
それも踏まえて読んで頂けると幸いです
前置きが長くなりましたが、ここからがお話になります
前書きをお読み頂き、ありがとうございました!!
「おい、イデオット…」
ある日、執務室を出ようとするとガングートに引き止められた
「どうした??」
「その…だな…今、私は複雑な気分だ」
「…」
ガングートの言いたい事は大体分かる
彼女の故郷が戦争状態になっているからだ
それも、宣戦布告した側だ
「私はどうすれば良いのだろうか…」
「ここにいろ。ここが家だろ??」
「うむ…」
簡単な答えのはずが、互いにどうしても言葉に詰まる
「すまない、頭を撫でてくれないか…」
「よしよし…」
ガングートが帽子を脱ぎ、俺は頭を撫でる
いつも何かしてくれたらこれをしているのだが、彼女が口にして求めるのは今回が初めてだ
「心配するな、要請があったらすぐに動く。それまでガングー…」
「貴様も行ってしまう気がしたんだ」
震えた声、震えた体でガングートは言う
「祖国は強い。そして残酷だ…頼むマーカス、行かないでくれ…」
「…久々に名前を呼んでくれたな」
こんなに小さかったか…ガングートは…
元々小さい子だとは思っていたが…
「大丈夫、心配するな…」
ガングートは無言で、一度だけ頷いた
ガングートの後ろにあるテレビでは、連日連夜その報道が流れている
嫌でも分かった…
だけど、直接的な被害が横須賀にある訳では無く、酷い言い方をすれば対岸の火事だ
…だけど今、俺の心で何かが揺らいだ
「もし…もしだ…俺が行くとなったら、ガングートはどうして欲しい??」
「私は…」
ガングートの答えを聞き、俺はもう一度ガングートの頭を撫でた…
戦争の話は艦娘やパイロットの連中にも伝わっている
「隊長!!」
工廠に行くと、作業をしていた涼平が手を止めてこっちに来た
「今日はこっちか??悪いな、動かしまくって」
「第三居住区に持って行く資材を積んでいたんです!!」
「…タシュケントはどうだ??」
俺がそう言うと、いつもの明るい涼平から少し覇気が消える
「…やっぱり、良くないです。祖国に帰ろうかとも言っていますし…」
「もし…俺達に要請があったら…涼平はどっちにつく??」
「隊長の行く所に着いて行きます」
「涼平の意志が聞きたい」
責めるつもりはないが、涼平が目を丸くする
「故郷が無くなる辛さは、自分も良く分かります…」
涼平は故郷の島を焼かれている
だからこそ、今消える可能性があるタシュケントの気を分かってやれるのだろう…
「戦争を始めたのは悪い事です。市民も巻き込んで、子供も赤ちゃんも…もしそれが自分達の手で止められるのなら…自分は彼女の故郷を焼きます」
「すまん…」
「な、何で謝るんですか!!始めたのは向こうです!!隊長は何も…」
俺は涼平の前に一枚の紙を出す
「俺に要請が出た」
「はっ…」
「横須賀じゃなく、俺にだ」
「ま、待ってて下さい!!」
涼平は資材を置き、ボールペンを持って戻って来た
「何をする…」
「貸して下さい!!」
初めて涼平が俺に反発したのを見た
「自分が一緒に行きます!!」
涼平の名前が書かれた要請書を返される
「隊長の医療の補助なら、自分が少しは出来ます!!それに、向こうに簡易病院を作る時に自分が役に立ちます!!」
それを聞いてホッとする
涼平は戦争に行くのではなく、治療に行くと言い張る
「すまん…本当にすまん…」
「隊長…お願いです。二度と一人で悩まないで下さい…」
今度は俺が涼平に無言で一度だけ頷いた…
執務室に戻ると、隊長とラバウルさんがいた
「レイ…クリミア半島に行くらしいな??」
「病院建てるだけさ、すぐ戻る」
「マーカス、私も行きます」
「ラバウルさん…」
「私は別働隊ですが…マーカス、私は少し向こうに用があるのです」
「誰かがここに残らなきゃダメだ!!」
「隊長、横須賀に残って下さい」
急に入って来た横須賀が、隊長は横須賀に残れと言った
「隊長には少しお願いしたい事があるのです」
「レイを一人で行かせる訳にはいかん」
「一人で行かせない為にも残って下さい」
「信じるからな…ジェミニ…」
「空軍は嘘をつきません。レイ、エドガー、作戦概要を伝達するわ、座って。親潮、地図をクラーケンで出して頂戴」
「はい、ジェミニ様」
椅子に座り、クラーケンが起動し、立体地図が机に浮かび出す…
「レイはクリミア半島のセバストポリに向かって頂戴。場所はタナトスに送信したわ」
「ジブラルタル…ダーダネルス…ボスポラス…三回海峡を抜けねばならんか…」
「快諾してくれたわよ、喜んで海峡を開けるって」
「なら問題は無さそうだな…」
「エドガー隊は後に来るサンクトペテルブルクに集結する艦隊の指揮を…ヴィスビューの空港に許可が降りました。ここで補給を受けて下さい」
「どうやってスゥエーデンと??」
「スゥエーデンから来たお弁当売りがたまたま横須賀に在席していたので、連絡を取って貰いました」
ゴトランドがピースしている立体映像が出る
「「ゴトランドか…」」
「資材の積み込みはタナトスに完了、エドガー隊はこのままヴィスビューに向かって下さい」
「畏まりました」
「行って来る」
「相手が敵意を見せたら発砲を許可するわ」
「そのつもりです」
「了解した」
ラバウルさんと共に執務室を出る
「ありがとう、付き合ってくれて」
「構いませんよ。ようやく恨みを晴らせますから」
ラバウルさんの返答に、背筋が凍る
「…その為に??」
「理由としては真っ当なはずですよ??」
「なら、渡したい物がある」
「おや…遂に私もマーカスの武器を頂けるのですか??」
「欲しかったのかよ…」
「えぇ!!マーカスの武器はとても性能が良いと評判ですから、一度頂けない物かと!!」
今日のラバウルさんの声は嬉々としている
その声を聞き、また背筋が凍る…
一度工廠に向かい、横に長いケースを取り出す
「マーカス、私はライフルの扱いは…」
ラバウルさんの思惑を聞き、ケースを開ける
「渡そう渡そうとは思っていたんだが…」
「ほう…これは…」
「最初は主人の手で持って欲しい」
「では…お言葉に甘えて…」
ラバウルさんの手でケースから取り出されたのは、風景をその身に映し出す程磨かれた一振りの刀
「天龍の刀をベースに、アビサルケープのコーティングを施してある」
「斬れ味を試したいのですが…」
ラバウルさんが視線をずらした先に、たまたま離れた場所で準備をしていた涼平がおり、急に両手を上げる
「じ!!自分は一閃しても美味しくないです!!」
「はははは!!」
ラバウルさんの高笑いを耳にし、俺も涼平も体が固まる
「しませんよ!!涼平さんの様な優しい人は!!」
「ならこれはどうですかっ!!」
外に涼平がコロコロ転がして来たのは、廃棄予定の中に水が入ったドラム缶
「構いませんか??」
俺は微笑んだ後、手をドラム缶に向ける
「では…」
ラバウルさんがドラム缶の前に立ち、刀を構える…
俺と涼平は固唾を呑んで見守る…
「フッ!!」
ラバウルさんが一瞬で息を吐いた瞬間、ドラム缶は横一閃で真っ二つになり、右と左に斜めに斬られ、地面に落ちた
「こ、怖ぇ〜…」
「斬られなくて良かったです…」
「刃こぼれ一つすらありません…マーカス、本当に頂いても??」
「お、俺達を斬らないなら!!」
「斬りませんよ…私が斬るのは…」
エドガーが鞘に刀を納める…
「少女を泣かす悪人だけですよ。ではマーカス、このお礼は必ずやお返しします。有り難く頂戴致しますね」
俺は壊れたオモチャの様に頭を高速で縦に振る
「ではマーカス…今度はあちらで会いましょう。涼平さん、マーカスを頼みますよ??」
「は、はいっ!!」
「行こうか」
「了解ですっ」
俺達はタナトスに向かう…
「隊長、自分も連れて行って下さい!!」
タナトスの前にいたのは園崎
「他の三人は??」
「元帥から待機を命じられました。自分は二人の護衛を!!」
「分かった。頼む」
本当は連れて行きたくないのだが…
今回は空戦じゃない、どこまで護ってやれるか分からない
「艦娘はサンクトペテルブルク方面の別働隊に向かっている。俺達はタナトス一隻で正面突破し、セバストポリに入る。いいな??」
「「了解!!」」
「そうだ、ちょっと立て園崎」
「は、はいっ!!」
「お前にこれを預ける…」
園崎の腰に涼平と同じピストルを巻く
「隊長、良いんですか??」
「それで涼平を護ってやってくれ。手が回らんかも知れん」
「了解です、隊長」
「お揃いだぞ??」
「ホントだ!!」
涼平と園崎はその場で抜かずに、ホルスターに入ったまま互いに見せ合う
さぁ行こう、セバストポリに…
「向こうはもっと寒いわ??ちゃんと暖かくしないと…よいしょっ!!」
エドガーは出撃前に、千代田にマフラーを巻いて貰っている
「一つ…お願いがあります」
「これでよしっ!!なぁに??」
「一度だけ、抱き締めて頂いても構いませんか…」
「もぅ…おいで!!」
少女趣味と思われていたエドガーがこの日、一人の男に戻った
千代田の胸に抱かれ、深く呼吸を吐く
千代田はエドガーの頭を母親…それとも姉の様に撫でる
「ありがとうございます…」
「ちゃんと帰って来て、千代田とデートしてよ…いい!?」
「私が人殺しになって帰って来ても、ですか??」
「人殺しになって帰って来ても、よ??」
エドガーはいつもの細目で千代田に笑顔を送り、マフラーで口元を隠す…
あぁ…見送る恐怖とは、この事なのだ…
千代田はエドガーの背中を、機体に乗るまで見送っていた…