艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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番外編 艦娘達の健康診断(2)

「恐らくは。ですが、まだ何方が姉で何方が兄かまでは…」

 

「まぁ、年は離れてなさそうだし、親子って事はなさそうだな…」

 

「しばらく検査を続けます」

 

「頼んだ」

 

 

 

数日後…

 

「みなさん、検査結果が出ました」

 

「たいほうもある⁉︎」

 

「あるよ。はい。とっても健康‼︎」

 

たいほうには、分かりやすくひらがなで書いた結果表が渡された

 

「スティングレイ」

 

「超健康だろ⁉︎え⁉︎」

 

横須賀は無言でスティングレイに結果表を突き付けた

 

「健康も健康。血液サラサラ、内臓も最強…まっ、頭以外は…ね」

 

「な…なんだと⁉︎」

 

「あぁ、後、献血ありがと。健康過ぎて、半分は研究に回したわ」

 

「まっ、未来に役立てるんだな」

 

その後、しばらく結果表が配られた

 

残っているのは、私とローマだけ

 

「隊長。執務室を貸していただけませんか⁇」

 

「ん⁇あぁ…」

 

「じゃあ、まずは隊長から。ローマは次に来て」

 

「分かったわ」

 

横須賀に連れられ、執務室に来た

 

後から明石も来たが、二人とも顔が深刻そうだ…

 

「何か悪い所でもあったか⁇」

 

「明石、渡して」

 

明石から書類を渡され、書かれた内容を見た

 

「どっこも悪くないじゃないか」

 

「検査自体に異常はありません。健康体です。強いて言うなら、煙草は一日一箱にして下さい」

 

「んで、何でここに呼んだんだ⁇」

 

「お話ししたい事があります。人前では言えませんので、お呼びしました」

 

「ま、まぁ座ろう」

 

最近買ったばかりのソファに座り、明石が出した封筒を手に取った

 

「まだ見ないで下さい」

 

「なんだよ…」

 

「私達は今から、信じられない事を言います。それを聞いてから、その封筒を開けて下さい」

 

生唾を飲んだ

 

今まで以上の気迫だ

 

「い、言ってくれ。聞かない事には分からない」

 

「…貴方の艦隊に、血の繋がった兄妹が居ます」

 

「はぁ〜⁉︎兄妹⁉︎」

 

「えぇ。姉か妹かは検査でも分かりませんでしたが…ですが、兄妹である事は間違いありません」

 

「誰だ…」

 

「開けて下さい」

 

封筒を開けると、数枚の書類が出て来た

 

書類には、私ともう一人の艦娘のDNAが一致しているとの報告が書いてあった

 

「嘘だろ…」

 

「今思えば、ちょっと似てますねぇ」

 

私を落ち込ませまいと明石が冗談を言うが、耳に入らない

 

「もう、彼女には伝えたか⁇」

 

「まだです」

 

「はぁ…妹だよ…」

 

「妹…ですか⁇」

 

「あぁ…話には聞いてたんだ。妹が二人いるって。パスタの国で生き別れになったって」

 

隊長の妹とは、ローマの事

 

「何故早く言わないんですか‼︎」

 

「確証が無かったんだ‼︎」

 

話を要約するとこうだ

 

隊長が若い時、パスタの国に住んでいた

 

その時戦争が起こり、父と母がバラバラになってしまった

 

母と二人の妹は、パスタの国に残り

 

父と隊長は日本に帰って来た…

 

こんな感じだ

 

「でも大佐、日本語ペラペラですよねぇ‼︎あ、あはは…」

 

「ハーフだからな。どっちも知ってる。何でか知らないが、パスタの国の顔にはならなかった…そんな所さ」

 

「どうしますか⁇伝えます⁇」

 

「…少し時間をくれ。一服するだけだ」

 

窓際で煙草に火を点けた

 

ローマが妹…

 

って事は、リットリオも妹か…

 

知らずとは言え、俺は妹を抱いたって事か…

 

情け無いな…

 

「ローマを呼んでくれ」

 

「分かりました」

 

しばらくすると、明石と共にローマが来た

 

私はいつも通り、提督椅子に座って平然を装う

 

「どこか悪いのかしら…」

 

「ここに来なさい」

 

「なに⁇」

 

相変わらず不機嫌だ

 

「戦艦ローマ…君を除隊する」

 

「‼︎」

 

「‼︎」

 

そこにいた全員が驚いた

 

「なにそれ…私は邪魔なの⁉︎」

 

「俺の故郷に廃艦の受け入れがある。そこは戦争の無い平和な場所だ。そこなら…」

 

部屋に乾いた音が響く

 

「私は廃艦じゃないわ‼︎邪魔なら邪魔って言えばいいのよ‼︎」

 

「邪魔なんかじゃないさ‼︎」

 

「じゃあ何よ‼︎」

 

「二人から聞いてくれ」

 

「ローマ。隠してもしょうがないから言うわ。貴方、隊長の妹なの」

 

「知ってるわよ、そんな事‼︎」

 

「知ってたのか⁉︎」

 

「あっ」

 

口が滑ったみたいだ

 

ローマは昔から、カッとなると失言をしてしまう

 

逆に今度はローマが問い質される

 

「いつから知ってたの⁇」

 

「…言わない」

 

「これは命令よ」

 

「命令だったら何⁉︎はっ…貴方の部下になった覚えはないわ」

 

女同士の戦いは怖い

 

お互いの性格を理解しているから言えるが、こうなった場合…

 

「…いいだろう。例え誰であろうと容赦はしない」

 

横須賀がポニーテールを解く

 

「いいわ…相手してあげる」

 

ローマが眼鏡を捨てる

 

「あはは…止めますか⁇」

 

「ストップ‼︎もういい‼︎」

 

「隊長は黙ってて下さい‼︎」

 

「これは私と彼女の問題なの‼︎」

 

「ダメだ。提督の権限で許さない」

 

「くっ…」

 

「横須賀。お前もお前だ。互いに譲り合え」

 

いつもは長官である横須賀だが、やはりまだ私の部下だった記憶が残っているのか、ちゃんと手を引いてくれた

 

「とにかく。私は言いたくないわ」

 

「分かった…後は兄妹の問題だから、貴方がたに任せるわ。じゃあね」

 

怒ったまま、横須賀は部屋を出て行った

 

「すみません、うちのものが…」

 

「あいつは昔からあんなんだ。気にする事じゃないよ」

 

「では、私もこれで‼︎」

 

「気を付けてな」

 

明石が去った後、執務室にはローマと私が残った

 

「で、どうするんだ⁇」

 

「まだいけるわ。だから、廃艦なんて言わないでちょうだい」

 

「そっかぁ…兄として、戦争の無い所に連れて行ってやろうと思ったんだがな…」

 

「だったら尚更、傍に置いて。応急処置とか、簡単な治療なら出来るから」

 

「分かった…でっ、いつ知った⁇」

 

「…抱かれた後よ」

 

「はぁ…」

 

知らなかったとは言え、ダブルでマズい事をしたな…

 

「だから隠してって言ったのよ」

 

「リットリオも知ってるのか⁇」

 

「知ってるわ。あの日、何の躊躇いも無くお風呂に入ったでしょう⁇」

 

「あぁ…そうだったな」

 

「大佐」

 

「ん⁇」

 

いつものように、ローマが私の頬を撫でる

 

ローマといると落ち着いたのは、妹だったからか

 

「姉さんも私も、貴方が好きよ。でも、姉さんの好きは”お兄ちゃん”だから…私は違うわ」

 

「お前…」

 

「言ったでしょう⁇私は貴方が好き。でもそれは、兄さんだからじゃないわ」

 

「でもそれは…」

 

「ま、これは宿題にしておくわ。でも、永遠に解けなくても…許してあげる」

 

「…」

 

「みんなの所に戻るわ」

 

ローマが部屋から出るまで、言葉が出なかった

 

これから、接し方を変えなければな…

 

「提督よ」

 

「武蔵か⁇開いてるぞ」

 

「大丈夫か⁇」

 

「何がだ⁇」

 

「すまない…耳に入ってしまった」

 

シュンとする武蔵は可愛い

 

イヌ耳電探までうなだれる

 

「あぁ…大丈夫だよ‼︎俺も知らなかったんだよ。武蔵には言わなきゃいけないし、丁度良かったよ」

 

「わ、私は誰にも言わない‼︎態度も変えない‼︎」

 

「俺は良い妻を持ったな」

 

「そ、そうか⁇そう言って貰えるなら…嬉しい」

 

「でも今晩、ローマの部屋に行っていいか⁇」

 

「構わないぞ。私はローマと約束した。独り占めはしないと。ローマとなら、浮気したっていい。抱きたくなったら抱けばいい」

 

「しかし…」

 

「それ程、私も提督を愛しているんだ」

 

「ありがとう」

 

武蔵は強い

 

力ではなく、心が

 

過去にも夜中にローマの部屋に行った事があったが、武蔵は「行って来い」と言うだけだ

 

「だが…その…た、たまには…だな…」

 

「ん⁇」

 

「チビ達の相手もいいが、私も…な⁇」

 

「…明日の夜じゃ、嫌か⁇」

 

「良いぞ‼︎約束だからな‼︎」

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