艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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※微グロシーンがあります

嫌いな人はターンするか、一瞬だけ耐えて下さい


52話 大切な人(5)

………

 

……

 

 

対空砲火に巻き込まれたのかな…

 

僕は…

 

レイを助けられなかったのかな⁇

 

右目があんまり見えないや…

 

でも何だろ…

 

不思議な感じがする…

 

フィリップは何度も”手”を動かす

 

「僕は…一体…」

 

空がとても広い

 

「はっ‼︎レイを助けなきゃ‼︎」

 

フィリップはレイの所に走った

 

初めてのはずなのに、何故か足が動いた

 

地を踏み締める感触…

 

戦闘機の時には無かった感触だ

 

「この先に二人が…イテテ」

 

被弾したのか、右目がどうも痛む

 

それでも、二人のいる場所は何と無く分かった

 

「んっ…むぐっ…んんっ…」

 

目の前で鹿島が口に布を入れられ、のたうち回っている

 

「誰だ‼︎」

 

床にはレイが血を流して倒れている

 

「貴様か。二人を嬲ったのは」

 

「だったらなんだ‼︎」

 

「許さない…」

 

「はっ‼︎お前みたいな奴に何が…」

 

もう、こいつが喋っているのも嫌だった

 

いつの間にあったか分からない、腰に備えられた軍刀で彼の首を落とした

 

「んむむぐ‼︎」

 

「待って‼︎今取ってあげる‼︎」

 

鹿島の口に入れられた布を取ると、開口一番に言われた

 

「貴方は⁉︎」

 

「話は後だ。今はここから出る‼︎」

 

鹿島の手枷や足に付いた鎖を解くと、鹿島はすぐにレイに歩み寄った

 

「お願いします‼︎彼を助けてあげて下さい‼︎」

 

「いだだだ…やられたぜ…」

 

「起きたみたいだ」

 

「レイ‼︎」

 

「簡単には死なねぇさ。ちったぁ気絶してたみたいだかな…お前は大丈夫か⁇」

 

「えぇ、奇跡的に体は何も…多少殴られた位です。この子が助けてくれたんですよ⁇」

 

二人して僕の方を見る

 

「ありがとう…名前は⁇」

 

そう言われて、何故か勝手に口が動いた

 

「き…”きそ”…」

 

「そっか…外の連中は大丈夫なのか⁇」

 

「大丈夫だ。じきここを焼き払う。早く出よう」

 

そう言って、僕は手を差し伸べた

 

レイはそれを取り、立ち上がった

 

僕はレイに笑顔を送った

 

レイは僕に笑顔を返した

 

鹿島がレイを抱え、外に出ようとした時、枕元に何か置いてあるのに気が付いた

 

それを手に取った時、レイに呼ばれ、咄嗟にポケットにしまった

 

 

 

「レイ‼︎鹿島‼︎」

 

地上に出ると、横須賀さんが迎えに来てくれていた

 

佐世保鎮守府は壊滅

 

見るも無残にボロボロになっていた

 

話を遠巻きに聞くと、工廠やらドックも全部爆撃するみたいだ

 

残った物は全部叩きのめすらしい

 

二人の安全を確認した後、僕は建物の影に入り、腰を降ろした

 

「疲れたなぁ…ふぅ…」

 

急に疲れが来て、そのまま目を閉じた…

 

 

 

 

 

 

 

「……リップ‼︎フィ……プ‼︎フィリップ‼︎」

 

《はっ‼︎》

 

気が付けば、レイを乗せていた

 

右目も痛くない

 

「ありがとな、迎えに来てくれて」

 

《え⁉︎あ…う、うん‼︎》

 

「まさか工廠の裏にいるとはなぁ…」

 

《鹿島は⁇》

 

「横須賀で治療を受けてるよ。大丈夫、何にもされてない」

 

《そっか…良かった…》

 

「きそって奴に助けられたんだ。しかし、何処のデータベースにも無いとは…何処のどいつだったんだろうな…」

 

《あ、そうだ。着陸した時、僕に何か預けて行った子がいたよ》

 

「ホントか⁉︎」

 

《うん。ダッシュボードに何か置いて行った》

 

「どれ」

 

レイがダッシュボードを開けると、中から鹿島が付けていた指輪が出て来た

 

「外されてたのか…」

 

《持ち主に返してやって欲しいって言って、何処かに行っちゃった…》

 

「ますます礼を言わなきゃな…何か残ってるか⁇」

 

《ごめん、誰だか分からないんだ…》

 

「そっか…」

 

《横須賀に行こう。僕お腹空いたよ》

 

「そうだな。俺も何か食うとするか‼︎」

 

 

 

 

横須賀に着くと、レイは僕に上質の燃料を入れてくれた

 

いつもの通常燃料もいいけど、たまにはこっちがいい

 

「んじゃ、ちょっくら鹿島に返してきますかね」

 

《もう一度プロポーズ、だね》

 

「洒落た事言う様になったな」

 

《ほら、レディを待たせちゃダメだ》

 

「はいはい。ありがとな、フィリップ‼︎」

 

《うんっ‼︎》

 

レイが横須賀の基地に入って行くのを見送り、レーダーを起動する

 

これでレイが何処にいるか、どんな話をしているか、手に取るように分かる

 

ちゃんと鹿島に渡してるみたいだ

 

照れ臭そうにしてると思えば、鹿島をしっかり抱いている

 

やっぱり夫婦だ

 

鹿島に大した傷は無く、数時間後には基地に帰還出来ると言われた

 

流石は艦娘

 

回復が早い

 

「フィリップ、帰るぞ‼︎」

 

《お帰り。鹿島、もう大丈夫なの⁇》

 

「えぇ‼︎お陰様で‼︎」

 

《じゃ、帰ろっか‼︎》

 

「あぁ‼︎」

 

「えぇ‼︎」

 

二人を乗せ、僕は飛んだ

 

こんな日に言うのもなんだけど、僕は今、とても幸せだ

 

僕の大好きなパイロットと、その奥さんが乗っている

 

こんなに幸せな事は無かった

 

こんな平和な空を、毎日飛べたらいいな…

 

そう思いながら、みんなの待つ基地に着いた

 

「ゆっくり休めよ」

 

《レイこそね。ちゃんと入渠してよ‼︎》

 

「へ〜へ〜」

 

レイが先に降り、鹿島が残る

 

《鹿島》

 

「どうしました⁇」

 

《いい夫婦だね》

 

「ありがとうございます‼︎ふふっ‼︎」

 

《また明日ね‼︎》

 

「はいっ‼︎」

 

二人が基地に入るまで見送った後、僕は格納庫で目を閉じた

 

長い1日だったな…

 

明日は、平和だといいな…

 

おやすみなさい‼︎




きそ(フィリップ)…

フィリップの小さな願いが奇跡的に叶い、一時的だが艦娘になれた状態

外見は艦娘”木曾”の改二状態のそれと酷似しているが、性格がちょっと違う

お尻も胸も小ぶりで、案外身長が低く、見た目の割にはキュート



そして何より、フィリップが女の子だったという衝撃の事実。しかも僕っ娘

だが、フィリップは自分がきそだという事を隠している
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