目線の左には、バケツを沢山持って大和
右には、駆逐艦を従えた香取先生
そして正面には、U-511が見えた
「みんな、隊長を信じてる。ワンコもラバウルさんも、ミハイルさんも…みんな隊長を信じて来てくれた‼︎」
「ありがとう…みんな…」
目の前の光景に、涙が止まらなくなった
そっか…私には仲間が居たんだ…
心の底から信頼出来る、仲間が…
「じき処置も終わる。それと…みんなから電文が来てる」
スティングレイから渡された電文が三枚
バケツを持たせて、すぐに救援を送ります‼︎
単冠湾
少しばかりの資材と資源を持たせて艦隊を向かわせます。
それまでどうか、持ち堪えて下さい
ラバウル航空戦隊
近くに停泊しているので、U-511を救援に向かわせます。
海中から彼等の救難信号をキャッチし、そちらの基地に運ばせます
P.S.
バケツと応急修理要員を少しだけ持たせました
お使い下さい
ドイツ海軍 ミハイル
「良い仲間を持ったな…私は…」
「隊長の人柄さ。さ‼︎もう一踏ん張りだ‼︎」
私は涙を払った
「あぁ‼︎」
数時間後…
「終わった…」
「何とかなったな…」
息も切れ切れに、コンクリートの上に横たわる二人
大半は何とかなった
まだ深刻な状態の奴はいたが、後は妖精に任せて大丈夫そうだ
「空は広いな…隊長…」
「そうだなぁ…」
少し日が暮れ始めた空を、二人で眺める
「懐かしいよな…隊長とこうするの、久し振りだ…」
スティングレイは空に手を伸ばし、何かを掴む仕草をする
「吸うか⁇」
「サンキュー」
煙草を吸いながら、ボーッとする
「スティングレイは…何故俺に尽くしてくれる⁇」
「隊長がそうしてくれたから、そうしてるだけさ…それに、隊長と居たら、毎日が楽しいしな。捨て駒と知ってこき使われてたあの時と違って、隊長は俺を信じてくれる。俺はそれだけで充分さ」
「良い部下を持った…本当に…」
「だろ⁉︎俺は天才で最強だからな‼︎」
「ふっ…」
「はっはっは‼︎」
二人して笑う
普段と違わない二人が、そこに居た
「パパァ‼︎」
「ほっぽちゃん‼︎」
ほっぽちゃんが腹の上に乗って来た
二人共何とかなったみたいだ
「アリガトウゴザイマシタ…」
コウワン=サンが頭を下げる
「行き場所はあるのか⁇」
「アルヨ‼︎ラバウルデオセワニナル‼︎」
「そっか‼︎なら良かった‼︎」
「大佐。お疲れ様です」
ラバウルさんが来た
横では、バッカスがスティングレイに手を差し伸べている
「助かったよ…」
「これが架け橋になれば良いのですがね…」
「そうだな…二人を頼みましたよ⁇」
「えぇ‼︎今度は我々も、大佐のお手伝いをさせていただきますよ‼︎」
「本当にありが…」
「アアアアアアァァァァァ‼︎‼︎‼︎」
入渠ドックから悲鳴が聞こえて来た
ラバウルさんに礼を言った後、皆を置いて入渠ドックに向かう
「ローマ‼︎」
「提督…」
ローマは、イ級が入っていたドックに目をやった
既に処置を終えたル級が、イ級を抱いている
「あ…」
肩を震わせるル級の腕の中にイ級がいた
小さな命は…助けられなかった…
「すまない…これも人間の業だ…」
泣き叫ぶル級の肩に手を置き、その場にしゃがむ
ル級は無言のまま、私の腕にイ級の亡骸を乗せた
「〜♪」
イ級の体を撫でながら、ル級は何かの歌を歌う
私はその歌を知っていた
「サンター…ルーチーアー」
「サンタ、ルチアー」
ル級に続いて口ずさむ
「コノコノコモリウタ…トテモイイウタ…」
愛おしそうに何度も何度もイ級を撫でるル級
その姿は紛れもなく、母親の姿だった