艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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ここから先は侵攻作戦になります

マーカス達のいるクリミア半島の裏側で、着々と準備を進めていた魔女と呼ばれる女

その魔女は他の魔女二人すらも配下に置きます


特別編 魔女の大鎌

一方その頃魔女は…

 

「各方面に伝達。ロシアへの支援、輸出入、全部凍結。口座も凍結して」

 

「畏まりました」

 

親潮が一瞬で取引を停止する

 

すると、ものの数秒で電話が鳴る

 

「嫌なら戦争やめんのね」

 

「アンタのトップに言って頂戴」

 

「他のとこの契約もアウトね」

 

「じゃあねぇ〜」

 

「戦争終わったらまた続けたげる。だから待ちなさい」

 

ガシャン!!と受話器を置く

 

置いた途端に電話が鳴る

 

「あーもー何よ!!もしもし!?」

 

その電話はロシアからの電話ではなかった

 

「いつもお世話になってます〜!!あはい!!ご協力感謝します!!えぇ!!えぇ!!宜しくお願いします!!はい!!はい!!畏まりました!!ではまた!!」

 

今度はゆっくりと受話器を置く

 

「ロシアからではないようで」

 

「イタリアのす〜っごい財団よ??」

 

 

 

数日後、セバストポリ…

 

「また帰って来るんだぞ??」

 

「気に入ったよ、この街」

 

「すぐに戻りますから…どうかご無事で!!」

 

「まだやり残した事があります。必ず戻ります」

 

ボリスとしばらくの別れを告げる

 

俺達は一斉攻撃の一員となった

 

ここで一気に戦争を終わらせるつもりだ

 

「マーカス。後は頼んだぞ!!」

 

「一撃で仕留めて来てやるさ!!」

 

「リョーヘー、ソノザキ。君達とはもっと話をしたい。だから、必ず戻って来てくれ!!」

 

「自分ももっとお話したいです!!」

 

「それまでに元気になっていてくれよ??そしたら…俺で良ければ軽くボクシングを教えるから!!」

 

「ルカ、仕事が出来たな??」

 

「はいっ、艦長!!」

 

「三人共来てくれ。こっちに足を用意した」

 

ボリスに言われ、着いて行く

 

「奇跡的に残った奴なんだがな…乗れるか??」

 

「アメリカで死ぬ程乗ったさ!!」

 

「ささ、触っても大丈夫ですか!?」

 

「助けてー!!」

 

ボリスに案内された場所には馬が3頭いる

 

これで何とか近場の空港を目指す

 

「こうやって…撫でてやるんだ」

 

「ここ、こうですか??」

 

「いやーっ!!舐めるな!!ぐわーっ!!」

 

俺と涼平が馬の頭を撫でている横で、園崎がずっと騒いでいる

 

馬はおちょくるかのように厩舎から顔を出し、園崎の顔を舐める

 

「動物嫌いか??」

 

「で、デカいのは苦手なんです!!」

 

「い〜こい〜こ!!」

 

「いよとひとみちゃん、はこんでくだしゃいえ??」

 

いつの間にか園崎の乗る馬の鞍に乗っていたひとみといよは、馬の頭を撫でる

 

すると、舐めるのを止めて頭を擦り付け始めた

 

「ひとみさん、いよさんはここに居た方が…」

 

「みしぁいうきたあ、かあしてあげあす!!」

 

「ほんとれすえ!!」

 

「ここは頼ろう。よし、出るぞ!!」

 

「ひとみといよちゃんあ、おるぁー!!ちます!!」

 

「いくで!!おるぁ!!」

 

「待って!!ちょっと!!あらぁぁぁあ!!」

 

ひとみといよは園崎に手綱を持たせ、走らせると同時に左右の鞄の中に移動する

 

園崎とひとみといよが乗った馬が先に出た

 

「行くぞ。こうするんだ、そらっ!!」

 

「それっ!!うぉぉぉお!?」

 

「待ってるからなー!!」

 

ボリスに見送られ、ベルベク空軍基地を目指す…

 

 

 

 

「マーカス達は出たのか??」

 

「えぇ、出ました。後はお願いします"少将"…私とボリス…そしてルカの友人を守ってやって下さい」

 

「任せておけ。マーカスは友人だ。それに…奴に着いて行けば、ジュル…可愛い少女に囲まれ…いや、何でもない。とにかく任せろ」

 

 

 

 

「きーたきたきた!!」

 

馬を走らせていると、遠くからミサイルが飛んで来るのが見えた

 

「おまかしぇ!!たんぼえおとすれ!!あぅ〜…」

 

「うぁう〜…」

 

ひとみといよのお陰でミサイルはバランスを急激に崩し、その辺の田んぼか畑に落ちる

 

「クソッ…ここまで来てんのか…」

 

ロシア兵の歩兵が見えた

 

戦車も目視するだけで3両はいる

 

「どうします隊長!!」

 

「隊長!!運転中に鹿出て来たらどうします!!」

 

「は!!アクセル全開だ!!よーし!!全員ライフル構えろ!!突っ切るぞ!!」

 

「「了解っ!!」」

 

「いくれいくれいくれ!!」

 

「てんか!!」

 

「ぼしぅ!!」

 

「いたぞマーカスだ!!」

 

「救う事を考えるな!!撃ちまくれ!!」

 

先日のミサイル攻撃のせいで相当頭に来ている涼平と園崎は、それでも的確に武器を持っている肩にライフルの弾を当てて行く

 

「せんしぁ!!」

 

「おまかしぇ!!ほえ!!」

 

「うりぁ!!」

 

ひとみといよが爆弾の導火線に火を点け、すれ違いざまに戦車に放り投げる

 

「脱出しろ!!早く!!」

 

「爆発するぞ逃げろ!!」

 

2両の戦車の乗組員が慌ただしく脱出を図る

 

「何を焦っている!!機銃撃て!!」

 

「…」

 

「機銃放て!!何をしている!!」

 

既に仕留められた射手が肩を抑えて戦車から落ちる

 

「クソッ‼砲を奴に向けろ!!先頭の奴だ!!」

 

「さいなあっ!!」

 

「ばいびー!!」

 

戦車の下に一つ、爆弾を投げ込まれる

 

もう一つはチェーンを巻いた2発の爆弾

 

それが砲塔にグルグルと巻き付き、噛み合った瞬間に全てが爆発し、私達はそのまま走り去る

 

「何なんですかそれ!!」

 

「おーよろりうぺっと!!」

 

「ちぇ〜んぼんば〜!!」

 

どこから出したか未だに分からないが、ひとみもいよもまだまだ爆弾を持っている

 

しかも提供大淀と来た

 

互いに投げた合計3個の小型爆弾で、戦車が見るも無惨な姿になっている

 

「ひとみといよちゃんは、ここえいますえ」

 

「そりぁいけ!!」

 

ひとみといよは馬の左右に設けられた鞄の中に身を潜める…

 

 

 

 

 

「死神を敵に回したのか…我々は…」

 

残ったロシア兵が小銃を構えて俺達に向けて撃っている

 

「もういい!!やめておけ!!」

 

「ですが!!」

 

そこに居た隊長らしき人物が発砲を止める

 

「死神に鎌を突き付けられてる…奴に構うな、死ぬぞ…」

 

そう言ったと同時に、空から独特の音が聞こえた…

 

「サイクロップス…そうか…死神とサイクロップスは繋がっていたのか…」

 

隊長らしき人物は目を閉じた

 

彼が最後に耳にしたのは爆発音だった…

 

 

 

 

「よーし着いた!!」

 

ベルベク空軍基地に着いた

 

問題があるとすれば、乗れる機体があるかどうかだ…

 

馬をウクライナ兵に受け渡し、俺達は空軍基地に足を降ろす

 

「大尉!!お待ちしておりました!!」

 

「機体は‼一服したらすぐにでも出たい!!」

 

「それが…」

 

空軍基地にいたウクライナ兵に、ハンガーまで案内される

 

「残ったのはこれだけで…」

 

「ファルクラムか…」

 

残っていたのは、Mig-29ファルクラムが2機

 

「ほとんどが出払ってしまって…大尉達を送った後、我々も避難します」

 

「あれは??」

 

ハンガーの隣に、もう一つハンガーがあるのに気付いた

 

「あそこにも航空機はあるのですが…動かないんです」

 

「見てみたい」

 

「行きましょう」

 

タバコに火を点けながら、隣のハンガーに向かう

 

「此方です」

 

「なるほど…」

 

そこに"いた"のは、一機の戦闘機

 

「数年前にエイリアンの戦闘機がたまたま不時着しまして…ここに保管してあるのですが…いかんせんどうにも起動すらしないのです…」

 

「隊長、もしかして…」

 

「ふ…起きろっ…」

 

機体を撫で、軽く叩くと、赤くライトが光る

 

保管されていたのは、深海の戦闘機だ

 

それも、恐らく手練

 

何故不時着したのかは分からないが、何かあったのだろう

 

「大尉、これは…」

 

「俺は敵じゃない…お前を救ってくれた奴がピンチなんだ…」

 

「カエリ、タイ…」

 

赤く光り、敵意を見せていたライトが青く優しく光る…

 

「お前の故郷も無くなるかも知れないんだ…頼む、俺に力を貸してくれ…」

 

「イイヨ…マーカスサン…ガンバッテミル」

 

「知ってるのか??」

 

「リョーヘークン、シュリサンダンナ」

 

「そ、そうです!!自分が涼平で!!シュリさん旦那です!!」

 

「サカラウ、シ。ジョーホーモラッタ」

 

「ふふ…よしっ!!じゃあ行く前にお前のご飯にしような!!」

 

「大尉!!これに乗るのですか!?」

 

「乗り慣れてるんだ、こいつが良い。弾薬を積んでやってくれ!!」

 

「了解!!」

 

ウクライナ兵が行ったのを見て、機体の方に振り返る

 

「家はどこだ??」

 

「ココ。ハッチアケルカラ、ミテ」

 

ハッチが開き、機体に乗る

 

「どれっ…」

 

「ココ」

 

モニターには、ゴットランド島が表示されている

 

「終わったらここに送り届ける。約束する」

 

「ウレシイ」

 

「隊長〜!!」

 

「どんな感じなんですか〜!!」

 

「オトモダチ??」

 

「そっ。今から一緒に戦うんだ」

 

「ドウゾ、"イーディス"ノナカヘ」

 

流れる様に名前を言った

 

彼女の名前はイーディス

 

はぐれ艦載機だ

 

「イーディスって言うのか??」

 

「イーディス。ワタシノナマエ」

 

「し、失礼します!!」

 

「失礼しますっ!!」

 

「おぉ〜…」

 

「ひおい!!」

 

涼平と園崎、そしてひとみといよが来た

 

「イーディスハ、デンシセンキ。デモ、タイクーセンモトクイ」

 

「俺は偵察機のパイロットなんだ。メチャクチャ飛ばすぞ??」

 

「ソウツクラレテル。ダイジョーブ、ミンナマモル」

 

「自分は涼平ですっ!!」

 

「園崎だ!!よろしくな!!」

 

「ひとみ!!」

 

「いよ!!」

 

「ヨロシク、ミナサン。ソノフタリ、イイニオイ」

 

「せあろ??」

 

「いいこ!!いーですいーこ!!」

 

「凄い…自分達の戦闘機と全然違います…」

 

「隊長は深海の戦闘機を運転してたと聞きました」

 

「そっ。フィリップって言ってな…」

 

「フィリップ…キイタコトアル。メチャツヨ」

 

「イーディスは分かる子だ。良い子だ!!」

 

「アヤツジ少尉!!ソノザキ少尉!!機体にご案内します!!」

 

「隊長、自分達も行きます!!」

 

「すぐに追い付きます!!」

 

「よし、俺もすぐに出る!!」

 

涼平と園崎が機体へと向かう

 

外部カメラから見えるのは、涼平と園崎が話した後、拳を合わせて互いの機体へと向かっている映像だ

 

「マーカスサンノブカ。イーコ」

 

「あの二人は、今第二の人生を歩み始めたばっかりなんだ…」

 

「ナラ、チャントカエシテアゲナキャ」

 

「そうだなっ…イーディスもちゃんと帰るんだぞ??」

 

「オーケー」

 

「よし…ワイバーン、出る!!」

 

「ヒトミサン、イヨサン、シートベルトヲシマシタカ??」

 

「ちた!!」

 

「かちんちた!!」

 

ひとみといよは二人で一人の席に座っている

 

懐かしいな…フィリップと同じだ…

 

「行くぞっ!!」

 

「いけー!!」

 

「すたと!!」

 

イーディスが滑走路へと出る…

 

 

 

 

《ワイバーン、二人が上がった!!》

 

二機のMig-29が滑走路から上がり、着陸脚を収めているのが見える

 

「よしイーディス。上がったら一発だけ試射させてくれ」

 

「リョーカイ。ウェポンシステムキドウ」

 

「ワイバーン、出る!!」

 

イーディスも空へと上がる

 

《我々は退避する!!横須賀の勇士、来てくれてありがとう!!》

 

「奴等を叩きのめしたら、また遊びに来るさ!!」

 

《新婚旅行にでも来ますよ!!》

 

《今度はバカンスに来る!!》

 

涙声が聞こえた後《必ずまた会おう!!》との無線を最後に、ベルベク空軍基地との通信が終わる…

 

「テッキ、サン」

 

俺達の離陸に感付いたのか、ロシア機が来た

 

「イーディス。俺が本当に深海の戦闘機に乗っていたか…まだ信用してないだろ??」

 

「アナタノチカラ、ミテミタイ」

 

「ふ…分かった。二人は援護を頼む。さぁ…久し振りに一発かますぞ!!」

 

《左を貰います!!》

 

《オーケー、右は任せろ!!》

 

「ウェポン01!!」

 

イーディスの腹部ハッチに搭載されている武装が切り替わる

 

「ガンノシャテイナイ」

 

ウェポン01は強力な機銃

 

貫通力と命中力に非常に優れている

 

「一機やった。ウェポン02!!」

 

再び武装が切り替わる

 

「行けっ!!」

 

「トウシャ」

 

トリガーを引くと、涼平が追い掛け回していた敵機に緑色の発光物が放たれ、爆発する

 

「はっは〜!!ど〜だぁ!!」

 

《なんですか今の!!》

 

《一機撃墜!!レーダークリア!!》

 

園崎の方も敵機を撃墜し終わる

 

《何か緑の変なもん見えたんですけど!?》

 

「イーディスの武装さ。俺も昔、コイツに苦労させられたよ…」

 

ウェポン02はとにかく弾速が速い一撃必殺の砲の様な物

 

一度調査をしてみた時、特殊な火薬を用いている為に緑色に発光している様に見えると分かった

 

連射こそ出来ないが、しっかり狙えば対地対空何方でも可能な万能な武装だ

 

「スコシマエ、キイタコトガアリマス」

 

「何をだ??」

 

「ワタシタチハ、ムジンキ。デスガ、リカイシャガアラワレタトキ、ソノセイノウハコウジョウスル、ト」

 

「今上がってるのか??」

 

「ハイ。ムジンジョウタイヨリ、38%コウジョウシテイマス」

 

「ふ…ありがたい事だ。これで俺もお前も帰れる可能性が増えた」

 

「フタリノ…イエ、コノバニイルミカタガチカラヲアワセレバ、カエレルカノウセイハヒヤクテキニジョウショウシマス」

 

《俺もいつか乗れるのか…》

 

《どうしました??》

 

《俺もいつか深海の戦闘機に乗ってみたいんだ…カッチョいいよな??》

 

園崎の夢が急に語られる

 

横須賀に来てからどんどんと新しい事に挑戦したりしているのは知っていたが、深海の戦闘機に乗ってみたいとは知らなかった

 

近くに最強格の深海戦闘機に乗っている奴がいればそうなるか…

 

「カッチョイイ」

 

「スマートで強いって事だ」

 

「…」

 

イーディスは急に黙り込んでしまった

 

「てえてあす!!」

 

「はずかち〜!!っていってう!!」

 

「カンタイガシュウケツシテイマス」

 

「あれか…」

 

雲が途切れ、眼下に艦隊が見えた

 

《ワイバーンね!!聞こえる!?》

 

イントレピッドから通信が入る

 

艦隊の中にはイントレピッドDauもいるのが見える

 

「聞こえる!!凄い数だな!!」

 

《ここで一気に仕留めるわ!!一旦ヴィスビューで補給して!!そこに皆の機体もあるわ!!》

 

「了解した!!」

 

《ココニオイトク??》

 

《ソッ、リョーチャンタチガトリニクルノ!!》

 

《これが噂に聞いたホワイトベルか…なるほど、良い機体だな!!》

 

無線からシュリさん達の声が聞こえた

 

それと、聞き覚えのある声も…

 

今はとにかく着陸しよう

 

 

 

 

着陸し、涼平達がファルクラムから降り、それぞれが乗り慣れた機体へと向かう

 

「イーディス」

 

「ナンデショウ」

 

「ここで帰るんだ。家までの場所は分かるか??」

 

「ハイ。ソコニ」

 

イーディスに言われ、視線を前に向ける

 

そこにいたのは、古傷を負ったヲ級

 

「イーディス!!」

 

「オカーサン!!」

 

「おか〜しゃんいってう!!」

 

「よかったですえ!!」

 

「…」

 

後にひとみといよは語る

 

この時の俺は、いつもと同じ父親の顔をしていた…と

 

イーディスから降りると、すぐにヲ級が来た

 

「アリガトウゴザイマス!!アァ…ヨカッタ…」

 

「アンタの心配をずっとしてた。良い子を持ったな??」

 

「ウンッ…マーカスサン、アッチニキタイガアルヨ!!」

 

「知ってるのか??」

 

「マーカスサン、ユーメー。ココニモクルヨ、ジョーホー。アッチノヌキュー、ナオシテクレタ!!」

 

「あいつは良い奴だ。子供が好きでな…迷子を探してくれたり、はぐれた子と遊んでくれたりしてな??」

 

「イイキチナンダネ!!」

 

「いつか遊びに来い。さーて、一仕事終わらせるか!!」

 

「ヒトミチャン、イヨチャンハ、ワタシトイコーネ!!」

 

「しゅいしゃん!!」

 

「りぉ〜ちぁんのとこいく??」

 

ひとみといよはシュリさんの所に行き、艤装の上に乗る

 

「フタリハマカセテ!!リョーチャンヲオネガイシマス!!」

 

「任せたぞ!!」

 

「き〜つけてな〜」

 

「はよかえってこいお〜」

 

三人に見送られ、グリフォンに乗る

 

《久し振りの深海の戦闘機はどうだった??》

 

此方も久し振りの気がするきそ、もといグリフォン

 

ここ最近は勝手にヘラが乗っている事が多かったからな…

 

やはり、ここ一番はきそが良い気がする

 

《チンタラしてないで早く行くわよ!!》

 

目の前でYF-23が離陸して行く

 

《姫がお怒りだ!!行こう!!》

 

「よし。ワイバーン、出る!!」

 

俺達も離陸する…

 

 

 

 

《作戦概要を伝達するわ》

 

横須賀の声が無線から聞こえる

 

《制海権は此方側が奪取したわ。ここから制空権及びロシアの都市部に打撃を与えるわ》

 

「サンクトペテルブルクか…」

 

攻撃位置はクロンシュタット軍港とプルコヴォ空港に設定されている

 

先んじて偵察に行った連中が情報を手に入れたのか、軍港には多数の軍艦、空港には戦闘機が多数配備されている

 

俺達が攻撃するのは空港側だ

 

《航空隊は敵航空機の排除、及び地上の近接航空支援を。地上部隊はあのバカを探して引っ捕らえて。そしたら…私がテーブルに座るわ》

 

《ワシもおるからの!!二人で経済的にトドメを刺してやる!!はっはっは!!》

 

《誰だ…》

 

ばーちゃんみたいな話し方をする、まだ若そうな声が無線から聞こえた

 

《まぁ後で教えてやろう!!女は秘密が多い方が面白いじゃろ??》

 

「気に入ったぜ…」

 

《隊長、12時方向から所属不明機が…》

 

レーダーにギリギリ映る位置に所属不明機が1機表示される

 

《ワタシモイキマス》

 

現れたのはイーディス

 

「二人共いいな??」

 

《勿論です!!》

 

《へへっ!!了解っ!!》

 

「よーしイーディス、編成に入れ!!一気に叩きのめすぞ!!」

 

《リョーカイ、ワイバーン》

 

イーディスのIFFが味方に切り替わる

 

4機編成の状態で空港に向かう…

 

 

 

 

《軍港は始まってるみたいです》

 

《既に向こう側は何隻かやられてんな》

 

先手の空爆が成功したのか、ロシア側の軍艦の何隻かから黒煙が上がっている

 

「しかし…何でサンクトペテルブルクなんだ??」

 

《ここを取って、モスクワを射程圏内にするんでしょうか??》

 

《ウクライナ側から来たらハゲがうるせぇじゃねぇのか??アイツ、ただでさえ我々から攻撃していない〜とかまだ言ってんだろ??》

 

「《あり得る…》」

 

《12ジホーコー、ミカタキ、セッキン》

 

高速で接近する味方機が3機

 

《とっととぶっ潰して帰るぞ!!》

 

《久々の実戦だ。暴れさせて貰う》

 

《爆撃が終われば、私は少々地上によ…》

 

無線が途切れるレベルで高速でかっ飛ばして行く、F-14、F/A-18、そしてSu-57

 

どれもミチミチに爆装してやがる…

 

本気だな…

 

よし…こっちも行くか!!

 

「目標を視認した。交戦開始!!」

 

 

 

 

《滑走路はあまり爆撃しないで!!駐機中の敵機と上がったのをやって!!》

 

横須賀の無線が聞こえ、目の前で先発隊がハンガーに爆撃を開始しているのが見えた

 

《檻の中には熊がいっぱいだ!!はは!!燃えろ燃えろ!!》

 

《隊長、対空砲はおまかせを》

 

《邪魔だ!!》

 

先発隊の3機がかなりの武装や航空機を破壊してくれている

 

《道は開けたぞ!!駐機中の戦闘機を任せる!!》

 

「仕事の時間だ行くぞ!!」

 

()()!()!()

 

《リョウカイ、コウゲキタイセーニハイリマス》

 

4機は攻撃態勢に入る…

 

 

 

 

数時間前、ヴィスビュー…

 

「よっこらしょっ…と」

 

グリフォンや震電達を空母から降ろし終わり、きそはグリフォンから一旦出て来た

 

「お疲れ様。もぅ、手間の掛かる子ね…地球の裏側まで来るなんて…」

 

出てすぐに叢雲が待ってくれていた

 

「ホントは怪我した人を治しに来たんだ…」

 

「そうね…ならっ!!さっさと終わらせて、お家に帰るわよ!!」

 

きそは微笑んで歩いて行く叢雲を送る

 

「弾薬と燃料を詰め込んでくれ!!目一杯だ!!」

 

即座にグリフォン達の補給と点検が始まる

 

「ヴィンセントさん」

 

「きそさん」

 

大規模な作戦が始まる前に、ヴィンセントは一息ついていた

 

タバコを吸って、いつものクロワッサンとアイスクリームを食べている

 

「僕も終わったらそれ食べて見よっかな!!」

 

「美味しいですよ。一つどうです??」

 

「ありがとう!!」

 

ヴィンセントには一つ気になっている事があった

 

それは、とある人物の事…

 

「きそさん」

 

「なぁに??」

 

「この作戦で、ロシアは瀕死に陥ります…軍事的政治的、それと経済的にも…」

 

「経済的はお母さんがするんでしょ??」

 

「そうです。恐らく、政治的にもトドメを刺す事になります」

 

きそも分かっている

 

この作戦で、そのまま国の頭を取る事を…

 

「今、マーカスが何と呼ばれているかはご存知でしょう??」

 

「死神か悪魔だよね…レイは物凄く嫌うけど…」

 

「横須賀にはもう一人"執行人"と呼ばれる人物がいるのです」

 

「リチャードさんの事??」

 

ヴィンセントはきそを見たまま、首を横に振る

 

「彼の事情はよくは知りません。ただ、ロシアに対して強い恨みを持ち、恨みを返す為に今日この場にいます」

 

ヴィンセントの目線の先には、壁にもたれてタバコを吸っている男が見えた

 

横顔で海を見つめ、目を開いている彼

 

腰には、この時代に似つかわない"刀"を携えている

 

彼はきそ達より少し前にここに来て、ロシアに対して打撃を与え続けている

 

恐れる事はないのか…

 

それとも、敵とすら見ていないのか…

 

「彼が探しているのは、自分の人生を奪った根幹です…空港を奪取すれば、彼は地に降りるでしょう」

 

「僕が着いて行くよ」

 

「止めなくていいんです。ただ…護ってあげてくれませんか。執行人としての彼に戻ってしまえば、きっと帰る道を見失ってしまいます」

 

「帰り道見失う人の道案内は慣れてるよ!!」

 

「ありがとう…帰ったら、またこれを食べましょう、奢りますから!!」

 

「大丈夫、心配するな。だよ!!」

 

ヴィンセントは気付く

 

マーカスに近い艦娘程、この言葉を放つ

 

まるで合言葉の様に、口癖の様に

 

そしていつも、誰かを安心させてくれる

 

「頼む!!通してくれ!!」

 

「立ち入り禁止です!!」

 

ゲートの所が騒がしい

 

ヴィンセントもきそもそちらに目を向け、二人はすぐに立ち上がる

 

「どうした??」

 

「この女性がゲートの中に入ろうとして…」

 

「頼む!!戦わせてくれ!!私は艦娘だ!!」

 

「…離してやれ」

 

女性が離され、ヴィンセントの前に来る

 

止めていたヴィンセントの部下は、既に腰に手が回っている…

 

「すまない…ありがとう…」

 

「その気になれば跳ね除けられたでしょう??」

 

「そうだな…それより、私に砲を貸してはくれないだろうか…」

 

「何故です。艦娘とはいえ、激戦区の中においそれと放り込む訳には行きません」

 

「息子が戦ってるんだ!!だから…」

 

息子、という言葉にヴィンセントはたじろぐ

 

「大丈夫ヴィンセントさん。この人は敵じゃないよ」

 

「一応、横須賀に確認を取ります」

 

「うむ…すまない…」

 

ヴィンセントが連絡を入れている最中、きそは女性と顔を合わせる

 

「傷は大丈夫??」

 

「ん…限界は来ていたんだがな。しばらく戦わないと、体が鈍るんだ」

 

「旦那さんは??」

 

「元気さ。あれから世界を旅して、自分達の終の棲家を見つけた。そしたらこれでな」

 

「そっか…」

 

「許可が取れました。此方へ。きそさんもご一緒に」

 

三人でガンビアの中に入る…

 

 

 

「これをお使い下さい」

 

広い兵器庫の奥に鎮座していた、戦艦用の艤装

 

誰にも使われる事無く、ピカピカに磨かれた艤装は誰かを待っている様にも思える…

 

「大切な物ではないのか??もっと年期の入った物でも…」

 

「非常に強力な主砲です。ですが…貴方になら扱えるでしょう」

 

ヴィンセントは彼女の顔を見る事なく、艤装を見て砲の説明をする

 

「貴方にフィットするかは分かりませんが…使い熟せる事を祈ります」

 

「ありがとう…必ずここに返しに来る!!」

 

ヴィンセントは少し悲しそうに頷く

 

何か思い出がありそうな顔だ

 

彼女が艤装を装着している間、変わらずヴィンセントは何か悲しそうな目をする

 

「あの艤装に思い出あるの??」

 

「いやぁ…きそさんには見抜かれますかっ…」

 

きそはその目を見て気付く

 

あぁ…これはきっと、愛した人にあげるつもりだった艤装なんだと…

 

「よし…準備完了だ!!」

 

「良く似合ってますよ」

 

「良いね!!カッコいいよ!!」

 

彼女は一人の少女に戻った様に微笑む

 

元は艦娘、今は"老楽の恋"に身を委ねた女

 

義理とはいえ、息子の為に今一度戦火に身を差し出した

 

ヴィンセントときそは彼女と共にエレベーターに乗り、作戦を伝達する

 

「我々は長距離支援砲撃及び近接航空支援により、味方の援護に回ります。座標を送信しますので、適時砲撃をお願いします」

 

「了解した!!」

 

「見送ったら、僕はレイの所に行くよ!!」

 

「よし…戦艦"長門"出る!!」

 

彼女の正体は長門

 

長い旅に出て終の棲家を見つけたのだが、今こうして再び砲を握った

 

義理の息子、そして今の家を奪われないように…

 

「きそちゃん、私は艦橋に入ります」

 

「オッケー。僕もレイの所に行く!!」

 

きそはマーカスの所に行こうとした

 

ヴィンセントはきそを背中で見送り、ずっと長門の方を見ている…

 

「気になりますか??」

 

こっそり様子を伺っていた、刀を携えている男性

 

「そうだな…あれは大切な装備だ…」

 

「ふ…守る物が増えましたよ。ご心配なさらず。私が地に足を付く前に、貴方の元に送りますから」

 

彼は咥えていたタバコを指で弾いて海へと捨て、自身の機体へと向かう

 

「…エドガー」

 

彼の名前はエドガー

 

今、彼がここに立つ理由を知っている人間は少ない

 

「…奪われた物は取り返せません。ですが、償わせる事位は許されるでしょう…違いますか??」

 

「違う。エドガー」

 

「何です??」

 

「貴様が帰還する事が入っていない」

 

「ふふ…誰かに感化されましたか??」

 

「そうかも知れないな…」

 

「ご心配なさらず。言ったでしょう、守る物が増えました、と」

 

「必ず帰って来い。何があっても。終わってから吸え」

 

そう言って、ヴィンセントは右手とタバコを差し出す

 

「承知しました。ありがたく頂戴しますよ」

 

エドガーは左手でタバコを受け取り、ヴィンセントと腕を当て合う

 

 

 

エドガーの左手の薬指には、指環が付けられていた…

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