艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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48話 欲しい物(4)

「ちょっとそこに立ってろ‼︎良いな‼︎」

 

「う、うん」

 

工廠の中央には、布に包まれた何かがあり、レイはそれに手を掛けた

 

そして、無言でそれを剥ぎ取った

 

「わぁ〜…」

 

開いた口が塞がらない

 

私の改二装備が目の前にある‼︎

 

目を輝かせる私の元にレイが寄って来た

 

「な…なによ…あっ」

 

正直、ビンタ位されると思った

 

だが、手が当たった場所は頭の上だった

 

「プリン、美味かったぞ」

 

「えっ…」

 

プリンって…

 

食べててくれたんだ‼︎

 

「今日は一緒に風呂入ってくれ。これ造ったら背中に汗かいた‼︎」

 

「…うん‼︎」

 

レイは笑顔でもう一度頭を撫でてくれた後、出口に向かって歩いた

 

「んで、さっき叩かれた罰だけどな…」

 

それを言われ、にやけ顔が止まる

 

ついでにレイの足も止まる

 

「今日一緒に寝ろ。そいつでチャラだ」

 

「…分かったわ‼︎」

 

嬉しかった

 

本当に嬉しかった

 

私の知らない所で、レイは全てを見抜いていた

 

 

 

 

プリンの時、霞が去った後、レイはスプーンを持って手を止めた

 

「たいほう、俺のと変えてくれないか⁇」

 

「たいほうのと⁇いいよ‼︎」

 

レイは霞の見えない所で、こっそり鹿島と霞のプリンを変えていた

 

「うんっ‼︎美味いな‼︎」

 

「おいしいね‼︎」

 

嬉しそうなたいほうを見て、レイと鹿島が笑顔になった

 

 

 

お風呂の時だって、プリンツが背中を流している時、レイは霞の姿を鏡で確認していた

 

だが、プリンツの好意を無下にする訳にも行かず、霞はそそくさと出て行ってしまったので、話し掛けられずにいた

 

 

 

一緒に寝ようとした次の日の朝、起きて布団が掛けられている事に気付いた

 

プリンとお風呂の件もあり、何となく霞が掛けてくれたと気付いた

 

そして、霞の考えも分かった

 

 

 

 

 

 

お風呂に入り、レイの背中を流す

 

大きくて、立派な背中だ

 

「気持ちいいなぁ…」

 

「そう⁇なら良かったわ」

 

しばらく背中を洗った後、シャワーで流して、二人で湯船に浸かった

 

「また頼もうかな。昨日プリンツがスポンジの痛い方で洗ってくれてな…まだヒリヒリするよ」

 

レイの顔を見て、微笑みが出た

 

「ふふっ。プリンツは痛かったのね⁇」

 

「スッゲー謝ってたよ‼︎ま、ちゃんと洗ってくれたからチャラだけどな。今度は前を頼んでやろうかな⁇」

 

「その時は、私は背中を流すわ」

 

「頼んだぞ‼︎」

 

お風呂から上がり、夕飯を食べる

 

今日は唐揚げがテーブルの中心に置かれたお皿に、てんこ盛りに盛られている

 

「いただきます‼︎」

 

全員が食べ始め、ついさっき帰って来たばかりのれーべとまっくすが霞を見た

 

「良かった。上手く行ったみたいだ」

 

「霞はツンデレ」

 

夕飯が終わると、霞は再びあのプリンを持って来た

 

「デザートよ。食べなさい」

 

「サンキュー」

 

美味しそうにプリンを食べるレイを見て、霞と鹿島が微笑む

 

「何かあったのか⁇」

 

パパが台所の鹿島と話している

 

「乙女には色々あるんですっ‼︎はいっ、これ‼︎」

 

鹿島はパパにプリンを差し出した

 

霞のプリンより、余程立派で美味しそうだ

 

「ありがと」

 

パパはそれを美味しそうに食べ始めた

 

「いつか、あんなの作ってみせるわ」

 

「楽しみにしてるぞ」

 

 

 

そして、最後の約束

 

同じ布団に入り、レイは霞を抱っこした

 

「…rainbow〜」

 

霞の背中を優しく叩きながら、レイは子守歌を歌い始めた

 

「何⁇その歌…」

 

「俺の祖国の歌だ」

 

rainbowは…虹、だったかしら⁇

 

レイの声は、眠気を誘う声だ

 

ひと段落付いた時に、此方から話を振ってみた

 

「どんな国⁇」

 

「その国はな、俺の本当の祖国じゃないんだ。本当の祖国は…もう忘れた。裏切られたからなぁ…」

 

「とんだ国ね…」

 

「俺がまだ傭兵だった時、アメリカって国に行ってな…その国の援護をした後、離れる事になったんだ」

 

レイの昔話は面白い

 

私の知らない歴史を、彼は知っているからだ

 

「それで⁇」

 

「その時、基地の偉いさんが俺の経歴を見て言ったんだ”君の祖国はここだ。君が戦争に嫌気がさしたら、帰って来い”って。でも、俺は隊長の傍を離れる気は無い。隊長が俺を突き放しても、俺は必ず隊長を助けに行く。そう誓ったんだ…」

 

「義理堅い…のね…」

 

「…さ、もう少し歌ってやろう」

 

泣き疲れたのかな…

 

急に眠気が来た

 

レイの胸の中で、私は眠りについた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「心配すんな。俺がお前を放す訳ね〜だろ…バカ」

 

レイは一粒涙を零し、霞を強く抱き締めた後、眠りについた

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