艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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41話 母の気持ち(2)

目線の左には、バケツを沢山持って大和

 

右には、駆逐艦を従えた香取先生

 

そして正面には、U-511が見えた

 

「みんな、隊長を信じてる。ワンコもラバウルさんも、ミハイルさんも…みんな隊長を信じて来てくれた‼︎」

 

「ありがとう…みんな…」

 

目の前の光景に、涙が止まらなくなった

 

そっか…私には仲間が居たんだ…

 

心の底から信頼出来る、仲間が…

 

「じき処置も終わる。それと…みんなから電文が来てる」

 

スティングレイから渡された電文が三枚

 

 

 

バケツを持たせて、すぐに救援を送ります‼︎

 

単冠湾

 

 

 

少しばかりの資材と資源を持たせて艦隊を向かわせます。

 

それまでどうか、持ち堪えて下さい

 

ラバウル航空戦隊

 

 

 

近くに停泊しているので、U-511を救援に向かわせます。

 

海中から彼等の救難信号をキャッチし、そちらの基地に運ばせます

 

P.S.

 

バケツと応急修理要員を少しだけ持たせました

 

お使い下さい

 

ドイツ海軍 ミハイル

 

 

 

「良い仲間を持ったな…私は…」

 

「隊長の人柄さ。さ‼︎もう一踏ん張りだ‼︎」

 

私は涙を払った

 

「あぁ‼︎」

 

 

 

 

数時間後…

 

「終わった…」

 

「何とかなったな…」

 

息も切れ切れに、コンクリートの上に横たわる二人

 

大半は何とかなった

 

まだ深刻な状態の奴はいたが、後は妖精に任せて大丈夫そうだ

 

「空は広いな…隊長…」

 

「そうだなぁ…」

 

少し日が暮れ始めた空を、二人で眺める

 

「懐かしいよな…隊長とこうするの、久し振りだ…」

 

スティングレイは空に手を伸ばし、何かを掴む仕草をする

 

「吸うか⁇」

 

「サンキュー」

 

煙草を吸いながら、ボーッとする

 

「スティングレイは…何故俺に尽くしてくれる⁇」

 

「隊長がそうしてくれたから、そうしてるだけさ…それに、隊長と居たら、毎日が楽しいしな。捨て駒と知ってこき使われてたあの時と違って、隊長は俺を信じてくれる。俺はそれだけで充分さ」

 

「良い部下を持った…本当に…」

 

「だろ⁉︎俺は天才で最強だからな‼︎」

 

「ふっ…」

 

「はっはっは‼︎」

 

二人して笑う

 

普段と違わない二人が、そこに居た

 

「パパァ‼︎」

 

「ほっぽちゃん‼︎」

 

ほっぽちゃんが腹の上に乗って来た

 

二人共何とかなったみたいだ

 

「アリガトウゴザイマシタ…」

 

コウワン=サンが頭を下げる

 

「行き場所はあるのか⁇」

 

「アルヨ‼︎ラバウルデオセワニナル‼︎」

 

「そっか‼︎なら良かった‼︎」

 

「大佐。お疲れ様です」

 

ラバウルさんが来た

 

横では、バッカスがスティングレイに手を差し伸べている

 

「助かったよ…」

 

「これが架け橋になれば良いのですがね…」

 

「そうだな…二人を頼みましたよ⁇」

 

「えぇ‼︎今度は我々も、大佐のお手伝いをさせていただきますよ‼︎」

 

「本当にありが…」

 

「アアアアアアァァァァァ‼︎‼︎‼︎」

 

入渠ドックから悲鳴が聞こえて来た

 

ラバウルさんに礼を言った後、皆を置いて入渠ドックに向かう

 

「ローマ‼︎」

 

「提督…」

 

ローマは、イ級が入っていたドックに目をやった

 

既に処置を終えたル級が、イ級を抱いている

 

「あ…」

 

肩を震わせるル級の腕の中にイ級がいた

 

小さな命は…助けられなかった…

 

「すまない…これも人間の業だ…」

 

泣き叫ぶル級の肩に手を置き、その場にしゃがむ

 

ル級は無言のまま、私の腕にイ級の亡骸を乗せた

 

「〜♪」

 

イ級の体を撫でながら、ル級は何かの歌を歌う

 

私はその歌を知っていた

 

「サンター…ルーチーアー」

 

「サンタ、ルチアー」

 

ル級に続いて口ずさむ

 

「コノコノコモリウタ…トテモイイウタ…」

 

愛おしそうに何度も何度もイ級を撫でるル級

 

その姿は紛れもなく、母親の姿だった

 

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