艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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334話が終わりました

今回はルートが2つあります

このお話のAルート

そしてこの後に続くBルート

どちらから読んで頂いても構いません

どちらかを読んで頂いたら、もう片方はその裏側で行われていた…もしくは"あったかも知れない"道です

どちらにもちょっとした謎の解決であったり、物語の核心に触れる部分がありますので、良ければ両方読んで頂けると幸いです



Aルートの方は、横須賀の基地に初期型のカプセルがあったルートです

雷の影響で急に起動した初期型のカプセル

中から出て来た艦娘の謎を解く為、大淀が時間旅行に出掛けます



335話(Aルート) そばかすのお姉さん

「うぁー!!」

 

「ぐぁー!!」

 

工廠でひとみといよがちょっと窓を開けると、とんでもない風が吹き込み、ひとみといよが吹っ飛ばされる

 

その先にはマットがあり、そこにポスポスと落ちる遊びをしている

 

「もういっかいすう!!」

 

「いくで!!」

 

日本には夏になると台風が来る

 

今日は基地に帰れそうにないな…

 

「えいしゃん、あにちてうの??」

 

「おべんきぉ〜??」

 

「ん〜??みんなのカルテ見てるんだ!!」

 

雨が降ってそろそろ雷が鳴りそうなので、紙媒体で作業をしている

 

「あ!!いたいた!!ひとみ!!いよ!!ご飯出来たわよ!!おいでっ!!」

 

「よこしゅかしゃんら!!」

 

「えいしゃんもいく!?」

 

「カプセルの様子見たらすぐ行くよ!!」

 

ジェミニに二人を任せ、カプセルのチェックに入る

 

《マーカス様。雷雨が接近しています》

 

「カプセルの幾つかを操作可能にしておきたいんだ。何があるかっ!!分からんからな!!」

 

作業をしたり、荷物を移動したりしながら、PCの中にいるはっちゃんと話す

 

《手動操作に切り替えますか??》

 

「いやっ…いざとなれば久々にメインに頼るよ!!」

 

《畏まりました。こっちはこっちでれーべさんとまっくすさんが面白いですよ??》

 

「どんな感じだ??」

 

《動画を再生します》

 

《ドナーショック!!》

 

《ブリッツバスター》

 

「なんちゅう遊びだ…」

 

雷が鳴りそうなタイミングで技の名前を言い、どちらが先に技を出せるかで遊んでいる

 

「これでよしっ。準備完了!!アイリス、心配掛けてすまんな??」

 

《少し通信状態が悪い場合がありますが、何かあればいつでも言って下さい。ではご飯を食べます》

 

「ありがとう」

 

はっちゃんとの通信が終わり、もう少しだけカプセルの様子を見ようとした時だった

 

「ぐわわわわ!!」

 

カプセルに雷が落ち、俺は感電

 

その場で意識を失った…

 

 

 

 

「いっつつ…」

 

何分、何時間経ったか分からないがようやく気絶から治った

 

まだ若干体がビリビリする…

 

「はっ!!」

 

すぐにカプセルが気になり、様子を見る

 

数基あるカプセルはほとんどが問題なく稼働している

 

1つを除いて…

 

「何だ…コマンド??」

 

落雷の影響で建造指示が出ている

 

建造終了はあと数十分…

 

何が出て来るか分からないが、少し待とう

 

その間に何故建造コマンドが出たか確かめるか…

 

「レイ君!!大丈夫かい!?」

 

大淀が来てくれた

 

「俺は大丈夫だ。いや〜ビビったビビった!!いきなり雷落ちてな!!」

 

「なら良いけど…建造かい??」

 

「雷が落ちてな…急に建造コマンドが動き出したんだ。原因が分からん…」

 

「どれどれ…」

 

大淀は問題のカプセルにあるコンソールを操作する

 

このカプセルは初期型のカプセル

 

言うなればオリジナルだ

 

オリジナルが故に頑丈で使い易い

 

そいつに雷が落ち、今建造が行われている

 

現に雷が落ちても多少謎の挙動をしただけで稼働はしている

 

「素体生成に膨大なエネルギー量を要する…どういう事…」

 

「自分で考えて建造したってのか…??」

 

大淀の言い方は、このカプセル自体が何かを考え、自身の思考の結果建造をしている

 

「レイ君…ここのカプセルはコレ以外空かい??」

 

「あぁ。今は建造も治療もしてない」

 

「マザーシステムを切ってみよう…もしかすると切れない可能性があるんだ…」

 

「工廠だけで良いか??」

 

「うん。考えられるのは2つ。全部のカプセルが停止するか、このカプセルだけ稼働したままか…もしこのカプセルだけ稼働したままなら…」

 

「今造られてるのはマザーシステム…」

 

もしそうなれば、今後カプセルが稼働出来ない自体に陥る

 

このカプセルはAIの子達が操作可能な様に教育をしているが、マザーシステムがその役割の大半を担っている

 

より適切な治療を、より迅速に、より的確に

 

そしてその名前はこの初期型のカプセルと同じ…

 

「そういう事…」

 

「仕方ない…手遅れになる可能性もあるからな…」

 

「どの道一度落雷の影響で放電させなきゃいけないしね!!」

 

「切るぞ」

 

「オッケー!!」

 

カプセルが並べられている中心辺りに立ち、インカムを付ける

 

「"モガドール"緊急停止。放電体制に移行」

 

ガコン…ガコン…ガコン…

 

3つの新型カプセルが稼働を停止

 

そして、いつもなら何かしら言語による応答があるが、今回は無い

 

そして、初期型カプセル"モガドール"は…

 

「やっぱり動いてる…何なら、他のカプセルの稼働を停止したからその分のエネルギーがこっちに集約されてる…」

 

「大淀…タイマーが…」

 

タイマーが0を表示する…

 

カバーがゆっくりと上に上がる…

 

俺と大淀は恐る恐る中を見る…

 

雷に打たれたせいか、白い煙が邪魔をして中が見えない…

 

「イレギュラーだったからね…もしかしたら産まれてないのかな…」

 

「何かあんのか…」

 

俺は白い煙の中に手を入れた

 

「んひゃおう!!」

 

「レイ君!?」

 

急に白い煙の中から腕が現れ、俺の手を取った

 

「放してくれ!!放し…」

 

そう言うと、手はすぐに離された

 

そろそろ煙が晴れる…

 

「コイツは…」

 

「これが私のボディ…」

 

急に起き上がって来たので、俺も大淀も後退りし、大淀に至っては腰に手を回している

 

軽巡くらいのボディの女性だ…

 

小柄な大人の女性に見える…

 

「自衛隊の手先じゃないだろうね??」

 

「自衛隊…自衛隊とは一体…」

 

「とりあえずカプセルの再起動をする」

 

再度インカムを付け、再起動をかける

 

「モガドール。カプセルを再起動してくれ」

 

「畏まりました」

 

無言のまま、ゆっくり彼女に目を向ける…

 

彼女はカプセルの方を見ている

 

すると、目線を合わせたカプセルから起動して行く…

 

「マザーシステムじゃん…」

 

「マザーシステムだな…」

 

「…」

 

「…」

 

大淀も俺も彼女を見つめて一瞬時間が止まる…

 

彼女はキョトンとした目で俺達を見ている…

 

「え、これからカプセルどうしよっか??」

 

大淀の言葉で時間が動き出す

 

「そこの所はご心配なく。モガはキチンとコピーを造って置きましたから」

 

「そっか…」

 

「…」

 

「レイ君、大丈夫??」

 

「俺の事は覚えてるか??」

 

そう言うと、モガドールは俺を見てちょっと笑った後、頷いた

 

「なになに??知り合い??」

 

「そんな所さっ…」

 

 

 

レイ君はマザーシステム"モガドール"のボディを見て、久々にホッとした顔をした

 

何かあったんだろうね…

 

ごめんよレイ君…

 

大淀さん、流石に二人の関係は気になり過ぎるから…

 

執務室に戻って、朝霜ちゃんの所に来た

 

「朝霜ちゃんバット貸して!!ありがとう!!」

 

「早い早い待てってば!!チクショウ…」

 

朝霜ちゃんからバットを借りて時間旅行だ!!

 

 

 

 

時間はそうだね…何となくの勘でレイ君がカプセルを完成させる少し前にしよう!!

 

「よっと」

 

いざ到着!!

 

「さてさて…確かレイ君は…」

 

この時代のレイ君は大体中学生か高校生位かな??

 

「待てって言ったろ!!」

 

「朝霜ちゃん!!」

 

遅れて朝霜ちゃんも来た

 

「大淀さんが心配??」

 

「い…いやぁ〜…父さんの若い頃ってさ、知んねぇなぁって…」

 

レイ君と同じ癖だ

 

目を逸らして、後頭部を掻いていてる

 

「じゃ行ってみよ〜!!」

 

「目的地分かってんのか??」

 

「分かるよ!!この時代のレイ君は大淀さんの研究所にいるからね!!」

 

「そか…」

 

朝霜ちゃんと歩いて研究所に向かう

 

な〜んにもない、のどかな場所だ…

 

この時は幸せだったなぁ〜…

 

な〜んにも無いけど、大淀さんと、レイ君と二人きりでずっと研究してたもんなぁ〜

 

「ここどこだ??」

 

「ないしょっ!!さ、着いたよ!!」

 

「アタイが押す!!」

 

こういう朝霜ちゃんの子供っぽい所、可愛くて好きだなぁ…

 

「ありゃ、いないね??」

 

「どっか行ってんのか??」

 

「博士に用か??」

 

「あ!!レイ君!!大よ…」

 

「ダメだって!!」

 

朝霜ちゃんが大淀さんの口を抑える

 

危ない危ない…バレちゃダメなんだ…

 

「博士、何やってんだ??」

 

大淀さんをこの時代の大淀さんと間違えてる!!

 

多分大丈夫だね!!

 

「アタイはギザギザ丸さ!!博士のお友達なんだ!!」

 

「そ、そうだよ!!レイ君にも紹介しようかなって思ってたんだ!!」

 

「そっか…」

 

「レイ君はどこ行ってたんだい??」

 

「お、俺は…ちょっとその辺を散歩だ!!」

 

さっきの朝霜ちゃんと同じだ

 

目を逸らして、後頭部を掻いてる

 

「その…何だ。中に入って、ジュースでも飲もう」

 

「そうしようねレイ君!!んふふ!!」

 

「心底惚れてんだな〜…」

 

若い頃のレイ君と一緒に研究所の中に入る

 

「博士はこれ…ギザギザ丸は…これな??」

 

朝霜ちゃんの前にアイスが乗ったメロンソーダが置かれる

 

「何でアタイはクソ…クリームソーダなんだ??」

 

「何となくだ。嫌だったか??」

 

「んなこたねぇ!!あんがとな!!」

 

「んふふ!!」

 

「それにっ…何だか分からんが、他人の気がしない…あ、俺に似てんのか??」

 

「そ、そだな!!多分似てんだな!!」

 

「ふ…」

 

レイ君は自分の分の飲み物を淹れる為に椅子から立ち上がった

 

「…めっちゃイケメンじゃねぇか」

 

朝霜ちゃんがこっそり話す

 

「…でしょ??大淀さんが好きなの分かってくれた??」

 

「何の話だ??」

 

「レイ君がイケメンだってお話してたんだ!!」

 

「今日、何かあったか??」

 

「ううん!?な〜んにもないよ!!何にもないから素敵な1日だと思うんだ!!」

 

「そうだなっ…」

 

レイ君は笑ってアイスコーヒーを飲む…

 

アイスコーヒー…

 

「レイ君、それレイ君が淹れたの??」

 

「飲みたかったか??」

 

「ううん??レイ君、コーヒー自分で淹れないから珍しいなって」

 

「ダメだって…」

 

「ヤバッ…ゴメンゴメン…」

 

朝霜ちゃんにツッコまれ、今マズい事を言ったのに気が付いた

 

「もう少し散歩して来る」

 

「気を付けてね!!」

 

「じゃあな、ギザギザ丸」

 

「お、おぅ…」

 

そう言って、レイ君は朝霜ちゃんの頭を撫でて外に出て行った

 

「ヤベ〜…撫で方まで一緒だ…」

 

「この頃から親としての本能あったんだね…」

 

朝霜ちゃんと話しながら外に出る

 

目的はレイ君の尾行だ…

 

「なぁ大淀さん」

 

「なんだい??」

 

「アタイ、考えた事あんだ。父さんの父性ってさ…大淀さんが揺すったんじゃね〜のか??って」

 

「どういう事だい??」

 

「ほら、父さんって他の艦娘の人達の母性を目覚めさせんの早いだろ??大淀さんが母性開花させて、大淀さんが父さんの父性を開花させたんじゃね〜のか??って」

 

「ちょっとそれ帰ったら詳しく聞かせてくれるかい」

 

初耳の事案が出て来たので、朝霜ちゃんの肩を掴んで真剣な目で見る

 

「お、おぅ!!勿論だぜ!!」

 

「おっと…どっかに入ったね…」

 

レイ君は研究所からちょっと離れた所にあるレンガ造りの建物に入って行った…

 

大淀さんと朝霜ちゃんはこっそり近付き、中を覗く…

 

どうやら民家みたいだ

 

「いつもありがとう、少年…」

 

「今はこれ位しかしてやれないけど…もうすぐ治療出来る」

 

レイ君はそばかすが特徴的な、レイ君より年上の女の子に薬を飲ませている

 

「体が良くなったら"モガ"がお嫁さんになってあげる。どうかな??」

 

「ふふ…頑張るよ!!」

 

大淀さんだけが見るのをやめる

 

「嘘…」

 

「あんだよ。あのそばかすのねーちゃんに何かあんのか??」

 

「後で話すよ…」

 

もう一回、レイ君達に視線を戻す…

 

「もう一度、パンを焼けるような体にする。約束するよ」

 

「モガは少年が心配だよ…無理しないでね??」

 

「ん…」

 

レイ君を手招きして、おでこを擦り合わせてる…

 

「よし…ぶっ殺そう!!ねっ!!」

 

「ねっ!!じゃねぇ!!ダーメだっつってんだろ!!」

 

「誰かいんのか??」

 

「逃げよう!!」

 

「おっしゃ!!」

 

レイ君が近付いたので、急いでバットで逃げた

 

 

 

「よっと」

 

「よっ、と!!」

 

ちょっと時間が進んだ

 

多分、もうカプセルが完成してるハズ…

 

にしても不安だ…

 

レイ君はアイスコーヒーを淹れていた…

 

何か嫌な事が起こりそうな予感だ…

 

「待て小僧!!」

 

「退け!!」

 

レイ君が返り血で真っ赤になりながら、誰かを抱えて研究所に走って入って行った

 

「なんだ貴様ら。邪魔だ!!」

 

「軍の人間が何の用かな」

 

「アタイらに何か用か」

 

軍服を着た人間の行く手を塞ぐ

 

必死のレイ君に間違いはない

 

「貴様らに用は無い。用があるのはあの小僧だががが!!」

 

顎を掴んでそのまま圧し折る

 

「へー、あっそう。で、何人いんの??こんだけ??」

 

ぱっと見ただけで5、6人だ

 

「ごめんね朝霜ちゃん。大淀さんね…レイ君泣かせる奴、時代が変わっても許さないんだ」

 

「しゃ〜ね〜なぁ…」

 

朝霜ちゃんもそんじょそこらの軍人より強い

 

ものの数分で全員が片付く

 

「ど、どうか慈悲を…」

 

「あ、ごめん。大淀さん慈悲持ってないんだ」

 

「報告されたら困んだわ」

 

「一人見せしめにヤっちゃおっか??」

 

「だな」

 

「ぐぁぁぁぁあ!!」

 

電気ショックを与えて、麦畑の中心に放り投げた

 

「報告したらぶっ殺すからね!!」

 

「アタイ達を舐めんなよ!!」

 

ま…どの道この地域は深海の侵攻で地図から消える…

 

放って置いてもどうせ死ぬけど、今はいいかな

 

そんな事よりレイ君だ!!

 

研究所に戻り、レイ君の所に向かう

 

「いた…」

 

「待て、様子がおかしい…」

 

カプセルの前で何かの操作をしているレイ君が見えた

 

「少年…ごめん…モガ、お嫁さんになってあげられないかも…」

 

「いいんだ…いいんだ、お姉さん…」

 

レイ君はカプセルに浸けたあのそばかすの女の子の手を握って、小さく肩を揺らしている

 

…泣いてるんだ

 

「ここなら誰にも襲われる心配はない…病気の心配も痛みも無い…ゆっくり眠れる…」

 

「ありがとう…少年…モガ、眠くなって来たな…」

 

「すぐ迎えに行く…」

 

「お嫁…さん…」

 

女の子の手がカプセルの溶液に落ちる…

 

「何で…何で消えたんだ!!」

 

「レイ君…」

 

「何でだ…何を間違えたんだ!!」

 

「…」

 

「教えてくれ…頼む…人を救う装置じゃなかったのか…」

 

レイ君はカプセルを両手で小突いた後、その場に崩れ落ちた…

 

「レイ君…」

 

見ていられなくて、駆け寄って、抱き締めてしまう…

 

「憎イ…奴等ガ憎イ…」

 

「大丈夫…大丈夫だよ…」

 

どんどん深海化してってる…

 

レイ君の深海化は"怒り"によって振り起される

 

ダメだ…このままじゃ…

 

「レイ君はよ〜くやってくれたよ…助けようとしてくれたんだよね…」

 

「ウグググ…」

 

大淀さんの手に血が落ちる…

 

違う…これ涙だ…

 

もう深海化しちゃってるレイ君の爪が大淀さんの腕に喰い込む…

 

「レイ君…」

 

「大丈夫だぜ…よくやったよ…」

 

反対側に朝霜ちゃんがくっ付いた

 

「次の命に繋いだんだ。いいか??アンタはこれからもっと命を救うんだぜ??」

 

「イノチ…」

 

「忘れんな…いつでもアンタは誰かを救うんだ…大淀さんも、アタイも…いっぱいいっぱい、アンタに救われたんだ…」

 

「…」

 

落ち着いて来てる…

 

「あ、レイ君。じゃあこれ見て!!」

 

血がダラダラ出てる大淀さんの腕をレイ君に見せる

 

「血ガ…」

 

「いっくよ〜!!」

 

何のためらいもなく、カプセルに腕を浸して、また出す

 

「ほらね!!」

 

腕の傷は、もうほとんど治っていた

 

「レイ君が気に病む必要ないよ。いいかい??」

 

床にへたり込んだレイ君の前に屈む

 

「いっぱい泣いていいよ…いっぱい泣いて、君はまた誰かを救うんだ…」

 

レイ君をぎゅーっと抱き締める

 

ジェミニちゃんには負けちゃうけど…今誰かがレイ君の心を繋ぎ止めておかないと…

 

「未来で待ってるかんな!!」

 

「赦して…レイ君っ…!!」

 

「がっ…」

 

最後にレイ君に電気ショックを当てて、カプセルに入れる…

 

全部、忘れたら良いんだけど…

 

それが出来ないから人間なのかも知れない…

 

「朝霜ちゃん…大淀さん、ちょっとお仕事出来ちゃった…」

 

「奇遇だな…アタイもだぜ…」

 

「じゃあね、レイ君…未来で待ってるっ…」

 

「すぐ会おうな!!」

 

研究所の外に出ると、軍の人間が固まっていた

 

「投降せよ!!さもなくば発砲する!!」

 

「撃つなら覚悟しなよ」

 

「痛い目見んぜ」

 

「撃て!!」

 

 

 

 

現代に戻って来た…

 

「時間旅行してたの??」

 

「んまぁそんなトコだ!!」

 

「ちょっとレイ君の所行ってくるね!!」

 

「待ちなさい二人共」

 

ジェミニちゃんに引き止められる

 

ジェミニちゃんも女の勘が鋭いからなぁ…

 

「ちゃんと顔拭いてから行きなさい。ほらっ!!」

 

ジェミニちゃんにタオルを投げて貰う

 

「ありがとう!!」

 

「聞かねぇのか??」

 

「そうね…」

 

ジェミニちゃんは腰に手を当てて、大淀さん達を見てため息を吐く

 

「誰か助けて来たんでしょ??聞かないでおいたげるわ??」

 

「ありがとうジェミニちゃん…」

 

「あんがとな!!」

 

タオルを置き、レイ君の所に走る

 

「うぁ…」

 

「あんだ…??」

 

工廠に入ると、とても甘い匂いがした

 

ビスケットに付けるクリームみたいな匂いだ

 

それも優しい匂いだ、胃に残るような嫌な匂いじゃない

 

凄く眠たくなる匂いだ…

 

「少年。美味しいかい??」

 

「美味い…何十年振りだろうな…」

 

レイ君はいつものPCの前の椅子に座ってパンを食べてる

 

「おーおーあんだ??美人さんだな!!」

 

「君だね、モガドール」

 

「そうです」

 

「大淀」

 

「なんだいレイ君??」

 

レイ君はパンを食べ終えて、タバコに火を点けて背中を見せてる

 

「あの日…俺を繋ぎ止めてくれたのはどっちだ??」

 

「どっちと思う??」

 

「答えない方が幸せか??」

 

「そうだね…そっちの方が良いかも知んない…」

 

「…ありがとう」

 

「何にもしてないよ…」

 

モガドールの前でレイ君を後ろから抱き締める

 

 

 

 

大淀の腕に手を置く…

 

そこに答えはあった

 

俺が崩れ落ちたあの日、繋ぎ止めてくれたのは今俺に抱き着いてくれている大淀だ

 

まだ腕に傷が残っている…

 

俺のせいだ…

 

俺があの日、もっと早くたどり着いていれば…

 

俺があの時、もっと早く奴等に気付いていれば…

 

「少年」

 

「おっ…」

 

モガドールは俺がまだホントに少年だった時にしてくたのと同じ様に、顔を掴んで額を合わせて擦り合わせる…

 

「ねぇ…これって…」

 

「深海のコミュニケーションだ…」

 

モガドールは額を離す…

 

「こっちの人も…」

 

「ん、いいよっ!!」

 

大淀にも額を合わせて擦り合わせる

 

「そっかそっか…君もレイ君の事が…」

 

「少年はモガを安全な所に連れて行ってくれた…随分と時間が掛かったけど…やっと会えた」

 

「な!!アタイもこれ食っていいか!?」

 

朝霜はもう一つあったパンの前にいた

 

「いいよ。君のお父さんが好きなパンだよ」

 

「んじゃ頂くぜ!!」

 

「何でお父さんって知ってるんだ??」

 

「カプセルから見てた。少年の長女で、少年に一番良く似てる」

 

「ンメェ〜!!」

 

「食べ方も似てるよね…」

 

「アタイは父さんみたいに肉にフォークぶっ刺して食わね〜ぜ??」

 

「香取め…」

 

香取の野郎…チクったな??

 

やっぱ学ばなきゃならんか…

 

ホントに朝霜に言われるとは…

 

「ひとみちゃんといよちゃんもテーブルマナー意外にしっかりしてるよ??」

 

「くっ…」

 

「父さんは飯に箸ぶっ刺すし、スープは皿抱えて行くし、マナーはダメダメだな!!」

 

「少年、携行食しかあんまり食べないから…」

 

「そういう事だぞ!!」

 

モガドールの補助が入り、ここから一気に形勢逆て…

 

「「言い訳になってない!!」」

 

「学びますよ!!学びます学びます!!」

 

大淀と朝霜に詰められ、学ぶ事を決める

 

確かにそうだ、うん

 

子供達にも教えにゃならんからな??

 

「モガと一緒に覚えようね??」

 

「よしっ、そうしようそうしよう!!」

 

モガドールなら大丈夫だ

 

香取みたいにバシバシ叩かないし、横からグダグダ言わねぇしな!!

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