艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、49話が終わりました

かれこれ50話ですか

ここまでお付き合い頂いた方々、そして、こらからお付き合い頂ける方々、この50話の節目にて改めて御礼申し上げます

さて、今回のお話は、ラバウル航空戦隊の内の一人のお話です


50話 ブロンド少女と凶鳥と(1)

ラバウル基地

 

凄腕のイケメンパイロットばかりが揃う、通称SS隊が指揮を執るこの基地で、一人の男が悩んでいた

 

「遂にあいつもケッコンかぁ〜」

 

雑誌を机に放り、ソファーに寝転がったバッカス

 

スティングレイがケッコンしたのもあり、彼は少し焦っていた

 

「あら〜⁇バッカスもお悩み⁇」

 

雑誌を拾い、パラパラと捲ったのは愛宕だ

 

彼が片思いしているお相手でもある

 

「ちょっと焦らないとなぁ…」

 

とは言いつつ、リモコンでテレビを点ける

 

愛宕は雑誌を持ったまま、バッカスの横に座った

 

「今日はお休み⁇」

 

「非番さ。飛んでばっかじゃ、その内墜ちる」

 

「ね、お散歩しない⁉︎」

 

「散歩ったって…」

 

「早く早く‼︎」

 

愛宕は彼の腕を引っ張り、立ち上がらせる

 

バッカスは渋々外に出て歩き始める

 

「お散歩嫌⁇」

 

「嫌じゃないさ。たまには歩かないとな」

 

「そうそう‼︎歩かないとね〜‼︎うふふっ‼︎」

 

一歩前を歩き、くるくる回る愛宕を見て、バッカスはポケットに入れた手を握り締めた

 

バッカスのポケットには、数日前支給された指輪がある

 

 

 

数日前、突然隊長が買って来た

 

「これを二人にあげます」

 

そう言って渡されたのが、ケッコン指輪だった

 

隊長は大分前に暁とケッコンしている

 

ロリコンとは薄々感付いていたが、まさかここまでとは思っていなかった

 

が、信頼している事に変わりはない

 

だが、私はそうは行かなかった

 

ギュゲスも同じだ

 

 

 

「アレン」

 

「…はっ」

 

ボーッとしていると、愛宕が顔を掴んで来た

 

「どうしたの⁇怖い顔してる」

 

「何でもないよ」

 

愛宕は二人きりになると、この名前で私を呼ぶ

 

「お花が綺麗ね〜‼︎」

 

「ドクダミだ」

 

「あら、お花に詳しいの⁇」

 

「昔、レイと薬の研究をしていたんだ。その時に、な」

 

「下手にお花飾れないわね…」

 

「気にする事はないよ。そんなに詳しい訳じゃない」

 

「じゃあ、アレンの部屋にドクダミをい〜っぱい飾ってあげる‼︎」

 

手を広げて、とにかく沢山飾ってやるとアピールする

 

「止めろ‼︎」

 

「うふふっ‼︎やっと元気になった‼︎」

 

「え⁉︎」

 

「アレンったら、最近ずーっと浮かない顔してるんだもの」

 

「重症だな…」

 

「ほらほら‼︎ぱんぱ〜か‼︎」

 

「ぱ、ぱんぱ〜か」

 

暁と隊長は良くやっているのだが、正直何が面白いのか分からない

 

だが、今はコレのおかげで元気が出た

 

「あ、そうだ‼︎お風呂入りましょう⁉︎ねっ⁉︎」

 

「い、嫌だ…恥ずかしいよ…」

 

「だ〜い丈夫‼︎あたしに逞しい体を見せて〜‼︎」

 

バッカスは押しに弱く、結局風呂に向かう事になった

 

「はぁ〜…良いお湯〜‼︎」

 

「風呂だけは最高なんだよな…」

 

「あら、基地にご不満⁇」

 

「不満って訳じゃないさ。どっちかと言うと気に入ってる」

 

「じゃあ何が不満なの⁇」

 

「不満って言うか…その…何と戦ってるのかな、って、時々思う」

 

「深海棲艦じゃないの⁇」

 

愛宕の真っ直ぐな視線を見て、負けを決意した

 

「それを言われちゃ敵わないな…」

 

「そうね〜。確かに、そんな風に思っちゃうのも無理ないよね…」

 

「戦う意味が見出せないんだ…スカイラグーンに行ってから」

 

「…あ‼︎」

 

急に愛宕が手を叩いた

 

「じゃあじゃあ、あたしの為に戦って⁇それなら理由になるでしょ⁇」

 

「それは好きな人に言う台詞だろ⁇」

 

「も〜…分かってよ…」

 

「…愛宕⁇」

 

愛宕の顔が赤い

 

温泉の所為なのか、照れている為なのか分からない

 

でも、嬉しかった

 

「分かった。愛宕の為に飛ぶよ、俺」

 

「そう⁇良かった〜‼︎辞めるとか言い出したらどうしようかと思っちゃった‼︎」

 

「それは無いな」

 

「うふふっ‼︎あたし、やっぱりアレンが好きっ‼︎」

 

水しぶきを立てながら、愛宕は俺に抱き着いた

 

私は、愛宕のこういう所が好きなんだな…

 

「お熱いですね、お二方」

 

「大和‼︎」

 

「あら〜」

 

いつの間にか大和が入っていた

 

「で、出るよ‼︎」

 

「出なくていいです。少々お聞きしたい事が…」

 

大和に腕を掴まれ、湯船に留まる

 

流石は大和

 

力が強い

 

「スティングレイ様が御ケッコンなされたようで…」

 

「そうらしいな…」

 

「それで、私も…」

 

目を閉じて照れる大和を前に、愛宕と顔を合わせる

 

「ギュゲスと…か⁇」

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