艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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49話 リンゴジュースの呪い(2)

「こいつだ」

 

冷蔵庫の中に、その薬はあった

 

「リンゴのジュース⁇」

 

「これが薬だ」

 

キャップを開け、匂いを嗅いだだけで分かる

 

これは…とにかく薬だ

 

「たいほうも飲んでた」

 

「…早く行こう」

 

子供部屋に向かい、たいほうを探す

 

「たいほう‼︎」

 

「たいほ〜う」

 

子供部屋に居ないって事は外か⁉︎

 

いや、とにかく内部だ

 

至る所を探し始めた

 

途中、ローマと雲龍、はまかぜに会ったが異常は無かった

 

プリンツはドイツから送られたリンゴジュースを飲んでいた為、セーフだった

 

そして、霞に会った

 

珍しく表を掃いている

 

「霞‼︎」

 

「レイ様⁇どうされましたか⁇」

 

すっ転びそうになった

 

「飲んでる…飲んでるよ…」

 

頭を抱えるのも無理は無い

 

「レイ様は頑張り屋さんですもの。少しお疲れになられたのでは⁇」

 

「頼むよ霞〜‼︎元のお前に戻れ〜‼︎ほら、バカパイロットって言ってみ⁉︎」

 

霞の肩を掴んで、軽く揺さぶる

 

もしかしたら戻るかもしれない‼︎

 

「バカパイロット⁇そんなお下品な言葉使いませんわよ⁉︎貴方は国を護る素晴らしいお方ですわ‼︎」

 

「うわ〜ん‼︎」

 

こんなの霞じゃない‼︎

 

霞は俺の事をバカとかマヌケとかクズとか言ってナンボなんだよ‼︎

 

「うん、分かった。俺が疲れてるんだな。ははは…」

 

「本当に大丈夫でして⁇連日の哨戒任務で精神を擦り減らしたのですわ。少し横になってくださいまし」

 

「霞は良い子だな、うん」

 

霞の頭を撫でると、普段は見せないそれはそれは素晴らしい笑顔を見せてくれた

 

「うふふっ‼︎頭を撫でられるのは幸せですわ‼︎」

 

「ははは…」

 

「うふふっ‼︎」

 

この時点で、俺はストレスで毛根が禿げそうになっていた

 

「たいほう見なかったか⁇」

 

「たいほう様でしたら、先程書斎の方に入って行くのを見ましたわ」

 

「たいほう様…たいほうさまぁぁぁぁぁあ‼︎」

 

俺は書斎に向かって走った

 

もう嫌だ‼︎

 

あんな霞見たくない‼︎

 

正直、超理想だ‼︎

 

だが、霞はやはり罵声ありきの霞だ‼︎

 

「レイ、壊れた」

 

「後で何か疲れが取れる物でもお作り致しますわ」

 

「お願いするね…」

 

グラーフも霞の頭を撫で、その場を後にした

 

書斎の前に着き、深呼吸をする

 

「嫌な予感しかしない‼︎」

 

「霞…可愛かった」

 

「行くぞ‼︎」

 

思い切って、書斎の扉を開けた

 

「た、たいほ〜…」

 

「たいほ〜」

 

シンとした室内の奥に、チョコンと座っているたいほうを見つけた

 

「たいほう⁇ジャン‼︎」

 

ポケットの中から、たいほうがいつも食べている飴玉を取り出した

 

「たいほう〜、飴玉あげるから、こっちおいで〜」

 

「スティングレイ」

 

「ゔっ…」

 

たいほうは本を閉じ、此方に振り向いた

 

「艦載機が空母から射出するのに必要な装置の名前は⁇」

 

俺は飴玉を落とした

 

たいほうじゃ…ない

 

俺の知ってるたいほうは、もっともっと甘えん坊だ

 

飴玉にすぐ釣られて…

 

すぐ抱っこをせびる…

 

とっても甘えん坊な女の子なんだ…

 

「か、カタパルトだ…」

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