長い間書き直しをしていました。申し訳ございません
言い訳にしか聞こえないかと思いますが、数十話の書き直しを今現在もしています
少しずつ上がって来たので、書き直した、若しくは一からやり直したお話をまた少しずつ貼って行こうと思います
今回のお話は、神通さんが帰って来るお話です
このお話の凄く序盤で一瞬だけ出て来た神通さんですが、それ以来基地で見る事がありませんでした
シュギョーを終えた神通は、通常の神通より強い神通になって、横須賀に戻ります
「レイ、神通が帰って来るの。お迎えお願いしていい??」
「お、分かった」
毎度毎度当日報告の癖は治らないので良い加減怒る気力も無くなって来た
数年前にちょっと行って来ますと言ったきり帰って来なかった
向こうの居心地が良かったのかとも思っていたが、どうも帰って来るらしい
「懐かしいわね…神通が一番最初に懐いたのアンタだもん」
「治療してやっただけさっ」
数年前…
俺がここに来る前から神通は居た
駆逐の訓練をしていたり、夜中は地下ライブをしていた時期もあったな…
当時の神通はとにかくアタリがキツかった
「人間に頼りません。どうせ貴方も神通を駒としてしか見ていないのでしょう??」
「神通に関わらないで下さい」
「人間は神通の敵です。貴方もいつか神通の敵に回るのでしょう??馴れ合いは不要です」
「今は深海を倒していますが…事が終われば人間も殺します。貴方も含めて」
懐く余地もなかった
神通は横須賀に来る前に別の基地にいたらしいのだが、そこで物として扱われた
神通達艦娘は備品として扱われ、死ねば代わりがいるとまで言われていた
人間に恨みを持つのも無理もない…
挙げ句、神通は一度深海に鹵獲されている
基地のトップに盾として扱われ、捕らえられ、一時期深海としても活動をしていた記録もある
その基地は今はもう更地
トップも更地になった時に、親指は発見されたが行方知れずになっている
深海化してしまった神通を連れ帰ったのが雷電姉妹
それから神通はずっと深海化したまま横須賀で過ごしていた…
「砲に頼るのは二流…いえ、三流のする事です」
「神通に艤装を??施しなど結構です」
深海化してはいたが、神通は破格の強さを誇っていた
砲に頼る事無く、深海を一刀両断にして行く
そして、傷も山程負っていた
「触らないで下さい。この位、食べて寝れば収まりますから」
何度も突っぱねられたが、ある日、帰投すら不可能な程の怪我を負ってしまった
行動不能に陥り、誰かが迎えに行かねばならない位の傷だ、今でも覚えてる
帰投した艦娘は、神通はここで死ぬのだと伝える
いてもたってもいられなくなり、ジェットスキーで迎えに行った
大怪我を負い、もう歩く事すら困難な神通が何とか立っていた
「帰るぞ神通」
「ニンゲンが…施シ何か受けマセン…」
ほとんど深海化していた神通の横を走り、何度も手を差し伸べる
しばらくすると、神通は歩みを止め、海上に膝を落とした
「触らナイデ貰えマスカ…」
「ダメだ、連れて帰る」
神通の腕を引き、背中に置いて基地に戻る
「急患だ!!医務室開けてくれ!!」
《無理よ!!今他の艦娘がいっぱい来てんのよ!!》
無線で横須賀に連絡を取るも、医務室は満床
「言ったでショ…置いて行っテ…」
「ダメだ。絶対連れ帰る」
「何ヲそこまで…」
「工廠!!カプセル空いてるか!!」
《今確認します!!》
「1個空にしてくれ!!急患だ!!」
《1個空いてます!!》
「誰も入れるな!!他の患者は俺が面倒見る!!」
《了解!!》
無線を切り、スピードを上げる
「しっかり掴まってろよ??」
「…」
言葉はなかったが、腰に回った手にほんの少し力がこもった…
工廠裏の発着場に着き、神通を降ろす
「さぁ着いた!!もう大丈夫だからな!!」
「…」
疲労と痛みで神通は気を失っていた
「大丈夫…心配するな…」
神通をカプセルに入れ、フタを閉める
数時間後…
「おはよう、神通??」
「おはようございます…」
不機嫌そうに神通が目覚める
それを迎えたのは横須賀
「随分無茶したみたいね」
「は…貴方がやれと言ったのでは??」
鼻で笑い、神通は返す
「生きて帰れとも言ったはずよ」
「聞けない命令です」
「じゃあアンタを死物狂いで助けに行ったあの子はどうなんのよ」
横須賀は神通から目を反らし、俺の方を見る
未だ続く診察と治療をしている俺がそこにいた
神通も俺の方を見る…
「救助要請は出していません。彼が勝手に来ただけです」
「そう…」
横須賀はビンタの体勢に入る
「やめとけ。俺の患者だ」
いつの間にか診察を終えていた俺に腕を取られる
「ならちゃんと診なさいよ」
「すまんすまん。ありがとな…」
「どれ、神通。ちょっと診せてくれるか??」
顎を持ち、左右に向ける
特に傷は残っていない
「口開けてごらん」
嫌そうに少し口を開ける
口内に異常は見当たらない
「少し聞かせてくれよ…」
服の上から聴診器を当てる…
心音…内臓…異常はないな…
「よしっ!!よく頑張ったな!!」
聴診器をポケットにしまい、椅子から立って薬を作る
「救助要請は出していません」
「そうだな…確かに出してない。俺が勝手にやっただけだ」
「どうして置いて行かなかったのですか」
「…神通」
「どうして置いて行かなかったのですかと聞いているんです」
振り返ると、まるで親を殺した仇を見るかの様な力強く、怒りのこもった目をした神通がいた
「死ねば楽になるんです。深海に犯された体から開放されるんです」
「神通」
もう一度、神通の前に座り直す
「恋をした事はあるか??」
「そんなのありません。したくもないです」
「ハンバーガーを食べた事は??」
「ありません。食べたくもないです」
「かわいいぬいぐるみを抱っこした事は??」
「そんなのは三流のする事です」
「何にも楽しんでないな…」
「誰が産んでくれと頼んだんですか。私は頼んでません。なのに、勝手に産んで、勝手に捨てて…」
「命令されるのは嫌いか??」
「えぇ、大嫌いです。虫唾が走ります」
「なら、どうして聞いてくれた」
「死ねると思ったからです」
「そう言うな…折角助かった命だろ??」
「何度も言いますが、救助要請を出した覚えはありません」
神通は淡々と答えた
人間なんかの施しなんか受けない
救われた事は屈辱だと言わんばかりに…
「そっか…すまなかったな…」
「次は助けて貰わなくて結構ですから」
神通はそのまま工廠を出て行ってしまった
「何でアンタが謝ってんのよ!!」
「良いんだ、これで…」
「もぅ…」
その時の俺は、酷く落ち込んだ顔をしていたらしい
自分では気付けなかった…
「フッ!!」
神通は病み上がりのまま、訓練に勤しむ
相変わらず砲は使わず、基地の備品である軽巡級に支給される刀を用いて的を斬る
「良い斬れ味ですね??」
「貴方はラバウルの…」
神通は手を止め、ラバウルさんを睨む
「随分マーカスに当たったそうで」
「えぇ。助けてくれなんて頼んでませんから」
「昔からあぁなんですよ、彼は」
「そうですか」
止めていた手を動かし、訓練を続ける神通
「しかし…!!」
神通の喉元に日本刀が来る
「救われた意味を知らないままでは、死ぬ事も叶いませんよ」
「…神通に勝てるとでも」
「えぇ。今一度殺しました」
互いに無言のまま、しばらくの間鉄と鉄がぶつかる
「人間風情が…」
「マーカスは!!貴方に何と言いましたか!!」
「人間の分際で私に命令しないで下さい」
「一度貴様を折檻せねばならんようだな!!」
「やってみて下さい」
刀ではなく、渾身の拳がラバウルさんの頬に入る
「ぐっ…」
「一度人間を斬ってみたかったんです」
「こうなったら…!!」
怯んだラバウルさんの前で、神通は刀を振り下ろす
ラバウルさんは神通に対して突きを放つ
「二人共引け」
「邪魔ですっ…」
「マーカス…何を…」
神通の刀を右手で取り、ラバウルさんの突きを左手で止める
「満足か、神通」
「は…このまま振り下ろしましょうか」
「マーカス!!血が!!」
「動くな」
地面に血の雫が落ちて行く…
神通の目を見て、睨む瞳を睨み返す
「何故二度も助けに来た!!」
「お前は何も知らないからだ」
「知りたくもない!!お前になんか教えて欲しくもない!!」
「初めて感情を露わにしたな」
「うるさいうるさいうるさい!!」
「どうした神通。斬れ」
「斬りますよ…今すぐに!!」
「斬れ!!」
「ウアァーーーッ!!」
一瞬深海化の兆候を見せた瞬間、俺が掴んでいた刀を一気に引き抜いた
「お前が私を助けたりするからこうなるんだ!!」
「忙しい女だ…キレたり泣いたり…」
神通の頬には、何故か涙が伝っている
「来るな!!来ないで!!」
いつもの様に美しく刀を振るうのではなく、何かに怯えた様に雑に刀を振る神通
その手を取り、刀を捨てる
「離して下さい!!」
暴れる神通を思い切り抱き寄せて胸に置き、後頭部を撫でる
「ひっ…」
「こんな事…された事あるか??」
「離して…」
「こんな事された事あるかと聞いてる…」
「ない…です…」
「生きていて良いんだ…死にたいなんて言わないでくれ…」
「…」
神通は産まれて初めて、自分の為に涙を流してくれる人にようやく出会った
自分の為に血を流して、自分の為に涙を流してくれる…
何があっても、この人は私を助けて止めてくれる…
もっと早く…この人に出逢っていたなら…
もっと早く…この人に甘えていたら…
神通は…もっと変われたのだろうか…
「遅くないよ、いつだって…変わろうと思ったその時から、人生はまた始まる」
「変われますか…私…」
「勿論さ…神通は素敵な女の子だ」
「何の為に生きれば…」
「そうだなっ…」
神通を抱き締めるのをやめ、肩を持つ
「まずは美味い物を食って、それから…恋をしてみよう!!」
神通の目に光が戻る…
言葉は無かったが、女の子に戻った頷きを見せてくれた
「よ〜し!!仲直りの為にまずはラバウルさんとご飯に行っておいで!!」
「はい、大尉」
「行きましょう、神通さん」
「ラバウルさん…その…すまない…」
「何を!!ありがとうマーカス、では、私はデートを楽しみますよ??」
笑顔を送り、ラバウルさんと神通がその場から離れる
「あいたたたたたたた!!いでぇいでぇいでぇーーー!!おひょひょひょひょ!!」
今頃になって激痛が来た!!
「大尉??大尉!!大丈夫ですか!?ちょっと診せて下さい!!」
悲鳴を聞き付けて香取が来てくれた
「工廠まで運んで!!お願い!!」
「分かりました!!」
工廠でカプセルに右手を浸ける…
「何か必要ですか!?」
「アイスクリーム!!アイスクリーム買って来てくれ!!」
「何味がいいですか!?」
「なんでもいい!!傷口に塗る!!」
チクショウ!!神通の刀、高熱発する奴じゃねーか!!
切り傷より火傷がイテェ!!
「買って来ました!!」
「本気で買ってくる奴がいるかよ…」
結局、カプセルに右手を浸けながらアイスクリームを食べる事になる
「はい、あーん!!」
「自分で食える!!」
「あーん!!」
「うぎぎ…あ…」
香取にあーんされて、アイスクリームを食べる
「そうですか…神通さんが…」
「手の掛かる子程、可愛いって言うだろ??」
「えぇ…今よく分かります…」
「タバコ取ってくれ」
「吸っても良いのですか??」
「吸わなきゃやってられん!!」
香取からタバコとライターを受け取り、左手で火を点け、何とか吸う
「大尉、あまり無理をしないように…」
「ありがとう…」
「神通さんには私から言っておきます」
「何も言うな。あの子は今生まれ変わった。今要らん事言うと、二度と振り向いてくれなくなる」
「それでは大尉が!!」
「モテてぇんだよ!!モテ期来てんだよ!!」
「あっそうですか…痛くなったら誰かを呼んで下さいね!!分かりましたか!!」
「分かったよ!!」
香取はこれを聞いて"いつもの大尉だ"と分かる
勇猛果敢で、どんな困難にも立ち向かう熱い目
そんな彼が時折見せる、悲しげな表情
到底医者とは思えない、傷口にアイスクリームを塗るとか言い出す始末…
俺が言った言葉を丸々返そうとしていたのをグッと飲み込み、香取は工廠を出た
「アンタ何してんの??」
しばらくすると横須賀も来た
「いやぁ〜ちょいと斬られてな!!」
「誰に」
横須賀の顔が冷たく変わる…
「まぁ気にするな。しばらくこうしてれば治る」
「誰にって聞いてんの。報告しなさいって言ってんでしょ??」
顔を持たれ、身動きが取れないのを良い事に頬を引っ張られる
「ひわね〜!!」
「触らせてあげるって言っても??」
「へっ!!今晩触りまくってやるから別に良いぜ!!」
「あっそう!!ふーん!!そういう事言うのね!!だったら神通の事こっぴどく叱ってあげるわ!!」
「やめろ」
「ならちゃんと言って」
今から考えると、ジェミニは俺の攻め方を熟知している…
「神通の刀を取ったんだよ」
「どうしてそんな事すんの!!」
「あの子は本当の血を見た事がないと思ったんだ…」
「アンタがそこまでする必要ないでしょ…」
「いいんだ、これで…何も言ってやるな」
「流石に言うわよ!!誰の男と思ってんのよ!!」
「やめろ。ありがたい話だがな…神通は俺の女だ!!」
「ですって。聞いたわね神通??」
「は、はいっ…」
いつの間にか神通が入り口にいた
「あ〜良くないなぁ!!本官ちょっと職務中でな!!」
「アンタ、神通に恋しなさいとか言ったらしいわね??」
「僕ちゃんゼリー食べたい」
こうなりゃ話を逸らそう
この状態で色々言われるのは辛すぎる!!
「神通??ちょっとマヌケだけど、どう??」
「大尉、その…」
「おみかんのジェリー食べたい」
「レイ!!」
「分かったよ!!まぁ待てよ!!」
「大尉…ごめんなさい、神通は…」
「気にするな。神通」
手招きして、神通を寄せる
「こいつをやる」
「これは…」
指を向けた方にあるのは、日本式の投げナイフが数本入ったケース
「生まれ変わったのなら、艤装も新しいのにしようと思ってな。日本の投げナイフだ」
(手裏剣では…)
(手裏剣じゃないの…)
俺は今もずっとコイツを"日本の投げナイフ"と呼んでいる
イーサンの一件で使っていた投げナイフも、この日本式の投げナイフだ
「神通は…いえ、きっと使い熟して見せます!!」
ここまで近接武器しか使って来なかった神通が、初めて近接以外の艤装を手に取った
「そいつは真ん中のボタンを押すと、投げて刺さった時に爆発する。長押しすれば爆発するタイミングをずらせるからな。気に入ったら幾らでも作ってやる」
「あっちで試してみましょ!!」
「はいっ。大尉、ありがとうございます!!」
神通と横須賀も工廠から出て行った
二人が出て行って数十分後…
「よし」
傷が癒えた
うーむ…手相が増えた気がする…
神通の様子を見に行ってみよう
カプセルの洗浄スイッチを入れ、試射場に向かう…
「はぁっ!!」
「上手よ神通!!」
既に物にしている…
「ね!!カーブとか投げれるんじゃない!?」
「やってみましょう」
神通は投げナイフを構え、投げる
投げナイフはカーブを描き、的の中心に突き刺さり、爆発を起こす
「ね…神通??」
「はい、元帥」
「貴方、生きる意味が分からないって言ってたわね??」
「はい。今はまだ見つかっていません」
「なら…レイを護ってあげて頂戴」
ちょっとこれは陰で聞いた方が良さそうだな…
建物の陰に隠れ、二人の会話を聞いてみる
「大尉を、ですか」
「そっ。今よりもっともっと強くなって、生きる意味を護るの」
「…分かりました」
「あら、素直ね??」
「大尉の様な方は初めてです…頭を撫でて頂いたり、抱き締めて頂いたり…神通はこの様な事をされた事が無かったので…なので、少し知りたくなりました」
「何知りたい??」
「恋とは何なのか…大尉が仰っていた、生きるとは何なのか…」
「長い時間が掛かるわ…人を愛するというのはそういう長い時間を掛けて育てるのよ??」
「なので、神通はもう少し生きようと思います」
「良い子…流石は私の見込んだ子だわ??」
「元帥は大尉の事をお好きなのですか」
「そうね。じゃ神通は今日からアタシのライバルって訳ね??」
「目の前の障壁は、神通は消しますが」
「怖い怖い!!」
神通は淡々と話してはいるが、どこか笑っている
この日から、神通は変わった…
「大尉!!神通は駆逐をお世話して参ります!!」
「大尉、神通はご飯を作ってみました!!」
「大尉!!」
そして…
「神通、体の調子はどうだ??」
「あ!!大尉♡」
俺を見掛ければすぐに抱き着く始末…
「随分懐いてんな〜…しかも速えぇ…」
たまたまアレンと歩いていた矢先に神通が抱き着いて来たので、すぐに抱き止める
「神通強いもんな??」
「はいっ!!神通は大尉をお護りする為に強くなっている途中です!!」
それからしばらくして、神通はいなくなった…
横須賀曰く、神通はもっと強くなる為に修行に行ったらしい
そんな彼女が今日、帰って来る…
「よしっ…」
工廠でジュラルミンケースの中に入った神通専用の艤装を確認し、閉じる
「隊長。神通さんとはどの様な方ですか??」
「良い女だぞ〜??涼平が気に入りそうな感じだな!!」
涼平は生唾を飲む…
「行きましょう隊長!!」
何故かは分からないが、ジェミニに涼平を護衛に付けられた
…まさか!!神通が俺の顔を忘れたとか!?
そんな事を考えていると、入港の汽笛が鳴った
「よし、行こう!!」
「はいっ!!」
ジュラルミンケースを持ち、神通の乗った船に向かう…
「さて…」
「神通さんか…どんな人かな…」
船から神通が降りて来た
「神通!!」
俺の声に気付き、神通が振り向く
顔が明るくなり、神通は走る
「大尉♡!!」
荷物ごと飛び付かれる
清霜で慣れているので、神通を抱き止める
「おかえり、神通!!」
「ただいま戻りました!!」
「この方が神通さん!!」
「貴方は??」
「自分は綾辻涼平です!!少尉です!!」
「神通です。大尉のお友達ですか??」
「そっ。良い子だぞ??」
「元帥が神通さんを執務室に通して欲しいと言ってました」
「よし、行こう!!」
「はい大尉♡」
神通は俺にベッタリ
いつも横を歩いてる涼平が一歩下がるレベルでベッタリ
執務室に着く直前で、ようやく神通が離れる
「神通です、ただいま戻りました」
「開いてるわ!!」
三人で執務室に入る
「お帰りなさい神通!!」
「ただいま戻りました。こちらお土産が入ってます」
「そう言えば、何の修行だったんだ??」
「ニンジャの修行よ??」
「ニンジャの修行…」
「ニンジャといえば、2つ流派ありましたよね??」
初月がコーガのニンジャ
朝潮がイガのニンジャ
神通はどっちのニンジャだ…
「神通はカナダで半年基礎修行して、アメリカに三年間ニンジャの修行に行ってたの」
「も、もう一回言ってくれ…」
「カナダで半年、アメリカで三年ニンジャの修行してたの」
「隊長、コーガでもイガでもありません…」
「神通はヨーガのニンジャです大尉♡」
「ヨーガのニンジャ…」
聞いた事がない…
イガ、コーガは聞いた事があるのだが…
よ、ヨーガのニンジャ…
「ちょっと練習場に行きましょうか、ねっ!?」
四人で練習場に向かう…
「マシンガンがありますね」
「ありゃセントリーガンだ。簡単に言やぁ、自動式の固定銃座だ」
「今からあれ使って神通に単独演習して貰うわ」
「お前…セントリーガンなんか置くな!!」
練習場にはセントリーガンが二挺設置されている
その他には、ジェミニがテキトーに描いたであろう絵が貼り付けてあるカカシが数体
「神通、準備しよう!!」
「はい、大尉♡」
持って来たジュラルミンケースを開ける…
「俺が使ってる物を再現した物だ。小型化しているが、強度も射程も同じだ」
「これは…チェーンナイフ!!」
深海の子に貰った、あの鎖付きのナイフ
それをもう一個製造し、小型化した物を神通に渡す
「大尉とお揃い…うふふ!!」
チェーンナイフを手にし、神通は嬉しそうに微笑み、腰に付ける
「神通なら上手く使えると思ってな??」
「はいっ!!神通はきっと使い熟して見せます!!」
「神通、開始位置に」
「はい」
ジェミニの合図で、神通は開始位置に立つ
最初はセントリーガンからの銃撃を回避する運動だ…
神通は口元にマフラーを巻き、なんの構えも無しに立っている
「開始!!」
ジェミニの合図で、セントリーガンの銃撃が始まる
それよりほんの少し前に、神通は背中に挿していた刀を抜いていた
二挺のセントリーガンからの銃弾を、神通は弾いて行く
「わぁ〜…!!」
「すげ〜…!!」
心配していた涼平も、とりあえず何か装備させといた俺も、目の前で銃弾を刀で弾き飛ばす神通に魅入ってしまう
「男の子ってホントこういうの好きよね…」
「ぬるい!!」
セントリーガンのリロードの隙を突き、いつの間にか日本式の投げナイフを二つ投げ、突き刺さる
「次行くわよ!!」
今度は動くカカシが四体だ
簡単な砲を持っているので、ついでの回避運動にもなる
横移動だけだが、本来は砲を当てる為の的なのでそれでいい
「テンチュー!!」
目にも止まらぬ速さで一体を仕留め、三体の中心に立つ
「何するつもりだ…」
「囲まれてます…」
言っている間に神通に向けて一体が砲を放つ
「遅い!!」
神通は放たれた砲弾を叩き斬り、割れた砲弾は二体に当たる
「セーバイッ!!」
最後の一体も縦一閃で叩き斬られた
「最後よ!!」
最後は多対一の訓練
カカシが十体程現れた
それと同時に、神通は先程の鎖付きナイフを構える
「フィニッシュ!!」
頭の上で素早く回し、カカシの頭部分を全て弾き飛ばす
「か、カッコい〜…」
「た、確かに"洋画の忍者"だ…」
「オマケよ!!」
最後に一体だけカカシが現れる
「Come Here!!」
鎖付きナイフを真っ直ぐ飛ばし、カカシの胸に突き刺し、思い切り引き寄せる
カカシが神通に飛んで来たと同時に、刀で二度胴体を斬り付け、体を蹴り飛ばして投げナイフを投げる
投げナイフが爆発を起こしたと同時に再度引き寄せ、顔を横から斬り飛ばした
「これぞヨーガニンジュツ、フェイタリティ…」
「「おぉ〜!!」」
俺と涼平は目を輝かせるが、ジェミニは実に渋い顔をして俺達を見ている
さっきも言った通り「男の子ってこういうの好きよね…」と見下しているのだろうが、神通の動きは本当に俺達の好みの動きを体現していた
特に刀でセントリーガンの銃弾を捌く奴!!
「あれ一回やってみたいよな!!」
「はい!!夢ですよね!!」
「神通に銃弾は効きませんよ」
刀を背中の鞘に納め、口元のマフラーを取りながら神通が戻って来た
「生きる意味は見つかったか??」
あの日聞いた事を、もう一度聞いてみる
「はいっ!!神通は大尉をお護りする事が生きる意味です♡」
それはもう喜々として答えてくれた
しかも即答だ
「なら、横須賀にいる時のレイの護衛をして頂戴。それ以外は自由にしてていいわ??」
「はい、畏まりました」
「良かったわねレイ。遂にアンタも本格的なニンジャの護衛付きよ??」
「良いねぇ…気に入ったぜ!!」
俺は初月が付いているが、初月は本来横須賀のお抱えニンジャ
サラとマークの所には朝霜のお抱えニンジャが付いている
「大尉、いつでも神通をお呼び下さいね♡」
瞬きした瞬間に、神通は消えた
「速さに磨きが掛かってんじゃないのあの子…」
「はぇ〜…もういなくなりましたよ!?」
「言ったろ??良い女だって」
「はいっ!!凄く格好良かったで…おぉっ!?」
「「涼平!!」」
急に天井からチェーンナイフが涼平に巻き付き、上に持って行かれる
「涼平さん、でしたか??」
「は、はいっ!!」
「神通は格好良いではなく、プリティです。宜しいですか??」
「神通さんはプリティです!!」
「ありがとうございます」
ゆっくりと涼平が降ろされて来た
どうやら格好良いと言われるのが気に食わないらしい…
その日の夕方…
「隊長??」
「おぉ涼平!!今からあっちか??」
「はいっ!!今からあっちで夕飯の準備です!!隊長は??」
「俺は神通の艤装のメンテナンスさっ」
「ちょっとだけ見ても良いですか??」
「勿論」
涼平の前で神通の艤装を出す
刀
投げナイフ
チェーンナイフ
煙玉3個
「本当に砲無いんですね…」
「砲を使うのは三流のする事です、涼平さん??」
「ヒイッ!!」
いつの間にか音も無く、背後から涼平の肩を掴む神通
「涼平。神通の新しい艤装は何が良いと思う??」
「そうですね…」
涼平は真面目な顔をして考えてくれている
「ニンジャと言えば影分身…あ!!身代りの術とか!!」
「ふ…オーケー涼平、これ左の太ももに着けてみてくれ」
俺が渡したのは、ライトが付いたベルト
太ももに巻いて使う物だ
「こうですか??」
「そっ。そしたら、右足で蹴りをしてみてくれ」
「行きます…はっ!!」
俺と神通が空間を開けると、涼平は蹴りをしてみせる
「よし、オーケー。もう一度やってみてくれ」
「よし、行きますっ!!」
涼平はもう一度蹴りの姿勢に入る
「はっ!!わちょちょっ!!」
正面から蹴りをする自分がいきなり現れ、涼平は回避行動を取る
「どーだ!!面白いだろ!!」
「す…凄い…も、もう一回やっても良いですか!?」
「いいぞ!!」
「はっ!!凄ーい!!」
涼平が今左足に着けているのは、ホログラム投射装置
装着者が記録した動きを、一定の距離の先に投射出来る装着だ
試作で造って見たのだが、上手く稼働しているみたいだ
「ホログラムとはいえ、ほんの少しだけ質量を持ってる。まぁ静電気みたいなものさ」
「神通もやってみたいです!!」
「よしよし」
「あ、返します!!」
涼平は左の太ももに巻いたそれを取ろうとした
「涼平、どうだ??気に入ったか??」
「はい!!影分身みたいで凄く好きです!!」
「やるよ。神通はこっちな??」
「いいんですか!?」
「悪さするなよ??ま…精々誰か驚かす位にしとけ!!」
「はいっ!!ありがとうございます!!」
「もう行くんだったな、ありがとな??」
「では行って参ります!!」
涼平は嬉しそうに第三居住区へと向かって行った…
「大尉のお友達、嬉しそうでしたね!!」
「ふふ…涼平は良い子だからな??よしっ、神通もやってご覧??」
「はいっ!!」
工廠の開けた場所に、神通は立つ
「動きは3つまで模倣出来る。前もって覚えさせておくのも良い、その場で記録を書き換えても良い。とりあえず3つ覚えさせておこうか」
「はいっ、大尉♡」
神通はマフラーを口元に巻く…
「参ります!!」
一回目の記録…
斜め右上から高速で振り降ろされる袈裟斬り
二回目の記録…
一回目の反動のままの斜め左下から来る斬り付け
二回目の記録が終わり、神通は一度刀を納める
そして、三回目の記録…
飛び上がってからの急降下での飛び蹴り
「よし、再生してみよう」
「はいっ♡」
袈裟斬りをし、斬り付けをし、そして飛び蹴りのホログラムが展開する
相手を牽制するには申し分ないモーションだ
「いいか神通。ホログラム自体にダメージはない、精々静電気が当たった位としか感じられない。トドメは神通が刺すんだ。出来るか??」
「はいっ!!大尉の為なら神通は喜んで仕留めます♡」
神通は元から出来る子だ
砲を嫌でも使わない分、コイツで納得してくれると良いが…
次の日…
「おはようございます、大尉♡」
「おはよう神通。朝から訓練か??」
朝から神通は訓練をしていたらしい
汗の匂いで分かった
「はいっ!!大尉、あそこで凄いボクサーを見ました!!」
「ボクサー…園崎の事か??」
「若いボクサーで物凄く速いパンチでした!!」
「園崎!!」
「はい!!」
たまたま園崎が近くを通ったので呼んでみた
「この人か??」
「はいっ、この人ですっ」
「自分は園崎と言います。よろしくお願いします」
「私は神通です。お手合わせをお願い出来ませんか??」
「自分は女性を殴らないと決めてるんです…」
「神通が弱いとでも」
「うっ…」
何かに気付いた園崎が一瞬怯む
「だ、ダメです!!自分は!!」
「貴方…本気で強いのでは??」
「う…」
「一度だけ神通と手合わせして下さいませんか」
神通の睨みつける様な上目遣い…
その瞳の奥に宿っている本気の神通に、園崎も本気の目になる…
「わ、分かりました…ですが、流石に真剣はやめて貰っても…」
「あっ、違います!!そういう手合わせではなくて…」
「どういう手合わせだ??」
「どういった手合わせですか??」
俺と園崎も同じ答えを出す…
「此方へ」
神通に案内され、だだっ広い場所に来た
ここなら艦娘も人員もいない
「今からやる神通の攻撃を防いで頂けませんか??」
「分かりました。それなら構いません!!」
「園崎、ありがとうな…」
「これならいつでも!!」
「行きます…」
園崎はファイティングポーズを取る
「痛っ!!いでっ!!へっ!?」
急に出て来た神通のホログラム
正面からアッパーをしてすぐに消え、今度は背後から正拳突きをかましてすぐに消える
「な、何ですか今の!!分身!?」
「神通のホログラムだ。攻撃力はないが、どこから投射してくるか分からん…」
「もう一度行きますよ」
「フゥ…よし!!」
園崎が息を整える…
あの日リングの上で見た、本気になった目だ
神通がホログラムを出す
昨日記録させた袈裟斬りだ
「フッ!!」
園崎は右ストレートでホログラムを打ち消す
次は斬り付け
「シッ!!」
今度は左ストレートで打ち消す
そして最後…
「あだっ!!」
背後からの飛び蹴りホログラムは、やはり避けられない
「ふふっ!!」
神通はホログラムを園崎に当てられてご満悦の様子
「どうやって避けるんですか!?」
「反射神経が研ぎ澄まされた貴方に当てる事が出来たと言うのが答えです」
「自分も練習が足りないって事か…神通さん、またお願い出来ますか??」
「神通で良ければ」
「隊長。神通さんカッコいいですね!!」
「園崎!!あっ…」
「なっ!!えっ!?」
神通はチェーンナイフを投げ、園崎の腰回りをグルグル巻きにし、手元に引き寄せる
「神通はカッコいいではなく、プリティです。宜しいですか??」
「は、はい…」
園崎の体からチェーンが外される
「神通さんはプリティです!!」
神通は言葉さえ発しないが、笑顔で頷いている
何が恐ろしいって、神通が投げたチェーンナイフのスピードだ
反射神経が研ぎ澄まされたボクサーである園崎が気付きもせずにグルグル巻きにされた
「では、神通はこれで…ありがとうございました、園崎さん。大尉!!いつでも神通をお呼び下さいね♡」
「ありがとな??」
神通は既に目の前からいなくなっている
「隊長…日本の忍者は最強では??」
「どうやって鍛えたんだろうな…初月しかり、朝潮しかり…」
「自分もっ、いつか忍者持てるようにしないと!!では、ロードワークに戻ります!!」
「すまなかったな、引き止めて」
園崎がロードワークに戻り、俺も工廠に戻る…
「ぱぴ〜」
「おっ、ワシントン!!朝ごはん食べたか??」
「たべた。しゃけぱわー」
ワシントンは朝ごはんに鮭を食べたらしい
「何持ってるんだ??」
「びーだま」
ワシントンは持っていたビー玉みたいな物を俺の手に落とす
「何だこれ…」
中身は黄土色
振っても何か音がする訳でもない
かと言って火薬の類でもない
「何持ってんだ??」
「ビー玉ですか??」
アレンと涼平が一緒に来た
この組み合わせは結構珍しい気がする…
「アレン、涼平。これ何だと思う??」
アレンに謎のビー玉を渡すと、同じ様に振ったりする
「あ、これ良かったら!!」
「おっ、すまん…」
涼平からルーペを貸してもらい、中を見る…
「マジで何だ…涼平、分かるか??」
今度は涼平の手に渡る
「何ですかね…あ、でも甘い匂いがしますよ??」
涼平の言う通り、謎のビー玉からは微かに甘い匂いがする…
「わる」
ワシントンの一言で事態は急変する
「割っていいのか??ワシントンの宝物じゃないのか??」
「わしんとんもみたい」
「毒とか火薬だったらどうすんだよ…」
「割るにしても、もうちょっと広い所に行きましょうよ!!」
そんなこんなで工廠の裏に来た
ここなら人も少ない
「よしアレン、レッツゴー!!」
「ゆっくりお願いします!!」
「ぱり〜」
「テメェら…」
アレン君に任せ、俺達三人は物陰から様子を伺う
「行くぞぉ!!」
アレンは"何故か"足元に謎のビー玉を叩き付けた…
時間がゆっくりと流れる…
あぁ…ど〜してアレン君に任せたんだろう…
アレンさん…ど〜して足元に叩き付けるんですか…
び〜だま〜…
「ぐわ!!」
「ぼわ!!」
「うわ!!」
「ぱわ」
全員もれなく被弾
辺り一面に黄土色の煙が立ち込める
「ゲーッホゲホゲホッ!!な、何だこれ!!」
「甘んめぇ!!ゲッホゲホ!!」
「む、むせるっ!!ガフッ!!」
「ぼが〜。しなも、けほけほ…」
ワシントンだけがその正体に気付く
「アンタ達は何やってんのよ全く…」
胸の下で腕を組んだ横須賀が来た
あきれた顔してやがる!!
「な、何だこれ!!む、むせっ!!」
「い、いぎでぎないっ!!」
「はぁ…はぁ…ゲホゴホ!!」
「こなまみれ」
「神通の煙玉を知りませんか??」
「多分割ってるわよ…もぅ…」
正体は神通の持っていた煙玉
それも普通の煙玉ではなく、ギッチギチに固められたシナモンをカプセルに詰めた物
割れた瞬間にギチギチシナモンは元の粉状に戻り、辺り一面にシナモンをばら撒き、敵をむせさせたり目潰しをする
それを今、俺達はほぼ零距離で被弾
それはもう粉まみれ、まっきっき
「アンタ達、シャワーでも浴びて来なさい。あっま!!もぅ!!ちょっとー!!掃除機とホウキ貸して頂戴!!」
四人でお風呂に行く事になった…
「ワシントンもはいる」
「よしよし、入ろうな??」
ワシントンの服を脱がし、シャワーヘッドを被せる
「お願いしますね!!」
「頼んだぞ!!」
横では涼平とアレンがスッポンポンになり、妖精達にシナモンまみれになった服を渡している
"任しとき!!"
"何したらこんな甘々な匂いすんねん!!"
"ほれ、貸し"
「頼んだぞ??」
"ワシントンちゃんも貸し!!"
ワシントンは妖精をジーッと見ている
"ぐわー!!離してくれー!!"
「とった」
ワシントンは薄っすら微笑みながら、両手で一体の妖精を掴んでいる
「お洗濯したい〜って言ってるぞ??」
「はなす??」
「そうだなっ。パピーのお洋服のお洗濯もお願いしたいんだ」
「ぱ」
"いでっ!!ほな洗っとくわ!!"
妖精はワシントンに怯え、服を持ってそそくさと去る
ワシントンは妖精達を見ているが、俺と手を繋ごうと俺の手を見ずに探す
「おててつないだ」
「よし、行こう」
ワシントンを椅子に座らせ、とりあえず頭を洗う
「マミーとお風呂入る時はどうしてるんだ??」
「じゅーすのんでる」
「上がってからか??」
「あそこ」
ワシントンの指差す方向にはデカい湯船がある
「このあなからどんぶらこっこ」
湯船の隅には何かが出そうな穴が開いている
「今日も来るかな??」
「ちゃんとあらたらくる」
「ふ…」
ジェミニもジェミニでちゃんと教えてるみたいだ…
「んんんんんん…」
ワシントンの髪を洗い、本人は顔を洗っている
「しなもんとれた??」
「後は体洗おうな??」
「ん」
ある程度ワシントンを洗い、俺も体を洗う
「いつもマミーとお風呂入るのか??」
「びんせんともはいる。じょんすとんとかと」
「そっかそっか。ヴィンセントなら安心だな??」
泡を流した後、ワシントンと湯船に浸かる…
すると、ワシントンが言っていた場所が開いてお盆に乗ったジュースが流れて来た
お盆の上には瓶のジュースが二本乗っている…
「きた」
ワシントンはオレンジジュース
俺はいつものサイダー
「あけてください」
「ほっ!!ほらっ!!」
「ありがと」
ワシントンはちゃんとお礼を言った後、美味そうにオレンジジュースを飲む
"洗濯終わった!!"
"ほな置いときます!!"
「ありがとな!!」
妖精達が作業終了の通達をしてくれたので、俺達も上がる
「ワシントンはこれからお散歩か??」
「おさんぽっぽ、て〜さつ」
「そっかっ…任せたぞ??」
ワシントンはコクコク頷いている
体を拭いて着替えさせた後、アレンと涼平も上がって来た
「表で何か飲もうぜ!!」
「よし、そうすっか!!」
「なに飲もっかな!!」
表の自販機でジュースを買い、一息入れる
「しかし…濃縮シナモンか…」
俺が切り出すと、涼平が答えた
「何かもう一つ持ってましたよ??」
どうやら神通はまだ濃縮系の艤装を持っている様子
「ウチの駆逐艦と軽巡の子達って"濃縮"とか"凝縮"みたいな言葉好きだよな??」
「圧縮もだ…どれっ、適当にっ…おーい!!由良!!」
丁度由良がいたので聞いてみる
「どうしました大尉??」
「空間」
「圧縮ですか??」
「ブドウ」
「濃縮100%が美味しいですよね!!」
「マジだ…」
年頃の女の子だからな…
男の子がメカとかが好きなのと同じで、女の子も◯縮とか好きなのかも知れないな…
「大淀さんの爆縮弾を喰らえなのです!!」
「撤退だ〜!!ぐわ〜!!」
雷電姉妹のおままごとに登場した、新しい縮、爆縮…
「隊長、増えてます…」
「と、年頃の女の子だからな…あれだ。将来旦那にする為の予行練習だ…」
「怖すぎますって!!」
「神通のあと一つの濃縮は何だろうな…」
すると、俺達から少し離れたアスファルトに、勢い良く回りながら刀が突き刺さった!!
その上に誰かが乗る…
まるで風だ…凄いな…
「よくぞ聞いてくれました諸君っ!!」
「「「神通!!」」」
アスファルトに突き刺さった刀の上に、決めポーズをしている神通がいた!!
バランス感覚もやべぇ…
スタイリッシュでチョーカッコいい!!
「よいしょっ…」
神通は刀から降り、背中に納める…
「神通が持っているもう一つの濃縮…それはこのクロレラです」
神通が右手でつまんでいる緑色の玉
あれはクロレラらしい…
「ヨーガ忍者の忍者食です。これを噛めばたちまち傷も塞がり、3日は動き回れるスグレモノです」
「その腰に着けた巾着に入ってるんですか??」
「これは神通の戦闘糧食の"タコス"です」
「タコス…」
「タコスな…」
「ナチョスでは足り苦しいので…」
何でメキシコ料理ばっかなんだ…
神通が修行に行ってたのってカナダとアメリカだよな…
「神通。アメリカのどこで修行してたんだ??」
「ニューヨークです大尉♡」
半ば半信半疑だったが、しばらくした後に全部マジだったと分かるのは、また次のお話…