「瑞鳳⁇」
「はいっ、瑞鳳です」
「軽空母の瑞鳳⁇」
「はいっ」
「うふふっ、驚いた⁇」
「みほ」
焼きそばと、何故か綿あめを持ったみほが後ろにいた
「周りのお店を見て」
言われるがまま、辺りの出店を見渡す
「いらっしゃ〜い︎」
「お面売ってるよ〜︎」
「射的一回300円だよ〜︎」
みんな女の子だ…
「ここは…私の知ってる街なのか…⁇」
「貴方が居なくなってしばらくして、この街は急に栄えたの」
「嫌味か⁇」
「ち、違うわよ︎」
「廃艦の受け入れです…」
口を開いたのは瑞鳳だった
「この街は、数年前から廃艦になった艦娘を受け入れ始めたんです」
「廃艦⁇」
「旧式になったり、戦えなくなった艦娘は、いきなり社会に放り出されるの」
「そんな馬鹿な…」
「でも、この街は私達を受け入れてくれた。私達を弾いたら、この街の英雄が許さないから…って」
「貴方の事です、提督さん」
「まぁ、確かに許さなかっただろうな…しかし…」
こんな事になっていたとは…
「みほ、君も艦娘だったのか⁇」
「後で教えてあげる」
「みほ⁇」
「瑞鳳ちゃん」
みほは何かアイコンタクトを送っていた
「あ︎花火が始まりますよ︎ほら、急いで︎」
瑞鳳に背中を押され、その場を後にした
「恋かぁ…私もしてたなぁ…」
二人が居なくなった屋台で、独り言を言う瑞鳳が、寂しそうに出し巻き卵を焼いていた
「ここからならよく見える」
「あらあら、ほんと」
高台に登ると、街が見渡せた
「綺麗だな」
「貴方の街ね…」
幾度と無く、これに似た街を空から見て来た
護り切れない街もあった
爆撃機の絨毯爆撃で、業火に見舞われる街もあった
だけど、何度か護り切れた街があった
その中で今でも覚えているのが、私達が小さな街の上空で制空権を確保している最中、街の灯火管制が一斉に解除された時だ
私達の為に、市民が発起した瞬間だった
私は、この街だけは護らなければ…と、コックピットの中でうっすら涙を流したのを今も忘れもしない
美しかった…
街の灯りの一つ一つが、命のある場所だと実感させられた
「︎!!」
離れた場所で、花火が打ち上げられた
眼前に、何発もの花火が上がる
「これが花火…」
「見た事無いか⁇」
「爆発は嫌いなの」
「…」
「でも、花火は好きよ⁇」
「良かった」
しばらく二人で花火を眺めていた
知らず知らずのうち、私はみほの手を握っていた
「あのね…パイロットさん」
「ん⁇」
「私、貴方の事知ってた」
「そう…」
「ここに来た時、街の人に教えて貰ったの」
「…」
「私、艦娘なの。戦艦陸奥」