オルゴールを修理したマーカスは、ふと潜水艦娘の子達の定期検診をしようと考えます
その中に何故か一人、見慣れない子が混じっていました…
※ブリキの兵隊というお話を先に読んで頂けるとより物語が楽しめるかと思います
次の日、工廠…
「これで、よしっ…さ、開けてみな!!」
「うむっ!!」
ライコビッチのオルゴールが工廠の中で流れ始める…
「は…ありがとうっ、マーカス…」
一瞬見せたライコビッチの母親…もとい姉の顔…
その顔を見て、レイは父親の顔をする…
「いつでもっ」
「お姉ちゃんは優秀な弟を持って幸せだ!!何か礼をしたい…チューではダメか??」
「暇潰しにやったんだ。気にしないでくれ」
「じゃ、早速試しに行きましょう」
「うむっ!!」
「えっ何それ…」
私とライコビッチが園児部に向かうのを見て、レイは気になったのか後ろを着いて来た
園児部ではお昼寝の時間
なのに何人かは起きている
「白露〜お昼寝の時間だぞ〜??」
「しれすか??」
「死んでない死んでない…みんなネンネしてるんだぞ??」
一番凶暴な赤ちゃんである白露は"何故か"レイの言う事を聞くので、ここに来たら基本任されている
白露はレイの所にいるとよくお喋りするのだけど…相変わらず物騒な事を言っている
「吹雪はアタシね!!」
そんなレイを見ていると、足元に吹雪が来てくれた
吹雪は抱っこすると必ず私の胸に頭を置いて来る
「よし、コロチャンもネンネだぞ??」
「私は寝ないわ!!それよりホーネット寝かせてよ!!」
「コロチャンネンネ、ホーネットもネンネ」
「よしよし…一緒にネンネだなっ…」
白露の次に暴れん坊なのがコロラド
たまにここに預けられて、ホーネットが抱えているのを見る
レイは白露の横でお腹をポンポンし始める
私も吹雪を寝かせて顔を撫でる
ライコビッチは…
「コロチャンココ来て!!」
「いーやっ!!アンタ潰して来るでしょ!!」
「コッチ!!」
「お姉ちゃんがここにいる。大丈夫だっ」
「うぐぬぬ…分かったわよ…」
コロラドはワキの下からライコビッチに抱えられ、ホーネットのお腹の上に置かれる
「ネンネしようねコロチャン!!」
「うぅ…てぃーほうじゃないのよ…」
ライコビッチは直ったオルゴールを赤ちゃん達の真ん中に置く…
優しい音楽が流れる…
「その曲…」
「あぁ…曲調が気に入ってな…」
俺が潜水艦娘の子達を緊急招集する時に流す曲と同じ物がオルゴールから流れている
「それで思い出した!!定期検診だ!!ちょっくら行って来る!!」
「後で様子見に行くわね!!」
「ありがとうマーカス!!」
子供達もお昼寝を始めたので園児部を出る
来たのは工廠
裏にある武器庫の中に隠してあるバイオリンを取り出して来て、広場に向かう…
木の周りにあるベンチ、その下にシートを敷いて、検査キットも置いて、オルゴールと同じ曲を引く…
時々こうして緊急招集のチェックもしておきたい…
誰が一番早く来るかな…
「あら、お父様。珍しいわね??」
「人がお菓子食ってんのに緊急招集掛けんじゃね〜でち!!」
「ヨナも〜来ましたよ〜」
「マーカス様が緊急招集とは珍しいですね…」
「きまちた!!」
「あんかありあしたか??」
「呼んだ!?しおい来たよ!!」
「たまたま近くにいたニム!!」
大体集まったので、バイオリンを引くのを止める
「悪いな…たまに緊急招集のチェックしとかないとな。それとっ、定期検診しときたい!!」
「それもそうね。分かったわ、よろしくお父様」
ヒュプノスを筆頭に1列に並んでくれたので簡単に定期検診を行う…
「痛い所は無いか??」
「ありあしぇん!!」
「いよ、あ〜…」
「あ〜…」
順調に検診が終わって行く…
「…あらっ!!お前は何処の子かなぁ!?」
「…」
見た事無い子が最後に並んでいた
見た所、潜水艦の子で間違いはないみたいだが、問題は初見だと言う事
ひとみといよよりは少し大きく、口を小さく開けたまま、ボケーっとした顔で俺を見て来るが、中々可愛い子だ
「あら可愛い子。お父様に会いに来たの??」
ヒュプノスの問い掛けに、謎の艦娘は小さく何度か頷く
「よしっ。じゃあお前も診ようなっ!!お名前は??」
そう言うと、謎の艦娘は頭を横に振る…
「そっか…じゃあ、とりあえずは…」
「胸のとこに何か書いてあるでち」
「ちょっと見せてくれ…」
そう言うと、ちゃんと胸を張って見せてくれる
「"36"か…なら、サm…」
「"みぃむ"ちゃんは〜、どうですかぁ〜??」
「よしっ!!じゃあお前はミィムだ。いいか??」
ヨナに名付けて貰い、ミィムは頷く
「どれどれ…」
ミィムの検診が始まる…
「あ〜…」
ミィムは言葉を発さないまま、俺と同じく口を開ける…
「声帯が発達しきってないな…もうちょっとでお話出来るからな??」
ミィムは変わらず小さく何度か頷く
「他に痛い痛い所はあるか??」
すると、ミィムは自身の胸に手を置く
「ちょっと聴かせてくれ…」
聴診器でミィムの心音を聴く…
心音が弱い…
無傷そうに見えて、何処か内部的なダメージを負っている可能性がある
聴診器を取り、ミィムの目を見る
目は大丈夫そうだ…
「よしっ、ミィム。ちょっとちゃんと検査してみような??時間はあるか??」
またもミィムは同じ様に頷く
「みんな呼んで悪かったな!!お小遣いを…あらっ!?」
ポケットに入れていた財布が無い!!
「雷電姉妹が言ってたでち。創造主はシケた金しか持ってね〜でちって!!」
「おまっ!!いつの間に!?」
タナトスがニヤけ顔で俺の財布を持っている!!
「タナトスは招集代高いんでち。ま、こんくらいで勘弁してやるでち!!」
タナトスは財布から札を全部抜き取る
「全部じゃね〜か!!」
「皆でお菓子とおもちゃでも買いに行って来るでち」
「頼んだぞ??」
「返せとか言わないでちか??」
「最近小遣いあげてなかったからな…」
「ま、いいでち。引率は任されたでち!!」
「はげのちょこえ〜とかう!!」
「し〜うかう!!」
タナトスを筆頭に、殆どが駄菓子屋へと向かう…
残ったのはヒュプノスとはっちゃんだけ…
「すまん…全部やられた…」
「私はいいわ??いつもお父様と会った時に買って貰ってるからね??」
「はっちゃんも構いません!!」
「すまん…よしっ、ミィム。俺ともうちょっと検査しような??」
やっぱり同じ様に頷いた後、ミィムは俺の手を握る…
工廠に着き、本格的なミィムの検査を始める
1時間後…
「あら…特に異常は無いわ??」
「元々心音が弱いのでしょうか…」
外部から調べてみても、ミィムの異常は見当たらない
だが、何となくこの心音の弱さは引っかかる…
「マーカス様。はっちゃんが電子の海側からカプセルを操作します」
「すまん、頼んだ」
はっちゃんが電子の海に入り、カプセルにミィムを入れる
「あら??新しい子??」
やっとジェミニが来てくれた
「分からん…緊急招集を掛けたらいたんだ…どっから来たかも分からん…」
「ここ、いてもいい??」
「ヒュプノスとコーヒー淹れて待っててくれ」
「「分かったわ」」
俺とはっちゃんでミィムの検査を進める…
《マーカス様。分かりました》
「聞かせてくれ」
《ミィムは幾つかの内臓器官が入れ替えられています》
「なんだって!?」
驚くのも無理はない
ミィムのお腹、背中には縫い傷が無いからだ
考えられるとしたら…
「誰かがカプセルでミィムの修復をしたのか…」
《その可能性があります。ミィム自体が自己修復機能をほんの少し持ち合わせている様ですが、入れ替えられた内臓器官には自己修復機能が作動していません》
「そうなると自己修復に対応した内臓器官に変える必要があるのか…」
《可能です。マーカス様、切除手術をお願いします。その後カプセル内で新しく同じ内臓器官を生成、結合、作動させます》
「よし分かった。入れ替える必要がある内臓器官をリストアップしてくれ」
《了解しました》
手術の準備をしながら、はっちゃんがリストアップしてくれた情報を見る…
「右肺、肝臓、やっぱり心臓か…」
《可能ですか??》
「任せろ」
《しかしマーカス様…一体誰がこの様な事をしてくれたのでしょう…》
「考えたんだがな…この臓器はミィムが何とか生きられるように失った場所を補填した形跡がある。ギリギリの所でミィムを救ったんだ」
《艦娘にこんな手術を出来る外科医がいると??》
「分からん…ま、再生が終わってからミィムの口から聞くとしよう」
《畏まりました》
「術式開始。胸部切開」
ミィムの手術が始まる…
3時間後…
「状況終了。カプセル投入による再生」
《了解。再生開始》
「終わり!!」
マスクをゴミ箱に捨て、サージカルキャップやらを脱ぐ
《お疲れ様でした、マーカス様》
「ちょっと休憩すらぁ。はっちゃんも来い!!」
《すぐに向かいます》
手術を終え、ジェミニとヒュプノスの所に来た
「終わった??」
「あぁ。後はカプセルで再生に入るだけだ。問題は無い」
「お疲れ様。お父様の好きなコーヒー淹れたわ??」
「ありがとう…ふぅ…」
ヒュプノスからコーヒーを貰い、一息つける…
「あの子は過去に手術を受けた痕跡がある」
「艦娘の手術をしたって事よね…」
「あぁ。しかし誰がやったんだ…」
「気になる事はなかったの??」
「そうだな…」
少し考える…
取り出した臓器…
もし考えられるとしたら、そこに何かがある…
「…取り出した臓器」
「肺、肝臓、それと心臓ね??」
「あれは人工的に作られた奴だった…見た事はあるんだが…古いモンだ。拒絶反応は無いが、必要最低限しか機能しない」
「それを使ってた時期はどうかしら??」
「あれは確か深海が出始めた頃だ。その頃は画期的だったんだがな…今はカプセルで出来るからな??」
「そうね…それでミィムも助かったんだもの!!」
「マーカス様がいなければ気付いていません!!」
ヒュプノスとはっちゃんの言葉で謎に包まれた雰囲気が明るくなる
「あ、ねぇ!!ミィムがもし行き場所無いなら、ウチで預かってライコビッチに見させてあげましょうよ!!」
「大丈夫か…ペロペロしないか??」
「大丈夫よお父様。ライコビッチ、保母さんしてから」
「似合いそうだな…根は子供好きだからな??」
「マーカス様。はっちゃん、久々にヒュプノスとご飯を食べたいです!!」
「おぉ!!行っておいで!!ちょっと待ってな…え〜と…」
財布を出そうとしたが、タナトスに全部持って行かれたのを思い出した…
「アタシがあげるわ!!これで食べてらっしゃい!!」
「ありがとうございます!!」
「ありがと、お母様」
二人が気を使って工廠から出て行った…
ミィムがカプセルから出て来るまでジェミニと二人きりになる…
「何処から来たのかしらね??」
「緊急招集掛けたらシレッといたんだ…」
《再生終了。カプセルを解放します》
「体が小さいからすぐだな…行くぞ」
「えぇ」
カプセルに入れて30分もしない内に再生が終わる
体が小さいのに加え、検査で分かった多少の自己修復機能があるからこんなに早く終わった
「終わったぞミィム!!」
「もう大丈夫よ!!」
カプセルから起き上がり、俺とジェミニを交互に見るミィム
「もう大丈夫だからな??」
「おいで!!」
ジェミニが手を広げると、ミィムはジェミニに抱き着いた
「ん~っ!!何処から来たの〜??」
ミィムはジェミニと額を合わせ、まるで娘の様にジェミニに甘えて、安心しきった顔を見せている…
俺は二人から離れた出入り口まで身を引き、タバコに火を点ける
「ん??なぁに??」
ミィムは何か話そうとしている
「体は治ったが、声帯はまだかも知れないな…成長に任せるしかないな…」
「あぁっ!!じゃあ〜、お姉ちゃんといっぱいお喋りしましょうね??」
「ふ…」
ライコビッチと同じ様な事を言い、鼻で笑いながら外に紫煙を吐き出す…
「俺はマーカス、こっちのお姉さんはジェミニだ」
「貴方はミィム。36番じゃないわ??ミィム、いい??」
まだ声帯が発達していないので、やっぱりミィムはコクコク頷いている
「それにしても、ホントに何処から来たのかしら…緊急招集で来るって事は、何かあんのよきっと」
「どうだろうな…そうだミィム!!お絵かきは好きか??」
俺は引き出しから色鉛筆と紙を出し、ミィムに渡す
するとミィムは手を伸ばしてジェミニから降りようとする
「何か机みたいなのないかしら…」
「ここに段ボールがある。あ、行った行った」
ミィムは段ボールの前に座り、その上でお絵かきを始めた
「何でもいいぞ??好きな食べ物とか、動物とか、何でもな??」
「お姉さんとお兄さんはここでコーヒー飲んでるからね??」
ミィムはもうお絵かきに夢中
ひとみといよとおんなじで、上から見ると口が尖って見える
しばらくすると、ミィムは俺の所に描いた絵を持って来てくれた
「おっ!!ありがとう!!」
「あらっ!!アタシとアンタね!!」
「真ん中にいるのはミィムだな??」
ミィムはまたちょっと笑って頷く
描いてあったのは俺、ジェミニ、そしてその真ん中にミィムがいる、3人が笑っている絵
ちゃんと裏の端っこに今しがた付けられた名前である"みぃむ"と書いてある
文字の読み書きも出来るみたいだな…
「これ、お兄さんの宝物にしてもいいか??」
そのままミィムは2度頷いてくれた
「あっ…」
ジェミニはここで気付く
こうやって、俺の宝物は増えて行く…
「じゃあ、お兄さんはミィムの絵をしまってくるから、お姉さんとお家に行って、ご飯食べようか!!」
言ってる事は全部伝わっている
ミィムはちゃんとジェミニの方に手を広げている
「後で来なさいよ??」
「すぐ行くよ!!」
俺はミィムの絵を持って、自室に戻る…
自室の引き出しを開け、あのファイルを出す
もう随分使っているから、ボロボロになって来た
ファイルに入れるついでに絵を見てみる
「…」
色んな子供達の記録がそこにある
横須賀の子供や基地の子供が描いてくれたり、授業の一環で提出された物だ
1枚、また1枚と捲っていく…
「…ん??」
ふと、1枚の絵で手が止まる…
同じ構図の絵があった
俺、ジェミニ、そしてその真ん中に艦娘…
気になって絵をファイルから取り出し、良く見てみる
この絵の俺は白衣を着ている
今しがた貰った絵は黒い革ジャンを着ている
ジェミニの絵はほとんど同じ…
艦娘の絵、そして俺の服装が違う
心臓の音が全身に響く…
呼吸も少し荒くなっていく…
ゆっくり絵を裏返す…
今しがた貰った絵の裏…その右下には"みぃむ"と書いてあった…
裏返したその絵の右下は今、俺の右手で見えなくなっている‥
ゆっくり右手を離す…
"36"
全ての辻褄が、この絵で合う
そういう事だったのか…
艦娘は名前を呼ばれたり、思ってくれている人の所に戻ろうとする…
長い長い時間を掛けて、ミィムは俺の所に戻って来たんだ…
ファイルに絵を入れて、急いでジェミニの所に戻る…
「おかえりなさい。今日はここでご飯よ??」
「ただいま…な、ミィム??」
俺の言葉に反応して、ミィムが振り向く
「清霜に貰ったの。それで会話出来るわ??」
ミィムの手には砂鉄ボードがある
これで文字が書けるので、俺はミィムに聞いてみた
「ミィム…ちょ〜っと俺とお話しようか。あの人は誰だ??」
手を振るジェミニを他所に、ミィムはボードに文字を書く…
【おねーちゃん】
「なら…俺は誰だ??」
ミィムはまたボードに書く…
「お姉ちゃんにも見せ…はっ…」
「…」
文字が見えない…
あぁ、泣いてるのか、俺は…
ミィムが書き上がった文字を見せている…
「嘘っ…」
「俺は一度もミィムに"それで"自己紹介してない…なのに…」
「ミィム!!貴方今まで何処行ってたの!!」
ミィムがボードに書いた文字…
そこには
【せんせ】
と書かれていた…
一粒涙を零して、ミィムを抱き締めるジェミニ
俺は二人をただただ見つめていた…
「心配したのよ…」
ミィムが頭を擦るのはジェミニの癖が移っていたからか…
「どうしてあの時行っちゃったの??」
【せんせとおねーちゃん】
【みぃむだいすき】
【しんでほしくなかった】
「バカっ…もうっ…死んだらそこで終わっちゃうのよっ…」
【もうしない】
【おねーちゃんもせんせも】
【みぃむのせいでないちゃったから】
【ごめんなさい】
「謝るのはっ、こっちだっ…ありがとうな??」
小さな命の恩人が今、手元に戻る
過去にミィムの手術をしたのは俺か…
そうだったか…
「あっ、そうだわミィム。今まで何処にいたの??」
【あびさるゆーとぴあ】
「水没地域だ…何で気付かなかったんだ…」
アビサルユートピアには一度行っている
「過去に緊急招集を掛けた事があった…もしかして、その時も来てくれようとしてたのか??」
【とちゅうでおとがきえちゃった】
「す、すまん…」
「でもミィムには緊急招集機能は付いてないでしょ??どうして…」
【みぃむおとわかる】
【ふたごのこがおとだす】
【そしたらみぃむもいく】
「ごめんなミィム。忙しいけど、ここにその双子の子の顔のお絵描き出来るか??ジェミニ、ちょっとそれ取ってくれ」
大体は分かっているが、確証が欲しい
ミィムはすぐにジェミニから画用紙を取り、描き始める…
数分でミィムが描いた絵を俺に渡してくれた
「やっぱり…」
「あの子達にもお礼しないといけないわね??」
描かれていたのは予想通りひとみといよ
確かひとみといよは今、横須賀にいるはず…
ひとみといよはたまに広場にいる…
しかしもう時間は夕方…パイロット寮辺りで夕ご飯の手伝いでもしているだろうか…
とは言え、一息付けたい
さっき定期検診をしていた場所と同じベンチに座って、タバコに火を点けて深く息を吐く…
「あえまちたか??」
「おはなちできた??」
いつの間にか二人が横に来ていたが、そのままタバコを吸いながら話す
「ありがとう…感謝してもしきれない…」
「なかないれ…」
「ないたああきあしぇん!!わあってくだしゃい!!わっはっはっは!!」
ひとみは頬を撫でてくれて、いよは目の前で腰に手を当てて高笑いをしてくれている
「そうだなっ…すまん…すまんっ…」
「らいこびちよぶ??」
「泣かないっ…」
いよがライコビッチを呼ぶと言い出したので泣き止む
「ミィムは…俺が昔助けられなかった子なんだ…」
「いまたすけてくえまちた!!」
「いまかあはじまう!!」
ひとみといよの言葉に救われた…
「…手伝ってくれるか??」
「もちおん!!」
「いまかあなにはじまうか、えいしゃんちってう??」
「何だろう…俺にはまだ分からん…」
「だいにらうんどだっ!!」
「なるほど…」
ひとみといよは俺の前でニコニコしてくれている
「あ!!みぃむちぁんきた!!」
「あそこにいるわ!!行っといで!!」
ミィムはジェミニの手から離れ、俺達の所に来た
「おっ!!よいしょっ!!」
タバコの火を足で消して、ミィムを抱き止める…
命の音が聞こえる…
ちゃんと力強く鼓動している…
【ふたごちゃんありがとう】
「ひとみ!!」
「いよ!!」
【みぃむ】
「あにすき??」
【せんせ、おねーちゃん】
【ひとみ、いよ】
「たかあものできた??」
【これ】
ミィムのいう"これ"とはボードの事
よく見るとさっき使っていたボードと違う
【おねーちゃんにかってもらった】
「おたかあれきた!!」
「よかったよかった!!」
【せんせ】
「ん??」
【せんせのたからものは?】
ようやく言えそうだ…
胸を張って、ようやく…
「俺の宝物はな…」
俺の宝物は、今この場にいる4人しか知らない
だけど、どの艦娘も知っている
一番分かり易くて、それでも一番分かり難い
それを艦娘達がいつの日か気付いてくれれば良い…
ミィム…36ちゃん
緊急招集の中に混じっていた潜水艦娘
過去のマーカスやジェミニを知っており、少し前に自分を思っていてくれた為にようやく戻って来た
体の損傷は長い時間を掛けて自己修復機能で治ったが、当時組み替えて貰った内臓器官は当時のままの為、今回"本来のミィム"に戻して貰った
声帯がまだ未発達だが、文字の読み書きは出来るので砂鉄ボードで会話する
ジェミニの動きを模倣して動いている節があり、額を相手の額に擦る癖がある
この行動は作中では深海特有の行動で、ミィムも同じ事が出来る可能性がある