艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

164 / 1101
45話 甘えん坊の黒猫(2)

「…こいよ」

 

湯船に入って来た彼女は、俺の前に背を向けて浸かり、俺の胸に背中を置いた

 

いつも通りに髪を撫でたり、顎を擦ったりする

 

「せめて名前位聞かせろよ」

 

「言って無かったか⁇これは失礼した。駆逐艦”磯風”だ」

 

「何で俺を知ってたんだ⁇」

 

「貴様は有名人だからな。みんな知っている」

 

「何処の基地の所属だ⁇」

 

「き、今日はもう満足した。また頼む」

 

磯風は何やら急いで温泉から出て行った

 

胸辺りには、まだ磯風の感触が残っている

 

そしてまた、悶々とした日々を送る

 

 

 

「どうレイ⁇釣れる⁇」

 

「あんまだなぁ…」

 

定時報告に来た横須賀が、釣りをしている俺の所に来た

 

「あ、そうだ。お前の所にさ、磯風って名前の駆逐艦いるか⁇」

 

「いないわ。どうして⁇」

 

「何でもねぇよ。忘れてくれ」

 

「そっ。じゃあね」

 

「うぬ」

 

ルアーを投げ直したスティングレイに背を向け、横須賀は高速艇に乗る

 

「提督。調子はどうなんですか⁇」

 

「まぁまぁね…」

 

横須賀はバインダーを胸に抱き、とても嬉しそうな顔をした

 

 

 

次の日…

 

夜間偵察任務を終えた俺は、軽く食事を済ませた後、仮眠室で横になっていた

 

流石に眠たくなり、すぐに目を閉じた

 

しばらくすると、毛布の中に何かが入っているのに気が付いた

 

恐る恐る捲ると、見慣れた少女が居た

 

「あたたかいか⁇」

 

「あぁ…磯風か…」

 

「ナデナデして貰おうと思ったのだが…今日は疲れている様だな」

 

「そうだな…またしてやるよ」

 

「ありがとう…”レイ”」

 

「あぁ…あ⁉︎」

 

一気に目が覚めた

 

俺の事を”レイ”と言う奴は数少ない

 

「き、今日は帰る‼︎この磯風、よ、用事を思い出した‼︎」

 

「ま、待て‼︎」

 

磯風は意外にもすばしっこく、仮眠室から出た時には外に出ていた

 

 

 

 

「ああああぁぁぁ‼︎バレたバレたバレたぁぁぁあ‼︎」

 

急いでスカイラグーンを後にする磯風は、海上で焦っていた

 

そう、彼女はパチモンの磯風

 

パチ風だ

 

正体は横須賀

 

明石に艤装諸々を造って貰い、自分なりに合法でスティングレイに近付いたのだ

 

彼女はある日、艦娘であれば彼に甘えらると考えた

 

そこで一番自分に近い艦娘を選び出し、その娘に扮してスティングレイに近付いた

 

そんな訳だ

 

それがバレた

 

だがパチ風はそのまま諦める訳もいかなかった

 

次の日も横須賀はパチ風に扮し、スカイラグーンに向かう

 

「スティングレイは何処だ⁉︎」

 

「アソコダ」

 

ソファに偉そうに座って煙草を吸っているスティングレイが居た

 

「き、昨日は逃げてすまなかった…」

 

「んっ」

 

スティングレイは自身の膝の上を指差した

 

「い…良いのか⁇」

 

「んっ‼︎」

 

段々と怒り始めたので、ゆっくりと膝の上に頭を置いた

 

スティングレイは煙草を消し、ノンアルコールのビールを一口飲み、撫で始めた

 

「此処に居る時だけだからな…鹿島には黙ってろよ⁇」

 

「貴様は本当に優しいな…提督が惚れたのも分かる」

 

「はいはい」

 

「…やっぱりあんたと居ると落ち着くわ…」

 

「けっ‼︎最初から素直に言えってんだ‼︎」

 

「早く撫でなさいよ‼︎ホラ‼︎」

 

「あ〜も〜分かったよ‼︎でも、一つだけ約束しろ‼︎」

 

「何⁇」

 

「ここにその格好で来る時は、磯風に徹しろ。その時、俺はお前を横須賀じゃなくて、磯風として扱う。これでどうだ⁇」

 

「う…うむ‼︎それがいい‼︎やはり貴様は優しいな‼︎この磯風、さらに貴様に惚れたぞ‼︎」

 

「そそ、そういう感じだな」

 

結構似合っていた、チョット上から目線の磯風モード

 

俺も嫌いでは無かったので、みんなには内緒で続ける事になった

 

 

 

 

…膝の上でゴロゴロする横…磯風は可愛いしな、うん




磯風(パチモン)…スティングレイに甘えたい横須賀が磯風に扮した状態

通称、パチ風

横須賀曰く”艦娘になれば合法的に甘えられるから”との事

だが、容姿は本当に似ており、横に並べられると本当に見分けが付かない

料理もヘタ

好きな人にすぐ噛み付く

上から目線等、本当に似ている

唯一違うのは、横須賀の方が若干巨乳だと言う事位
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。