艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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41話 母の気持ち(3)

「アリガトウ…テイトク…」

 

「俺は…」

 

「コノコヲミオクッテクレタ…ソレダケデイイ…」

 

返す言葉が無かった

 

自分を情けなく思う

 

こんな時に、優しい言葉も掛けてやれないのか…と

 

「イイニンゲンモイルンダ…」

 

「嫌な奴ばかりじゃないさ。嫌な奴もいれば、良い奴もいる」

 

「…ウミニカエル」

 

「君が良ければ、ここに居ても…」

 

ル級は首を横に振った

 

「ココニイレバ、コノコヲオモイダス」

 

「そっか…ならせめて、墓は建てて行ってくれ」

 

「イイノカ…⁇」

 

「森の先に海が見渡せる場所がある。そこに建てよう」

 

「アリガトウ…」

 

「行こう」

 

ドックを出て、三人でその場所を目指す

 

着くと同時に、私はスコップで土を掘った

 

その後ろでル級は、最後の別れを惜しんでいた

 

しばらくすると穴が掘れた

 

「…どれだけ掛かってもいい。待ってるから」

 

ル級は何度か頬擦りをした

 

何度か目に頬擦りをし、最後に頭を撫でた後、優しく穴の中に置いた

 

「もういいか⁇これで最後だぞ⁇」

 

「ン…」

 

イ級に土を被せ始めた

 

土を被せる度、ル級の目からポロポロ涙が落ちる

 

土を被せ終え、小さな石碑を建てた時、ル級は崩れ落ちた

 

「アァ…」

 

「ル級‼︎」

 

すぐに彼女に駆け寄る

 

「アノコハ…シアワセダッタダロウカ…」

 

「君の子だったのか⁇」

 

「ソウ…マダニカゲツダッタ…」

 

抱き締めるしか無かった

 

「アタタカイナ…テイトクハ…」

 

「生きている証だ…」

 

「イキル…カ…」

 

「悲しいのも、痛いのも…生きている証拠だ」

 

「イマハ…ナイテイイカ⁇」

 

「いいぞ」

 

その後、しばらくル級は泣き続けた

 

日も暮れ始めた頃私達二人は、基地に帰って来た

 

基地内では、未だに慌ただしく動いている連中も居たが、たいほう達は深海のみんなとご飯を食べていた

 

互いに良い顔をしている

 

「コレガ、テイトクノメザス、シアワセカ⁇」

 

「そんな感じさ。状況はどうであれ、互いが分かり合えるのが一番さ」

 

「ナルホド…」

 

「パパ〜‼︎ごはんできたよ〜‼︎」

 

名前は分からないが、人型の深海棲艦の輪の中にたいほう達がいた

 

「すぐ行くよ‼︎さ‼︎行こう‼︎」

 

ル級より一足先にたいほう達の所に行く

 

その後ろで、ル級が呟く

 

「ナルホド…ココハ”ラクエン”ナンダナ…」

 

ル級はみんなのいる場所に向かって歩き始めた

 

 

 

次の日、深海棲艦は海に帰って行った

 

勿論、感謝しない奴も中にはいた

 

それでいいと思う

 

今はまだ、互いに敵同士だ

 

最後に残ったのは、あのル級だった

 

「行くのか⁇」

 

「ウン」

 

「気を付けろよ」

 

「…マタ、キテモイイカ⁇」

 

「勿論さ‼︎いつでも来い‼︎墓参りでも、腹減ってでもいい。いつでも寄ってくれ」

 

「セワニナッタ。トリアエズノオレイハ、コウショウニオイテアル」

 

「有り難く頂戴するよ」

 

「デハナ」

 

ル級は海に帰って行った

 

「隊長」

 

ル級を見送った直後、横須賀が来た

 

「見送っていいので⁇」

 

「いい。俺は信じてる」

 

「まっ、隊長のする事に間違いはないですけど‼︎」

 

横須賀の言葉を聞いて、私は振り返ると同時に鼻で笑う

 

「スティングレイと同じ事言うのな」

 

「あいつと一緒にしないで下さい‼︎バカが移ります‼︎」

 

「聞こえてるぞ〜‼︎一人で寝れないアンポンタンは早く帰りなさい‼︎」

 

メガホンを手にしたスティングレイが、工廠の前にいる

 

「なっ‼︎何ですって⁉︎」

 

横須賀は頭に来たのか、顔を真っ赤にしながらスティングレイの所に駆け寄る

 

遠目で彼等を見つめていると、二人は何か話しながら工廠に入る

 

あぁ見えて、あの二人は仲が良い

 

実は私は、スティングレイと横須賀が繋がると思っていた

 

現に二人は付き合っていた事がある

 

後から知ったが、付き合った別れたではなく、横須賀がスティングレイを慰める為に常に傍にいただけだと知った

 

こうしていると、まるで親になった気分になる

 

子供達が巣立って行くのを、ただただ見守る…

 

”親鳥”ってのは、もしかしたらこんな気持ちなのかも知れないな…

 

 

 

戦艦ル級(未亡人)を筆頭とする味方精鋭深海棲艦部隊が、基地周辺に派遣基地を建てました‼︎

 

平和の架け橋になる様、互いの交流を開始して下さい‼︎




戦艦ル級(未亡人)…帰る家も家族も失った、ちょっと色気のある戦艦ル級

パパの仲間を見て、自分がしたい本当の事を思い出し、周りの深海棲艦に対して武装の解除を試みる

武装解除をした者達と共に、パパの基地から少し離れた場所に非武装地帯を開設する
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